Messiah


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「それ」は、神と呼ばれていた。
遙か高い山の頂上に位置する町の神社に祀られていた。
人々は姿を忘れ、ただ神という存在を崇めていた。
そんな戦神の伝説が色濃く残る町にひとりの少女が現れた。
少女は犬を餌付けて仲間にし、ありとあらゆる錠前をこじ開ける道具を用いて神社へと立ち入った。
力を欲する少女の手により息を吹き込まれたそれは、神主が見守る中荒野へと駆け出して行った。
空を飛ぶ者を制する術を持つその戦車は、少女の手により新たな力を手に入れた。
二度高速な雷撃を放つ能力と、戦車を司る二つの頭脳との組み合わせによる強力な攻撃手段。
正に神の裁きと呼ぶに相応しいその攻撃で、同じく神と呼ばれていた鳥を打ち落とした。
少女の活躍と共に、いつしか「それ」は雷神と呼ばれていた。

もう、どれほど走っただろうか。
この殺し合いに呼ばれ、まさかいきなり死にそうな目にあうとは微塵も考えていなかった。
小さな足を働かせ、迫り来る攻撃を避け続け。
お世辞にも豊富とはいえない体力を振り絞りながら、必死で逃げている。
顔の横を掠めていくのは、兄の操る物とは全く違う雷。
それが母の手によって短く整えられた黒い髪を焦がしていく。
彼女が知る由も無いのだが、この雷は魔力によって生み出されたものではない。
故に、マホカンタで反射と言う手段も通用しない。かといって立ち止まれば鉄の塊の下敷きになってしまう。
イオナズンでも動きを止めることが叶わないと分かった以上、彼女には逃げるという選択肢しか残されていなかった。
これで、鉄の塊の動きが遅ければ逃げることも可能だったのかもしれないが。
雷を打つときは止まっているものの、無尽蔵に撃たれ続ける雷に対して安全な逃げ場など無く。
攻撃の手が止んでも、小さな体を追い詰めんとその外見からは想像できない速度で追い詰めてくる。
「あっ……!」
溜まりきった疲労に打ち勝てず、アスファルトに地を取られて盛大に転んでしまう。
顔と膝をすりむいたことを確認する間もなく雷は襲い掛かってくる。
「うあ、あっ!」
咄嗟の判断で横に転がるも、あらゆる方向に放たれる雷の一つに体を貫かれてしまう。
全身が焼けるように熱く燃え上がり、腕や足が言うことを利かない。
まごついている内に、鉄の塊が目前まで迫ってくる。
「助けて……お父さん、お母さん、お兄ちゃん、みんな!」
零れた大粒の涙が、頬を伝って地面に落ちる。
誰も助けてくれない、こんな場所にそんな人など居ないのだと。
彼女は、ゆっくりと目を瞑った。

彼は神と契約し、メシアとして生まれ変わった。
次に目覚めた時には、この場所にいた。
少女は「神との完全な契約のために、殺せ!」言った。
彼がその言葉を理解するのにはさほど時間はかからなかった。
自分はメシアだ、人類を救済するための存在なのだ。
しかし神は自分に十分な力を与えなかった、神は自分がメシアに相応しい人間かどうかをまだ見極めきっていないと判断したのだ。
言うなれば、この殺し合いは試練だ。
呼び集められた咎人を神の代理者として裁けるか、本当にメシアとして相応しい人間なのかを試しているのだ。
そう理解した彼のその後の行動は驚くほど早かった。
支給された物資の内の一つ、対空戦車に乗り込み操縦を開始した。
咎人に裁きを与えるために、彼は雷神を操る処刑人となった。
「はははは!! どれだけ逃げても無駄ですよ! 大人しく神の裁きを受けなさい!!!」
男は「雷神」の操縦席で高らかに笑い続ける。
彼の目に映っている一人の少女を裁かんと雷を放ち続ける。
車体の操縦は出来ても、兵器の狙いを定める事などズブの素人の彼には到底無理な話だ。
しかし、下手な鉄砲数打ちゃ当たるとは良く言ったものだ。
戦車に搭載されていた二つの頭脳が発射数を爆発的に増やし、三基のレーダーが狙いを定める目を持っていない彼の代わりに狙いを少しずつ修正する。
素人が操っても驚異となる、それが雷神たる所以の一つでもあった。
「ようやく、大人しくなりましたね」
操縦席の画面に泣き顔の少女が写る。
最後の最後で泣き落とさせようとするなど、なんと汚い咎人だと彼は思った。
しかしその咎人を自分の手で裁く事で、神に対する忠誠の証となる。
自分は選ばれしメシアだ、咎を戒め善を勧め人を救う者なのだ。
こんな所で立ち止まっている場合ではないと言い聞かせ、少女の姿を借りた咎人を裁かんと戦車を進めた。
「さあ、懺悔なさい!」

高速回転する螺旋の先端から、無数の雷が一人の少女に伸びる。
地に伏した少女の眼から溢れ出る涙が大地を潤す。
救世主を背負う者の神の裁きが少女の体を貫こうとしたその時。

朱く、紅く燃え上がる一筋の焔が巻き起こった。

雷神と少女の間に割って入るように現れた赤髪の男は、流れるように倒れていた少女の腕を掴んで掬い上げ、素早く麻痺を解くマヒノンを与えた。
「助かりてぇか?」
現状を飲み込めない少女がきょとんとした表情を浮かべているにも関わらず、男は少女の目をまっすぐ見つめて問いかける。
「助かりてぇんじゃねえのか?! アレに勝てないんだろ?!」
鬼気迫る男の表情にまた泣きそうになるが、すばやく顔を上下に振る。
すると男は少女の手にバイクのハンドルを握らせ、自分の道具を少女に持たせてからある装置の電源を入れた。
「死にたくなきゃ離すなよ!」
男の髪の毛のように燃え上がる赤いバイクが急発進する。
突然の加速に小さな体は持っていかれそうになるが、男の言葉のおかげかハンドルからは絶対に手を離さなかった。
「行ったか……おっと!」
赤いバイクが爆速で過ぎ去っていったのを確認してから、男は飛んでくる雷を華麗に避けた。
目の前にある鉄の悪を斬るために、手に握る刀を構えなおし戦車へと向かう。

赤髪の男は記憶を失っていた。
ここはどこなのか? 自分が何者なのか? 自分の名前はいったい何なのか?
ありとあらゆる情報を失っていた。
ただ、彼が覚えていたのは「とてつもない戦いを経験した」ということだけ。
記憶を求めて転移装置に飛び込んではその地を彷徨い、また次の地へと向かう。
戦いの方法や、戦車の動かし方、体で覚えていたことは思い出せても自分のことは一切思い出せなかった。
そうしているうちに、この場に呼ばれて殺し合いを命じられた。
自分が何者なのか、名前すらも思い出せない、そんな自分が生き残るために他人を殺したところでなんの利益もない。
別にこのまま自分が何者なのかわからないまま死ぬのもかまわないとすら思っていた。
ただ、折角だったら。
誰かを助けられるヒーローになるのもいいかもしれない、そう考えて支給されていたバイクを走らせていた。
そう考えてまもなく、黒髪の少女が倒れているのを見つけたのであった。

「オラオラ! どうした! んな攻撃じゃ健康優良不良青年は倒せねえぜ!」
体の奥底で憶えている感覚を頼りに、飄々と男は立ち回る。
レーダーの力があったとしても、所詮は素人の操る戦車。
その動きを読みきって回避することなど、歴戦の兵である彼には朝飯前の話だ。
もちろん、歴戦の兵だったのは彼が記憶を失う前の話なのだが。
「そらっ!」
男の持つ刀は車を斬る為に生まれた業物である。
そこに男の超常的な力が加われば、戦車の分厚い装甲と言えど人の攻撃を受け止めるのは難しい。
一撃が装甲を貫き、一基のレーダーを大破させる。
が、一基のレーダーを破壊しても決定打には至らない。
戦車からは相変わらず、鋭い雷が男の命を奪わんと縦横無尽に飛び交っている。
続けて攻撃するのは無理だと判断し、刀を振るうのを止めて迫っている雷を避ける。
「このまま行ってもジリ貧だぞ……」
あの雷が強力であるのは確か。
素人の射撃である以上、ピンポイントに狙ってくることはない。
しかし今は避け切れているが、全く予測できない方向へ撃ってくる可能性もある。
長期戦になればなるほど縦横無尽に飛んでくる雷の餌食になる確率が上がる。
早く決着をつけないと、勝ち目は薄くなる一方だ。
「……どうなるかわかんねえけど、やるしかねぇ!」
体が覚えている感覚を頼りに突き進む。
再び合間を縫うように雷を避け、戦車へと肉迫していく。
もう一度戦車を射程に捉えたとき、雷の攻め手が止まった。
この機を逃すわけにはいかないと、強く地面を蹴って空へと駆け出す。
そして、体が覚えている場所へと刀を深く突き刺す。
何かに傷が入る音が響き、戦車がわずかに黒煙を吹く。
刀を戦車に突き刺したまま、車体へとスライドさせていく。
大きな一文字を描き斬ろうとしたとき。
法衣の男が戦車からひょっこりと現れていた。

「がッ……!」
次の瞬間、赤髪の男は近くのビルに叩きつけられていた。
法衣の男から放たれた見えない衝撃波により吹き飛ばされていたのだ。
赤髪の男の体にはありとあらゆる戦いの記憶が刻み込まれている。
しかし、記憶を失う前の彼ですら見たことのない事象に対しては流石に反応できない。
それが「魔法」である。
もとより住んでいた世界に魔法など存在せず、それを攻撃手段に使うことなど考える事などありえないことだった。
「神による裁きを拒むとは……仕方がありません、私が直々に裁いてあげましょう」
戦車に突き刺さった刀を引き抜き、魔法を唱えながら男に近づく。
起き上がろうとする赤髪の男を阻むように、衝撃波が襲い掛かる。
未知の攻撃に手も足も出ない赤髪の男の目の前に、法衣の男は悠々と辿り着いた。
「さあ、懺悔なさい」
構えた妙な銃から一発の銃弾が放たれ、赤髪の男の腹部に大きな穴がポッカリと空く。
それだけではない、穴を中心に赤髪の男の体が石になっていくのである。
何が起こっているのか理解しようとする前に、赤髪の男の全身は石になった。
そして法衣の男の刀によって、粉々に砕かれてしまった。

「しかし、この戦車は扱いづらい……ですが、神が私に与えたもうた武器。
 ありがたく使わせていただかねばいけませんね」
赤髪の男を難なく殺した後、悠々と戦車に乗り込んで一人ごちる。
だが、彼の表情は愉悦に満ちていた。
これから、彼の手による「制裁」が始まるのだ。
罪を犯した人々を自らの手で裁き、神に認めてもらう。
そうして「救世主」となることを考えるだけで、じっとしているわけにはいかない。
一刻も早く、多くの罪人を裁くために彼は「雷神」と呼ばれた戦車を走らせた。

【記憶喪失の赤髪の男@MM2R 死亡】

【エリアB-2/市街地→どこかへ/1日目/深夜】
【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
【状態】顔と膝を負傷
【装備】サイファイ@MM2R
【道具】基本支給品、不明支給品(1~3)
【思考】家族に会いたい
【備考】ドッグシステムによりどこに向かっているかはお任せします。

【サイファイ(リュウセイ)@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】ドッグシステムによるステルスモード
【装備】穴1:機銃穴
     穴2:大砲穴
     穴3:SE穴
     穴4:チタンソード
     エンジン:トルネードV
     Cユニット1:サンバカーニバル
     Cユニット2:空冷雷神
【道具】ドッグシステム(放送ごとに一回使用可能、地図上の施設に向かい高速ステルス走行を行う、移動時間は最長二時間ほど)

【エリアB-2/市街地/1日目/深夜】
【ロウヒーロー@真・女神転生】
【状態】健康
【装備】ゲパルト@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生、斬車刀@MM2R
【道具】基本支給品
【思考】基本:神の雷で裁きを与える
【備考】メシアとして転生直後

【ゲパルト(ゲパルトヘクセS)@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】装甲減少(中)、WCユニット
【装備】穴1:ドリルブラストⅡ
     穴2~4:タキオンレーダー
     穴5:大砲穴
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット1:電撃的アミーゴ
     Cユニット2:ダーティーハリー
【道具】なし


003:世紀末救 世/星 主伝説 投下順 005:Hurry Up To Exit
003:世紀末救 世/星 主伝説 時系列順 005:Hurry Up To Exit
初登場 ソラ 032:飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる
初登場 ロウヒーロー 036:Himmlisch Atem
初登場 記憶喪失の赤髪の男 GAME OVER
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