Quo Vadis

愛のひだりがわ 著者:筒井康隆

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裏表紙より
幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく愛。近未来の日本を舞台に、勇気と希望を失わずに生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。

あの『時をかける少女』で有名な筒井康隆である。
今までなんとな~く敬遠してたのだけど、ものは試しと手にとって見た。
アニメしか見てなかったけど、『時をかける少女』は中々良かったからね。

読んでいって、その世界観にすぐに引きこまれた。
舞台は近未来の日本なのに、日本じゃないような世界。
いつケンシロウが出てきてくれてもおかしくない世界。
まるで現実味がないのに、強い引力を放つ世界。
そんな世界なのに、描くタッチはどこか暗い絵本を思わせる。
そこにあるのは、陰惨で凄惨で、なのにどこか安穏としている長閑な旅路。
すっきりした、とは言えない結末なのに、読み終えた僕は満ち足りていた。
この不安定な小説を支えてるのは、長い年月をかけて研鑽しつくした作者の腕。
久しぶりに衝撃を与えてくれる作家に出会えた(今更)。

なんか身の程を知らない褒め言葉を並べたけれど、前述にあるように中身は難しくはない。
まさに子供を中心に読んで欲しい『傑作ジュヴナイル』だろう。
さぁてしばらくは筒井の最近の作品を舐めて回るか。

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