明けない夜を行け


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妖刀村正。
その刀、わずかな損壊も許さず。
その刃、形無き物すら断ち切り。
その力、世の全てを掴むという。

しかし、誰一人としてその刀を手にした者はいない。
魔神さながらの気迫を纏う男どこからともなく現れ、その刀に近寄る者を全て斬り捨てるからだ。
男が何者なのか、なぜ刀を手に入れようとする者を阻むのか、彼について知られていることは少ない。
ただ一つ分かっているのは、男の名が「竜之介」ということくらいだった。





大天使ミカエルは、一人で空を仰いでいる。
神の千年王国、カテドラル。
そこに唯一の神が住まい、絶対なる秩序と共に人々が住まう予定だった。
しかし、その王国は完成することなく、崩壊を迎えた。
ルイ・サイファーの手による、魔族の手によるものでもない。
内部に紛れ込んでいた反旗を翻す者の手によるものでもない。
集団決起を行った人間達の手によるものでもない。

たった一人の少年の手で、カテドラルは崩壊したのだ。

ルイ・サイファーの軍勢も、ヴィシュヌも、ラファエルも、ウリエルも、ガブリエルも、ロウヒーローも。
たった一人の少年に、葬られた。

神はその結果に怒りを示し、直接その手で人類を裁くことを決めたのだろう。
しかし、神は自分が直接裁く前に一つのチャンスを与えてくれた。
生き残ることが出来れば、神と契約が出来ると言われた。
この場にいる者全員を裁くことが出来れば、もう一度神に仕えることが出来るということだろう。
以前よりもより近いところで、神の力になれる。

そうすれば、再び千年王国を作り出すことも不可能ではない。

そんな短絡的な思考。
しかし、彼を突き動かすには十分な理由だった。
その足は、止まらない。





「何故、村正を求める?」
竜之介は村正を求める者に対し、常に問いかけていた。
しかし誰に問いかけても、答えはいつも似通っていた。
「もっと斬れる刀で沢山の人を殺したい」
「高値で売り飛ばして遊んで暮らしたい」
「村正の力を以て世界を支配したい」
全て、私利私欲に満ちた答えだった。
力を持つ者が上にのし上がるこの戦乱の世では仕方がない事なのか、と。
目先の欲に釣られた者達を斬り伏せながら、竜之介は常に考えていた。

そんなある日、村正の元に一人の忍が現れた。
またか、と思いながらも竜之介は忍にも同じように問いかけた。
「何故、村正を求める?」と。





ミカエルは早速見つけた一人の男に対し、問答無用で攻撃を開始した。
いや、攻撃というより一方的な弾圧と表現するのが正しいか。
かつてザ・ヒーローと対峙したときには自分の心に慢心があった。
ヴィシュヌのような数々の強者や、アスラ王の軍勢、果ては大天使達をも屠って来た少年。
しかし所詮は人間、この自分が負けるわけがないという油断があった。
あの惨敗は自分が招いた結果だった。
だから、今度は一切手加減しない。
どの罪人が相手でも、全力を以て裁くと決めた。
両の手から次々に放たれる裁きの炎は、一人の男に真っ直ぐに向かっていった。
一発目が着弾し、土煙を上げてもミカエルはその手を止めなかった。
「問う……なぜ、お前は戦う?」
突然耳に届いた声の方へ振り向くと、先ほどまで遠くにいたはずの男が立っていた。
その体には傷は愚か、汚れの一つすら付いていなかった。
「何のために戦うのか? 簡単な事だ、愚かな人類を救ってやるためだ」
男の間合いに既に入っていることを認識しながら、ミカエルは淡々と口を開く。
「救う……?」
「そうだ、神の手を拒んで滅びの道を進む人類を救ってやるのだ」
怪訝な表情を浮かべる男に対し、ミカエルは構うこと無く口を開き続ける。
「元より我々は神の命を受けて、人々が末永く暮らせる王国を建設している所だった。
 王国が完全し神が住まえば、人々は愚かな行動を繰り返さず、末永く生き長らえられるのだ。
 それに向けて我々は人間を導いてやっている途中だった。
 ところがどうだ、人は神の手を拒み自ら破滅の道を歩み始めたのだ!
 ならば、今度は一足先に破滅に導いてやろうというだけだ。
 我々の手によって!」
一息にそう言い切り、ミカエルは再び男に向けて炎を放とうと魔力を練り始めた。
だが、ミカエルは炎を放たなかった。
「……何が可笑しい」
男が、笑っていたからだ。

「神を名乗る者とそれに仕える者がそこまで阿呆だと聞いて、笑わん奴こそどうかしておるわ」
その一言に、今度はミカエルの表情が険しくなる。
今度は男が先ほどのミカエルのように喋り続けた。
「確かに拙者も人間とは愚かな生き物だと思っておった。
 権力や武力、とにかく力を追い求めて自分より力の無いものを踏みにじり、支配し、搾り取る生き物なのだと思っておった。
 力を求め、力に溺れる者ばかり。拙者はそんな奴らを何人も斬り伏せてきた」
そこで一息つき、男は空を見上げた。
「そんなある日、拙者は一人の忍に出会った。
 奴もまた、力を求める者だった。
 しかし、奴だけは他の者とは違っていた。
 力で人を支配する腐った世をぶち壊し、人一人が自分の足で自分の道を歩める国を作りたい。
 そのために、力を振るう奴らを倒す力が欲しいと言いおった。
 その真っ直ぐな目と、真っ直ぐな力に拙者は負けた。一片の悔いも残らぬほどにだ。
 奴なら国を変え、人が自分で歩いていける国を作れると思った。
 人間の可能性、人間の未来を切り開く力、人間がしっかりと生き続けて行ける力を拙者はしかと見た」
男は刀を構え、再び口を開いた。
「人間は一人でも歩いて行ける。その人間を力で支配しておいて"導いてやる"など、力に溺れすぎておる。
 そんな連中が人間に滅ぼされるのは、当然とも思えるがのう!」
「言わせておけば!!」
堪忍袋の緒が切れたミカエルが男へと殺意を剥き出しにして襲いかかった。
「ぬるい! 決意、実力、希望、全てが奴の太刀筋よりヌルい!」
男は悠々とミカエルの攻撃を交わし、一言を放つ。
怒り狂うミカエルが次の攻撃の一手に転じようとしたその時。
彼の右腕が、ズルリと滑るように地に落ちたのだ。
男はミカエルの攻撃を避けただけのはず、攻撃をした様子もなければ、音も響いていない。
理解できないままのミカエルをよそに、男は語り続ける。
「お主等のような力に溺れし者の刃、この竜之介には未来永劫届かぬわ」
ようやく正気に戻り残った片腕で攻撃しようとするミカエルを、竜之介は見つめ直し、特殊な構えに入った。
「冥土の土産に刻んで行け。拙者がこの目で見届け、この身に刻んだ。
 未来を切り開こうとする力を持った人間の刃を!」
その言葉と共に、竜之介はミカエルへと素早く飛びかかった。
「半月流、外式――――」
旋回しつつ攻撃をかわしながら、ミカエルへと肉薄していく。
「矢車草ッ!!」
竜之介が風と共にミカエルの隣を駆け抜けた後、ゆっくりと足を付き、胸に鮮血の花を咲かせながら倒れ込んだ。





肉体はとうの昔に失い、霊魂となりながら村正を守護し、あの日のおぼろの手によって天へと昇ったはず。
しかしどういうわけか再び生を受け、肉体と共にこの地に降り立っている。
命じられたのは殺し合いだ、最後の一人になるまで全ての人類を殺せということである。
もちろん、そんな口車に乗るはずも無かった。
あの日のおぼろの言葉を聞き、自分は未来を切り開く人間の力に賭けると決めたのだ。
それを阻もうとする神ならば、先ほどの男と同様に切り捨てるだけである。

自分の命は既に失われた命、ならばこの地に呼び出された「未来を切り開く者」の力になるために全てを使うだけ。
それを阻むものは斬り捨てて行く、この命が尽きるまで。
「おぼろよ、お主が夢見た未来。決して壊させはせぬ!」
かつて自分を打ち破った者が使っていた刀を握りしめ、竜之介は殺し合いの地を再び歩き始めた。

闇に包まれた明けないはずの未来を、切り開き照らす人間達を守るために。

【F-5/中央部川辺/深夜】

【ミカエル@真・女神転生Ⅰ 死亡】

【魔神竜之介@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:カネサダ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1~5、ミカエルの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:未来を切り開く力のある人間を守り、力に溺れ他者を踏みにじる人間を斬る。
[参戦時期]:本編撃破後
[備考]:忍法矢車草を独自に習得


010:奪う者/奪われる者 投下順 012:東の山に……
010:奪う者/奪われる者 時系列順 012:東の山に……
初登場 魔神竜之介 041:楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話
初登場 ミカエル GAME OVER
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