黒遊璃

 城の外には紅規と宗護、それを迎え撃つ桐谷。
 城の中には黒雲に襲われる遊璃、困惑する美玲。

 そして新たにもう1人、この中に入り込んでくる男がいた。



 「やっぱりこんなデッキじゃあ誰も燃やせねェよなァ。ッたく、俺のデッキは一体誰が持ッてんだ?」



 男の名はブレイド=ハーヴェスト、≪真紅眼≫の使い手でもある彼は、誰かを燃やしたくて血がうずいていた。しかし自分の今のデッキは植物族デッキであるため、まともに相手を燃やすことなどできないだろう。

 とりあえず早く自分のデッキを探したい、またエントリーカードをもう1枚手に入れたい。=誰かと決闘して勝ちたいということしか、今の彼の頭の中にはなかったのであった。



 そしてブレイドは城内の中にいた。詳しく言うならば2階の多くの個室のあるエリアであった。

 …………ということは、彼はこれから彼女たちと出会うことになってしまうのだろうか。


 ある個室からは女性の声が聞こえていたのだ。その部屋の前まできたブレイドはその部屋の扉のところで立ち止まり、耳を傾けてみる。すると――





 「………………ん? なんだァ、誰かデュエルしてんのか?」






 ***






 「ど、どうして」


 美玲 LP700→0


 そして1つの決闘に終止符が打たれる。チームを組んだはずだったのに、闘っているのが遊璃と美玲だったなんて誰も想像はつかなかったであろう。一体どうして彼女たちが決闘をすることになってしまったのだろうか。



 「……デッキと、エントリーカード」

 「なんで…………あたしたちはチームを組んだはずじゃない。なんでデュエルしないといけないのよ! ねぇ、遊璃ちゃん!」

 「遊璃? あ、この子の名前だったね。でも私にはどうでもいいんだけどね、ハハハ^^」



 おかしい。目の前にいるのは遊璃のはずなのに遊璃じゃあなくて、なにか別の人物がいるような気がさっきからしている。私はそんな遊璃(?)にデュエルを挑まれて、……そして負けたのだった。

 タイムルーラーのデッキを貸してほしい、その願いは聞いておくべきだったのだろうか。そうすればエントリーカードを失わなくてすんだのかもしれないのに。まだまだ慣れないデッキで挑むのは無謀だったのだろうか。



 「負けは認めるけどさ、もう一度聞かせてほしい。どうして私たちはデュエルしないとならなかったの?」



 すると美玲の前にいた彼女(?)は口を開いた。出会ったころの遊璃とは明らかに目の色も違い、薄気味悪いオーラも見え隠れしていた。





 「この体にやっとなじんできた気がするよ。それにたった今、決闘に勝つことができたから≪タイムルーラー≫も手に入れることができたしね。君には感謝しきれないよ、あっははははは」

 「ッ! あなた本当に遊璃ちゃんなの?」



 美玲の言葉を聞いた遊璃(?)はさらに笑い続けていた。「まだ気がつかないのかな」「もしかして君は頭悪いのかな」などと口々に言う。さすがの美玲も目の前にいる仲間の異変に対して疑問を浮かべた。



 「遊璃ちゃん?」

 「そうだよ。私は遊璃だよ」



 ――もっとも、体はね。

 遊璃はもう黒雲に取り込まれていたのであった。だから外見は美玲や彼女の遊輔が知る遊璃なのだが、中にいるのは黒雲だった。完全に身も心も支配されてしまっており、どう話しかけても遊璃には届かないだろう。


 だから遊璃を助けるには決闘をして勝ち黒雲を追い払うか、それとも――






 「あァ――うん。この2人のうちどっちかに勝てば運営が言うなんたらカードとかいうやつを手に入れることができるってわけだよなァ。おい、俺もお前らのじゃれあいに混ぜてくれよ」



 彼女たちの話を聞き終えたブレイドは扉を思い切り開き、2人の前に姿を現す。そこには突然の登場に驚きを隠せない美玲と、ブレイドがきたことに関してあまり驚いていない様子の遊璃、いや黒遊璃。

 どうやらブレイドはデュエルする気はあるようだった。デッキがない美玲は戦えない。だから、ブレイドと闘うことになるのは黒遊璃となるであろう。










 「ちょうどいいや。≪タイムルーラー≫を使う絶好の機会だし、このデュエル……やろうよ」











 そして2人のデュエルディスクは起動される。あまり好みではない植物デッキを使うブレイドか、黒雲に体を乗っ取られてしまった黒遊璃か、どちらが勝つのかはこの時点ではまだ分からなかった。






 {g-4、城内の2階、3時30分}
 【新谷 遊璃@遊戯王Symphonic】
 [時間軸]本編、大会前夜
 [状態]黒雲に完全に乗っ取られ、黒遊璃に。
 [デッキ]タイムルーラー@ソウル(DA)、サイレント@与 優希(遊戯王ASS)
 [思考・状況]
 1・体も乗っ取ったし、≪タイムルーラー≫も手に入れて満足
 2・私のやりたいことをやってしまう。とりあえず目の前の相手とデュエル
 [備考]
 美玲に勝利しました。
 黒雲に意識を乗っ取られてしまい、現在は黒遊璃となっています。


 {g-4、城内の2階}
 【御堂 美玲@遊戯王soul link】
 [時間軸]本編30話
 [状態]意気消沈
 [デッキ]なし
 [思考・状況]
 1・本当に……遊璃ちゃん?
 2・誰、この人?
 3・こんなときに暁さんはどこへ?
 [備考]
 デッキとエントリーカードを失いました


 {g-4、城内の2階}
 【ブレイド=ハーヴェスト@遊戯王GS】
 [時間軸]遊真と幽真によるデュエル後
 [状態]健康
 [デッキ]植物族@新谷 遊璃(遊戯王Symphonic)
 [思考・状況]
 1・目の前のやつを燃やす
 2・自分のデッキを探す

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最終更新:2012年06月01日 16:55