鏡の中のあの日の私

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薄暗くどこか邪悪な雰囲気すら漂う一室。 その中央でノートパソコンが淡い光を放っている。 ノートパソコン自体には、彼女もメモリーセンター等で馴染みがある。 が、そこに表示されている文字は、彼女が触れてきた多くのコンピューターに一度も表示されたことのない文字列だった。 ......Transport Program Set up. ......Ready. ......Please Show Key. 見たことのない文字列に一瞬困惑しながらも、頭にあるアスラ王の記憶を頼りにそれらを解読していく。 どうやらこのノートパソコンは転送装置を代用しているようだ。 その代償として、参加者の心臓を要求しているらしい。 アスラの記憶を頼りにここを探索した際に、立ち寄った店にいた霊体も心臓を求めるようなことを言っていた。 あの合体の施設以外は、利用の対価として人の心臓を求めているようだ。 人を殺すものに力を与え、殺し合いを促進させるようにしているのだろう。 普通の人間なら、この恩恵を大きく受けるだろう。 だが、自分は違う。 アスラ王、マハ・ヴィローシャナの力を手にし、戦闘を経たとはいえ疲労はそこまでもなく、物資も余裕がある。 特にあの施設達の力を借りる必要もない。 「…………気配は無い、な」 意識を集中させ、カテドラル内に生物が居るかどうか探っていく。 全階層察知できるわけではないが、付近に生き物の気配は感じられない。 つまり、この阿呆がカテドラルにいた最後の生命体ということになる。 足りない。 手が、足が、肉が、血が、力が疼く。 これだけ強力な力を持っているのに、こんなところでくすぶっている場合ではないのだ。 もっと闘争を、もっと血と汗を、もっと命の鼓動を、もっと、もっともっともっと。 欲しい。 力と快感を求め、彼女は天使だったものの心臓だったものを抜き出し、ノートパソコンへ翳した。 その瞬間、ノートパソコンから光が溢れだし、彼女の体を包み込んでいった。 東京タワーのようで東京タワーではない不思議な塔の中の一室。 ターミナルを模したかのような部屋に、何時しか辿り着いていた。 ああフツオと旅をしていた時には、何度も何度もお世話になった。 何度経験しても、パソコンからパソコンへ転移するというのは慣れなかったが。 そんなことすらも、もう懐かしい出来事だ。 ふと、思い出す。 先ほどの戦闘はそういえば久方ぶりの"一人"での戦闘だった。 フツオ達と旅をしていたときはもちろん、悪魔と合体し力を手に入れてからも"手下"がいた。 最後の最後にもゆりこが傍にいたし、結果として一人で戦うということはしばらく行っていなかった。 先ほどの戦いの感覚を、より細かく思い出していく。 前衛を突き抜けるフツオもいない。 後衛で銃を撃ちながらサポートするヨシオもいない。 ここにいるのは、魔法を駆使しながら冷静に戦うワルオただ一人。 自分のほかに誰もいない戦いというのは、こんなにも重い戦いだっただろうか。 「馬鹿馬鹿しい……」 思わず、自嘲気味に笑う。 支給されたタバコに覚えた魔法で火をつけ、すうっと煙を吸い込んでいく。 肺に広がる息苦しさが、今自分が生きているということを証明しているようで。 その心地よさが溜まらず、一室の隅で夢中になって吸い続けていた。 息を吸う、肺に煙が溜まる、口から煙を吐き出す。 なんてことはない、何時もどおりの事なのに。 これほどまでに、美味いと感じたタバコも無かった。 どれ、もう一本とタバコの箱を軽く叩いたとき。 部屋の中央に置かれていたノートパソコンが、光を放った。 笑いが止まらなかった。 現れた相手に向けて、そしていつかの自分に向けて。 彼はひたすらに笑い続けた。 突然の訪問者は、当然それを快く思わない。 「何がおかしい」 魔王のような少女の声に動じることなく、彼は笑い続ける。 なぜなら今目の前に現れた少女が、宿しているのはかつて自分を手駒として扱っていた存在だから。 「ザマぁねぇな、アスラ王よぉ」 なぜなら今目の前に現れた少女が、昔の自分と同じ眼をしているから。 「あれだけ驕り高ぶってたあんたが、人間に手を貸すなんてな」 なぜなら今目の前に現れた少女が、望んでいるのは"力"だから。 おかしくて、おかしくてしょうがない。 今、昔の自分を見てもこれほど笑えるのだろうか。 そう思うくらいには、腹の底から笑いが止まらない。 戦いの合図を告げる、一発の炎。 カオスヒーローは、それを難なく切り捨てる。 「はっ、求めた力ってのはその程度か。ベヒモスにでも食わせた方がマシだな」 勿論、これが乱入者の全力だとは思っていない。 軽い挨拶程度の攻撃で全てを判断するほど、彼の思考も甘くは無い。 ただ、分かることが一つある。 "ナメられている"ことは、はっきりと分かる。 伝説の魔楽器、ストラディバリを持った少女が地を駆ける。 力を追い求め、力に狂い、力に溺れる少女が地を駆ける。 いつか、自分に力を与えた存在を宿す少女が地を駆ける。 昔の自分と重なってしょうがない襲撃者に向け、タバコに火をつけてから刀を向ける。 「オレは、自分の足で歩く」 力に溺れることのない、未来を見据えた眼差しと共に。 【B-8/東京タワー・ターミナル/1日目/黎明】 【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】 [状態]:魔力消費・中 [装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE [道具]:基本支給品1式、ちいさなメダル@DQ5、不明支給品0~1 [思考・状況] 基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。 第一行動方針:少女(ミシカ)の殺害 [参戦時期]:本編死亡後 【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】 [状態]:健康 [装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ [道具]:基本支給品*3、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2~9、アスラ王、モズグスの物を含む) [思考・状況] 基本行動方針:生き残る 第一行動方針:殺す 第二行動方針:力を手に入れる [備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。 |037:[[Dragon Hello]]|投下順|039:[[見えない境界線]]| |036:[[Himmlisch Atem]]|時系列順|041:[[楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話]]| |025:[[天を仰いで]]|ミシカ|:[[]]| |003:[[世紀末救 世/星 主伝説]]|カオスヒーロー|:[[]]|
薄暗くどこか邪悪な雰囲気すら漂う一室。 その中央でノートパソコンが淡い光を放っている。 ノートパソコン自体には、彼女もメモリーセンター等で馴染みがある。 が、そこに表示されている文字は、彼女が触れてきた多くのコンピューターに一度も表示されたことのない文字列だった。 ......Transport Program Set up. ......Ready. ......Please Show Key. 見たことのない文字列に一瞬困惑しながらも、頭にあるアスラ王の記憶を頼りにそれらを解読していく。 どうやらこのノートパソコンは転送装置を代用しているようだ。 その代償として、参加者の心臓を要求しているらしい。 アスラの記憶を頼りにここを探索した際に、立ち寄った店にいた霊体も心臓を求めるようなことを言っていた。 あの合体の施設以外は、利用の対価として人の心臓を求めているようだ。 人を殺すものに力を与え、殺し合いを促進させるようにしているのだろう。 普通の人間なら、この恩恵を大きく受けるだろう。 だが、自分は違う。 アスラ王、マハ・ヴィローシャナの力を手にし、戦闘を経たとはいえ疲労はそこまでもなく、物資も余裕がある。 特にあの施設達の力を借りる必要もない。 「…………気配は無い、な」 意識を集中させ、カテドラル内に生物が居るかどうか探っていく。 全階層察知できるわけではないが、付近に生き物の気配は感じられない。 つまり、この阿呆がカテドラルにいた最後の生命体ということになる。 足りない。 手が、足が、肉が、血が、力が疼く。 これだけ強力な力を持っているのに、こんなところでくすぶっている場合ではないのだ。 もっと闘争を、もっと血と汗を、もっと命の鼓動を、もっと、もっともっともっと。 欲しい。 力と快感を求め、彼女は天使だったものの心臓だったものを抜き出し、ノートパソコンへ翳した。 その瞬間、ノートパソコンから光が溢れだし、彼女の体を包み込んでいった。 東京タワーのようで東京タワーではない不思議な塔の中の一室。 ターミナルを模したかのような部屋に、何時しか辿り着いていた。 ああフツオと旅をしていた時には、何度も何度もお世話になった。 何度経験しても、パソコンからパソコンへ転移するというのは慣れなかったが。 そんなことすらも、もう懐かしい出来事だ。 ふと、思い出す。 先ほどの戦闘はそういえば久方ぶりの"一人"での戦闘だった。 フツオ達と旅をしていたときはもちろん、悪魔と合体し力を手に入れてからも"手下"がいた。 最後の最後にもゆりこが傍にいたし、結果として一人で戦うということはしばらく行っていなかった。 先ほどの戦いの感覚を、より細かく思い出していく。 前衛を突き抜けるフツオもいない。 後衛で銃を撃ちながらサポートするヨシオもいない。 ここにいるのは、魔法を駆使しながら冷静に戦うワルオただ一人。 自分のほかに誰もいない戦いというのは、こんなにも重い戦いだっただろうか。 「馬鹿馬鹿しい……」 思わず、自嘲気味に笑う。 支給されたタバコに覚えた魔法で火をつけ、すうっと煙を吸い込んでいく。 肺に広がる息苦しさが、今自分が生きているということを証明しているようで。 その心地よさが溜まらず、一室の隅で夢中になって吸い続けていた。 息を吸う、肺に煙が溜まる、口から煙を吐き出す。 なんてことはない、何時もどおりの事なのに。 これほどまでに、美味いと感じたタバコも無かった。 どれ、もう一本とタバコの箱を軽く叩いたとき。 部屋の中央に置かれていたノートパソコンが、光を放った。 笑いが止まらなかった。 現れた相手に向けて、そしていつかの自分に向けて。 彼はひたすらに笑い続けた。 突然の訪問者は、当然それを快く思わない。 「何がおかしい」 魔王のような少女の声に動じることなく、彼は笑い続ける。 なぜなら今目の前に現れた少女が、宿しているのはかつて自分を手駒として扱っていた存在だから。 「ザマぁねぇな、アスラ王よぉ」 なぜなら今目の前に現れた少女が、昔の自分と同じ眼をしているから。 「あれだけ驕り高ぶってたあんたが、人間に手を貸すなんてな」 なぜなら今目の前に現れた少女が、望んでいるのは"力"だから。 おかしくて、おかしくてしょうがない。 今、昔の自分を見てもこれほど笑えるのだろうか。 そう思うくらいには、腹の底から笑いが止まらない。 戦いの合図を告げる、一発の炎。 カオスヒーローは、それを難なく切り捨てる。 「はっ、求めた力ってのはその程度か。ベヒモスにでも食わせた方がマシだな」 勿論、これが乱入者の全力だとは思っていない。 軽い挨拶程度の攻撃で全てを判断するほど、彼の思考も甘くは無い。 ただ、分かることが一つある。 "ナメられている"ことは、はっきりと分かる。 伝説の魔楽器、ストラディバリを持った少女が地を駆ける。 力を追い求め、力に狂い、力に溺れる少女が地を駆ける。 いつか、自分に力を与えた存在を宿す少女が地を駆ける。 昔の自分と重なってしょうがない襲撃者に向け、タバコに火をつけてから刀を向ける。 「オレは、自分の足で歩く」 力に溺れることのない、未来を見据えた眼差しと共に。 【B-8/東京タワー・ターミナル/1日目/黎明】 【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】 [状態]:魔力消費・中 [装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE [道具]:基本支給品1式、ちいさなメダル@DQ5、不明支給品0~1 [思考・状況] 基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。 第一行動方針:少女(ミシカ)の殺害 [参戦時期]:本編死亡後 【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】 [状態]:健康 [装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ [道具]:基本支給品*3、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2~9、アスラ王、モズグスの物を含む) [思考・状況] 基本行動方針:生き残る 第一行動方針:殺す 第二行動方針:力を手に入れる [備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。 |037:[[Dragon Hello]]|投下順|039:[[見えない境界線]]| |036:[[Himmlisch Atem]]|時系列順|041:[[楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話]]| |025:[[天を仰いで]]|ミシカ|:[[heat beat]]| |003:[[世紀末救 世/星 主伝説]]|カオスヒーロー|:[[heat beat]]|

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