黒太陽、昇る

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「天城か? こちら勢櫻! きこえるぞ」 「ふぅ~、良かった。無事繋がったわね」 「すまねえな。何日も連絡が途絶えたままで。こっちから連絡するのをすっかり……」 「何日も? 何日どころかあなた達が出発してからまだ1日、というより1時間も経ってないわよ?」 「……はぁ? お前こそ何言ってんだ?」 一見するとこのちぐはぐな会話は、太陽の化身を操る決闘者・遊凪勢櫻と、天才科学者の名を欲しいままにする天城神楽の間で、かつて交わされたものである。 異世界同士の間を『無線』で繋ぐ通信機を開発した神楽は、その現象の理由を時間軸のズレだと結論づけた。彼女の天才的な頭脳をもってすればこのような些細な誤差を正すのは容易い。朝飯前どころか目を閉じていても達成できる目的だったろう。遠き世界の果てから勢櫻をサポートするためならば才を出し惜しみしない彼女であった。 だからこそ、彼女は思わぬ副産物を生み出した。 時間軸補正機能を応用した試作品、簡易超時空端末『世界軸補正装置 COEDγ』を。 ***** 草原や鉱山、霊峰など大自然の経験値は積んできたつもりだったが、どうやらそれは思い違いだったらしい。 『あーあー。勢櫻? 聞こえる?』 「ちょっと待てよ」 ガーガーとがなりたてる無線機COEDγから耳を離し、しばし眼前に広がる風景に没頭する。 足首までめり込む柔らかな砂をかき分けて進む。見上げる空には雲ひとつなく、存在感の大きい太陽が、白く、熱く、身体に照り付ける。そのすべてが虚構でバーチャルだと理解していても、感覚は決してそう認識しなかった。あまりにも現実味を帯びた砂の世界を偽物だと認められない自分がいる。どう内輪に見ても、五感はこの世界を本物だと誤認していた。 妹の帰還の時といい、どうやら自分は諦めの悪い男らしかった。 「大丈夫だ」 『そう? ならいいけど。現在地はわかるわね』 「e8ブロック、砂漠地帯だろ。わかってる。何かあったら連絡するから、もう切るぞ」 『はいはい。じゃね♪』 遥か遠方の空には異形の禿鷹が十数羽、弧を描いて飛んでいる。あれが一挙に押し寄せたらひとたまりもないな、とゾッとしない妄想を掻き立てて一人苦笑した。 思えば自分が一人旅など珍しいことこの上ない。傍らにはいつも、それが人であれ精霊であれ、仲間がいた。それが常に心の支えであり、力の源になってきた。今の遊凪勢櫻は源泉を失い枯渇してもおかしくない。仲間から離れ、ロクスノスもカムイをも手放し、単身など……。 「セスナ……いや。言いっこなしだ」 少なくともこの通信機(に見える世界軸補正装置)がある限り、繋がりが途絶えることはない。むしろ、一人きりであるこの状況だからこそ、これは天城から与えられたチャンスなのだと考えなければ。今後激化していくであろうファルサレスとの戦いに向けてのレベルアップのチャンスなのだ、と。現状に満足していてはいつ足元を掬われるか。とにかく前進あるのみだ。 と、そこで。 視界の端に何かが混入した。 「…………」 人間、である。 物凄く綺麗な人が砂に埋まるようにして、無心で佇んでいた。 本当の美人は何をやらせても様になるのは事実だったようだ。 「……君は、ここで何をしてるの?」 「いや! お前こそ何をしてるんだ!?」 「黒魔術」 まさかのカオスである。 あまり脅威ではないが、効果があるなら禁止しておくべきか。 「そこまでにしとけよ。あ、俺は遊凪勢櫻。歳は19だ」 「……」 なんだか怯えた目つきで見られた。友好的に話しかけただけにショックを感じてしまう。そういえばパティアと会った時も確かこんな感じだった気がする。相手からすれば、俺は異世界からの闖入者以外の何者でもない。……頼むから逃げてくれるなよ。 「……綾小路叶」 「叶か! よろしくな!」 「い……いや、怯えてたわけじゃない。驚いただけ。……人見知りだから」 「ああ……」 直感だが、わかる気がする。 こんな格好(魔法使いのローブ)なんて着ていたら相手も萎縮してしまう。彼女の人見知りもそういう細やかな部分から来ている、のだろうか? 灼熱の砂海に一人、心細げな美少女。放っておけるわけがない。先ほどの決意もどこへやら、己が心に湧き上がる信念はもはや抑えを知らなかった。 「よし! 叶、直ぐに俺と組もう!」 困っている者あらば手を差し伸べる。互いに困難を乗り越え、強くなるために。 「…………うん。『資格』はないけれど、妥協点かな」 「ん?」 「……行こう」 くるりと背を向けてさっさと歩み始める叶。まあ初対面ならこんなものだろう。まして自分のおせっかいからの申請だ。十分な反応を見せてくれている。満足して自分が一歩を踏み出したのと、叶が振り返ったのは全くの同時だった。何か言いたげにして表情を窺っている。その顔はどこからどう見ても美少女全開で……とと。 「どうした?」 「…………勘違いしているようだけど……僕は、男だから」 スタスタスタスタ………… 「マジかよぉぉぉぉぉぉぉ!?」 哀れ勢櫻の大シャウトが砂粒の中に消えた。 {e8―1日目 0:15} 【遊凪勢櫻@遊戯王Xs】 [時間軸]時空の放浪者編 霊峰アカスディア到着後より参戦 [状態]健康 [デッキ]正規召喚型三幻神(神孝司@遊戯王Symphonic) [思考、状況] 1、叶を守る 2、砂漠から移動する 3、最後の一人を目指して戦う、そのために課されたミッションは達成する [備考]セスナがこの世界にいることを知っています。また、端末COEDγにより『外』のバベルにいる天城神楽からサポートを受けられます。 {e8―1日目 0:15} 【綾小路叶@遊戯王Symphonic】 [時間軸]遊戯王大会以前より参戦 [状態]健康 [デッキ]レベル3軸魚族(不知火敦也@遊戯王championsipにっ!) [思考、状況] 1、……まずは砂漠から脱出しないと 2、……敵対者は勢櫻に倒させよう 3、……新谷兄妹とは合流したい [備考]話術・読心術に長けています。どの程度有効利用できるかは他の作者様にお任せします。 時系列順 [←前へ|次へ→] 投下順 [[無題1>http://www34.atwiki.jp/novelcollaboration/m/pages/9.html?guid=on]]←前へ|次へ→開幕―ど素人参上?…いや、惨状?(未) キャラ別 遊凪 勢櫻 [←前へ|次へ→ 綾小路 叶[←前へ|次へ→
「天城か? こちら勢櫻! きこえるぞ」 「ふぅ~、良かった。無事繋がったわね」 「すまねえな。何日も連絡が途絶えたままで。こっちから連絡するのをすっかり……」 「何日も? 何日どころかあなた達が出発してからまだ1日、というより1時間も経ってないわよ?」 「……はぁ? お前こそ何言ってんだ?」 一見するとこのちぐはぐな会話は、太陽の化身を操る決闘者・遊凪勢櫻と、天才科学者の名を欲しいままにする天城神楽の間で、かつて交わされたものである。 異世界同士の間を『無線』で繋ぐ通信機を開発した神楽は、その現象の理由を時間軸のズレだと結論づけた。彼女の天才的な頭脳をもってすればこのような些細な誤差を正すのは容易い。朝飯前どころか目を閉じていても達成できる目的だったろう。遠き世界の果てから勢櫻をサポートするためならば才を出し惜しみしない彼女であった。 だからこそ、彼女は思わぬ副産物を生み出した。 時間軸補正機能を応用した試作品、簡易超時空端末『世界軸補正装置 COEDγ』を。 ***** 草原や鉱山、霊峰など大自然の経験値は積んできたつもりだったが、どうやらそれは思い違いだったらしい。 『あーあー。勢櫻? 聞こえる?』 「ちょっと待てよ」 ガーガーとがなりたてる無線機COEDγから耳を離し、しばし眼前に広がる風景に没頭する。 足首までめり込む柔らかな砂をかき分けて進む。見上げる空には雲ひとつなく、存在感の大きい太陽が、白く、熱く、身体に照り付ける。そのすべてが虚構でバーチャルだと理解していても、感覚は決してそう認識しなかった。あまりにも現実味を帯びた砂の世界を偽物だと認められない自分がいる。どう内輪に見ても、五感はこの世界を本物だと誤認していた。 妹の帰還の時といい、どうやら自分は諦めの悪い男らしかった。 「大丈夫だ」 『そう? ならいいけど。現在地はわかるわね』 「e8ブロック、砂漠地帯だろ。わかってる。何かあったら連絡するから、もう切るぞ」 『はいはい。じゃね♪』 遥か遠方の空には異形の禿鷹が十数羽、弧を描いて飛んでいる。あれが一挙に押し寄せたらひとたまりもないな、とゾッとしない妄想を掻き立てて一人苦笑した。 思えば自分が一人旅など珍しいことこの上ない。傍らにはいつも、それが人であれ精霊であれ、仲間がいた。それが常に心の支えであり、力の源になってきた。今の遊凪勢櫻は源泉を失い枯渇してもおかしくない。仲間から離れ、ロクスノスもカムイをも手放し、単身など……。 「セスナ……いや。言いっこなしだ」 少なくともこの通信機(に見える世界軸補正装置)がある限り、繋がりが途絶えることはない。むしろ、一人きりであるこの状況だからこそ、これは天城から与えられたチャンスなのだと考えなければ。今後激化していくであろうファルサレスとの戦いに向けてのレベルアップのチャンスなのだ、と。現状に満足していてはいつ足元を掬われるか。とにかく前進あるのみだ。 と、そこで。 視界の端に何かが混入した。 「…………」 人間、である。 物凄く綺麗な人が砂に埋まるようにして、無心で佇んでいた。 本当の美人は何をやらせても様になるのは事実だったようだ。 「……君は、ここで何をしてるの?」 「いや! お前こそ何をしてるんだ!?」 「黒魔術」 まさかのカオスである。 あまり脅威ではないが、効果があるなら禁止しておくべきか。 「そこまでにしとけよ。あ、俺は遊凪勢櫻。歳は19だ」 「……」 なんだか怯えた目つきで見られた。友好的に話しかけただけにショックを感じてしまう。そういえばパティアと会った時も確かこんな感じだった気がする。相手からすれば、俺は異世界からの闖入者以外の何者でもない。……頼むから逃げてくれるなよ。 「……綾小路叶」 「叶か! よろしくな!」 「い……いや、怯えてたわけじゃない。驚いただけ。……人見知りだから」 「ああ……」 直感だが、わかる気がする。 こんな格好(魔法使いのローブ)なんて着ていたら相手も萎縮してしまう。彼女の人見知りもそういう細やかな部分から来ている、のだろうか? 灼熱の砂海に一人、心細げな美少女。放っておけるわけがない。先ほどの決意もどこへやら、己が心に湧き上がる信念はもはや抑えを知らなかった。 「よし! 叶、直ぐに俺と組もう!」 困っている者あらば手を差し伸べる。互いに困難を乗り越え、強くなるために。 「…………うん。『資格』はないけれど、妥協点かな」 「ん?」 「……行こう」 くるりと背を向けてさっさと歩み始める叶。まあ初対面ならこんなものだろう。まして自分のおせっかいからの申請だ。十分な反応を見せてくれている。満足して自分が一歩を踏み出したのと、叶が振り返ったのは全くの同時だった。何か言いたげにして表情を窺っている。その顔はどこからどう見ても美少女全開で……とと。 「どうした?」 「…………勘違いしているようだけど……僕は、男だから」 スタスタスタスタ………… 「マジかよぉぉぉぉぉぉぉ!?」 哀れ勢櫻の大シャウトが砂粒の中に消えた。 {e8―1日目 0:15} 【遊凪勢櫻@遊戯王Xs】 [時間軸]時空の放浪者編 霊峰アカスディア到着後より参戦 [状態]健康 [デッキ]正規召喚型三幻神(神孝司@遊戯王Symphonic) [思考、状況] 1、叶を守る 2、砂漠から移動する 3、最後の一人を目指して戦う、そのために課されたミッションは達成する [備考]セスナがこの世界にいることを知っています。また、端末COEDγにより『外』のバベルにいる天城神楽からサポートを受けられます。 {e8―1日目 0:15} 【綾小路叶@遊戯王Symphonic】 [時間軸]遊戯王大会以前より参戦 [状態]健康 [デッキ]レベル3軸魚族(不知火敦也@遊戯王championsipにっ!) [思考、状況] 1、……まずは砂漠から脱出しないと 2、……敵対者は勢櫻に倒させよう 3、……新谷兄妹とは合流したい [備考]話術・読心術に長けています。どの程度有効利用できるかは他の作者様にお任せします。 時系列順 [←前へ|次へ→] 投下順 [[無題1>http://www34.atwiki.jp/novelcollaboration/m/pages/9.html?guid=on]]←前へ|次へ→[[開幕―ど素人参上?…いや、惨状?>http://www34.atwiki.jp/novelcollaboration/m/pages/11.html?guid=on]] キャラ別 遊凪 勢櫻 [←前へ|次へ→ 綾小路 叶[←前へ|次へ→

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