心壊


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わたし、こんな世界、もういやだ。


               セ カ イ ニ サ ヨ ナ ラ









全てを夜の色に塗りつぶす闇を切り裂く一閃の雷光、
その光景は、如何なる状況であろうとも明けぬ夜が無い事と同様に、この状況もまた解決に向かうだろうという一種の隠喩を表したものと映ったのか。
あるいは、目が眩まんばかりの雷光も一瞬で消えてしまう様に、希望なぞは消されるために用意されるものと映ったのか。

少なくともフリアエの目には、何も映りはしなかった。
両の瞳に宿した蒼は一閃の雷光を映し、ただそれだけである。
後は無感動にフリアエの両の瞳は夜闇を映し出すだけ、感情はなく、ただ目の前の光景が突き抜けていく。

今のフリアエには目の前の光景を見ることが出来ない。
ただ、目に焼き付いた一つの光景に心を委ねるだけ。

過去の光景。
雷が放たれる闇夜よりも、殺し合いの開催を告げられた両の眼で見た悪夢よりも、
それ以前に彼女の心を捉えて離さない過去。

彼は私を見なかった。




あの日から。
忌まわしき女神になったあの日から。
自由を奪われ、苦痛に耐え続ける生を送ることとなったあの日から。

嗚呼、普通の人間以下の人生を送ることが女神だと言うのならば、神というものはなんと哀れな生物なのだろうか。
いや、感情を削ぎ落とされたことこそが、超越者たる神の証左と言えるのだろうか。

私にはわからない、興味もない。
ただ、この痛みが女神とは名ばかりの人間以下の生贄であることを教え続けてくれている。

ただ、痛みの中、子供染みた空想に浸ることもあった。
カイム、私の兄、愛おしい人、
彼が私のために与えられた世界という牢獄を破壊し、誰もいない教会で式を挙げてくれる。

当然、倫理も論理もそれを許しはしない。
世界は存続されるべきものであるし、近親相姦もまたあってはならない。

わかってはいた、わかってはいたが、それでもこの苦しみから逃れるためには、逃げ道が必要だった。

だが、もしかしたら、その逃げ道が現実の物となってはくれないだろうか、
その様な淡い思いもまた、存在した。

当然、それは想像の世界だけに許されるものであり、現実は躊躇なく無慈悲にその空想を破壊した。




あの日。
心の内を、秘めたる思いを、女神としてあってはならない思いを暴露されたあの日。

私は彼を見た。

どうしようもない絶望と、
それでも私の思いを受け入れてくれるのでは無いかという、百分の千分の万分の億分の兆分の一にも満たない僅かな可能性にかけて。

私は彼を見た。
彼は私から目を逸らした。


受け入れてもらえないのであれば、
愛しの兄にその様な目をさせてしまったのならば、
私に最早、生きる価値も意味もなく、
世界に意味もなく、
私はナイフを手に、


「私を……見ないで…………」




けれど、私は生きている。
意味もなく、価値もなく、ただ、殺すためだけに生かされている。

どうしろと言うのだ。
どうしようもないのだ。

生きることは苦痛。
死ぬことは許されず。

もう何もない。
もう何もない。
もう何もない。
もう何もない。





故に、それは私を惹きつける。

甘い幻想は私を惹きつける。

この世界ならば、私は許されてしまうのではないかと祈ってしまう。


覇王の卵。

シルクのヴェール。

光のドレス。



私は花嫁衣裳を身にまとい。
それに不釣合いな、ネックレスを掛ける。

後はただ、
兄を、兄さんを、カイムを探そう。

この世界にいないのならば、全てを殺して、兄さんに会いに行こう。


愛は受け入れてもらえなかった、
それでも、

那由多の果ての可能性にかけて。



【D-5/森林地帯/深夜】


【フリアエ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:光のドレス、シルクのヴェール、真紅のベヘリット
[道具]:基本支給品*1
[思考・状況]
基本行動方針:カイムを探す
[参戦時期]:自殺後



022:デッドマンズインワンダーランド 投下順 24:食性
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