なんとも醜い復讐劇の序章

「なんとも醜い復讐劇の序章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

なんとも醜い復讐劇の序章」(2013/09/27 (金) 22:42:33) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

裂く、吐く、暴れる。 理性の欠片すらも感じられないほどに、巨竜は一人の男に向けて怒り狂う。 両の爪は男の杖に止められ、木々をも燃やす炎は男の呪文に止められ、剥き出しの牙と大振りの尾は当たることはない。 だが、男とて余裕でそれをいなしているわけではない。 攻撃に続く攻撃の猛攻を、ギリギリのラインで避けているだけだ。 大きな隙が生まれる、たった一瞬を心待ちにするために。 ゲマは彼女を"殺してはいけない"。 生け捕りにし、リュカへ見せ付ける必要があるから。 リュカを超えなければ二度目の生など、何の意味もないのだから。 「ほいっ!」 わずかな隙を突き、ゲマがドラゴンの杖を巨竜へと突き出して行く。 洗練された一撃は、確実に巨竜の喉を捕らえる、が。 「ぐっ……!」 巨竜は、そんなことでは怯まない。 お構い無しに鋭い爪をゲマへと振りかざして行く。 身体を捻ることで辛うじて回避には成功するものの、脇腹に深々と突き刺さった爪がゲマの体液を溢れ出させて行く。 「く、ふふ、そうですか、リュカ! やはり貴方は素晴らしい!!」 だが、ゲマも退く事は無い。 その顔に笑みすらをも浮かべながら、右手を巨竜へと翳して行く。 ぼうっ、と軽い音を立てながら、巨大な火球が巨竜の顔を包む。 魔術師の本懐、練り上げられた魔力が巨竜を焦がして行く。 痛みを押しながら、その隙にゲマは大きく飛び退いていく。 「どうやら、生半可な手段では退いてくれないようですね」 やはり付け焼刃では対抗するのは難しいか。 自分の中で洗練されきった型が出来たところで、今までの"戦闘経験"を埋める事は出来ない。 最も、こんな年端も行かない少女がそんな戦闘経験を持っていることすらおかしいのだが。 脳裏に描かれる、彼らの凄惨な日々を思い浮かべ、ゲマは笑う。 届かない、届かないのだ。 付け焼刃を増やそうが、どれだけ魔術を洗練しようが。 復讐のという凶刃には、勝つことなど出来ない。 だから。 「ならば私も、同じ土俵に立つとしましょう!」 無理やりにでも、同じ場所へと移る。 リュカの持っていたこの杖の力を使い、自分の身も異形へと変化させていく。 異形になることを問うている場合ではない。 躊躇いや戸惑いを見せれば、また自分はこの少女に敗北する。 リュカを超えるためには、何もかもを置き去りにし、捨て去らなければいけない。 いや、捨て去ると言うのは違うか。 リュカを超える、そのために必要なものを集め、いらないものを投げる。 それだけの、こと。 そして、巨竜の前にもう一匹の巨竜が現れた。 互いに吐き出す炎が森を包み、取っ組み合うように爪は互いの身体を傷つけて行く。 なりふりなど、かまっているわけがない。 爪が肉を咲き、炎が肉を焦がし、目は相手だけを見据えて。 異常と正常という概念では語れない戦いを、繰り広げて行く。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 戦いであり、戦いと形容するには相応しくないそれが、続いて行く。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 何時までも、いつまでも、続きそうだったそれは。 肉が潰れる音で、終わりを告げた。 そこに居たのは二匹の巨竜だった。 大地を焼き、互いを裂き、空気を振るわせる。 二匹の竜が、戦い合っていた。 男は、悩まなかった。 ちくりと首筋に何かが走った瞬間、自分の身体の痛みすらをも忘れて飛びかかっていた。 「……死者の名を読み上げる」 どこからともなく声が聞こえるが、聞こえない。 「――オザワ」 そんな事はどうでも良い。 「――アリシア」 そんな名前はどうでも良い。 「――記憶喪失の赤髪の男」 どうでもいい事ばかりが響いている。 「――ミカエル」 だから、聞こえない。 「――アスラ王」 軋む身体に鞭を打ち、竜へと飛びかかって行く。 「――ガルシア」 丸太のような太い腕が、魔神を冠する金槌を振るって行く。 「――恵魅」 風に煽られる木々のように、竜の身体がしなる。 「――モズグス」 勢いを殺さず、そのまま金槌を振るう。 「――血髑郎」 ぐしゃりと潰れていく、竜たちの身体。 「――ワイアルド」 轟く絶叫すらも、男の耳には入らない。 「――葉隠覚悟」 ただ、金槌を振るうだけ、振るうだけ。 「――キャス――――」 その一言を聞いた後の事は、覚えていない。 もはや、言葉を発する気力すら無い。 もはや、考える余地など残されているわけもない。 もはや、状況を判断することなどできるわけもない。 死者? 禁止エリア? 何も男には届いていない。 届いたところで、それは無意味だからだ。 放送が途切れると同時に振り下ろした一撃の後、それぞれの持っていた荷物を物色する。 手ごろなサイズのマスク、グローブ、ブーツだけを身につけ、杖は一瞥だけして。 肉塊には興味すら持たずに男は北へと歩き出して行った。 死体が、一人の少女と一人の男に変わっていたことなど、気にすることも無く。 &color(red){【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】} &color(red){【ゲマ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】} ※放送中に死亡したため、放送では呼ばれませんでした。 【F-7/東側海岸/1日目/朝(ほぼ放送直後)】 【ガッツ@ベルセルク】 【状態】:気になるか? 気にしていられると言うのか? 【装備】:魔神の金槌@DQ5 漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ、ホークマスク@メタルマックス2:リローデッド      タイガーグローブ@メタルマックス2:リローデッド、ホッパーブーツ@メタルマックス2:リローデッド 【道具】:基本支給品×2、回復カプセル(残り2個)@メタルマックス2:リローデッド、不明支給品0~2(武装の類ではない?) 【思考】 基本:復讐 1:北 【備考】 ※放送など、聞いているわけがない |055:[[第一放送]]|投下順057|:[[汝は人間なりや?]]| |055:[[第一放送]]|時系列順|057:[[汝は人間なりや?]]| |040:[[夜明けの海岸]]|ガッツ|:[[]]| |037:[[Dragon Hello]]|ゲマ|&color(red){GAME OVER}| |037:[[Dragon Hello]]|ソラ|&color(red){GAME OVER}|
裂く、吐く、暴れる。 理性の欠片すらも感じられないほどに、巨竜は一人の男に向けて怒り狂う。 両の爪は男の杖に止められ、木々をも燃やす炎は男の呪文に止められ、剥き出しの牙と大振りの尾は当たることはない。 だが、男とて余裕でそれをいなしているわけではない。 攻撃に続く攻撃の猛攻を、ギリギリのラインで避けているだけだ。 大きな隙が生まれる、たった一瞬を心待ちにするために。 ゲマは彼女を"殺してはいけない"。 生け捕りにし、リュカへ見せ付ける必要があるから。 リュカを超えなければ二度目の生など、何の意味もないのだから。 「ほいっ!」 わずかな隙を突き、ゲマがドラゴンの杖を巨竜へと突き出して行く。 洗練された一撃は、確実に巨竜の喉を捕らえる、が。 「ぐっ……!」 巨竜は、そんなことでは怯まない。 お構い無しに鋭い爪をゲマへと振りかざして行く。 身体を捻ることで辛うじて回避には成功するものの、脇腹に深々と突き刺さった爪がゲマの体液を溢れ出させて行く。 「く、ふふ、そうですか、リュカ! やはり貴方は素晴らしい!!」 だが、ゲマも退く事は無い。 その顔に笑みすらをも浮かべながら、右手を巨竜へと翳して行く。 ぼうっ、と軽い音を立てながら、巨大な火球が巨竜の顔を包む。 魔術師の本懐、練り上げられた魔力が巨竜を焦がして行く。 痛みを押しながら、その隙にゲマは大きく飛び退いていく。 「どうやら、生半可な手段では退いてくれないようですね」 やはり付け焼刃では対抗するのは難しいか。 自分の中で洗練されきった型が出来たところで、今までの"戦闘経験"を埋める事は出来ない。 最も、こんな年端も行かない少女がそんな戦闘経験を持っていることすらおかしいのだが。 脳裏に描かれる、彼らの凄惨な日々を思い浮かべ、ゲマは笑う。 届かない、届かないのだ。 付け焼刃を増やそうが、どれだけ魔術を洗練しようが。 復讐のという凶刃には、勝つことなど出来ない。 だから。 「ならば私も、同じ土俵に立つとしましょう!」 無理やりにでも、同じ場所へと移る。 リュカの持っていたこの杖の力を使い、自分の身も異形へと変化させていく。 異形になることを問うている場合ではない。 躊躇いや戸惑いを見せれば、また自分はこの少女に敗北する。 リュカを超えるためには、何もかもを置き去りにし、捨て去らなければいけない。 いや、捨て去ると言うのは違うか。 リュカを超える、そのために必要なものを集め、いらないものを投げる。 それだけの、こと。 そして、巨竜の前にもう一匹の巨竜が現れた。 互いに吐き出す炎が森を包み、取っ組み合うように爪は互いの身体を傷つけて行く。 なりふりなど、かまっているわけがない。 爪が肉を咲き、炎が肉を焦がし、目は相手だけを見据えて。 異常と正常という概念では語れない戦いを、繰り広げて行く。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 戦いであり、戦いと形容するには相応しくないそれが、続いて行く。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。 何時までも、いつまでも、続きそうだったそれは。 肉が潰れる音で、終わりを告げた。 そこに居たのは二匹の巨竜だった。 大地を焼き、互いを裂き、空気を振るわせる。 二匹の竜が、戦い合っていた。 男は、悩まなかった。 ちくりと首筋に何かが走った瞬間、自分の身体の痛みすらをも忘れて飛びかかっていた。 「……死者の名を読み上げる」 どこからともなく声が聞こえるが、聞こえない。 「――オザワ」 そんな事はどうでも良い。 「――アリシア」 そんな名前はどうでも良い。 「――記憶喪失の赤髪の男」 どうでもいい事ばかりが響いている。 「――ミカエル」 だから、聞こえない。 「――アスラ王」 軋む身体に鞭を打ち、竜へと飛びかかって行く。 「――ガルシア」 丸太のような太い腕が、魔神を冠する金槌を振るって行く。 「――恵魅」 風に煽られる木々のように、竜の身体がしなる。 「――モズグス」 勢いを殺さず、そのまま金槌を振るう。 「――血髑郎」 ぐしゃりと潰れていく、竜たちの身体。 「――ワイアルド」 轟く絶叫すらも、男の耳には入らない。 「――葉隠覚悟」 ただ、金槌を振るうだけ、振るうだけ。 「――キャス――――」 その一言を聞いた後の事は、覚えていない。 もはや、言葉を発する気力すら無い。 もはや、考える余地など残されているわけもない。 もはや、状況を判断することなどできるわけもない。 死者? 禁止エリア? 何も男には届いていない。 届いたところで、それは無意味だからだ。 放送が途切れると同時に振り下ろした一撃の後、それぞれの持っていた荷物を物色する。 手ごろなサイズのマスク、グローブ、ブーツだけを身につけ、杖は一瞥だけして。 肉塊には興味すら持たずに男は北へと歩き出して行った。 死体が、一人の少女と一人の男に変わっていたことなど、気にすることも無く。 &color(red){【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】} &color(red){【ゲマ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】} ※放送中に死亡したため、放送では呼ばれませんでした。 【F-7/東側海岸/1日目/朝(ほぼ放送直後)】 【ガッツ@ベルセルク】 【状態】:気になるか? 気にしていられると言うのか? 【装備】:魔神の金槌@DQ5 漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ、ホークマスク@メタルマックス2:リローデッド      タイガーグローブ@メタルマックス2:リローデッド、ホッパーブーツ@メタルマックス2:リローデッド 【道具】:基本支給品×2、回復カプセル(残り2個)@メタルマックス2:リローデッド、不明支給品0~2(武装の類ではない?) 【思考】 基本:復讐 1:北 【備考】 ※放送など、聞いているわけがない |055:[[第一放送]]|投下順|057:[[汝は人間なりや?]]| |055:[[第一放送]]|時系列順|057:[[汝は人間なりや?]]| |040:[[夜明けの海岸]]|ガッツ|060:[[壊せば、いいんだろ?]]| |037:[[Dragon Hello]]|ゲマ|&color(red){GAME OVER}| |037:[[Dragon Hello]]|ソラ|&color(red){GAME OVER}|

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。