第一章 おわりのはじまり


どうしようもないこの世界で、それでも僕らは夢をみる…。


大学の研究室に配属されてからというもの今までのモラトリアムが
嘘のように忙しい日々が続いている。いや、今までが暇すぎたのかな。
そんな僕を癒してくれるのが工部室である。ここには気の知れた先輩や後輩が
たくさんいて入れ替わり立ち替わり現われては僕の心を救ってくれる。今では心のよりしろだ。

そんなある日、いつものように工部室で紫蘇さんとコクヨ、儚望、ユニ、八嶋と一緒に
まったりしていると、青菜が入ってきてこう言った。

青菜「飲みましょうよ。昼間から飲めるのは学生の特権でしょ?」

「どんな時も心には愛を、部室には酒を」が青菜の座右の銘である。
もう昼間ではなく夕方なのだが、まぁそこはいいだろう。
一同は青菜の音頭で乾杯をすると、しばらくは他愛のない話で盛り上がった。
しかし、この飲み会がのちに後世に語り継がれる「SSOL (Second Summer Of Love 愛の軌跡)」
の引き金になるとは青菜本人はもちろん誰も知る由もなかった…。


今一番の話題は何といっても一年生の後輩である。八嶋は家が遠いので途中で戦線を離脱して
しまったが工部一年の紅一点、ユニはどうやら今夜は工部室に泊まるらしい。いや、「今夜も」の間違いだ。
ここのところよく彼女は部室に泊まっている。別に勉強が忙しいというわけではないらしいが、
いかんせん家が遠いので、もはや帰るのが面倒のようだ。一年生のうちからこの体たらくでは
この先がいささか心配である。
しかし、こうゆう後輩ほど得てして可愛がられるものである。先輩、特にOBにとって
後輩の評価と接している時間は比例関係にあるといっても過言ではない。
つまり、
     t ∝ expectation

というわけである。まぁそんな話は置いといて、
とにかくユニが残ってくれたのだからユニにとって有益な話をしよう、とゆうことになった。
後輩にとって一番役に立つ話といえば単位や勉強のことについてだが、あいにくここに残った
メンツは学業面に関してお世辞にも優秀とは言えない、いわば負のスペシャリストが揃っている。
勉強に関しての有益な話など逆さにしても出ないのである。
こういうとき便利なのが恋愛の話、いわゆる恋バナである。女の子はこういうのに目がない。
そしてユニも例外ではない。
もちろん我々も興味がある。男子率98%を誇る我が落語研究会の男子隊員の関心は
工部室一番隊新米女性隊員ユニはけっきょくのところ誰に好意を持っているのか?ということしかないのだ。
普段は硬派一筋で通っている我が隊も酒が入るとどうしても本能に抗うことが出来ず、
結局のところ自分の一物に従う他ないのである。

青紫蘇「ユニちゃんは結局のところ落研で誰が好きなの?」

一番の年長者である紫蘇さんがユニに問いただしてみた。
すると、意外な答えが返ってきた…!

ユニ「いろいろあったけど…、今は本山さんです…。」

我々は言葉を疑った。もとやま…?モトヤマ?…誰だ?まさか俺達の
玩具である本山のことか??本山こと田中郁巳(20歳 2009年6月現在)のことなのか!?

そして世界が壊れる音がした…。
これが落研的カタストロフィーの始まりであった。

つづく