※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

学園祭の興奮かそれともこの憎らしい程の暑さにやられたのか、学校中は大騒ぎだった。
生徒たちのぎゃあぎゃあした声が響く廊下を歩けば、無意識に気持ちが高まる。

横を見れば兎の被り物をした女子が廊下で看板持ちをしている。
看板曰く「アリス喫茶」らしい、通りすぎるとき中をちょいと覗いたが、中には顔を真っ白に塗ったマッドハッターが手品を披露していた。
…どう見ても「アリス・イン・ワンダーランド」のメイクだ。
流石奇才ティム・バートン、アリスの世界観を植え付けた訳だ。
結構好きな監督なのでニヤニヤしていると、前から大男がぶつかってきた。

…表現が悪いよね、友人の前川君だ。
「よう春彦、楽しんでるか?」
重そうな段ボールを持ち上げて、無表情にそう言った前川君。
強面の顔だから初見だとビビっちゃうかもしれないが、彼は意外とフレンドリーでいいやつだ。
部活にも所属してるが、これまた意外の吹奏楽部。
しかも演奏も上手い、前に聞いた事があるが「G線上のアリア」を軽やかにホルンで吹いていたのが頭に残ってる…

「うん、中々楽しんでるよ、それはそうと、午後のショーには期待してるからね。」
「ああ、リクエストにはちゃんと答えてるからな。午後5時半、忘れんなよ。」
そんな言葉を交わして、前川君は去っていった。
彼のクラスではお好み焼きを振る舞っているので、その鉄板でも運んでいたのだろう。
僕にもやることがあるのを思いだし、大急ぎで体育館に向かった。

僕のクラスは学園祭でお馴染みお化け屋敷だ。
本来は自分達のクラスでやるのが当たり前だが、僕たちの悪ノリと学園祭の実行委員であり、僕の親友でもある尾長君の奮闘で、体育館全部を使用できるようになった。
おかげで大掛かりなセットや、本格的な仕掛けが出来るようになったが、いかんせん準備に手間がかかったので皆も空笑いするしかなかった。

所で何故僕が急いでいるのか、さっき言った尾長君に呼び出されたからだ。
緊急の用事らしいが、僕にはさっぱりわからない。
のんびりとたこ焼きを食べていた所、急にメールが来たのではっきり覚えている。
【急いできてくれ、今すぐに】
…内容はこれだけだ、冷静でユーモアがある彼にしてはシンプルすぎて逆に驚いた。

「はぁ…はぁ…尾長君…はぁ…いる?」
体育館の前でチラシを配ってる友達の氏原に声をかける。
格好は彼が大好きな映画「ビートルジュース」のビートルジュースだ。
…僕に言わせると、かなり似合ってる。
しかもこの映画もティム・バートン…
運命を感じる。
「どした犬飼!?何をそんなに急いでたんだ!。尾長?アイツは用具室に居たよ。」
よくわからないテンションが彼の特徴だ。
とにかく居場所はわかったので、直ぐに行くとしよう。
「はぁ…サンキュー、ペテルギウス」
僕なりのネタで御礼を行って、僕は体育館に入っていった…
|