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その12」(2007/08/22 (水) 19:46:49) の最新版変更点

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10階、生体研究実験室、そこにサカキの姿はあった。 ホルマリン漬けのポケモンの標本や拷問器具とも思えるような設備をみて、サトシとシゲルは吐き気を催した。 ピカチュウさんはこの狂気に充ちた部屋を一瞬にして更なる『凶気』で覆い尽くした。 サカキをこの世のものとは思えぬ形相で睨みつけ、サトシに言う。 ピカチュウ「サトシ、こいつはここで必ず仕留める。異論は認めんッッ!!必ず、殺す・・・」 サカキ「おやおや・・・相変わらず私を見る目が怖いピカチュウだな・・・」 サトシ「・・・今日こそ決着をつけてやる!!サカキ!!」 サカキ「抜かせ、小僧・・・お前達のヒーローごっこはこれまでだ・・・キッチリ落とし前・・・つけてもらうぞ」 シゲル「サトシ・・これはお前の戦いだ。俺は見物させてもらうぜ・・・」 サトシ「・・・おぅ」 サカキ「フフフ・・今こそロケット団首領、サカキの真の力、見せてやろう・・いけ、サイドン」 サイドンの目には生気が無く、どうやら薬物で改造されたものらしい。 サイドン「・・・・ハァァァ・・・」 ピカチュウ「サイドンとはまた・・・お前は木偶の坊ポケモンが大好きらしいなぁ!!・・・お似合いだぜ・・・サカキィィィ!!」 サカキ「サイドン・・・地割れだ」 サイドンは地団太を踏むとシルフカンパニー本社は大きく唸りを上げる。 ピカチュウ「フン・・・なかなかやるじゃあねぇか・・・とんだドーピング効果だなッッ!!・・・ジャンキーさんよぉッ!!」 急激に足場が悪くなり、ホルマリン漬けのケースや培養液が床に散乱する。 ピカチュウさんはすばやく身体を動かし、瞬く間に影分身6体を生み出す。 ピカチュウ「さて・・どこから攻めようか・・・ククク」 余裕の笑みを浮かべるピカチュウさんをサカキが罵倒する。 サカキ「同じ手が何度も通用すると思っているのか・・・!?サイドン、ロックブラストッッ!!」 サイドン「・・・ウォォォォォ・・・!!」 ピカチュウさんの分身体6体はなんと一撃で消滅した。 ピカチュウ「何だと・・・!?」 サトシ「どういうことだっ!?」 サカキ「ククク・・・このサイドンは特別製でね・・・あらゆるドーピングを遺伝子レベルで施してある・・・例えばヨクアタールなんかも、遺伝子中に構築してある・・・軍の意識操作などというベルではないッッ!!」 サトシ「そんな・・・ピカチュウさんッ!!」 ピカチュウ「案ずるな・・・まだ手はある・・・この俺は覇王ッッ!!モルモット如き下に滅ぼしてくれるッッ!!」 ピカチュウさんは真っ赤なほっぺたから黒く輝く電撃を放出し、電撃で天井に何かを描き出した。 サカキ「・・・!?何が始まる!?」 陣の形成は一瞬で終わり、中から異形の者が姿をちらつかせる。すると異形の者を焼き払いながらその雷は姿を現した・・・ サカキ「・・・まさか・・・なぜ・・ニド・・キング・・」 ピカチュウ「こいつを取り込んだ時からこいつの意識は俺様と共有関係にある・・・ サカキを殺すと決めたとき、最期にこいつが言いたいことがあると志願してきた・・・さぁ、喋れ。ニドキング」 ニドキング「サカキ・・俺は知ってたぜ・・お前の心が何かを糧に強さを追い求めてた事・・・だから俺はお前と居た・・俺とお前は同じ臭いがした・・・」 サカキ「だまれ!!お前如きに何がわかる!!」 ニドキング「お前の心はいつもひとりだった・・それが俺を引き寄せた・・・多くは語らぬお前を支えたいと思わせた・・・それは今も変わらない、雷と化した今でさえ・・・!!」 サカキ「何故だ!!・・・ディグダ・・・俺は間違っていたのか・・・ニドキング・・・俺は・・俺は・・・」 サカキの脳裏に幼い頃の楽しかった思い出が走馬灯のように流れる。 しかしサカキは意を決しサトシとニドキングに言う。 サカキ「後戻りは出来ぬ・・・これは俺の意地とプライド・・・人生の終焉まで持っていくと幼い頃より決めた覚悟ッッ!!志半ばで倒れる訳にはいかんのだッッ!!ニドキング、俺は貴様の気持ちも汲み取ろう・・その心にも答えよう・・・!! だが、俺は貴様の屍を超えていく!!失った友は戻ってはこないッッ!!例えこの道が血塗られた道であろうとも・・・俺の覚悟は、砕けぬ!朽ちぬ!」 そう言うとサカキは揺らめきながらサイドンに命令をする。 サカキ「・・・破壊光線・・・逃げられると・・・思うな・・・」 サイドン「・・・うぉぉぉぁぁ!!!」 サトシ「まずい!!こんな地割れで破壊光線なんかうたれたら・・・当たろうが避けようが・・・ビルが持たないッ!!」 そのとき、サイドンに一筋の光が。 その光はサカキにだけ見えた光だった。 サカキとサイドンは光に包まれ時間が止まる。 サイドンにディグダの魂が入り込み身体を借りて話しかける。 ディグダ「・・・大きくなったね、サカキ。」 サカキ「・・ディグダ・・・ディグダ!!なぜ・・・今なんだ・・・」 ディグダ「ボクが死んでから・・・ずっと寂しい思いをしてきたね・・・」 サカキ「言うなッッ!ディグダ・・今お前にその言葉を言われたら・・・俺は・・・俺は・・・」 ディグダ「ボクはいつも君を見ていた。それが君を信じるボクの道だったから、でももう終わりにしよう・・・こんな辛そうなサカキ、もう見てらんないよ・・・」 サカキ「ディグダ・・・ディグダッッ!!・・・うおぉぉぉぉ!!俺を惑わすな・・・なぜ、こんな時にッ!!」 ディグダの魂は抜け、ニドキングの魂がサイドンに入る。 ニドキング「今だからこそ、だろ・・・気付けッ・・ボケッ」 するとサカキはこういう。 サカキ「あぁ・・・そうだな・・私は大馬鹿者だ・・・」 ニドキングが一言言い残すとサカキとサイドンを包んだ光は消え、サイドンは不発のまま破壊光線を飲み込み倒れた。 サトシ「終わりだ・・・サカキ・・・」 するとサカキの顔からは険が抜け、子どものような笑みでこういう。 サカキ「私は取り返しのつかないことをしてしまった・・・それが許されることとは思ってはいない。私は・・今・・とてもすがすがしい気分だ・・・策は尽きた・・・許されるなら、この気持ちのままで逝かせてほしい・・・」 ピカチュウさんはニドキングを取り込んでいるため、あらかたの事情を知っている。もちろん光の中のディグダのことも。 ピカチュウ「サトシ、こいつは敵だ・・・必ず殺す。しかし、こいつの死に様はお前にとって大きな何かを与えるだろう・・せめてサトシ、お前の胸の中にサカキという男の生き様を刻み付けるのだッッ!!」 サカキは目を閉じこう言う。 サカキ「ディグダ・・ニドキング・・・今、そっちへ向かう・・・」 ピカチュウさんはニドキングを象った雷でサカキを包み込んだ。 ほんの少しの憎しみと、最大の敬意を持って。 こうしてサカキとサトシ、ピカチュウの因縁の幕は下ろされた。 階段をのぼりムサシとコジロウが現れた。 ムサシ「一部始終、見せてもらったわ・・・ボス・・・お疲れ様でした。」 コジロウ「ボス、あなたの悲願、軍への復讐は我ら新生ロケット団が必ずや・・・」 ピカチュウさんはサトシに耳打ちをする。 サトシ「・・・亡骸は持っていきな。」 ムサシ「・・・!?」 コジロウ「礼は言わんぞ・・・こっちもボスがもしもの時は被検体のポケモン全て開放するようにおっしゃっていた・・・ほら・・・カラカラはこのボールの中にいる。」 コジロウはポンとボールを放り投げた。 ムサシ「ボスはわかっていたのかもしれない・・・こうなることを・・・」 コジロウ「ボスはおらずとも我々はこれからもロケット団!!また会おう・・・少年・・・」 シルフカンパニー本社を出たサトシとシゲル。 サトシ「ありがとう、お前のおかげでなんとか悲願、果たせたぜ。」 シゲル「礼はいらねぇよ・・・そんなことより、これからどうするんだ?」 サトシ「カラカラをお母さんのとこへ連れて行かないと・・・」 シゲル「乗ってくか?」 サトシ「いや・・・カラカラは自分の足で届けたいんだ・・・スマン。」 シゲル「そうか・・・それにしても、今度のことでリザードンの弱点も、ピカチュウさんとの差も身にしみてわかったぜ・・・ちくしょう・・・今度会うときは負けねえからな!!」 リザードン「ピカチュウ・・・次に会う時は勝負だ・・・必ず勝つ!!シゲル、特訓だ!!」 シゲル「・・・だってさ、宜しくなピカチュウさん」 ポンポンとピカチュウさんの頭をなでるシゲル ピカチュウさんはお戯れが嫌いなようでお怒りになられた。シゲルは黒焦げにされる。 ピカチュウ「・・・下郎が・・・気安く触るな・・・!!」 シゲル「あばばばば」 サトシ「俺、ピカチュウさんの頭なんてなでた事ないぜ・・・」 シゲル「それ、早く言えよ・・・」 ピカチュウ「ボロ雑巾・・・今度会うときは少しは楽しませろ・・・あの程度では殺りがいがない・・・」 リザードン「フン・・・ピーピー言わせてやるから覚悟しとけ」 ピカチュウさんはどうやらピーピーに逆鱗が触れたようだ。 リザードン「あばばばば」 こうしてシゲルとリザードンは二人仲良く黒焦げになって飛び立っていった。

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