最初の脱落者


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逃げる!
一目散に逃げる!

時の針は深夜1時を回り、漆黒に街灯が浮かび上がる街を、ルートも方向もわからずに。が、目的ははっきりしていた。追っ手を躱す。そのために、それのみのために、ただただ走り回った。ゲームであるがゆえに肉体の疲労はなく、無限に逃走が可能であるがゆえに精神の疲弊は募っていく。吐き気を催す邪悪・不老不死が追跡を断念したと知ったのは、あたりの土地勘をすっかり消失した後だった。

「あーあ。変な奴に目をつけられるし、オーシャンもいないし……今日はツイてない!」
「まったく、女の子の追っかけなら大歓迎だけどな~。ま、オレには汐音がいるからいいか」
「……あんたさ、人を勝手に所有物にするのやめてくれない?」

汐音も風威も、これ以上無駄な会話で精神力を浪費したくはなかった。ただでさえ両者とも心の余裕を大切にしている。実は困難に陥りその余裕が失せてしまった時こそ、真価が試されるのも知らずに。








「お、いたいた。俺は紅赤也。よろしくな。早速で悪いがデュエルしようぜ。友達と約束しててさ、早くログアウトしなきゃいけないんだよ」

「……ちっ、男か」
「男だよ。な、何だ?」
赤也、と名乗った茶髪の男を値踏みするように睨むと、風威は大げさにため息をつく。

「へん! 望むところだぜ! 連れは災難続きで参ってんだ。だからオレが相手してやる。来いよ!」
何を考えたのかそう堂々と啖呵を切った。慌てるのは相方の汐音。
「んな、ちょ、ちょっと勝手に決めな――」
「いいからいいからオレにやらせてくれよ。こういう役回りには慣れてるんだ。脇役がいなきゃ主役は目立たないからな」
汐音を押しのけてデュエルの準備を始める。点数稼ぎにデッキ内容の把握、さらには参加者を一人蹴落とせるなら断るより挑んだほうが万倍効率的だ。ちょうど逃げ回るのも飽き飽きしてきたし、赤也には悪いがうっぷん晴らしの相手を務めてもらおう。



「「デュエル!」」

谷原風威VS紅赤也

「いくぜ! 俺の先攻、ドロー!《幻影の魔術士》を守備表示で召喚しターンエンドだ」

赤也 手札5 LP:4000
場:《幻影の魔術士》DEF 700/なし

「HEROデッキか。相手にとって不足はない! オレのターン、ドロー! 《EM キング・レオン》を召喚!」
「EM!? 初めて聞くモンスターだ。どんな効果なんだ?」
「知るか!」
「はあああああぁぁぁ!? 嘘だろ? お前のデッキじゃないのかよ!」
「さあな。さて、わざわざ攻める意味もない。オレはカードを2枚伏せてターンエンド!」

エクスクラメーションマークなしで会話できないのか? と内心で鋭い突っ込みを入れる汐音。時に、この場にいる誰も知らないことだが、EMはカード効果によって置かれるエナジーカウンターと、《フォルムチェンジ!》やエクシーズを利用した柔軟な戦術が売りのテクニカルなデッキだと明記しておく。《P―風牙の白虎》を筆頭に、モンスターを並べてシンクロに特化した虎デッキの使い手・風威の手には余ってしまう代物である。

風威 手札4 LP:4000
場:《EM キング・レオン》ATK 1500/リバースカード×2

「ドロー! 《融合》を使い、《幻影の魔術士》と手札の《E・HERO クレイマン》を融合する。《E・HERO エスクリダオ》を融合召喚!」

《E・HERO エスクリダオ》ATK 2500→2600

「《E・HERO エスクリダオ》で攻撃だ! 『Dark diffusion』!」
「おっと待ちな! 罠発動、《エナジーコントロール》! 攻撃モンスターを守備表示にする!」
「上等じゃねえか。ターンエンドだ」

赤也 手札4 LP:4000
場:《E・HERO エスクリダオ》ATK 2600/なし

「ドロー。この瞬間、キング・レオンにエナジーカウンターが乗る。エナジーカウンター一つにつき攻撃力500アップだ!」

《EM キング・レオン》ATK 1500→2000

「な~んだ、攻撃力2000か。大した事無いじゃん」
「さらにマジックカード《エナジードライブ》! このカードはEMモンスターに置けるエナジーカウンターの上限を無視して、カウンターを三つ増やす!」
「なっ!」
「バトル! キング・レオンで攻撃!」

赤也 LP:4000→3100

先制攻撃は成功した。そこで風威は新たなカードを選び出し発動する。そのカード名は《フォルムチェンジ!》。《エナジードライブ》の効果を受けたモンスターがエンドフェイズに破壊されてしまう前に行う処置である。これで場ががら空きになるのを防げる。

「手札から速攻魔法《フォルムチェンジ!》! キング・レオンを墓地に送り、この効果で特殊召喚できるモンスターを特殊召喚する! 《フォルムチェンジ!》で出したモンスターは…………!」
「…………ん?」
「…………特殊召喚に成功したターンのエンドフェイズ時に除外され、墓地から《EM キング・レオン》を特殊召喚する、だと!? ちくしょー!」

風威 手札3 LP:4000
場:《EM キング・レオン》ATK 1500/リバースカード

渾身の一手はめちゃくちゃなプレイングであった。効果を把握していないため追撃できるタイミングをみすみす逃し、さらに乗っていたカウンターを全部取り除いたために弱体化してしまった。キング・レオンも心なし精悍な表情を崩しているように見える。

「おいおい、それで終わりかよ。俺のターン、ドロー。《ミラクル・フュージョン》を発動し墓地のエスクリダオとクレイマンを融合する。《E・HERO ガイア》召喚!」
「くっ、キング・レオンのステータスが……」

《E・HERO ガイア》ATK 2200→2950
《EM キング・レオン》ATK 1500→750

「ガイアでキング・レオンに攻撃! 『コンチネンタルハンマー』!」
「うああああ!」

風威 LP:4000→1800

「カードを2枚セットしターンエンド」

赤也 手札2 LP:3100
場:《E・HERO ガイア》ATK 2950→2200/リバースカード×2

「まだだ、ドロー。《エナジーチャージ》発動。手札のEU又はEMと名のつくモンスターを1枚墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。そしてドローしたカードがEU又はEMと名のつくモンスターなら、そのカードをオレの場に特殊召喚する。応えてくれ――――ドロー! よし! 《エナジー・ドラゴン》を特殊召喚!」
「目当てのモンスターを引き当てたのか……なんて強運なんだ」
「《エナジー・ナイト》を通常召喚! 《エナジー・ナイト》が召喚に成功した時、墓地のEU又はエナジーを除外することで、デッキに存在する同名カードを特殊召喚する! 墓地の《EU パレオ》を除外し、2体目の《エナジー・ナイト》だ!」

《エナジーチャージ》発動の折に手札から《EU パレオ》を捨て、《エナジー・ナイト》の効果を発動可能にする。慣れないデッキに戸惑っても卓越したプレイング技術は健在だと見せつける。幸い、相手もまたHEROデッキを「使いこなしている」わけではなさそうだ。赤也がもたついているここで、一気に片を付けなければ。

「この黒枠……そういうことか。レベル3の《エナジー・ドラゴン》と《エナジー・ナイト》2体をオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 《M・EM キング・レオパルド》!」

「何これ、エクシーズ召喚!?」
汐音が驚嘆の声を上げる。水の起源《A・O Lord(アクア・オリジン ロード)-アプサラス》をエースに持つ彼女だからこそわかる、《M・EM キング・レオパルド》の圧倒的な威圧感。『起源解放(セカンドシフト)』の起源に勝るとも劣らない迫力から察するに、かのモンスターもまた精霊の一種なのだろう。敵に回せば恐ろしいが、味方としてこれほど心強いものはない。そう、あくまでも「味方につければ」、の話だが。

《M・EM キング・レオパルド》ATK 1500

《M・EM キング・レオパルド》は風威を認めはしなかった。
あるべきエナジーカウンターは一つも点灯しない。バニラ同然の貧弱な姿を晒している。

「ッ! どうしても力を貸さないつもりか、レオパルド! いや、レオン!」

「相棒の力を信じてやらなかったお前の負けだ! エンド宣言はまだか?」
「ク……好きにしろ」

風威 手札1 LP:1800
場:《M・EM キング・レオパルド》ATK 1500/リバースカード

「俺は相棒が信じてくれって言うなら、相棒の力を信じてやるまでさ。今も、これからも! リバースカード、オープン! 《マスク・チェンジ》! 地属性のHEROガイアを墓地に送り同属性の変身召喚を行う! 《M・HERO ダイアン》!」
「オレが負ける…………なんてな! リバースカードならまだあるぜ! トラップカード《エナジープロテクター》!」
「甘いぜ! 《盗賊の七つ道具》で発動と効果を無効にする!」

赤也 LP:3100→2100
《M・HERO ダイアン》ATK 2800

「さあ、これで終わりだ! 《M・HERO ダイアン》で《M・EM キング・レオパルド》に攻撃! 『ディスバーション』!」
「うあ! だが、まだオレのライフは500残る……!」
「そんな事知ってるさ。《M・HERO ダイアン》にはレベル4以下のHEROをリクルートする効果がある。《E・HERO ザ・ヒート》をデッキから呼ぶぜ!」

《E・HERO ザ・ヒート》ATK 1600→1800

「言ったろ、これで終わりだって。プレイヤーにダイレクトアタック!」

風威 LP:1800→500→0








風威のディスクがライフ0のアラートを鳴らす。無慈悲な電子音が彼の敗北を端的に示していた。敗戦処理としてエントリーカードが消えていく。どれほど悔しがっても足掻いてもこの世界によって定められたルールからは逃れられない。
街灯の影に一縷の涙が落ちていく。半ば自暴自棄でEMデッキを赤也に押し付ける彼を見ても、正しい励ましの言葉が見つからない。今の一戦、デッキパワーもプレイングも風威なりの全力を尽く、相手を凌駕していた。それでも負けてしまったのは、彼が精霊と心を通じ合わせていなかったから。風牙の白虎に対すると同程度の信頼をキング・レオンに寄せていれば、未完成で不完全なHEROに敗れることもなかっただろう。

「く――」

エントリーカードの必要枚数は2枚。少なくとも赤也と一戦交える必要はなさそうだ。が、そんなことは問題ではない。精霊が宿るデッキの「特殊性」を知ってしまった以上、一秒でも早くオーシャンをこの手に取り戻さなければ。霊使いなんて「お荷物」を背負ったまま激戦を勝ち残るのは限りなく不可能に近いと気づいてしまったから。



〔どうしても、ダメかな。汐音は強いよ?〕

「俺がここで諦めるのは簡単だ。だが、無理な相談だ。りさを始め、仲間はここにいる人だけではない。仲間の未来を諦めることはあってはならない。仲間になれば、それを守る義務がある。このバトルロイヤル、どんな苦行があったとしても義務の遂行のために行う。だから――元の主人を倒すために力を貸してくれ、《A・O-コンダクター・オーシャン》」

〔あっそ。あんま気は進まないけど、オッケ、任せて〕

あんたさ。人がこうして困ってる時に、なにやってんだよ。








ふざけんな。






{ e4―1日目 1:15}
【水巻汐音@E・G・O】
[時間軸]不明
[状態] 不死と対面した精神的疲労、錯乱、戸惑い
[デッキ] 憑依装着ビート@桃源郷(Gray foolishness)
[思考、状況]
1、う……目の前にオーシャンがいるけど……
2、風威が負けた!? 放っておくわけにもいかないか
3、やっぱり強い協力者は欲しいかな
[備考]遊大と戦うか、一時撤退するか決めかねています。

{e4―1日目 1:15}
【谷原風威@PERSONA】
[時間軸] NBC直前
[状態] 不死と対面した精神的疲労、敗退による戦意激減
[デッキ] 紅赤也により剥奪
[思考、状況]
1、赤也にリベンジすべく汐音と行動する
2、新たに戦う手段を(協力者かデッキ)見つける
3、この世界から脱出する
[備考] 初戦敗北によりデッキ及びエントリーカードを奪われました。

{e4―1日目 1:15}
【紅赤也@遊戯王スペシャル Spirit】
[時間軸]精霊界に行く前
[状態]安堵
[デッキ]E・HERO@真田夕菜(遊戯王e-Squire) 、エナジーマスター@烏丸 宗護(遊戯王ENERGY)
[思考・状況]
1.取りあえず情報収集
2.自分のデッキがどこにいったか気になる
3.落ち着ける場所で今後の行動を決める
[備考]ミッションを達成しました。達成報酬の有無は後の作者様にお任せします。

{e4―1日目 1:15}
【滝山遊大@LIAR遊戯王SeasonⅣ】
[時間軸]不明
[状態]健康
[デッキ]A・O@水巻汐音(E・G・O)
[思考・状況]
1.汐音を倒す
2.自分のデッキがどこにいったか気になる
3.この世界から脱出する