1192作ろう、リム幕府

 「だーかーら、もう1回言うからよく聞けよ? このルールには“抜け道”があんだよ」



 「「「…………は?」」」



 場面は再び無駄に広い図書館に移る。不老 不死や自身の精霊、≪アース・シンクロン≫のことが気になりつつも、あれから一歩も外に出ていなかった十河 蓮は、この世界で双葉 海堂に続き2,3,4人目の人物と出会うことになった。

 「――なるほどな。君が言う“抜け道”というのには気がつかなかったよ」

 この3人の中では1番頭が良さそうだと蓮が思った男性、ヴァン・アーネストは彼の話、そしてゲーム開始時に確認したルールの内容をもう一度を頭の中で整理する。たしかにその通りかもしれない。それなら無駄な争いをしなくてもすむ。
 しかもここにいるのは丁度4人なのだからその内容をクリアすることができるのだ。当初はどうなることかと思っていたが、これならなんとかなりそうだとアーネストは安心しきっていた。

 「ここにいるのは――」
 「うん、私たち4人で運良くミッションクリア~って感じだね。ほんとっありがとう! 名前知らないけどいい人なんだね!」



 「あ、まぁここには4人いるけどよ」
 「6時までもうちょっとなんだし、今から誰かと出会うこともないと思うしね!」
 「いや…………それはそう……かな」
 「だったら――」

 アーネスト同様に安心しきっている女子が2人いた。その中でさっきからマシンガンのようなトークを蓮に撃ちまくるのはリムである。
 移動の途中で遊戯王のことを基本的なことは教えられたが、それでもこのルールで彼女に決闘をさせるわけにはいかなかった。デッキはサイドラであるからいくらか闘いやすいかもしれないが。

 しかし彼女にはこの4人以上のトークスキルがある。



 「できたら私たちとチームを組んでほしいな……だめ?」



 「……うん、」

 蓮に断る理由などなかった。未だによく分からないこの世界、できれば仲間は多い方がいいかもしれない。特に自分に敵対しようとしないこの3人なら警戒する必要もないはずだ、だから彼らとチームなら組むことになんら問題はない。

 しかしエントリーカードのことに関しては蓮は彼らのためにできることといえば、情報を与えることしかできないのであった。ペアを作ればカードが2枚になり、目的を達成することができる。だから4人いれば2ペア作れて……



 「あー、俺さ、もうエントリーカード2枚……あるんだ」 

 「…………」

 「…………」

 「…………」



 「え、なにその冷たい視線は? ちょっとやめてくれない。これは事故なんだ、だから……俺も海堂も決闘なんてするきはなかったんだ……………………だから見ないでェェェェェ!!」

 ※キャラ崩壊はしていません。蓮はこういうキャラです。

 つまり、蓮がその2枚エントリーカードを持ってしまっているため、3人の中で1人は――

 「まずいよ~このままじゃあ誰か1人が」

 郷もそのことを聞いて安堵から一変、落ち着きを隠せないといった表情になっている。それはリムも同じであり、持ち前のトークスキルが上手く出せないようだった。そして2人は振り向いてアーネストを見る。

 彼女たちが最も信頼しているのはアーネストだ。彼なしでは2人はここに来るまでに脱落している可能性だってある。リムにいたってはルールも分からない状況で決闘しても勝負にもならないであろう。郷も自身の家族である精霊たちがいない状態ではどうなっていたであろうか。

 この状況を任せるられるのはアーネストしかいないと判断した2人はこうして彼の方を振り向いたのであった。



 「(あの蓮とかいう男を倒してエントリーカードを……そんなことをしても同じことか。それに下手をすれば俺のカードまで向こうに渡っちまう)」

 「だからさ、この状況を何とかするにはエントリーカードをを1枚持ってる奴があと1人必要なんじゃねーの? それならここにいる俺たちは全員、仮ハッピーエンドをむかえられるわけなんだしさ」

 「…………それが理想的な流れではあるが、6時まであと40分しかないんだぞ。都合よく誰かが現れるわけ――」











 「だ、だだだ誰か俺を助けて! とにかく今どうなってるのかを俺に教えて」











 都合のいいことに、1人の少年が現れたのだった。






 ***






 「私はリムっていうよ。漢字で書いたら莉夢っていうんだ~ところで君は?」

 「俺は与 優希。気軽に優希ってよんでくれよな!」

 なんと開始から今までパニック状態になりながら彼はここまできたらしいのだ。とりあえず誰か探して頼れよ! ってアーネストは言いたくなったが、この世界で簡単にそんなことはできないと思い、やめた。

 パニック状態であった優希をリムと郷の2人が落ち着かせている最中で、アーネストと蓮は今後のことについて相談しあっていた。

 突如として蓮の元に貸し出していたはずの≪シンクロン≫のデッキが戻ってきたことには2人とも驚いていた様子ではあったのだが。

 「残り時間は10分、とりあえず運営側が言っていたカードを2枚揃えるという条件はクリアできた。それで今後のことなんだが、お前はどんなことを運営側が言ってくるか、予想できるか?」

 「そんなもん知るかよコノヤロー! 俺は神様じゃねーんだしよ、そんなに知りたいんだったらドラゴンボールを7つ揃えて神龍を呼べばいいじゃねーか」

 「(…………)ああそうだよな、じゃないだろ。こっちは真面目なんだ。それにこの中では年上の方である蓮にも協力してもらわないと困るからな。こう見えて俺はお前を頼りにしている、……この世界で生き残り、全員で脱出するためにな」






 「あの……ちょっといいですか?」

 2人の会話に入り込んできたのは、だいぶパニック状態がおさまり落ち着きを取り戻していた優希だった。――どうした? とアーネストが尋ねると、優希は口を開く。

 「実はここに来るまでに、ある家で何人かの人が話しているのが偶然聞こえてしまったんですけど……」

 「? それはどういう内容だったんだい?」

 優しく対応するアーネスト。また優希の近くには郷とリムもいる。一体どうしたんだろうと思い、アーネストは耳を傾ける。優希の話には蓮も興味津々なのか、体を前に傾けているようだった。



 「その人たちは、運営側に対抗するとかなんとかって」






 「おもしろそうだね。私もポケモンを…………っていないか。でもその人たちみたいに対抗するのもありじゃない?」

 「え、でも対抗なんてしたらどうなるか分かったもんじゃないよ」

 「へーきへーき。ここにいる強そうなお兄さんズに守ってもらえばいいじゃん、ね?」

 「ね?じゃねーよ」

 「……だが、それもいいかもしれないな」


 優希の言葉を聞いたリムがすかさず彼らの会話に入り込んでくる。対抗することには彼女は賛成のようだった。面倒なことにはあまり首を突っ込まない蓮は頭を悩ませているようだった。

 しかしアーネストはどうやらリムに賛成しているようだった。郷という女性もこの2人についていくはずだろう。多数決で決まるとしたらたとえ優希が反対に入ったとしても2:3で運営対抗勢力完成が決まってしまう。

 ここでせっかく出来上がってきたチームに亀裂を作るわけにはいかない。ここは蓮も……



 「決まりだね。じゃあ私たちも運営側に対抗しよう!」


 「しゃーねーなー。ま、言いだしっぺなんだからラスボスはリムにやってもらうけどよ」

 「おい、蓮!? 彼女に任せるには荷が重すぎるだろうが。せめてお前が――」



 と言いかけたところで蓮はアーネストの近くによって他の3人に聞こえないぐらいの大きさで。
 その蓮の言葉を聞いたアーネストは納得した様子であった。



 「たしかに。それに君はコミュニケーション能力がこの中で1番上手いからな。ここの大将としになるのは君しかいないよ」







 「私が? ……そんなに言うならやってもいいよ! 皆、しっかり私についてきてよね。それじゃあここに、『リム幕府』を開きまーす! もちろん私が将軍だからね、それでアーネストさんが――」







 リムがハイテンションで幕府を開き、郷と優希も一緒になって笑っている。そんな3人に気づかれないようにアーネストは蓮に近寄って、再び、3人に気づかれないような声量で話していた。

 「まぁ上手くいったみたいだな」

 「そりゃあ上手くいくだろ、あの子は結構単純なところがあるからよ。それにあの子がリーダーなら――」









 「「リーダー=ラスボス、ルールをあまり覚えていないあの子に決闘させないためにはラスボスとになってもらったほうが守りやすいからな」」



 そして、時刻は6:00になった。






 {c-2、6:00}
 【ヴァン・アーネスト@遊戯王PERSONA】
 [時間軸]不明
 [状態]健康・幕府の大老?
 [デッキ]真紅眼(ブレイド@遊戯王GS)
 [思考・状況]
 1・運営からどんな連絡がくるか気になる
 2・全員で脱出することを考える
 3・いざとなったら決闘は自分と蓮、(できたら優希も)で
 [備考]
 リム幕府の大老です(笑


 {c-2}
 【十河 蓮@遊戯王championsipにっ!】
 [時間軸]SHADOW最終決戦の前日
 [状態]健康、幕府の用心棒?
 [デッキ]ダーク(不老 不死@遊戯王championsipにっ!)、シンクロン(滝山 遊大@LIRE遊戯王)
 [思考・状況]
 1・運営からどんな連絡がくるか気になる
 2・海堂がどうなったか心配
 3・……アース、まぁいっか
 [備考]
 リム幕府の用心棒です(笑


 {c-2}
 【リム@黒と白の世界】
 [時間軸]不明
 [状態]ハイテンション、幕府の女将軍
 [デッキ]サイバー(西院柚木@遊戯王GS)
 [思考・状況]
 1・私が幕府の将軍でっす!
 2・お兄さんズ(アーネスト、蓮)が守ってくれるかな?
 [備考]
 リム幕府の女将軍です(笑


 {c-2}
 【桃源 郷@Gray foolishness】
 [時間軸]バトロワ前
 [状態]健康、幕府の大奥にいる人(汗
 [デッキ]宝玉獣(菜崎 莉江@遊戯王―Night school―)
 [思考・状況]
 1・今はこの人たちと一緒にいよう
 2・……運営側に反抗なんてしちゃって大丈夫かな?
 3・紅規君と弥琴君、それから私の家族に会いたい
 [備考]
 白咲 弥琴がイベントに参加していると思い込んでいます
 幕府では大奥にいる感じの人(説明下手でごめんなさい


 {c-2}
 【与 優希@遊戯王ASS】
 [時間軸]VS勢櫻終了後
 [状態]少し落ち着いてきた。幕府の用心棒2?
 [デッキ]氷魔獣(セスナ@遊戯王Xs)
 [思考・状況]
 1・とりあえずここにいよう
 2・早くデッキを探して脱出したい
 [備考]
 幕府の用心棒2です(笑

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年06月01日 16:53