「楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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空とは一種の異界である。
手を伸ばせば届くような、少し見上げればその目に映るとても身近な場所。
しかしそこに翼なき生き物が辿り着く事は決してない。
明確な境界は存在しない。ただ空は空であるというだけで常人の立ち入りを禁ずる聖域。
陸に生きるものにとって無縁の場所。
それ故に空は死角となる。
人とは異なる次元に生きる鳥たちの羽ばたきは、そこにあるのだと意識せねば決して視界にすら入らない。
そんなところに存在する未確認飛行少女、気付けたのは彼が優れた武術家であったからだろう。
武術とは敵に当てること避けること受けること、極論すればそれだけを為せればいい。
そのために最も大事なのは対峙する相手はもちろん、その空間を測ること。
樹木ではなく森を見よ。点では無く場を見よ。
なにも無い空(から)の場を見、これから訪れる変化を見、欲する結果を掴むために思考/施行する。
未来視にも似た観察眼と情報処理能力。
空飛ぶ燕さえも落としうる彼が、異界の住民であろうと気付けない道理はない。
真っ直ぐ北へと向かっていた進路をわずかにずらし、ふらふらと飛ぶ相手の視界に割り込むように動く。
魔に属し、神にも届かんという剣技の主。
その男の名を竜之介という。
大仰に翅が鳴り、風を運ぶ。
鳥にしては大き過ぎ、人の理の外にあり、幻想と呼ぶには生々しい確かな質量を備えて。
地上に降り立つ珍妙な来客に対しても何一つ揺らぐことなく、彼の者は問う。
「問う……なぜ、お前は戦う?」
返るは毒にも薬にもならぬ、無価値な言葉。
「わたしは、ただ飛びたいだけ。誰かと戦いたいなんて思ってないよ。それでお兄ちゃん、お兄ちゃんは……」
もしもう少し先の未来から呼ばれていたのなら事態は変わっていたのだろう。
彼の剣客が血の匂いと殺戮経験を見逃すはずもない。
だけどそれはifでしかなく。
未来を切り開くこともなく、他者を踏みにじる意思も無い。
それだけを確認すると、彼は珍妙な来客に対する興味を失った。
話を続ける価値も見出せず、続く言葉を背に受けながら再度北に進路を向ける。
あの眩しい神鳴りに向かうか、あの魂の叫びに応えるか、未だ定まらずとも北に向かう方針だけは共通している。
少し慌てた口調で最後に浴びせられた言葉にだけは誇らしげに応え、去って行った。
「お兄ちゃんは、どこから来たの?」
◇
それはいまさら過ぎる可能性の提示。
仲間はずれのピーカフに、行けるところなど何処にもなくて。
だから自分で居場所をつくりましょう。そんな願いのこもった力を得た。
だけど何処かに、もしかしたらあったのかもしれない。
ここではないどこか。
妖精たちのいるところ。
いらなくなった希望が今更になって浮かびあがる。
妖精なんて珍しくも無いというように、当たり前のように私をみた人。
ひらひらとした見慣れない服を着た不思議な異邦人。
日々の生活に疲れ諦めて、何か台風のような大きなものが通り過ぎるのを、ひたすらに待つ大人たち。
そんな疲れ切った目ではなく、確かな何かに向かおうとしてるような、素敵な大人。
想像すらしたことがないその姿は、おとぎ話のように輝いて見えて。
彼は言った。
「極東、日の本の、太陽の昇る国」
東の果て、太陽の昇るところ。
そこにならあるんじゃないだろうか?
憧れた場所。ここではないどこか。妖精たちの帰る所。
それは彼女にはもう必要ない場所。
彼女のいるところこそが楽園だ。此処こそがかつて求めたどこか。
おとぎ話を求めた少女は既に何処にもおらず、おとぎ話そのものとなっている。
だけど、見てみたいと思ってしまったから。
東へ向かう。
辿り着けるかはわからない、本当にそこにあるのかもわからない。
途中で飽きて辞めてしまうかもしれないだろう。
ただ、今この瞬間だけは、そこに行きたいと思うのだ。
ほんのわずかな接触、交わした言葉も数少ない、小さな一期一会の話。
【E-5/森林地帯/黎明】
【魔神竜之介@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:カネサダ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1~5、ミカエルの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:未来を切り開く力のある人間を守り、力に溺れ他者を踏みにじる人間を斬る。
1:北へ
[参戦時期]:本編撃破後
[備考]:忍法矢車草を独自に習得
【ロシーヌ@ベルセルク】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考・状況]
基本行動方針: 楽しく自由に生きる
1:東へ
[参戦時期]: 捧げて、変わった直後からの参戦です。
|040:[[夜明けの海岸]]|投下順|042:[[超融合]]|
|038:[[鏡の中のあの日の私]]|時系列順|042:[[超融合]]|
|011:[[明けない夜を行け]]|魔神竜之介|:[[]]|
|015:[[子供達のためのおとぎ話]]|ロシーヌ|:[[]]|
空とは一種の異界である。
手を伸ばせば届くような、少し見上げればその目に映るとても身近な場所。
しかしそこに翼なき生き物が辿り着く事は決してない。
明確な境界は存在しない。ただ空は空であるというだけで常人の立ち入りを禁ずる聖域。
陸に生きるものにとって無縁の場所。
それ故に空は死角となる。
人とは異なる次元に生きる鳥たちの羽ばたきは、そこにあるのだと意識せねば決して視界にすら入らない。
そんなところに存在する未確認飛行少女、気付けたのは彼が優れた武術家であったからだろう。
武術とは敵に当てること避けること受けること、極論すればそれだけを為せればいい。
そのために最も大事なのは対峙する相手はもちろん、その空間を測ること。
樹木ではなく森を見よ。点では無く場を見よ。
なにも無い空(から)の場を見、これから訪れる変化を見、欲する結果を掴むために思考/施行する。
未来視にも似た観察眼と情報処理能力。
空飛ぶ燕さえも落としうる彼が、異界の住民であろうと気付けない道理はない。
真っ直ぐ北へと向かっていた進路をわずかにずらし、ふらふらと飛ぶ相手の視界に割り込むように動く。
魔に属し、神にも届かんという剣技の主。
その男の名を竜之介という。
大仰に翅が鳴り、風を運ぶ。
鳥にしては大き過ぎ、人の理の外にあり、幻想と呼ぶには生々しい確かな質量を備えて。
地上に降り立つ珍妙な来客に対しても何一つ揺らぐことなく、彼の者は問う。
「問う……なぜ、お前は戦う?」
返るは毒にも薬にもならぬ、無価値な言葉。
「わたしは、ただ飛びたいだけ。誰かと戦いたいなんて思ってないよ。それでお兄ちゃん、お兄ちゃんは……」
もしもう少し先の未来から呼ばれていたのなら事態は変わっていたのだろう。
彼の剣客が血の匂いと殺戮経験を見逃すはずもない。
だけどそれはifでしかなく。
未来を切り開くこともなく、他者を踏みにじる意思も無い。
それだけを確認すると、彼は珍妙な来客に対する興味を失った。
話を続ける価値も見出せず、続く言葉を背に受けながら再度北に進路を向ける。
あの眩しい神鳴りに向かうか、あの魂の叫びに応えるか、未だ定まらずとも北に向かう方針だけは共通している。
少し慌てた口調で最後に浴びせられた言葉にだけは誇らしげに応え、去って行った。
「お兄ちゃんは、どこから来たの?」
◇
それはいまさら過ぎる可能性の提示。
仲間はずれのピーカフに、行けるところなど何処にもなくて。
だから自分で居場所をつくりましょう。そんな願いのこもった力を得た。
だけど何処かに、もしかしたらあったのかもしれない。
ここではないどこか。
妖精たちのいるところ。
いらなくなった希望が今更になって浮かびあがる。
妖精なんて珍しくも無いというように、当たり前のように私をみた人。
ひらひらとした見慣れない服を着た不思議な異邦人。
日々の生活に疲れ諦めて、何か台風のような大きなものが通り過ぎるのを、ひたすらに待つ大人たち。
そんな疲れ切った目ではなく、確かな何かに向かおうとしてるような、素敵な大人。
想像すらしたことがないその姿は、おとぎ話のように輝いて見えて。
彼は言った。
「極東、日の本の、太陽の昇る国」
東の果て、太陽の昇るところ。
そこにならあるんじゃないだろうか?
憧れた場所。ここではないどこか。妖精たちの帰る所。
それは彼女にはもう必要ない場所。
彼女のいるところこそが楽園だ。此処こそがかつて求めたどこか。
おとぎ話を求めた少女は既に何処にもおらず、おとぎ話そのものとなっている。
だけど、見てみたいと思ってしまったから。
東へ向かう。
辿り着けるかはわからない、本当にそこにあるのかもわからない。
途中で飽きて辞めてしまうかもしれないだろう。
ただ、今この瞬間だけは、そこに行きたいと思うのだ。
ほんのわずかな接触、交わした言葉も数少ない、小さな一期一会の話。
【E-5/森林地帯/黎明】
【魔神竜之介@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:カネサダ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1~5、ミカエルの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:未来を切り開く力のある人間を守り、力に溺れ他者を踏みにじる人間を斬る。
1:北へ
[参戦時期]:本編撃破後
[備考]:忍法矢車草を独自に習得
【ロシーヌ@ベルセルク】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考・状況]
基本行動方針: 楽しく自由に生きる
1:東へ
[参戦時期]: 捧げて、変わった直後からの参戦です。
|040:[[夜明けの海岸]]|投下順|042:[[超融合]]|
|038:[[鏡の中のあの日の私]]|時系列順|042:[[超融合]]|
|011:[[明けない夜を行け]]|魔神竜之介|057:[[汝は人間なりや?]]|
|015:[[子供達のためのおとぎ話]]|ロシーヌ|:[[]]|