見えない境界線


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南に向かっていた私とアリスが目にしたのは、巨大な三角を象った奇妙な建造物。
アーティストの一端として、どこか芸術的な魅力を感じずには居られない。
支給された地図によるとカテドラルと呼ばれる施設のようだ。
地上の部分だけでも相当な高さと広さを誇るというのに、地下にも地上と匹敵するほどの階層がある。
くまなく探索しようとすれば、半日は下らないであろう広さである。
「ねえ、青おじさん! ここ、すごく広いよ!
 探検しても探検しても、絶対に飽きないね!」
アリスの可愛らしい声が私の耳に届く。
青おじさん、というのは私を指しているらしい。
しっかり「カリョストロ」と名乗ったにもかかわらずなぜその名付けなのか聞いてみる。
すると、彼女の育ての親とも呼べる二人の男がそれぞれ赤、黒のおじさんと呼ばれていたようだ。
それにちなんで、私の衣服から「青おじさん」と呼ぶことにした……らしい。
否定しようにも、なんだかバカらしくなってきたので否定するのはやめた。
「ねえ、青おじさん。ここ、探検してみようよ!」
ふとアリスを見ると、輝きを灯した瞳でこちらを見つめている。
この謎の施設を探索しようと、彼女は提案しているのだ。
こうしている間にも、彼女は体は今にも飛び出してしまいそうである。
同盟の誘いを受けた以上、彼女の願いを無碍にするわけにもいかない。
この場所をあらかじめ探索しておき、地の利を得るということもある。
ここまで複雑怪奇な建物である、地形を把握しておくに越したことはない。
生き残りへ有利に進むためにも、情報は多く所持しておきたい。
「ふむ、そうだな。ここは一手、探索と行くか」
「やったぁ!!」
私の一言を聞いて、アリスは飛び跳ねながら喜ぶ。
表面ではこうして喜んではいるが、内心は私に同盟を持ちかけるほどの策略家だ。
死んだふりが解かれれば、彼女はどんな牙を剥くのだろうか?
罠に填められる前に、本当の姿を見ておきたいが……。
「おじさん、早くしないと置いてっちゃうよ?」
「ん、ああ。すまん」
そこまで考えて、続きを考えるのはやめた。

予想していたとおり、探索は少し骨が折れるモノとなった。
複雑怪奇の構造に加え、トラップは散りばめられ、思い通りに歩くことすらままならなかった。
はじめははしゃいでいたアリスも、だんだんと口数が減り、露骨に疲労を見せた。
だが、疲労に見合った収穫もあった。
この施設には武防具の提供、回復施設など様々な設備が完備されていた。
薄暗い部屋にノートパソコンだけが設置された妙な部屋もあった。
ノートパソコンの画面から推察するに、転移の類を行うプログラムが起動していたようだ。
ただし、それらは無料で利用できるというわけではない。
それぞれの店に点在する霊体も、ノートパソコンに記されていた表記も全て「生きていた証」を求めてくる。
人間の生きていた証、つまり心臓を持ってこいと言うことなのだろう。
人を殺せば、生き残る力が手に入る。
殺戮を謳う者には希望を、殺戮に抗う者には絶望を。
単純かつ分かりやすい仕組みだ。
ここまで用意周到に殺し合いを仕組む存在については謎が深まるが、今はそれを考える時間ではない。
頭の中身を早々に切り替え、探索を続行することにした。
「えー? おじさーん、まだ歩くのぉ?」
「初めの内の元気は、見せ掛けか?
 黙ってジッとしていても、探検と言う物は終わらんのだよ」
「ぶーっ」
アリスと、そんなやり取りをしながら。
何故か乗せられているような気分になったが、何故だろうか。


さらにしばらく歩くうちに一人の男の死体を見つけた。
頭部が何かで押しつぶされたような、しかしハンマーの類で殴ったにしては傷が浅すぎる凹み方をしている。
道中、見かけた黒焦げの死体と何か関係があるのだろうか……?
「ねえ、青おじさん」
ふと、アリスが問いかけて来る。
「この人は、何で動かないの?」
当たり前の質問。
十人の人間のうち、十五人が同じ回答をするくらいの質問。
思わず、二度正しいことを言いたくなるほどだ。
頭を一点、正確に潰されて生き延びていられる人間などいるわけも無いのに。
「それは、彼は死んだふりではなく、本当に死んでいるからだ」
「死んでる?」
予想外の質問だったが、動揺せずに回答をする。
「ふーん」
しばらく考え込むような素振りを見せてから、彼女は衝撃的な一言を放った。
「よくわかんない」
……は?
今、分からないと言ったのか?
人が死んでいるという、概念がわからないというのか?
「それよりアリス疲れちゃった、ちょっと寝るね」
私の思考をよそに、アリスはその場で眠りに入ってしまった。

初対面は見事な死んだふりだと思っていた。
だが、ここまで来ればその認識も改めざるを得ない。
彼女は死という認識を、一切無くしているのだ。
故に彼女は死臭を出していることに気がついていないのではないか?
死というものが何か分からない。
だから、何時もどおりに過ごすことが出来る。
見事な死臭を撒き散らしながら。

予想以上に厄介な存在を、私は抱え込んでしまったのかもしれない。
このかわいい寝顔で、静かに寝息を立てて眠る一人の少女は。
我々人類の想像もつかない人知を超えた存在、死を知らぬ「何か」なのかもしれない。

たった今抉り出した死体の心臓を手に、考える。
今、アリスは寝ている。
この心臓を引き換えれば、殺戮に役立つ武器を得ることも出来るだろう。
カテドラルの最上部近くともなれば、戦闘音が外に鳴り響くことも無い。
仮に絶対的な力で上回られたとすれば、口惜しいが転移装置でどこかに逃げ出せばいい。
先手を確実に取れる今がまさに、彼女を殺す絶好のチャンスと言える。

しかし、同盟を持ちかけて来たということは、しばらくは敵対するつもりは無いということだ。
現にあどけない少女の素行のまま、私と接している。
戦闘の際にどこまで戦えるのかは未知数だが、なんにせよ戦力にはなる。
最悪、戦闘相手の弾除けや交渉材料程度には使えるだろう。
手札として持っておいても、十分に価値を発揮するカードだ。

だが。
もし、来る日が来たら。
同盟が崩壊する、その時が来たら。
その時が、もし今より劣勢な状況であったら。
自分は、この瞬間にアリスを殺さなかったことを後悔するのだろう。

考える。
今、持っている手札全てを組み合わせながら。
何が最善で、何が最悪なのか。
全てのシチュエーションを組み立てていく。

やがて、放送が流れ始めた――――


【F-2/カテドラル7F/1日目/早朝】
【カリョストロ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康、血糊がべっとり、血の気の引いた肌の色
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、血糊、化粧セット、不明支給品(0~1)、オザワの心臓
[思考・状況]
基本:生き残る
第一行動方針:アリスに対し、どうする――――?
第二行動方針:死んだふり作戦への未練
[備考]:アリスの事を常に死んだふりをし続けるアーチストだと考えています。
     が、新たな可能性に気づき始めています。

【アリス@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:睡眠
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
基本:友達100人できるかな~♪
第一行動方針:ZZZzzz....
[備考]:カリョストロの事を既に死んでいる人だと思っています。


038:鏡の中のあの日の私 投下順 040:夜明けの海岸
037:Dragon Hello 時系列順 040:夜明けの海岸
022:デッドマンズインワンダーランド カリョストロ 062:なんということだ……
022:デッドマンズインワンダーランド アリス 062:なんということだ……
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