金の掛かった首は重い

炎、炎、炎、一面に広がる赤い炎。
その中に佇む一人の男と一人の男。
片や白い肌に青いスーツ、片手に炎の爪を携えた男。
片や赤い髪少し黒い肌、まっすぐと前を見つめている瞳の男。
両者が両者ともに互いを推し量り、試している。
目の前の敵は一筋縄では行かないと、直感がそう告げている。
ごくり、と大きな音を響かせ、唾を飲み込む。
互いに自分が得意とする武器は持っていない。
だが、ある程度戦うことが出来る武器を互いに持っている。
それだけでどこまで行けるかは、未知数。
故に両者は二の足を踏んだままでいる。
下手に攻めて、返り討ちに合うことだけは避けたいからだ。
ヒュウウ、と風が吹く。
カッ、と両者が目を見開くと同時に、男は爪を構え、相対する男は瞬時に掻き消えた。
白い肌の男が引き裂いた空間から、炎が溢れ出る。
それを拳の風圧だけでもみ消していくが、攻めの一手にはなり得ない。
慣れない体で放つ体術には、やはりキレがない。
しかし赤髪の男は、いや、その中の"葉隠覚悟"は、しっかりと感じ取っていた。
今の自分の肉体にある、秘められた可能性に。
それを扱いこなせるかどうかは自分自身だが、恐らくは零に匹敵するほどの力がある。
もう一人の自分と会話をしながら、その力を扱おうと試みていく。
「がーががががーっ!! 燃え尽きろォーッ!!」
休む間もなく、炎は降り注ぐ。
空間の切れ目という切れ目から、あふれ出す。
それをなんとかかわしながらも、覚悟は力の融合を試みる。
炎を避けて、避けて、避け続けて。
繰り返し続く逃走劇、未だに力の融合は起こらない。
幾度となく男から距離を離し続けていた、その時だった。
「ちょこまかとうっとうしぃわァーっ!!」
男のモヒカンが、弧を描くように飛んでいったのだ。
鋭い刃が、超高速で覚悟の肉体へと迫る。
炎に気を取られすぎた所為で、それを避けるだけの十分な時間はない。
ならば、真っ正面から受け止めるのみ!
「因果!」
零式防衛術の構えを高速で繰り出し、飛来する刃へとぶつけていく。
だが、やはり不慣れな肉体では本来の力を発揮するには至らない。
勢いを殺しきれず、それどころかカウンターを貰う形になってしまった。
首筋の近くに、深々とモヒカンが刺さる。
そこで勢いを殺し切れれば良かったのだが、それも叶わない。
肉体の一部分を大きくえぐり取って、モヒカンはそのまま白い肌の男の元へと戻っていった。
「ががががーっ!! ムシケラがこの俺様に勝てると思ったか!!」
止めをささんと覚悟の元に男がやってくる。
傷が深いせいか、今も止めどなく血が流れている所為か、思ったように力が入らない。
天国で割腹しようと、無力であるならば罪だというのか。
強大な悪に立ち向かう力がなければ、正義はただの弱者でしかないのか。
認めたくない現実が、目の前に突きつけられる。
「ががががーっ!!」
そんなこともつゆ知らず、男の爪が覚悟に襲いかかる。
炎に包まれ、熱に溶かされながら、第二の人生を終える。
なにもかも、意味など無かったと、言わんばかりに。



葉隠覚悟は、二度死ぬ。


.



――――とでも、思っていたのか?

「グゥゥゥゥルォオオオオアアアアアァウウウウ!!」
天を切り裂く咆哮が、大地を揺らす。
それと同時に、テッドブロイラーは何か違和感を感じていた。
無い、無いのだ。
先ほどまで振るっていたはずの、炎の爪をつけた片腕が。
肩口から綺麗さっぱりと、なくなっているのだ。
前を向くと、先ほどまで男が居たはずの場所に、男の死体はなかった。
かわりに居たのは、赤く燃えるような長い髪の。
一匹の、獣。
「グルゥァッ!!」
あわてて残った片手でモヒカンを投げ飛ばすが、獣のの鋭利な爪に弾かれる。
そこでようやく、"追いつめられている"ことを認識したテッドブロイラーは、思考を働かせる。
それとほぼ同時に、獣が膝をつく。
「グ……ソウカ、コレが、チカラ、か!」
そう、獣の中に眠る葉隠覚悟の意志が、この強大な意志を操ろうとしているのだ。
瀕死になったからこそ引き出された、隠されしチカラ。
それが表に出たのならば、あとは押さえ込むだけだ。
「ゼロシキ、ボウエイジュツ……」
まだ体には馴染んでいない、しかし溢れ出るパワーは零に匹敵すると言ってもいい。
多少の不慣れを補うほどの、破壊力がこの体にはある。
だから、覚悟は構える。
袋の中から何かを取り出し、ふたを開けて急いで飲み込んでいる敵に向かって。
「まーんたーんドリ――――「因果!!」――――ンク!!」
それごと全てを吹き飛ばすように、力を放った。
後には、何も残らないほど。

葉隠覚悟は、こうして燃えさかる炎の力を手にし。



「ホーッホォ! たまんねぇなぁ!!」

そして、二度死ぬ。



トレーダー、タケダ・カンリュウ。
だが、同時に彼は賞金稼ぎでもある。
腕っ節に自信がある彼だからこそできた芸当、速射に次ぐ速射で、男の体をボロボロのミンチにしていく。
それも当然だ、超多額の賞金がかかっている賞金首「ブレードトゥース」が目の前にいたのだから。
ブレードトゥースは討伐されていない、という噂はどうやら本当だった。
そして、幸運にも自分の目の前に現れたのだから、躊躇っている暇はない。
戦闘の後なのかなんなのかは分からないが、弱っているのもチャンスだった。
巨大なガトリングを使って蜂の巣にする。
ズガガガガガガッ、と雨のように降り注ぐ銃弾の一発一発が、弱り切った男の体を抉り取っていく。
後には、当然何も残らない。
賞金首を討伐した、たったそれだけである。

【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド 死亡】
【正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ@俺ODIOロワ 死亡】

【C-2/中央部/1日目/朝】
【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:びしょぬれ、下半身はパンツのみ
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*6 、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
     零式鉄球装着砲@覚悟のススメ、斬車刀@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生
     コーラたん@MM2R、炎の爪@DQ5、モヒカッター@MMR2、不明支給品(1~5)
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
第二行動方針:そのためにも、物々交換や拾った物の売買で財を築く
基本行動方針:主催者を倒し金を奪い返す
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。
ベン2を倒したと思っています。
レナ/テッド・ブロイラー/カリョストロに関する幾らかの情報を持っています。
会場上空のG・ガランに気付きました。
このイベントを覆すような”何か”がある可能性を考えています。


062:なんということだ…… 投下順 戦火を交えて
062:なんということだ…… 時系列順 戦火を交えて
053:螺!! 螺螺螺螺螺螺螺螺螺螺旋因果 大復活ッッッ!! 正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ GAME OVER
053:螺!! 螺螺螺螺螺螺螺螺螺螺旋因果 大復活ッッッ!! テッドブロイラー GAME OVER
061:取らぬ狸の皮算用 タケダ・カンリュウ(トレーダー)
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