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「失態だ」 アスラ王はこの殺し合いの場にたどり着いてから、即座にそう呟いた。 神の千年王国、カテドラル。 それを破壊ないし制圧し、混沌による支配の始まりの地とするために送られた軍団。 しかし軍団はその目的を果たすことなく壊滅し、統率していた者達も命を落とした。 たった一人の、少年の手によって。 そして、更なる失態へと続く。 よりによって討つべき「神」とやらにどこかわからぬ場所へ連れてこられ、殺し合えと命じられた。 今、自分の命は他者に握られている。 刃向かえばあの場所の力無き人間と同じ末路を辿るだけ。 かといって、殺し合うと言うことは「神」に従うという事。 討つべき相手の思い通りに動く事など、彼には考えられない。 もし偽りの忠誠を誓い、生き残った自分と「契約」する為に神が出て来たとしても、それを一人で討伐できるほどの力が有るわけでもない。 では、何かしらの形で生き残る道を選ぶか? 一度任務に失敗し、何かしらの手段で蘇った無能を再び使うほど、統率者は馬鹿ではない。 失ったはずの命を取り戻した所で自分の失態が消える訳ではないし、信頼を取り戻すことなど出来るわけもない。 どの面を下げようが、既に失態に失態を上塗りしている自分が生き残る道などない。 そう、自分は既に死んで然るべき命。 この場でどのように振る舞おうが、それは変わらない事実だ。 アスラ王は、かつて支配しようとした神の王国と瓜二つの建物の前で、ただ立ち尽くす事しか出来なかった。 「クズは嫌い」 あの時、彼女はその一言だけ残して自分の前から消えた。 全ては自分の無力さが招いたものだと分かっては居たものの、同じ年頃の少女に見下された現実には耐えられなかった。 あの日から鬼のように力を求め、雑魚を散らしながら賞金首を追い求めていた。 だが、間に合わない。 いつも後少しという所で、あの少女が先に賞金首をかっさらって行く。 「残念でした」とあざ笑うように、常に一歩先にはあの少女が居た。 先を越される度に、更なる力をつけることを彼女は誓った。 だが、ついに彼女は少女に追いつく事は出来なかった。 彼女が力をつけながら奔走している間に、少女が自分の敵を取ってしまったからだ。 完全な敗北、己の無力さが招いた結末だった。 彼女は誓った。 いつか、あの少女を上回る力を手に入れると。 そのためには、泥水や他人の血を啜ってでも生き残ると。 神だろうが何だろうが構わない。 人を殺さないと生き残れないというのなら、人を殺して生き残る。 それがまた自分の血となり肉となり、力となる。 それだけの、こと。 始まりは一陣の風。 忍のような脚捌きでアスラ王に接近し、その首を刈り取らんと呪われた楽器が振り抜かれる。 だがアスラ王はしっかりと襲撃者の姿を捉え、その太刀筋を逸らしながら腹部に一撃を叩き込む。 ぼんやり立ち尽くしていたというのに、とっさに接近を察知し、迎撃をこなすことが出来たのは流石高位の魔族といった所か。 重い一撃を食らいながらも襲撃者は体勢を崩すこと無く着地する。 「人間よ、なぜ戦う」 アスラ王は襲撃者に突然問い掛けた。 殺し合いのこの地で、なぜそんな事を聞こうと思ったのかはわからない。 襲撃者の足が止まり、じっと前を睨みつけた。 「ここはそういう場所、いやここじゃなかったとしてもそう。  戦わなければ生き残れないし、弱者はただ朽ちるだけ。  私は朽ちずに生き残りたい、新たな力を身につけたい、だからこの場で何をしてでも生き残る!」 アスラ王の問いは襲撃者の少女の心の何かを紐解いたようだった。 流れ出すように少女の口から言葉が溢れる。 「生きたい、あたしは生きたい。でも今のあたしじゃ弱くて生き残れない。  弱くちゃ敵討ちも何もできない、生きることすら許されない。  だから、だから生き残るために私は力が欲しい! その為なら私は悪魔にでもなる! 神だろうが何だろうが利用する!  生きて、生き続けて私が世界の頂点に立つんだ!」 一息に言い切った少女の眼には涙が浮かび、肩で呼吸する程に息は上がっている。 その姿をまじまじと舐め回すように見つめた後、アスラ王は小さく呟いた。 「力が、欲しいか」 先ほどより、重く響く声でアスラ王は少女に問う。 「力が、他を圧倒する力が欲しいか!?」 声を荒げながら、アスラ王は問いかけ続ける。 「欲しい! どんな力でも良い。あたしは、あたしは力が欲しい!」 襲撃者はアスラ王に負けぬ勢いで、答えを返した。 その様子を見て、アスラ王は微笑みながら手招きした。 「欲しければくれてやる、ついてこい」 神の千年王国、カテドラル。 かつて支配しようとしたその建物の入り口に、アスラ王と少女は居る。 「私もかつて、貴様のような人間に出会った事がある」 アスラ王は少女を導きながら、一人語り始める。 「奴も全てを掌握する力を欲し、その力のために身を捧げた」 過去を振り返り、どこか遠くを見つめる目でただただ語り続けていた。 「だが奴も私も、私の軍隊すらも全員が敗れた。一人の少年が持っていた、人間の未来を求める力にな」 アスラ王の声色が少しだけ荒くなった。 怒りにふるえている、というより怯えていると言うのが近かった。 「私は課せられた任務を失敗した。どういう訳かこの場に蘇ったが、課せられた任務を失敗した私が今更どう足掻こうが私は生きる事など出来ぬ」 しばらく黙ってついていくと、何やら怪しげな施設にたどり着いた。 アスラ王が「予想通りだな」と小さく呟いた。 「……邪法の中の禁忌、人体合体を知っているか」 ふとそこで、アスラ王が話題を変換させる。 少女は首を素早く横に振った。 「人間に魔の力を宿す禁忌だ。大抵の人間は魔の力に抗えず、悪魔として生まれ変わってしまう」 ゆっくりと言葉を紡いでいたアスラ王は、そこで素早く少女へと向き直った。 「だが、強い意志があれば。人間として姿を保ちながら悪魔の力を使役することができる」 アスラ王は少女にずいっと近寄り、その瞳を見つめる。 「私と共に刃となり世界を変えようとした者が見せた力への姿勢。  私をかつて打ち破った者の未来を求める眼差し。  それだ、それこそが人間の持つ世界を破壊する力!  人間にしか持ち得ない変革の力だ!」 大きく笑いながら語り、少女へと一本の指を指す。 「死に行く者を糧にして生きる、そうだろう?  ならば我が命、そして力を貴様に託そう。  私の力を、その身に宿してみせろ。  もし、貴様の意志が弱く飲み込まれればそれだけのこと。  我が力を扱う事が出来れば、人ならざる力として貴様の糧になるだろう。  貴様の意志があれば、世界も、運命も、神をも打ち破れるだろう!  もしその力、それすらもいらぬというなら、私を斬り伏せていけ!」 他を圧倒する覇気を纏いながら、アスラ王は再び少女に問いかける。 「もう一度問うぞ。我が力を、その身に宿す覚悟はあるか?」 一般人なら圧倒されて気絶してしまいそうな空気が重く圧し掛かる。 それでも、少女は臆する事無くアスラ王を睨み続けた。 唾を飲み込み、ゆっくりと口を開いた。 「その力、あたしの物にしてみせる」 アスラ王が、もう一度笑った。 邪教の館、悪魔を合体させて新たな悪魔を生み出す装置を扱う場。 装置自体は珍しい物ではないが、その扱いに関しては心得のある者にしかできない。 幸いこの場にはその心得のあるアストラル体のような者がいたため、様々な手間を省くことができた。 アストラル体の話によれば、あの少年のように悪魔を操れる装置がこの場に何台かはあるらしい。 持っていない自分達には関係ない話だが、あらたな悪魔を生み出すにはここ、カテドラルを訪れねばならないということだ。 ついでに少女に悪魔の存在、そして悪魔合体の概要を説明した後に、アストラル体へと本題を切り出した。 「私とあの娘で、人体合体を行ってくれ」 アストラル体は、少しノイズを発しながらも素早く応えた。 「承知しマシた、でハコチらへドウぞ」 アストラル体に導かれるまま、悪魔合体の装置へと導かれる。 「待て」 そそくさと装置へ入ろうとする少女を、アスラ王は呼び止める。 「最後に名を聞かせろ。この私を魅了するほどの力の追求者の名を」 自らの力を扱い、世を変えていく人物。 アスラ王はその名を問いかけた。 「ミシカ、ミシカよ」 そう言い捨てると、ミシカは駆け込むように装置に入り込んだ。 「その名、しかと刻んだぞ」 後を追うように、アスラ王も片側の装置へと入って行った。 満ちていく。 空気のように透き通っているようで、血のように濁ってもいる。 サラサラと流れる水のようで、ドロッとしたシロップのような感覚もある。 その「水」が全身を包み込んで行く。 体に入り込まれる感覚。 体が溶かされる感覚。 体を焼かれる感覚。 激痛と快楽と心地よい疲労。 その全てに抗い、その全てを受け入れる。 できないハズの呼吸を繰り返していくうちに、自分がボロボロと朽ちて行くのが見えた。 それでも自分を失わないよう、彼女はひたすら全てに抗い続けた。 二つの空の装置。 その中央に位置する魔法陣に、血と肉と骨が入り混じった柱が立ち上がる。 天すら突き抜けんとする勢いの柱は、やがて魔法陣へと飲み込まれていった。 そこに残っていたのは、ひとりの金髪の少女。 声が、重く響く。 「これが魔の力、知識、記憶。あたしの知らない、知りえなかった力」 たったひとりの空間で、流れるように語り続ける。 「あは、ははは。ハハハハハハハハ!!!  分かる! 全身に染み渡り、押さえても押さえても溢れ出そうとする力が!  これが、これが"生き残る"力!!」 笑う、笑う、笑い続ける。 まるで壊れた玩具のように。 確かな狂気を纏いながら、至って平然と笑い続ける。 「私は絶対に生き残ってみせる、この――――」 息を吸い込む。 ギロリとした目を輝かせながら、この世の全てを震わせる気を纏い。 「マハ・ヴィローシャナの力を持って!」 高々と叫んだ。 【F-1/カテドラル1F・邪教の館/深夜】 【アスラ王@真・女神転生Ⅰ 死亡】 【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】 [状態]:健康 [装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ [道具]:基本支給品*2、不明支給品(1~5、アスラ王の物を含む) [思考・状況] 基本行動方針:生き残る 第一行動方針:力を手に入れる [参戦時期]:仲間になるタイミング以降(仲間にはなっていない) [備考]:アスラ王と合体しました、知識と力を引き継いでいます。詳細は後述の書き手にお任せします。 |013:[[心閉ザセシ鉄棺]]|投下順|015:[[子供達のためのおとぎ話]]| |013:[[心閉ザセシ鉄棺]]|時系列順|015:[[子供達のためのおとぎ話]]| |初登場|アスラ王|&color(red){GAME OVER}| |初登場|ミシカ|:[[天を仰いで]]|
「失態だ」 アスラ王はこの殺し合いの場にたどり着いてから、即座にそう呟いた。 神の千年王国、カテドラル。 それを破壊ないし制圧し、混沌による支配の始まりの地とするために送られた軍団。 しかし軍団はその目的を果たすことなく壊滅し、統率していた者達も命を落とした。 たった一人の、少年の手によって。 そして、更なる失態へと続く。 よりによって討つべき「神」とやらにどこかわからぬ場所へ連れてこられ、殺し合えと命じられた。 今、自分の命は他者に握られている。 刃向かえばあの場所の力無き人間と同じ末路を辿るだけ。 かといって、殺し合うと言うことは「神」に従うという事。 討つべき相手の思い通りに動く事など、彼には考えられない。 もし偽りの忠誠を誓い、生き残った自分と「契約」する為に神が出て来たとしても、それを一人で討伐できるほどの力が有るわけでもない。 では、何かしらの形で生き残る道を選ぶか? 一度任務に失敗し、何かしらの手段で蘇った無能を再び使うほど、統率者は馬鹿ではない。 失ったはずの命を取り戻した所で自分の失態が消える訳ではないし、信頼を取り戻すことなど出来るわけもない。 どの面を下げようが、既に失態に失態を上塗りしている自分が生き残る道などない。 そう、自分は既に死んで然るべき命。 この場でどのように振る舞おうが、それは変わらない事実だ。 アスラ王は、かつて支配しようとした神の王国と瓜二つの建物の前で、ただ立ち尽くす事しか出来なかった。 「クズは嫌い」 あの時、彼女はその一言だけ残して自分の前から消えた。 全ては自分の無力さが招いたものだと分かっては居たものの、同じ年頃の少女に見下された現実には耐えられなかった。 あの日から鬼のように力を求め、雑魚を散らしながら賞金首を追い求めていた。 だが、間に合わない。 いつも後少しという所で、あの少女が先に賞金首をかっさらって行く。 「残念でした」とあざ笑うように、常に一歩先にはあの少女が居た。 先を越される度に、更なる力をつけることを彼女は誓った。 だが、ついに彼女は少女に追いつく事は出来なかった。 彼女が力をつけながら奔走している間に、少女が自分の敵を取ってしまったからだ。 完全な敗北、己の無力さが招いた結末だった。 彼女は誓った。 いつか、あの少女を上回る力を手に入れると。 そのためには、泥水や他人の血を啜ってでも生き残ると。 神だろうが何だろうが構わない。 人を殺さないと生き残れないというのなら、人を殺して生き残る。 それがまた自分の血となり肉となり、力となる。 それだけの、こと。 始まりは一陣の風。 忍のような脚捌きでアスラ王に接近し、その首を刈り取らんと呪われた楽器が振り抜かれる。 だがアスラ王はしっかりと襲撃者の姿を捉え、その太刀筋を逸らしながら腹部に一撃を叩き込む。 ぼんやり立ち尽くしていたというのに、とっさに接近を察知し、迎撃をこなすことが出来たのは流石高位の魔族といった所か。 重い一撃を食らいながらも襲撃者は体勢を崩すこと無く着地する。 「人間よ、なぜ戦う」 アスラ王は襲撃者に突然問い掛けた。 殺し合いのこの地で、なぜそんな事を聞こうと思ったのかはわからない。 襲撃者の足が止まり、じっと前を睨みつけた。 「ここはそういう場所、いやここじゃなかったとしてもそう。  戦わなければ生き残れないし、弱者はただ朽ちるだけ。  私は朽ちずに生き残りたい、新たな力を身につけたい、だからこの場で何をしてでも生き残る!」 アスラ王の問いは襲撃者の少女の心の何かを紐解いたようだった。 流れ出すように少女の口から言葉が溢れる。 「生きたい、あたしは生きたい。でも今のあたしじゃ弱くて生き残れない。  弱くちゃ敵討ちも何もできない、生きることすら許されない。  だから、だから生き残るために私は力が欲しい! その為なら私は悪魔にでもなる! 神だろうが何だろうが利用する!  生きて、生き続けて私が世界の頂点に立つんだ!」 一息に言い切った少女の眼には涙が浮かび、肩で呼吸する程に息は上がっている。 その姿をまじまじと舐め回すように見つめた後、アスラ王は小さく呟いた。 「力が、欲しいか」 先ほどより、重く響く声でアスラ王は少女に問う。 「力が、他を圧倒する力が欲しいか!?」 声を荒げながら、アスラ王は問いかけ続ける。 「欲しい! どんな力でも良い。あたしは、あたしは力が欲しい!」 襲撃者はアスラ王に負けぬ勢いで、答えを返した。 その様子を見て、アスラ王は微笑みながら手招きした。 「欲しければくれてやる、ついてこい」 神の千年王国、カテドラル。 かつて支配しようとしたその建物の入り口に、アスラ王と少女は居る。 「私もかつて、貴様のような人間に出会った事がある」 アスラ王は少女を導きながら、一人語り始める。 「奴も全てを掌握する力を欲し、その力のために身を捧げた」 過去を振り返り、どこか遠くを見つめる目でただただ語り続けていた。 「だが奴も私も、私の軍隊すらも全員が敗れた。一人の少年が持っていた、人間の未来を求める力にな」 アスラ王の声色が少しだけ荒くなった。 怒りにふるえている、というより怯えていると言うのが近かった。 「私は課せられた任務を失敗した。どういう訳かこの場に蘇ったが、課せられた任務を失敗した私が今更どう足掻こうが私は生きる事など出来ぬ」 しばらく黙ってついていくと、何やら怪しげな施設にたどり着いた。 アスラ王が「予想通りだな」と小さく呟いた。 「……邪法の中の禁忌、人体合体を知っているか」 ふとそこで、アスラ王が話題を変換させる。 少女は首を素早く横に振った。 「人間に魔の力を宿す禁忌だ。大抵の人間は魔の力に抗えず、悪魔として生まれ変わってしまう」 ゆっくりと言葉を紡いでいたアスラ王は、そこで素早く少女へと向き直った。 「だが、強い意志があれば。人間として姿を保ちながら悪魔の力を使役することができる」 アスラ王は少女にずいっと近寄り、その瞳を見つめる。 「私と共に刃となり世界を変えようとした者が見せた力への姿勢。  私をかつて打ち破った者の未来を求める眼差し。  それだ、それこそが人間の持つ世界を破壊する力!  人間にしか持ち得ない変革の力だ!」 大きく笑いながら語り、少女へと一本の指を指す。 「死に行く者を糧にして生きる、そうだろう?  ならば我が命、そして力を貴様に託そう。  私の力を、その身に宿してみせろ。  もし、貴様の意志が弱く飲み込まれればそれだけのこと。  我が力を扱う事が出来れば、人ならざる力として貴様の糧になるだろう。  貴様の意志があれば、世界も、運命も、神をも打ち破れるだろう!  もしその力、それすらもいらぬというなら、私を斬り伏せていけ!」 他を圧倒する覇気を纏いながら、アスラ王は再び少女に問いかける。 「もう一度問うぞ。我が力を、その身に宿す覚悟はあるか?」 一般人なら圧倒されて気絶してしまいそうな空気が重く圧し掛かる。 それでも、少女は臆する事無くアスラ王を睨み続けた。 唾を飲み込み、ゆっくりと口を開いた。 「その力、あたしの物にしてみせる」 アスラ王が、もう一度笑った。 邪教の館、悪魔を合体させて新たな悪魔を生み出す装置を扱う場。 装置自体は珍しい物ではないが、その扱いに関しては心得のある者にしかできない。 幸いこの場にはその心得のあるアストラル体のような者がいたため、様々な手間を省くことができた。 アストラル体の話によれば、あの少年のように悪魔を操れる装置がこの場に何台かはあるらしい。 持っていない自分達には関係ない話だが、あらたな悪魔を生み出すにはここ、カテドラルを訪れねばならないということだ。 ついでに少女に悪魔の存在、そして悪魔合体の概要を説明した後に、アストラル体へと本題を切り出した。 「私とあの娘で、人体合体を行ってくれ」 アストラル体は、少しノイズを発しながらも素早く応えた。 「承知しマシた、でハコチらへドウぞ」 アストラル体に導かれるまま、悪魔合体の装置へと導かれる。 「待て」 そそくさと装置へ入ろうとする少女を、アスラ王は呼び止める。 「最後に名を聞かせろ。この私を魅了するほどの力の追求者の名を」 自らの力を扱い、世を変えていく人物。 アスラ王はその名を問いかけた。 「ミシカ、ミシカよ」 そう言い捨てると、ミシカは駆け込むように装置に入り込んだ。 「その名、しかと刻んだぞ」 後を追うように、アスラ王も片側の装置へと入って行った。 満ちていく。 空気のように透き通っているようで、血のように濁ってもいる。 サラサラと流れる水のようで、ドロッとしたシロップのような感覚もある。 その「水」が全身を包み込んで行く。 体に入り込まれる感覚。 体が溶かされる感覚。 体を焼かれる感覚。 激痛と快楽と心地よい疲労。 その全てに抗い、その全てを受け入れる。 できないハズの呼吸を繰り返していくうちに、自分がボロボロと朽ちて行くのが見えた。 それでも自分を失わないよう、彼女はひたすら全てに抗い続けた。 二つの空の装置。 その中央に位置する魔法陣に、血と肉と骨が入り混じった柱が立ち上がる。 天すら突き抜けんとする勢いの柱は、やがて魔法陣へと飲み込まれていった。 そこに残っていたのは、ひとりの金髪の少女。 声が、重く響く。 「これが魔の力、知識、記憶。あたしの知らない、知りえなかった力」 たったひとりの空間で、流れるように語り続ける。 「あは、ははは。ハハハハハハハハ!!!  分かる! 全身に染み渡り、押さえても押さえても溢れ出そうとする力が!  これが、これが"生き残る"力!!」 笑う、笑う、笑い続ける。 まるで壊れた玩具のように。 確かな狂気を纏いながら、至って平然と笑い続ける。 「私は絶対に生き残ってみせる、この――――」 息を吸い込む。 ギロリとした目を輝かせながら、この世の全てを震わせる気を纏い。 「マハ・ヴィローシャナの力を持って!」 高々と叫んだ。 【F-1/カテドラル1F・邪教の館/深夜】 【アスラ王@真・女神転生Ⅰ 死亡】 【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】 [状態]:健康 [装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ [道具]:基本支給品*2、不明支給品(1~5、アスラ王の物を含む) [思考・状況] 基本行動方針:生き残る 第一行動方針:力を手に入れる [参戦時期]:仲間になるタイミング以降(仲間にはなっていない) [備考]:アスラ王と合体しました、知識と力を引き継いでいます。詳細は後述の書き手にお任せします。 |013:[[心閉ザセシ鉄棺]]|投下順|015:[[子供達のためのおとぎ話]]| |013:[[心閉ザセシ鉄棺]]|時系列順|015:[[子供達のためのおとぎ話]]| |初登場|アスラ王|&color(red){GAME OVER}| |初登場|ミシカ|025:[[天を仰いで]]|

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