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その11」(2007/08/22 (水) 19:44:48) の最新版変更点

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ロケット団のサカキを追い詰め、カラカラを奪還せんとヤマブキシティへ急ぐサトシとピカチュウさん。 タマムシ側ゲートでエリカにもらった通行証を見せると、それまで怪訝な表情で二人を見ていた番人がコロッと態度を変えた。 ヤマブキシティはカントーの中心に位置する経済の街。 高層ビルが立ち並び、重要各企業も多いため、ロケット団によるテロが起きた直後から厳戒態勢がしかれていた。 しかし、シルフカンパニー本社ビルはロケット団の制圧化にあり、研究設備やその他もろもろサカキの個人資産と化していた。 ヤマブキのジムリーダー、ナツメを持ってしても12階建てのビルにたむろうロケット団総員を相手には手も足もでなかったらしい。 そんな情報をポケモンセンターでひと通り仕入れたあと、ポケモンセンターのロビーでピカチュウさんのケアをしている時だった。 シゲル「サトシ、久しぶりだな・・・相変わらず、そのピカチュウさんに可愛がってもらってるのか?」 サトシ「・・・うっせぇ」 シゲル「紹介するぜ・・・俺のリザードンだ。」 サトシはあまりのでかさに面食らった。 サトシ「でけ・・進化させたのか?」 シゲル「あぁ、色々あってな・・・まぁ、そこのピカチュウさんのおかげでもある・・・礼は言っとくぜ」 ピカチュウさんはやっとまともに戦える相手が出来たと思ったのか満足そうにこういった。 ピカチュウ「よぉ・・・ボロ雑巾・・・立派な箒で空は飛べるようになったかよ・・・ククク」 少しムッとしながらも、大人になったリザードンはクールに返す。 リザードン「おかげさまでな・・・今なら負ける気はしねぇぜ、小ネズミちゃん・・・」 ピカチュウさんは意外にクールな反応に少し戸惑われたが持ち前の気丈さで返す。 ピカチュウ「でかくなったのはガタイだけじゃなさそうだな・・・いい勝負が出来そうだ・・・」 ピカチュウさんはバチバチと電気を纏いリザードンを威嚇しだした。 リザードン「今日は挨拶代わりだ・・・やり合う気はねぇぜ・・むしろ・・・」 ピカチュウ「・・・ぁん?」 二匹の様子を見てサトシとシゲルが止めに入る。 シゲル「まったく、この二匹は顔を合わせるとこうだ・・」 サトシ「お互い大変だな・・・」 ピカチュウ「なんか言ったか?サトシ・・・」 サトシ「あ・・いえ・・・・そのっ・・」 もちろんサトシは軽く電流を流される。 サトシ「で・・今日は何のようだ・・・?待ってたんだろ?」 シゲル「あぁ、お前シルフに乗り込む気だろ?」 サトシ「・・・!!」 シゲル「バレバレだぜ・・ロケット団とドンパチやってんの、テレビとかで超有名。それに、今のお前と俺の力の差も知っておきたい・・・見せてもらうぜ・・・お前らの力、この目でな」 サトシ「どういう意味だ?」 鈍いサトシを見てケタケタ笑いながら、シゲルが続ける。 シゲル「・・はぁ~??わかんねぇやつだな・・・力、貸してやるって言ってんの・・・正面切って乗り込む気か?12階建てだぜぇ!?ビル・・・ 上から行ったら一階建てとかわんねーだろ?それとも、ビルごと消し飛ばすつもりだったとか?怖えぇ~!!」 ピカチュウ(その手があったか・・・) シゲル「ほら、ピカチュウさんもその気だったみたいじゃねーかッッ!!俺様に感謝しろよッッ!!もっとも、上まで連れて行ったら後は高見の見物だけどなぁ・・・ザコくらいは払ってやるけど」 それを聞いてピカチュウさんはリザードンに言う。 ピカチュウ「ついてくるのは勝手だが、せいぜい邪魔だけはするな・・・」 リザードン「抜かせッ!!あんまり弱えぇと俺がてめえを食っちまうからな・・・」 サトシ「ありがとう。助かるぜ・・」 シゲル「礼は全部すんでから言え。」 サトシ「じゃあ・・・行くぜ!!」 こうしてサトシとシゲルのシルフカンパニー襲撃が始まった。 ポケモンセンターを出て、二人と一匹がリザードンの背に乗るとリザードンは翼を広げ羽ばたく。 ぐんぐん勢いを増し、あっという間にシルフ本社上空を越え、滞空すると大きな街が一望できた。 ヘリポートを基準にリザードンは着地し長い首をぬぅっと降ろして二人とピカチュウさんを降ろした。 屋上からの入り口は一つしかなく鍵がかかっているため、ピカチュウさんの電撃で周りを切断して進入した。 どうやら12階は製品の管理を中心に行っているようで、在庫リストが張られている紙や、実際の製品、サンプルなどが多いようだ、製品の直接空輸を行っているため12階を倉庫としたようだ。 シゲル「チョットくらいぱくっても大丈夫だろ・・・」 するとピカチュウさんはあるものを部屋の上隅に発見、指をさしニタニタと笑う。 ピカチュウ「フン・・・面白くなりそうだな・・・全て見られておるわ・・・」 サトシ「これは・・・階段降りたら待ち構えてたりして・・・」 ピカチュウさんは耳を澄まし、11階の様子を探る。 ピカチュウ「ククク・・・サトシ・・・軽く20人は居るようだな・・・まったく、虫けらは何匹集まっても同じだと、そろそろ学習してもらいたいものだッッ!!」 シゲル「多少ビル内壊れてもかまわないよな・・・俺達まだ子どもだしッッ」 トントンと団員が上って来る音が聞こえてきた。 サトシ「ヤバイ、来た来たッ!」 ニィっと少年特有の悪い笑顔でシゲルはリザードンに命令する。 シゲル「リザードン、階段に向かって火炎放射だ。手加減しろよ。」 リザードン「手加減はできねーよなぁッッ!!」 リザードンはそう言うと下り階段に向かって炎を吐き出す。 団員「うわぁあぁぁぁ」   「ぎゃぁぁぁあ」 団員達は引き下がっていった。 ピンポーンと今度はエレベーターが止まる。挟み撃ちはさすがにヤバイ。 しかし、それに気付いていたピカチュウさんはエレベーター前で『ピカチュウ』らしい可愛らしい顔で待ち伏せする。本当に可愛らしい、よそ行きの顔にサトシは嫌な予感がしたが、その不安は的中した。 エレベータのドアが開いた瞬間、満面の笑みでピカチュウさんはおっしゃる。 ピカチュウ「寝てろ。ゴミクズ共。」 大きなエレベーターにいっぱいに入っていた団員ご一行さま20名はもれなく気絶した。 エレベーターの業務用不動スイッチをオンにし、エレベーターからの道を塞ぎ、退路を確保したサトシたちは、勢いに乗り11階へ到着。 そこには幹部カラーらしき白装束を着た若い男女の団員が待ち構えていた。 ムサシ「ようこそ坊や達、シルフカンパニーへ・・・ロケット団幹部のムサシと・・・」 コジロウ「・・・同じく幹部のコジロウだ・・・」 シゲル「・・・!?・・・いよいよお出ましってか・・・」 サトシ「そうみたいだな・・下っ端どもはどうした!?」 ムサシ「あいつらじゃあ役にたちゃしないって、サカキ様が引っ込めたわ。チョロチョロされても邪魔だしねぇ・・・」 コジロウ「クソガキども・・・正義のヒーローごっこは終わりだ・・・大人の商売に首を突っ込むもんじゃあねぇぜッッ・・!!」 サトシ「それと同じ事を言ったサカキがあのざまだ・・・お前らなんかに負けるかッッ!!」 ムサシ「・・!!可愛くない坊や達ね・・・コジロウ・・・さっさと殺しちゃいましょ・・」 コジロウ「フン・・・マフィアの面子をたかがガキに潰される訳にはいかんのでなぁ・・・海にでも捨ててやるか」 さすがに世界的マフィアの幹部、言うことがえげつない。こうして口にだした言葉を彼らは全て遂行してきたのだろう。とてつもないプレッシャーが二人を襲う。 シゲル「おいおい・・・やばいんじゃないの?2対1じゃ分が悪そうだぜ~・・・リザードンも久しぶりの生きのいい獲物に興奮してることだ・・共闘と行こうじゃねぇか」 サトシ「あぁ・・・ピカチュウさん・・構わないですか?」 ピカチュウさんは不機嫌そうにおっしゃる。 ピカチュウ「フン・・・たまにはこういうのも余興としてはよかろう・・」 シゲル「決まりだな!!いくぜぇ・・リザードンッ!!」 リザードン「ピカチュウ・・・俺の足をひっぱんなよ?」 ピカチュウ「抜かすな・・・小物が・・・ちょうどいいわ・・格の違いを見せ付けてくれる・・・」 サトシ「ピカチュウさん、頑張ってくださいッッ!!」 シゲル「おまえ・・・なんか違くね?ほんと使われてんのな・・・」 サトシ「うっせっ!!」 シゲル(覇王の卵・・・ピカチュウさんか・・・その実力見せてもらうぜ・・) ムサシ「あら、やる気満々ね・・・この子達」 コジロウ「ガキが・・調子に乗るな・・・」 そう言うと二人はポケモンを繰り出す。 ムサシ「いきなッ!!キュウコン・・・」 コジロウ「スリーパー・・・かかれ」 シゲル「先手必勝ぁ!!リザードン、火炎放射ッッ!!」 口を大きく広げ、火柱が放たれる。 リザードン「ウォァァァァ!!」 研究施設が燃え盛り、建物の壁やオブジェに火が放たれる。 ムサシ「あらぁ・・強い炎じゃない・・ワクワクしちゃう。キュウコン、鬼火で小ネズミちゃんを足止めよ・・」 キュウコンはフヨフヨ漂う紫の炎をピカチュウさんの周りへ漂わせた。 ムサシ「火傷してもしらないわよん・・」 ピカチュウさんは鬼火に向かい電撃を放ち相殺しようとするも、実体のない炎に電気を当てることは敵わなかった。 ピカチュウ「・・!?フン・・・ならばッッ!!」 ピカチュウさんは目を閉じ鬼火に精神力をぶつける。 ピカチュウ「・・・かぁッッ!!」 ビリビリと建物全体を揺るがす精神の波動で跡形も無く鬼火は消え去った。 コジロウ「・・・このピカチュウ・・出来る・・・」 コジロウはスッとスリーパーを指差すとスリーパーは振り子を揺らしリザードンの方へ。 リザードン「・・・!?・・・あ・・頭が・・・」 ピカチュウさんはすぐさま反応し、念力でスリーパーの催眠術を中和する。 ピカチュウ「アホが・・・安い手にかかるでないわッッ!!俺を失望させるなよ・・」 リザードン「・・・ハッ・・!!俺は・・一体?」 シゲル「よかったな・・・リザードン、シングルバトルなら死んでたぜ。」 一瞬呆然としていたリザードンは目の色を変えてスリーパーに襲い掛かる。 尻尾の炎は青白く燃え盛り爪をむき出し飛びかかる。 リザードン「てめぇぇッッ!!はらわた引き千切ってやらぁぁッッ!!」 飛び出したリザードンに危険を感じたコジロウはスリーパーに言う。 コジロウ「・・チッ・・・こっちもやりやがる・・・スリーパー」 スリーパーの振り子は弧を描き高密度の念力をそこに集約させる。 スリーパー「・・・フォフォフォ」 振り子のリフレクターでリザードンの豪腕を受け止める。 ピカチュウ「フン・・小物にしては上出来だ・・・」 ムサシ「ちっ・・あのネズミちゃん・・・食えないわ・・・キュウコン、援護」 こう着状態で睨み合うスリーパーとリザードン。 低空で押し合うリザードンの足元を激しい電磁波が突きぬけ、スリーパーの足元がふらつく。 スリーパー「・・・!?」 電磁波でバランスを崩したスリーパーにリザードンの豪腕が再び襲う。 そこにピカチュウさんの動きを読んでいたムサシの指示でキュウコンが。 鋭く見開いたキュウコンの赤い眼がリザードンを捕らえる。 キュウコン「・・・!!」 リザードン「身体が・・・動かねぇ・・」 スリーパーまであと3cmの所でリザードンの拳は動きを止めた。 完全に動けないリザードン、スリーパーはしびれた身体で振り子をふり始める。 ピカチュウ「ッッ・・どけェ!!木偶の坊ッッ!!」 そう叫びながらピカチュウさんは自分の10倍はあろう体躯のリザードンを蹴り飛ばし、スリーパーの攻撃を回避させる。 コジロウ「このままではらちがあかんな・・」 ムサシ「そうね・・・あのピカチュウ・・・邪魔だわ。」 ロケット団幹部、ムサシとコジロウは標的をピカチュウさんに絞った。 ピカチュウさんを狙ったことが、この戦いの幕引きとなった。 コジロウ「見かけに惑わされたが、危険なのは小ネズミのほうだ・・・二匹で叩く」 ムサシ「そうね、あのでかいのは単純だからやりやすいわ・・」 リザードンの精神面の弱さは露骨に表れ、シゲルの今後の課題となった。 シゲル「・・・リザードン、援護に専念だ。あいつらはお前じゃ分が悪い。」 リザードンは考えた。もっと精神力を鍛えねば先はない、ピカチュウさんにも勝つことはできない事を痛感した。 と、同時にビルの中でなければ、もっと自由に飛べれば・・・そんな地の不利に悔しさを紛らわせた。 シゲル「なぁに・・・また鍛えなおせばいいだけだ。・・・生きて出られたらの話だけどな・・・」 睨み合う両者。こう着した場の空気はとてつもなく重い。 コジロウ「・・・スリーパー・・光の壁でも張っておけ」 ムサシ「キュウコン・・・炎の渦」 キュウコンの身体を薄い光の壁が包み、キュウコンが飛び出す。 スリーパーは続けて振り子を周囲のものにかざすと部屋のパソコンやイスなどが宙に浮き、キュウコンを援護する体制に入る。 コジロウ「・・・スリーパー」 スリーパー「フォフォ・・・フォフォ・・」 宙に浮いた設備がピカチュウさんを狙う。 するとキュウコンの炎の渦はイス等の設備に引火し燃え盛る弾丸となってピカチュウさんを襲った。 ピカチュウ「フン・・賢しい真似を・・・曲芸で俺様を倒すことは出来んッッ!!」 丸い球光となった電磁波がピカチュウさんの半径3mを覆い尽くし、ピカチュウさんの指の動き一つでスリーパーの弾丸を打ち落とす。 ピカチュウ「無駄・・無駄・・無駄ァ!!」 シゲル「これが・・・ピカチュウさんの力ってわけか・・・サトシ、お前とんでもねぇもんに憑かれてやがるな・・リザードン、出る幕ねぇぜ・・・」 サトシ「ハハ・・・」 苦笑いを浮かべるサトシ。 全ての弾丸が打ち落とされ、スリーパーとキュウコンは呆然とする。 ムサシ「あの子達・・・びびっちゃってない?」 コジロウ「あぁ・・間違いない・・・ヤバイな・・・」 ピカチュウさんの周りにはまだ無数の光球が宙を舞っている。この弾が全てこれから自分達に向けられるかと思うと、スリーパーとキュウコンもなすすべがない。 なまじ光の壁に身を包んでいるだけあって無駄に苦痛を味わうことになる。 長く幹部の下で戦い続けてこれほどの恐怖を味わったことは無かっただろう。 圧倒的な力の差を見せ付けたピカチュウさんはニヤニヤしながらこう言う。 ピカチュウ「・・・どうした下郎、それまでか」 戦意を失った二匹を見て、ムサシとコジロウは二匹をボールに戻した。 ムサシ「とんでもないわね・・・そのピカチュウ・・あんたなら即幹部間違いなしなのに、もったいないわね」 コジロウ「・・・俺達の負けだ・・・殺れ・・・」 ピカチュウさんは少し考え、光球を体内に戻された。 ムサシ、コジロウ「!?・・・なぜ・・・」 ピカチュウさんはその真意をサトシに伝える。 サトシ「最期に自分から二匹を引っ込めたから、今回は許してやるってさ。ラッキーだったな・・・」 コジロウ「・・・後悔するなよ・・・借りは必ず返すぜ・・・」 シゲル「そのときはまた相手になってやらぁ!!今度はリザードン一匹でも負けねぇ・・・!!」 こうしてロケット団幹部ムサシとコジロウを下したサトシとシゲルは残る宿敵サカキを討つべく、先へ進むのであった。

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