第二章 闇のなかの希望(ケータイ)


ユニは…本山が好き!?

工部室に激震が走った。これは喜びの歌なのか悲しみの叫びなのか?


人間は困難にぶつかったとき必ず決まった反応を見せると心理学者 ジークムント・フロイトは
彼の著書の中で述べていた。我々は図らずもその反応の第四段階、「否定」に入っていた。

これはユニのギャグなのだ。ギャグに決まっている。だってそうだろう?まだ彼女は
入会して二ヶ月も経っていない。これはいくらなんでも早すぎる…!

とにかくギャグならギャグらしく本山を電話とメールでからかってやろう、ということになった。
それに元はと言えばこれは本山の責任なのである。
我々の動揺、それによる心身困憊は本山に身をもって償わせてもらおう!という考えに至るのは
自然の節理であろう。
我々はユニのケータイを奪うと本山の電話番号に照準を合わせ、通話ボタンを押した。

本山「……、はい…。」

本山はいかにも眠そうである。いや寝てたのかもしれない。

数理「まぁ聞いてください…。今ユニが好きなのは……、」

素早くケータイをユニに渡すと、

ユニ「…本山さん!!」


ピッ。

我々は大いに満足した。これで奴は二時間は悶々として眠れないだろう。
それを想像するだけで目の前にあるスーパーで買った安い梅酒も二十年物のコニャックに味を変える。
極めつけに本山に「アイラブユー」メールも送ってやった。もうこれで思い残すことはない。


しかし何故か一同、心に引っかかりのようなものがあった。
それに気づいたのは深夜の2時くらいであった。

青紫蘇「もしかして、…ユニほんとに本山のこと好きなの…?」

紫蘇さんが恐る恐る口を開いた。ユニは長く考えた後こう言った。

ユニ「…まぁ……。」


嗚呼、僕たちはなんて馬鹿だったのだろう。本当にユニは本山のことを…。
それを僕たちは本山を取られたくないばっかりに…。。今まで本山は我々のため落研のため
エンターティナーとして必死に頑張ってきたじゃないか!素直に喜べ!彼の門出を!!
そして応援するんだ!僕らで!僕たちの手で!
あ、ちなみにコクヨは眠いから帰った。


そしてみんなの決意が固まった。いや、最初から想いは向かうところひとつしかなかったのだ。





















俺らが告ってやる。














僕は手を伸ばした。ユニの希望という名のケータイを。しかし問題はそこにあった。
つまりみんなの手が重なり合ったのだ。そしてそれぞれの眼が物語っている。「送るのは俺だ」と。

一触即発の雰囲気。こういうときは決まっていた。


もめたらスマブラで!男なら、いや漢なら勝ったやつに従え!!


かくして本山へメール送信権利争奪戦の火ぶたが切って落とされようとしていた。
その様子をユニはただ唖然として見ていた。

ユニ「そのケータイ、あたしのなんすけど。」

つづく