メイアン

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物陰に飛び込んでからはたしてどれほどの時間が経っただろうか。未だ拭いきれない気配と殺気をひしひしと感じながら、こうして人目を避けて怯えている。笑うなら笑え。一度の敗北ですべてが無に帰してしまうなら、挑まず受けて立たず逃げ隠れするのが賢明な手段だ。命あっての物種というやつである。せめて今、ここにアガスティーアやアクエリアスらコズミックシリーズさえあれば状況を打開できるかもしれないのだが…………。 〔なあ。銀河様よ。ひとついいか?〕 銀髪の精霊、自称・光の魔導を究めし美姫《久遠の魔術師ミラ》は問うた。 「ひとつって言われても……俺で答えられる範囲なら」 〔や、簡単な質問だよ。あんたの元々のデッキってどんな代物だったんだ?〕 「コズミック。正直な話、俺でさえもあのデッキの本質は掴めてないんだよ」 〔アン? 要領を得ねえな〕 「ここだけの話、俺、記憶喪失なんだよね。6年前に森でばったり倒れていたのが見つかったんだ。名前も、年齢も、身元だってわからずじまい。そんな俺の存在を証明できる唯一のものがコズミックデッキだった。お世話になった院長が遊宙銀河と呼んでくれたからね」 〔………………そっか。悪い〕 「謝らないで。われながら壮絶な過去だとは思ってるし」 気丈にも彼は笑っていた。その笑みがやけに痛々しい。6年の月日を経てもなお何ら手がかりを得られなかった点を鑑みるに、その記憶を再び手に入れるには相当な困難が付きまとうに違いない。もしかしたら叶わない無謀な願いなのかもしれない。そう思うと、数時間前は赤の他人であったミラでさえ同情を禁じ得なかった。 そして、感傷に浸る暇さえ、運命を司る神は与えてはくれない。 何を隠そう、彼の者の名は「神を薙払う」意である。 「……鬼ごっこは終わりだ。さあ、俺を満足させてもらおうか」 白髪に朱い眼を持つ少年。その生に深き業を背負う男、神薙遊真は敢然と立っていた。その瞳はまっすぐに銀河を捉え、片時も離すことはない。 「……この人……たぶんなんとか凪様じゃない?」 〔らしいな。――ハン、それだけじゃねえ。ここら辺りにどんどん人が集まってやがる〕 第三者の起こした「結果」の前では、当事者たちの「過程」は無視される。ましてやこの交錯世界――Cyber Connect Duel「特別ステージ」参加者は今まで生きてきた世界が違うのだ。各参加者が思い思いの理念で行動し、しのぎを削る。そんな激戦区の中で、どうしてこの市街地F5区画に7人もの決闘者が集った過程を説明できようか。あえて、現状を端的に表現するのならば「偶然」、または「宿命」の二字こそふさわしい。 すなわち、遊宙銀河と神薙遊真。 互いに利用し、互いを出し抜かんと計画を張り巡らせる、新谷遊輔と織田信凪。 弱さを知り、弱さを体現しているがために必死で足掻く、木下遊吉郎と不老不死。 遊園地の調査を終えて街に足を運んだ、オカルト現象への興味を原動力とする、高槻遊善。 綺羅星のごとき輝きを放つ実力者たちが、それぞれの光に導かれて一堂に会したのである。 「野郎に興味はないんだが……とりあえず場所を移さないか? 情報交換は必要だろ」と、一触即発な空気を回避すべく遊輔は話を切り出した。ここで暴れることの無意味さは瞭然である。生きる世界を同じくする信凪と遊吉郎、本来のデッキを不死に所持されている遊真は頷く。残りのメンバーも流される形でこの場はとりなされた」   ***   「俺は、この腐った運営に対抗しようと思っている」 場の空気がにわかに凍りつく。 「真木波探偵事務所」と戸に書かれた、拠点として使えそうだと目星をつけた場所での、遊輔の第一声であった。 ゲームシステムを一手に掌握する「運営」に反抗する。言葉の意味をゆっくりと咀嚼すれば、その行動が単なる暴挙であることがわかるだろう。遊輔からしてみれば、すでにバグが散見されるCCDに対し、「とある計画」には利用できないと見切りをつけての発言なのかもしれないが、彼の事情を知らない周囲からしてみればたまったものではない。真面目なトーンで発せられた突飛な提案に、やはりというか彼女は意を論じる。 「たわけ者め。架空の座興に、何をそんなにむきになる必要がある。貴様が対抗すべきは目に見えぬ運営ではなく、眼前でのさばるこやつらではないか」 「なんだ、怖いのか?」 「是非もないわ」 どっかり座ったソファの上で、見せつけるように足を組みなおす。 「貴様の掲げる遠大なる目的は『大義』と言えるな。無鉄砲な目的の達成に妄信させることにより、組織を動かすやり口だ。他人を欺き、騙し、誘導し、重要な情報は秘匿し、秘を知る自らだけが優位に立てる。まあ貴様はそれで満足だろう。それが貴様の生き方ならば否定はせぬが、この織田信凪が忠告はしておいてやる。――『大義』などという温いやり口では、近い未来に破滅するぞ。貴様の最も大切な者の消失、という形でな」 「忠告としては受け取るが、計画はもう動き出してるんだよ。俺は突き進むだけさ」 「あははははッ! 君、友達いなさそうだね!」 煽るような調子で信凪をなじる不死。腰かけたテーブルをバンバン叩き、苦しげに笑う。 「間違いなく損な生き方をしてるタイプだよ。全く面白い奴だなぁあっはははははwww」 「貴様にどう思われようが、私は知らぬ」 「7人のチーム。この世が週刊少年ジャンプなら、せいぜい僕たちは王下七武海って感じだね! 看板漫画の敵キャラでも、組織間の中が悪かったりメンバーの入れ替えが激しいところが僕は大好きなんだ! 信凪ちゃんもそう思うよね?」 「喧しい」 「おぉこわい。怒られちゃった。ごめんごめん。ほらこの通り誠心誠意謝ってるんだから許してよ」 床に座り込んで沈黙していた遊善が手を挙げた。 「……んん? 『この特別エリアには、あらゆる世界から選ばれた腕利きの決闘者が集まっている。君達はこのエリア内で互いに決闘し、頂点を競い合ってもらいたい』『ルールは簡単。決闘し敗北した者は、これから配布する〝デッキ〟と〝エントリーカード〟を勝者へ渡す。これを繰り返し、全てのエントリーカードを集めた者が優勝だ』『エントリーカードは譲渡できず、決闘の結果によってのみ移動が行われる。また、奪われたデッキやエントリーカードを暴力で奪い返すのは禁止とする』だったよなあ。チームを組む必然性なんてないんじゃないのか」 「え? 放送内容を全部覚えてるの?」 「ああ、そうだな。情報の記録・記憶はオカ研の基本ッ!!」 ……キャラがぶれているのは突っ込まないでおこう。 (……なぁマッハ) 〔ん? 呼んだ?〕 (……俺の下に帰ってこれるか?) 〔んー無理みたい。オイラもそうしたいのはやまやまなんだけど……〕 遊真は壁に寄りかかったまま目を閉じる。隠した瞳に映るのは、魂の一部が遠く離れたところにある不甲斐なさ。本来のデッキを取り戻すため戦う覚悟はとっくにできている。だからこそ、遊輔の作り出した膠着が歯痒くて仕方ない。 「いやいやいやいや。ここは皆さん、一度冷静になってくれないと困りますって。ナギも不死さんも天邪鬼なだけで、実はわかっているでしょう? 遊輔さんの言は正しいって」 「人語を喋るサルがいる!?」 「僕は人間だ。――僕らは基本的にこのゲームに自発的に参加した。それはいいでしょう。でも、なぜです? 聞くまでもありませんね。『あらゆる世界から選ばれた腕利きの決闘者が集まっている』からでしょう? 異世界からの決闘者って言葉をダシに、体よく集められたってわけです。この時点で参加者は運営の掌の上……認めたくないかもしれませんけど、術中に嵌っている。すなわち僕らはゲームの参加者じゃない。被害者ですよ」 おびき寄せられ、退路も断たれ、挙げ句同士討ち間近の被害者集団。 ……運営はこの喜劇をさぞかしご満悦に眺めていることであろう。 「だのに集められた被害者同士でガチンコのバトルロイヤルを行う? ふざけろって感じです。敗者はもとより、このイベント(笑)に勝ち残ったら無事ログアウトできるなんて保証もまるっきりありません。だったら、わざわざ強敵と敵対する意味なんてないでしょうよ。かくいう僕だって運営の娯楽に付き合ってる暇なんて1分もありませんしね」 〔マスターも何も考えてないわけじゃなかったんだな。惚れ直すぜ〕 窓枠に腰を下ろす遊吉郎にミラがすり寄る。彼の表情はまんざらでもなさそうだ。     「よかったぜ。俺の俺による俺のためのハーレム部を再建するために、尽力してくれ」 「「「「「「……………………」」」」」」 「冗談だ。皆――よろしく頼む」 刹那に見せた、有無を言わさぬ生真面目な調子に、ひとまず彼らは頷いたのだった――――。     デュエルは雄弁だ。カードで決着をつけるのはたやすい。だが、あえてそれをしないことにより、彼らは「前」に進める。目的は違えど、目標は同じ「世界からの脱出」。 最初の放送より5時間が経過し、すでに空は明るみを見せ始めている。CCD内最大規模のチーム『七武海』が、絶望渦巻く電脳にさす一筋の光明となるか、あるいは――この団結さえも運営の想定内なのか。今はまだ、だれにも分からない。       { f5―1日目 5:00} 【新谷遊輔@遊戯王Symphonic】 [時間軸] 大会前夜 [状態]軽度の疲労 [デッキ] スクラップ(巧@遊戯王ASS) [思考、状況] 1、遊璃にもしものことがあったら……許さん 2、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 3、自分のサイバー流を持つ者を探す [備考] ※F5区画内に【真木波探偵事務所@遊戯王―round―】を発見しました。活動の拠点として使用することができます。 ※新谷遊輔、織田信凪、木下遊吉郎、不老不死、神薙遊真、遊宙銀河、高槻遊善で『チーム七武海』を結成しました。以降、ミッションの達成よりも運営の打倒を優先します。 【織田信凪@遊戯王e-Squire】 [状態] 健康 [デッキ] ウォリアー(十河 蓮@遊戯王championship) [思考、状況] 1、天下を取る 2、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 3、早く自分のデッキの実力が知りたい [備考]特になし 【不老不死@championsip】  [参戦軸]SHADOW最終決戦の前日  [状態]健康  [デッキ]闇属性戦士族(神薙 遊真@GS)  [思考・状況]  1・とりあえず兄との約束を守る  2・精霊の奪取  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考]  大好きな双子の兄との約束(弱者の味方になる)を継続中です。  【木下 遊吉郎@遊戯王e-Squire】  [参戦軸]カグラ戦前  [状態]眠気  [デッキ]仮面ライダー@オリジナル  [思考・状況]  1・信凪に天下を取らせる  2・銀河からミラを取り返す  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考] デュエルの有無にかかわらず自分のデッキを手元に欲しています。ルールも無視する覚悟です。  【神薙 遊真@遊戯王GS】  [参戦軸]対幽真戦直後  [状態]健康  [デッキ] ガスタ@寺海 千明(遊戯王ASS)  [思考・状況]  1・満足する  2・不死からマッハを取り返す  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考] デュエルの有無にかかわらず自分のデッキを手元に欲しています。ルールも無視する覚悟です。 【遊宙銀河@Duel garden】 【状態】疲労 【デッキ】エターナルソフィア(木下 遊吉郎@e-Squire ) 【思考・状況】 1、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 2、疲れを取る 【備考】 基本、デュエルは必要に応じて。自発的には行いません。 【高槻 遊善@Night School】 【参戦時間軸】本編開始から数ヶ月前。誠宜が入院する以前。 【状態】オカルト的事象に出会えた高揚 【デッキ】堕天使(遊戯王Symphonic・椎名 葵) 【思考】 1.チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 2.梨江、誠宜を探す(ただし二人ともいるとは思っていない) 【備考】特になし
物陰に飛び込んでからはたしてどれほどの時間が経っただろうか。未だ拭いきれない気配と殺気をひしひしと感じながら、こうして人目を避けて怯えている。笑うなら笑え。一度の敗北ですべてが無に帰してしまうなら、挑まず受けて立たず逃げ隠れするのが賢明な手段だ。命あっての物種というやつである。せめて今、ここにアガスティーアやアクエリアスらコズミックシリーズさえあれば状況を打開できるかもしれないのだが…………。 〔なあ。銀河様よ。ひとついいか?〕 銀髪の精霊、自称・光の魔導を究めし美姫《久遠の魔術師ミラ》は問うた。 「ひとつって言われても……俺で答えられる範囲なら」 〔や、簡単な質問だよ。あんたの元々のデッキってどんな代物だったんだ?〕 「コズミック。正直な話、俺でさえもあのデッキの本質は掴めてないんだよ」 〔アン? 要領を得ねえな〕 「ここだけの話、俺、記憶喪失なんだよね。6年前に森でばったり倒れていたのが見つかったんだ。名前も、年齢も、身元だってわからずじまい。そんな俺の存在を証明できる唯一のものがコズミックデッキだった。お世話になった院長が遊宙銀河と呼んでくれたからね」 〔………………そっか。悪い〕 「謝らないで。われながら壮絶な過去だとは思ってるし」 気丈にも彼は笑っていた。その笑みがやけに痛々しい。6年の月日を経てもなお何ら手がかりを得られなかった点を鑑みるに、その記憶を再び手に入れるには相当な困難が付きまとうに違いない。もしかしたら叶わない無謀な願いなのかもしれない。そう思うと、数時間前は赤の他人であったミラでさえ同情を禁じ得なかった。 そして、感傷に浸る暇さえ、運命を司る神は与えてはくれない。 何を隠そう、彼の者の名は「神を薙払う」意である。 「……鬼ごっこは終わりだ。さあ、俺を満足させてもらおうか」 白髪に朱い眼を持つ少年。その生に深き業を背負う男、神薙遊真は敢然と立っていた。その瞳はまっすぐに銀河を捉え、片時も離すことはない。 「……この人……たぶんなんとか凪様じゃない?」 〔らしいな。――ハン、それだけじゃねえ。ここら辺りにどんどん人が集まってやがる〕 第三者の起こした「結果」の前では、当事者たちの「過程」は無視される。ましてやこの交錯世界――Cyber Connect Duel「特別ステージ」参加者は今まで生きてきた世界が違うのだ。各参加者が思い思いの理念で行動し、しのぎを削る。そんな激戦区の中で、どうしてこの市街地F5区画に7人もの決闘者が集った過程を説明できようか。あえて、現状を端的に表現するのならば「偶然」、または「宿命」の二字こそふさわしい。 すなわち、遊宙銀河と神薙遊真。 互いに利用し、互いを出し抜かんと計画を張り巡らせる、新谷遊輔と織田信凪。 弱さを知り、弱さを体現しているがために必死で足掻く、木下遊吉郎と不老不死。 遊園地の調査を終えて街に足を運んだ、オカルト現象への興味を原動力とする、高槻遊善。 綺羅星のごとき輝きを放つ実力者たちが、それぞれの光に導かれて一堂に会したのである。 「野郎に興味はないんだが……とりあえず場所を移さないか? 情報交換は必要だろ」と、一触即発な空気を回避すべく遊輔は話を切り出した。ここで暴れることの無意味さは瞭然である。生きる世界を同じくする信凪と遊吉郎、本来のデッキを不死に所持されている遊真は頷く。残りのメンバーも流される形でこの場はとりなされた」   ***   「俺は、この腐った運営に対抗しようと思っている」 場の空気がにわかに凍りつく。 「真木波探偵事務所」と戸に書かれた、拠点として使えそうだと目星をつけた場所での、遊輔の第一声であった。 ゲームシステムを一手に掌握する「運営」に反抗する。言葉の意味をゆっくりと咀嚼すれば、その行動が単なる暴挙であることがわかるだろう。遊輔からしてみれば、すでにバグが散見されるCCDに対し、「とある計画」には利用できないと見切りをつけての発言なのかもしれないが、彼の事情を知らない周囲からしてみればたまったものではない。真面目なトーンで発せられた突飛な提案に、やはりというか彼女は意を論じる。 「たわけ者め。架空の座興に、何をそんなにむきになる必要がある。貴様が対抗すべきは目に見えぬ運営ではなく、眼前でのさばるこやつらではないか」 「なんだ、怖いのか?」 「是非もないわ」 どっかり座ったソファの上で、見せつけるように足を組みなおす。 「貴様の掲げる遠大なる目的は『大義』と言えるな。無鉄砲な目的の達成に妄信させることにより、組織を動かすやり口だ。他人を欺き、騙し、誘導し、重要な情報は秘匿し、秘を知る自らだけが優位に立てる。まあ貴様はそれで満足だろう。それが貴様の生き方ならば否定はせぬが、この織田信凪が忠告はしておいてやる。――『大義』などという温いやり口では、近い未来に破滅するぞ。貴様の最も大切な者の消失、という形でな」 「忠告としては受け取るが、計画はもう動き出してるんだよ。俺は突き進むだけさ」 「あははははッ! 君、友達いなさそうだね!」 煽るような調子で信凪をなじる不死。腰かけたテーブルをバンバン叩き、苦しげに笑う。 「間違いなく損な生き方をしてるタイプだよ。全く面白い奴だなぁあっはははははwww」 「貴様にどう思われようが、私は知らぬ」 「7人のチーム。この世が週刊少年ジャンプなら、せいぜい僕たちは王下七武海って感じだね! 看板漫画の敵キャラでも、組織間の中が悪かったりメンバーの入れ替えが激しいところが僕は大好きなんだ! 信凪ちゃんもそう思うよね?」 「喧しい」 「おぉこわい。怒られちゃった。ごめんごめん。ほらこの通り誠心誠意謝ってるんだから許してよ」 床に座り込んで沈黙していた遊善が手を挙げた。 「……んん? 『この特別エリアには、あらゆる世界から選ばれた腕利きの決闘者が集まっている。君達はこのエリア内で互いに決闘し、頂点を競い合ってもらいたい』『ルールは簡単。決闘し敗北した者は、これから配布する〝デッキ〟と〝エントリーカード〟を勝者へ渡す。これを繰り返し、全てのエントリーカードを集めた者が優勝だ』『エントリーカードは譲渡できず、決闘の結果によってのみ移動が行われる。また、奪われたデッキやエントリーカードを暴力で奪い返すのは禁止とする』だったよなあ。チームを組む必然性なんてないんじゃないのか」 「え? 放送内容を全部覚えてるの?」 「ああ、そうだな。情報の記録・記憶はオカ研の基本ッ!!」 ……キャラがぶれているのは突っ込まないでおこう。 (……なぁマッハ) 〔ん? 呼んだ?〕 (……俺の下に帰ってこれるか?) 〔んー無理みたい。オイラもそうしたいのはやまやまなんだけど……〕 遊真は壁に寄りかかったまま目を閉じる。隠した瞳に映るのは、魂の一部が遠く離れたところにある不甲斐なさ。本来のデッキを取り戻すため戦う覚悟はとっくにできている。だからこそ、遊輔の作り出した膠着が歯痒くて仕方ない。 「いやいやいやいや。ここは皆さん、一度冷静になってくれないと困りますって。ナギも不死さんも天邪鬼なだけで、実はわかっているでしょう? 遊輔さんの言は正しいって」 「人語を喋るサルがいる!?」 「僕は人間だ。――僕らは基本的にこのゲームに自発的に参加した。それはいいでしょう。でも、なぜです? 聞くまでもありませんね。『あらゆる世界から選ばれた腕利きの決闘者が集まっている』からでしょう? 異世界からの決闘者って言葉をダシに、体よく集められたってわけです。この時点で参加者は運営の掌の上……認めたくないかもしれませんけど、術中に嵌っている。すなわち僕らはゲームの参加者じゃない。被害者ですよ」 おびき寄せられ、退路も断たれ、挙げ句同士討ち間近の被害者集団。 ……運営はこの喜劇をさぞかしご満悦に眺めていることであろう。 「だのに集められた被害者同士でガチンコのバトルロイヤルを行う? ふざけろって感じです。敗者はもとより、このイベント(笑)に勝ち残ったら無事ログアウトできるなんて保証もまるっきりありません。だったら、わざわざ強敵と敵対する意味なんてないでしょうよ。かくいう僕だって運営の娯楽に付き合ってる暇なんて1分もありませんしね」 〔マスターも何も考えてないわけじゃなかったんだな。惚れ直すぜ〕 窓枠に腰を下ろす遊吉郎にミラがすり寄る。彼の表情はまんざらでもなさそうだ。     「よかったぜ。俺の俺による俺のためのハーレム部を再建するために、尽力してくれ」 「「「「「「……………………」」」」」」 「冗談だ。皆――よろしく頼む」 刹那に見せた、有無を言わさぬ生真面目な調子に、ひとまず彼らは頷いたのだった――――。     デュエルは雄弁だ。カードで決着をつけるのはたやすい。だが、あえてそれをしないことにより、彼らは「前」に進める。目的は違えど、目標は同じ「世界からの脱出」。 最初の放送より5時間が経過し、すでに空は明るみを見せ始めている。CCD内最大規模のチーム『七武海』が、絶望渦巻く電脳にさす一筋の光明となるか、あるいは――この団結さえも運営の想定内なのか。今はまだ、だれにも分からない。       { f5―1日目 5:00} 【新谷遊輔@遊戯王Symphonic】 [時間軸] 大会前夜 [状態]軽度の疲労 [デッキ] スクラップ(巧@遊戯王ASS) [思考、状況] 1、遊璃にもしものことがあったら……許さん 2、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 3、自分のサイバー流を持つ者を探す [備考] ※F5区画内に【真木波探偵事務所@遊戯王―round―】を発見しました。活動の拠点として使用することができます。 ※新谷遊輔、織田信凪、木下遊吉郎、不老不死、神薙遊真、遊宙銀河、高槻遊善で『チーム七武海』を結成しました。以降、ミッションの達成よりも運営の打倒を優先します。 【織田信凪@遊戯王e-Squire】 [状態] 健康 [デッキ] ウォリアー(十河 蓮@遊戯王championship) [思考、状況] 1、天下を取る 2、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 3、早く自分のデッキの実力が知りたい [備考]特になし 【不老不死@championsip】  [参戦軸]SHADOW最終決戦の前日  [状態]健康  [デッキ]闇属性戦士族(神薙 遊真@GS)  [思考・状況]  1・とりあえず兄との約束を守る  2・精霊の奪取  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考]  大好きな双子の兄との約束(弱者の味方になる)を継続中です。  【木下 遊吉郎@遊戯王e-Squire】  [参戦軸]カグラ戦前  [状態]眠気  [デッキ]仮面ライダー@オリジナル  [思考・状況]  1・信凪に天下を取らせる  2・銀河からミラを取り返す  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考] デュエルの有無にかかわらず自分のデッキを手元に欲しています。ルールも無視する覚悟です。  【神薙 遊真@遊戯王GS】  [参戦軸]対幽真戦直後  [状態]健康  [デッキ] ガスタ@寺海 千明(遊戯王ASS)  [思考・状況]  1・満足する  2・不死からマッハを取り返す  3・チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する  [備考] デュエルの有無にかかわらず自分のデッキを手元に欲しています。ルールも無視する覚悟です。 【遊宙銀河@Duel garden】 【状態】疲労 【デッキ】エターナルソフィア(木下 遊吉郎@e-Squire ) 【思考・状況】 1、チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 2、疲れを取る 【備考】 基本、デュエルは必要に応じて。自発的には行いません。 【高槻 遊善@Night School】 【参戦時間軸】本編開始から数ヶ月前。誠宜が入院する以前。 【状態】オカルト的事象に出会えた高揚 【デッキ】堕天使(遊戯王Symphonic・椎名 葵) 【思考】 1.チームを結成したため、次の放送後から運営打倒のために行動を開始する 2.梨江、誠宜を探す(ただし二人ともいるとは思っていない) 【備考】特になし

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