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以下、本文。


その悲劇は、2017年度農工祭2日目のこと。

終演後、学祭2日目恒例の「アノ」行事を執り行うため、落研人たちは口演会場である生協二階第四会議室に集っていた。
OB陣も混じえ、締め切られた空間で儀式は粛々と執り行われる。会議室内は男女問わず下品な笑いに満ちていた。
そんな時、唐突にドアが開いた。
現れたのは51代の拳亭語。
新たなゲストの登場に、皆が口々に歓迎し盛り上がったのも束の間、直後、語の口から何気なく放たれた一言が一気にその場の空気を凍りつかせた。

「どうでもいいけど、これ全部外に聴こえてるよ」

……なお補足だが、締め切られた第四会議室は完璧とは言わずとも殆ど防音状態である。外部には笑い声が漏れ聞こえこそすれ、最も秘匿されるべき部分は余程のことが無い限り聴こえないはずであった。
しかし、我々はそこでとんでもない可能性に思い至ってしまう。

慌てて外へ飛び出す2年生天涯家葉月。
そこで目にしたのは、その年初めて学祭口演に導入され、木戸・音響の仕事を格段に楽にしてくれた画期的な電子機器。マイクに向かって放たれた演者の声を拾い、会場外にも届けてくれる優れもの。


スピーカー


何ということだろう。
終演後、スピーカーの電源を切るのをすっかり忘れていた我々は、あろうことかそれに気付かぬまま、世にも浅ましいド下ネタでひとしきり笑っていたのであった。そして汚物の全ては生協二階に大音量で垂れ流され、廊下全体に響き渡っていたのである。
すぐさま電源を切る葉月。
しかし彼女は気づいてしまったのだ。
すぐ後ろから、自らに刺さる多くの視線に。
恐る恐る振り返ると、そこには、その日、同じく生協二階にあるオリザにて行われていた剣道部同窓会の出席者である、農工大OB・OGらの姿があった。
彼らが皆一様に、異様なもの、汚いものを見るような目で、こちらを凝視していたのである。

彼女は静かに思った。
終わった、と。


……これが、2017年度学祭2日目の悲劇の顛末である。
なお、2018年度学祭でスピーカーが用いられることは遂になかった。