※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

また支給品が参加者を襲ったじゃないすか! やだー! ◆hNcxfpVp3Q



「ふむ。ではここに連れてこられた時のことは覚えておらんのだな?」

「ああ。目が覚めたらあの部屋に居た。そしてこの島にも一瞬で移動させられていた。
 いったいどうやったのか、見当もつかん」

ジャックの返答を聴き、時計台随一の魔術師、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは考える。
ケイネスの記憶は、冬木ハイアットホテルに工房を敷設した以降で途切れていた。
つまりはそこで眠らされたのだろうと推測することはできるのだが、それはあり得ないことであった。
ケイネスが居たのは結界二十四層、魔力炉三基、猟犬代わりの悪霊、魍魎数十体、
無数のトラップに、廊下の一部は異界化させている、聖杯戦争の為に用意した完璧な工房だったのだ。
ケイネスに気付かれず、あまつさえそこから連れ出すなどいかな魔術師とて不可能である。
その上、最初の部屋からここまでの移動は何だ。
空間転移は魔法の領域にある。
ケイネスですら一生かけても到達できないと断言できる程の奇跡だ。
現代の魔術師に空間転移を扱える魔術師は皆無のはずであった。
となれば、答えは一つしか出てこない。

(最初の部屋に居た男はおそらくキャスターのマスター。
 裏に神代の英雄が控えていると見てまず間違いないだろう。
 だが……)

ケイネスはジャックを見据える。
お互いの情報を交換する際、さりげなく自分が時計塔の講師を務める者だと言ってみたが、
特に反応もなく話は進んだ。
魔術師であれば、時計搭の名を知らぬはずがない。
その上、どうやらジャックは元キング(格闘技か何かだろう)だったらしいが、今は無職であるらしい。
つまりは完全な一般人だ。

(魔術は秘匿すべきもの……。そうであるに一般人を巻き込むなど……)

ケイネスは表には出さないでいるが、内心で静かな怒りを滾らせていた。
聖杯戦争に一般人を巻き込んだから、ではない。
いや、確かに原因はそうなのだが、これは正義感からくる怒りではなかった。
魔術は秘匿すべきもの。
魔術師であれば、常識以前の絶対の掟だ。

一般人を魔術の探求に巻き込む事それ自体は何ら珍しい事ではない。
それで魔術が研鑽されるのならば、弟子にも推奨するだろう。

だがそれは、世間から隠匿されて行われていればの話だ。
あの場には何十人という者達が集められていた。
その中に一般人が含まれている。
もしかしたら、魔術師の方が少ないかもしれない。
あれだけの人間を何の隠蔽工作もなしに集めたのであれば、警察や報道機関が動いてしまい、
魔術が世に知られてしまう可能性が出てきてしまう。
そのような愚行を犯したキャスターのマスターとそのサーヴァント。
ソラウを殺害した事と言い、ケイネスの心には激しい怒りが沸きたっていた。

(己が魔術を競い合う聖杯戦争に泥を塗りおって……)

ここから多くの人間を救い出すのは良いが、その者達の記憶を操作する必要が出てきてしまった。
皆殺しにしてしまうのが手っ取り早いのかもしれないが、
ソラウを殺した者の思い通りに事を運ぶわけにはいかない。
手間ではあるが、一人ずつ入念に記憶操作の魔術をかけるしかないだろう。

「そう言えばケイネス、お前は支給品の確認は済ませたのか?」

「む? いやまだだ。これから確認しようと思っていたのだが、考え事に集中してしまっていた」

「俺の支給品は宝石とトランプだけだ。こんなもので殺し合いをさせようなど、どうかしているとしか言えんな」

「ディアズとか言う者が言っていた玩具か。……私の支給品もろくなものではないかもしれん」

「確認してみればわかる」

「それもそうだ。では、中を拝見するとしよう」

ケイネスが自分のデイバッグに手を掛け、その口を開ける。
デイパックの中は暗い闇に覆われ、何が入っているのかわからない。
刃物でも入っていた場合、不用意に手を入れれてしまえば無用な怪我をする嵌めになるだろう。
灯りが必要になるところだが、闇の中であろうとケイネスに灯りは必要ない。
闇の中でも視界を確保できる魔術を会得しているからだ。
時計塔随一の魔術師にかかればそのような魔術は朝飯前である。
早速、暗視の魔術を行使しようとした、その時だった。
デイパックの闇から、一振りの白刃がケイネス目掛けて突き出されたのだ。



「なっ!?」

白刃はケイネスの胸から背中へと突き抜けている。
明らかに致命傷だ。

「ケイネスッ!?」

ジャックがケイネスの名を叫ぶと同時に、白刃はするするとデイバッグの中へと戻って行った。
デイバッグはケイネスの手から離れ落ち、ケイネスも地面に倒れる。
ジャックはケイネスへと駆け出すと、落ちたデイバッグを掴み遠くへと放り投げた。
中に何が入っているのかはわからないが、その確認は後にしなければならない。
距離をとっていれば一応は大丈夫であろう。

「ケイネス、しっかりしろ!! 意識はあるか!?」

「ぐ……あ、ああ……大丈夫だ、問題ない……」

「問題ないわけがないだろう! 胸を刺され……何!?」

ジャックは我が目を疑った。
ケイネスの体からは血の一滴も流れておらず、それどころか衣服にも傷一つない。
確かにケイネスはデイパックから伸びた刃に刺し貫かれたように見えたのだが、これは……

「………パパ?」

不意に響いた少女の声。
声の方向はジャックがデイバッグを放り投げた方角である。
急いで振り返ってみれば、そこには緑色のワンピースを着た一人の少女が、
月明かりに照らされて立っているではないか。
美しい金髪に、真っ青な瞳。
胸元には瞳と同じ青いリボン。
足元には、口が開いたデイパック。
小さな両手には、一振りの刀。
その刀は、ケイネスの体を貫いたものと同じ物に違いなかった。
そして、彼女の首に、参加者の証である首輪は──ない。

「貴様!! 貴様がケイネスを──」

「待てジャック……。彼女は、私の娘だ……」

「………なん……だと?」





             /\         あ…ありのまま今起こったことを話すぞ
.    ___ /  \  /|
    \   /     \/ |      『ケイネスが刀に刺されたと思ったら娘が登場していた』
   __          ヽ>
  \  /`ヽ  / ヽ / | |       な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
   \ |  / ノ\     ∨       オレも何がなんだかわからない…
   _\| /.. ●   ● |
   \  .. |∪   ( _●_) ミ        頭がフットーしそうだ…
    ..\| |.   |∪|   |
      /     ∩ノ ⊃  ヽ     レモンだとかバーニング・ソウルだとか
      (  \ / _ノ |  |      そんなチャチなもんじゃあ 断じてない
      .\ “  /__|  |
       \ /___ /      もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…






「パパ……!!」

刀を手にしたまま、少女がケイネスの許へと駆け寄って行く。
危険を感じたジャックが動こうとしたが、ケイネスが手でジャックを制止する。

「ケイネス! お前はあの少女に刀で刺されただろう!?」

「何を言っている……見間違えでもしたのだろう」

「いや、オレは確かに見た! お前が──」

「ジャック」

ケイネスがジャックの両目を見据えて、静かに、しっかりと言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

「何を見間違えたのかは知らんが、私は刀になど貫かれてはいない。良いな?」

「………ああ、そうだな。確かにオレの勘違いだったようだ」

ジャックはそう言うと、父と娘の再会を静かに見つめることにした。
邪魔する理由は何もない。

ジャックは自分の目で確かに見たはずの光景を、ケイネスに言われるがまま、
見間違いだと認識を改めたのだ。
これはケイネスによる暗示の効果である。
魔術抵抗のない人間に、一流の魔術師がかける暗示を防ぐ手段はない。

障害もなくなり、父の許へと少女が心配そうに駆け寄った。

「ごめんなさい……、私、どうしても外に出たくって………。
 ……パパ、体は、大丈夫? どこか、痛いところがあったりしない?」

「平気だよ、メアリー」

ケイネスは娘の心配を振り払ってやろうと、笑みを作ってそれに答える。
実際、体に異常はない。

「よかった……」

メアリーはほっとした表情で胸を撫で下ろす。
ケイネスの反応が、余程嬉しいのか、顔には笑顔が生まれていた。
しかし、メアリーの顔は怯えた表情に変わる。
ちらちらとジャックに視線を向けながら、父親に問うた。

「……パパ、……その人は、誰?」

知らない人がいるのだ。
怯えるのも無理は無い。
ジャックが口を開くよりも先に、ケイネスがメアリーの問いに答える。

「大丈夫だよメアリー。この人はパパに生きる気力を与えてくれた人なんだ。悪い人間じゃない」

「そう、なんだ……」

ちらりと、またジャックに視線を送るメアリー。
その眼には、まだ少し不安の色がうかがえる。
初対面なのだし、仕方のないことかもしれない。

その後、何か気になることがあるのかきょろきょろと辺りを見渡し、メアリーは気になったことを口にした。


「ママは、一緒じゃないの?」


その言葉にケイネスの顔が曇る。
ママ──ソラウは、つい先ほど殺されてしまった。
それも、爆弾などという卑劣な手段によって。

「メアリー……良いかい、よく聞くんだよ。……ソラウは……お母さんは……、殺されてしまったんだ……」

「えっ……」

ケイネスは事の顛末を娘に伝えた。
魔術師の子だ。
魔術師としての矜持は幼い頃から言い聞かせてきた。
聖杯戦争に向かう時も、
万が一何かがあっても動じることのないようによく言い聞かせてイギリスに置いてきた。

(娘には魔術師としての非情さ冷酷さを説いておきながら、先程の私は何を自棄になっていたのか……。
 それだけ、私の中でソラウの存在は大きかったのだろうな……。
 しかし、一人娘を残してソラウの後を追おうなどと……どうかしていたな)

「おい、ちょっと待て」

先の己の行動を心の中で反省していたケイネスに向けて、ジャックから声がかけられた。
二人のやり取りを静かに見ていたジャックだったが、おかしな点に気付いたのだ。
「ケイネス、お前は言っていたな。ソラウは婚約者だと」

「ああ、そうだが……それがどうかしたのか?」

情報交換の際、確かにジャックはソラウがケイネスの婚約者であると聴いた。
ケイネスは───そうは見えないが、まだ二十代の前半らしい。
ソラウの方は、二十歳になったかどうかという外見だった。
結婚前に子供がいる事については深くは追求すまい。
だがそれを抜きにしたとしても、二人の子供にしてはこの少女は成長し過ぎていた。

「ならばおかしい。その少女はどう見ても九才かそこ──」

「おじさん」

メアリーの声。
その声は、子供にしては少し冷た過ぎる気がした。

「──おじさんではない。オレはジャック……」

ジャックの言葉が途中で止まる。
その双眸はメアリーの青い瞳を見つめたまま光を失っている。
メアリーは、両親と一緒に魔術を研鑽した“過去”がある。
ケイネスとソラウの魔術の素養を引き継いだという“過去”がある。
まだ幼いとはいえ魔術の名門に生まれ育ったのだ。
ケイネス同様、メアリーも魔術抵抗のない人間を暗示にかけることは可能であるのだ。

メアリーが、両手で握った刀を掲げる。
そして刃が、動きを封じられたジャックを一閃する。
血の一滴も、傷の一つも生まずに、刃はジャックをすり抜ける。
その行為の意味を知っているケイネスがメアリーへと視線を向けた。

「メアリー、一体何を……」

「だって、パパ言ってたじゃない。無償で手を貸してくるような人間は信用できない、って。
 このひとはパパの自殺を止めてくれたかもしれないけど、本当に良い人かはわからないよ。
 それに、いつものパパなら今さっき知り合った人間を信用するなって言うはずよ。
 そうでしょ?」

確かに、メアリーの言う通りだ。
いつものケイネスならば、そう簡単に他人を信用したりはしない。
自分のサーヴァントすら完全に信用していない男だ。
無償の協力関係などあり得ない。

お互いの利害が一致するからこそ、初めて協定や協力を結べるというもの。
故に、望みはとうに果たされた、
マスターに従うことだけが我が望みなどとのたまうディルムッドを信用しきれていないのだ。
考え直してみれば、ジャックは二つしか自分の支給品を晒してはいない。
最大で三つのランダム支給品があるのだから、武器を隠し持っている可能性は否定しきれない。
ケイネスを説得したのも、信用を得るためと考えれば納得がいく。

「そう……だったな。ああ、確かにメアリーの言う通りだ。ソラウが死んで、冷静さを失っていたようだ。
 メアリーのおかげでいつものパパに戻れたよ」

そうだ。
KOOLだ。
KOOLになるのだケイネス・エルメロイ・アーチボルト。
私が死んだら誰がこの子を守ると言うのだ。
私以外に、誰がメアリーを守れると言うのだ。
注意を怠ってはならない。
あらゆる可能性を考えて、娘を守らなければならない。

一流の魔術師として、娘の前であまり格好悪いところを見せるわけにはいかないのだ。

私を立ち直らせてくれたことは感謝しよう、ジャック。
だが、娘のためにも警戒は怠らないようにしておくとしよう。
私は君と知り合って、まだ数時間と経っていないのだから。

「………ん?」

暗示状態の解けたジャックが我に帰る。
そして思い出す。
メアリーとジャックは知り合い、否、戦友であったの事を。
ライディングデュエルで自分が強くなったのも、愛するカーリーを救えたのも、
全部メアリーのおかげであった事を。

「……久しぶりだな、メアリー」

「うん!」

メアリーは元気な返事をする。
メアリーはもう何も怖くない。
ずっと夢見ていたパパが居る。
このおじさんも、もう怖くなくなった。
一番欲しいのは友達だけど、それはここから帰った後でも作れそうだ。
ママが死んじゃったのは残念だけど、この殺し合いに優勝すればどんな願いも叶うんだよね?
主催者の所に行けば、ママを生き返らせる方法もわかるかな?


メアリーによって訪れた、二人の変化。
原因はメアリーが持つ一振りの刃。
“ブック・オブ・ジ・エンド”。
ケイネスの支給品であったこれは月島さん………月島さん?
否。
メアリーが両親の元で魔術の研鑽を積み取得した魔術である。
栞と刀に姿を変え、刀で斬った相手の過去を分岐させる能力があるのだ。
この刀で過去を挟みこめば、現在はそのように改変される。
人を斬れば、その人物とは以前からの知り合いであるし、
無機物を斬れば、それは以前に見たり触ったりした既知のものとなる。
斬った対象に傷を付けるか否かは、メアリーの意思次第。
傷を付けながら過去を挟むこともできるし、過去を挟まず“斬る”事だけを行うのも可能であるのだ。

「それにしても許せん……メアリーまで殺し合いに巻き込むとは……!
 このジャック・アトラスが、必ずや成敗してくれる!!」

ジャックが再び主催者への闘志を燃やして叫ぶ。
メアリーまでもが殺し合いの場に連れてこられたとあっては許しておけない。

「メアリー、ジャックは信用できるのか?」

「うん。ブック・オブ・ジ・エンドで過去を挟んだし、大丈夫。パパを裏切ったりもしないと思うよ」

父と娘はジャックに聞こえないように小声で話す。
メアリーのブック・オブ・ジ・エンドは両親と共に修業して身に付けた魔術だ。
ケイネスはその効果を知っているし、メアリーもそれを承知している。
一先ず、ジャックがケイネスとメアリーを裏切る心配は無くなったと見ていいのだろう。

「わかっているとは思うが、ブック・オブ・ジ・エンドを栞に戻すんじゃないぞ? 剣の状態で持ち歩くんだ」

「言われなくても大丈夫。魔術は秘匿すべきもの、でしょ?
 ジャックの前で栞に戻したら、魔術師だってバレちゃうじゃない」

「ふっ、そうだ。言うまでもなかったな」

「おい! 何だあれは! ……馬、なのか? 馬が……真っ二つになった馬が走っているぞ!!」

「何!?」

ジャックが指さす方を見てみれば、そこには馬……馬?
そう、馬だ。
三人の方へ向かって、前と後ろに別れた“馬”が走ってきているところであった。
川を渡ってきたのか、体が濡れている。

(キメラか!!)

普通の馬ならばあのような状態で走れるわけがない。
ならばあれは、どこかの魔術師が造り出した、生命力の高い馬の合成獣以外に考えられない。
よくよく見てみれば、体のパーツを手に持って(?)走っている。
意味もなく、ばらばらになった体の一部を持ち歩きはしないだろう。
だとすれば、時間があれば体は再生し、元の姿へと戻るのだろうとケイネスは予想を立てた。
おそらくは体が乾いた時に再生が始まるのだろう。
一流の魔術師、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトにかかれば、
一目見ただけでその術の特性や性能を看破する事など容易い事なのだ。

(なるほど……魔術を……神秘を、殺し合いの道具として配ったということか……)

ケイネスの額に青筋が浮く。
魔術をこのような下賤な行為に使い、あまつさえ衆目に晒すだと?
魔術師として度し難い行いである。
ケイネスの行動方針に、新たに神秘の回収も加わった瞬間であった。

「止まれ、そこの馬!」

走るハリボテエレジーの脚部達に向けてケイネスが叫んだ。
同時に、脚部達に魔術を掛ける。
全力疾走していたハリボテエレジーの脚部達はケイネスの指示に従い、
ケイネス達の目前で動きを止めた。



止めたのはいいが、この馬達の処遇はどうするか。
もちろん、神秘を秘匿する為にデイバッグに入れるしかない。
思えば、このデイバッグも魔術的な代物であったとに気付く。
メアリーが入っていたというのに、重みは感じなかった。
重量操作の魔術が施されているのだろうが、それだけではない。
流石にメアリーが入っていれば、
外からデイバッグを触った段階で中に何か大きな物が入っているとわかるはずだ。
中の空間も拡張されているのだろう。
神代の魔術師が裏で糸を引いているとなれば、このくらいの物が用意されていても不思議ではない。

「ほう。お前は馬の扱いが上手いのか」

「ふ、まあ、少しはな……。この馬は私のデイバッグに入れておくが、異論はないな?」

「そのようなおかしな馬に用はない。好きにするが良い」

「では、そうさせてもらうとしよう」

また、魔術を一般人に見られてしまった。
このような事態が起こる度に、記憶操作や暗示を掛けていては追いつかない。
そういった神秘の秘匿はここから脱出した後にするべきだろうか。
ケイネスは悩みながらも、ハリボテエレジーを自身のデイバッグへと仕舞い入れようとバッグを探す。

「大丈夫よパパ。わたしがやっておくから」

しかし、その時にはもうメアリーが行動しており、
流れるような動作でハリボテエレジーの脚部達をケイネスのデイバッグへと仕舞っていった。
まったくよくできた娘だとケイネスは感心する。

「あ、そうだわ。パパ、ちょっと……」

「何だね? どうかしたのか?」

ハリボテエレジーを仕舞い入れたメアリーが、ジャックを気にしながらケイネスを呼ぶ。
ジャックには聞かれたくないことなのだろう。
ケイネスもジャックに注意を払いつつメアリーに近づくと、娘と同じ視線になるように静かにしゃがみ込んだ。

「あのね、パパの三つ目の支給品なんだけど……」

「ふむ……そうか、私の月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)が……」

ケイネスの支給品に、ケイネスの魔術礼装である月霊髄液がある。
最初にソラウを殺したことといい、娘を一緒に殺し合いの場に放り込んだ事といい、
どうやらキャスターのマスターはケイネスに殺し合いを積極的に行ってもらいたいらしい。
馬鹿馬鹿しい、とケイネスはその思惑を一蹴する。
確かに月霊髄液は強力な戦力だ。
だがそれでも、一般人の前で神秘を晒す訳にはいかないと、
魔術師としてのプライドがケイネスの決意を固くする。

メアリーやケイネス自身の命が危機に瀕した際は使わざるをえないかもしれないが、
そのような切迫した事態でもなければ使うまい。

(キャスターのマスターよ、貴様の思い通りには事は運ばせんぞ)

となれば、ケイネスのこれからの行動は一つだ。
キメラが走って来た方角には、他の参加者がいる可能性が高い。
まずはそこに向かうとしよう。
魔術礼装が他にもあれば回収したいところだが、参加者が所有物を簡単に手放すとは思えない。
ケイネスの目の届く範囲にあれば御の字の言ったところだろう。
いざとなれば、暗示や催眠の魔術がケイネスにはある。
最終的にデイバッグを含む全ての魔術道具を回収し、一般人から魔術に関する記憶を消せば良いのだ。
辻褄合わせに骨が折れそうだが、不可能なことではない。

それでも極力は魔術の漏洩を防ぎたいとケイネスは思う。
“後で記憶を消して無かったことにできるから、俺は魔術を使いまくるぜ!”など魔術師のプライドを持たない三流のやることだ。
ケイネスは一流の魔術師。
プライドも一流だ。
本当に切迫した事態にでもならなければ、一般人にばれるような形でケイネスが魔術を行使することはないだろう。

メアリーとの遣り取りを終えると、ケイネスは立ち上がると、ジャックへと向き直った。
これからの行動について話し合う必要があるからだ。
メアリーから受け取った地図を見つめながら、ケイネスが話を切り出した。

「ジャック、君はサティスファクションタウンに向かいたいのだったな」

「ああ、そうだ」

「私とメアリーは先程の馬が来た方角へ向かいたいと思っている。
 あちらに私達以外の参加者がいる可能性が高いからだ。
 今は、ここに集められた者達を集め、団結することが優先すべきことだと私は考える。
 私達がこれから向かおうとしているのは君が行きたい方角とは逆方向だ。
 どうしてもサティスファクションタウンに向かいたいと言うのであれば、私は君を止めはしない。
 だがその時は、私達とは別行動になると伝えておく」

ケイネスの決意は固い。
少しでも早く神秘は回収しなければならない。
施設巡りは二の次だ。

ケイネスの言に対する、ジャックの返答は───




【D-7 森林/1日目・黎明】
【ジャック・アトラス@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:トゥエンティのトランプ@探偵オペラミルキィホームズ
[道具]:基本支給品、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1 ケイネスへの返答は───
2 サティスファクションタウンに向かう
3 ケイネスと行動を共にする
4 出来る限り死人は出さない


【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:健康
[装備]:地図
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:娘の保護
1 キメラ(ハリボテエレジー)が来た方角へ向かう
2 娘(メアリー)は命に代えても守る
3 魔術の隠匿。会場に存在する魔術礼装の回収
4 出来る限り死人は出さない


【メアリー@I※※?:@「※?】
[状態]:健康
[装備]:ブック・オブ・ジ・エンド@???、黄色いバラ@I?」:-*
[道具]:基本支給品、額縁@???、額縁のガラスの破片@???、
     メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)、
     ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
[思考・状況]
基本思考:パパと一緒にここから脱出
1 デイバッグの中は誰にも見せない。特に額縁は誰にも触らせない。※※※※※の説明書は絶対に誰にも読ませない
2 パパと一緒に行動する。他の人はどうでもいい
3 同年代の女の子のお友達が欲しい。
4 火は嫌い
5 ?????

※額縁に嵌められているガラスが割れています。
※ハリボテエレジーはデイバッグの中で修復するかもしれません。





そういえば、気がかりが一つある。
ケイネスは愛する者を失った。
ジャックも、愛する者を失った過去がある。
だが、二人には決定的に違う事があった。
ケイネスが愛するソラウはもう戻らない。
死んでしまったのだから当然だ。
だがジャックが愛するカーリーはどうだろうか。
実は、カーリー渚は消滅した後に他のダークシグナーとなっていた者と一緒に復活しているのだ。
その事をケイネスは知らないが、メアリーやジャック、時期にもよるが遊星らはそのことを知っているだろう。
何かの拍子にその事実を知った時、ケイネスは何を思うだろうか。




三人が去ったD-7の森林。
ここにはもう誰もいない。
ジャックはどのような決断を下したのか。
それは知る術はここに残されていない。
だが一つ。
そこには、何かが落ちていた。
黒い頭の、不気味な人形。
地面には、青い絵の具で文字が書かれている。


わたし ひとりで さびしいの
だれか いっしょに あそびましょう
おともだちも たくさん いるんだ
しょうかいして あげるね


“キャッキャッキャッキャッ”
暗い暗い森の中。
不気味な人形が笑いを上げる。
笑いを上げた人形は走り出し、夜の森へと消えていった。

おともだちとは誰だろう。
他にも人形があるのだろうか。
そもそも、どうして人形が落ちていたのか。
ここに来た参加者は、ケイネスとジャックの二人だけ。
二人の支給品に、人形は存在しない。
あの人形は、いったい………。
いや、あれは本当に人形だっただろうか。
かわいらしいウサギの置物ではなかったか。

もしも。
もしもウサギの置物を見たら、気を付けた方が良い。
それは、お友達の証なのだから………。




ある参加者は言っていた。
ここは夢の中の世界であると。

それは本当の事ではないだろうか。
ここは、誰かの夢の中かもしれない。
ここは、誰かが描いた絵の中かもしれない。
そんな世界に名前を付けるとすれば、こんなのはどうだろう?
そう、例えば
“絵空事の───







【メアリー@Ib】
『メアリー』 ----年
ゲルテナが手掛けた、生涯最後の作品。
まるでそこに存在するかのように佇む少女だが、
もちろんのこと彼女も実在しない人物であるるるるるるるるるるるる。

メアリーはいるよ。
ここにいるよ。

参考動画
全エンディングを見る【Ib】
ttp://www.nicovideo.jp/mylist/31337472


【黄色いバラ@Ib】
メアリーが持つ黄色いバラ。
よく調べると造花であることがわかる。


【額縁@Ib】
ゲルテナ作、『メアリー』が収められている額縁。
『メアリー』に描かれた少女は金髪に青い瞳。
緑色のワンピースを着ており、胸元には青いリボンを付けている。
少女の足元には、黄色いバラが一緒に描かれている。
額縁にはガラスが嵌められ、絵もしっかりと額縁に固定されている。
そのため、中の絵は破ることができない。額縁ごと壊すのも難しいだろう。
しかし燃えてしまうので、火は絶対に近付けてはならない。


【額縁のガラスの破片@Ib】
額縁に嵌められていたガラスの破片。
ガラスなので燃えない。


【ブック・オブ・ジ・エンド@BLEACH】
みなさんご存知、BLEACHの主人公である月島さんの完現術(フルブリング)。
普段は栞の形をしているが、刀に変形させ相手を斬りつけることが可能。
その際、過去を挟みこむことができる。
過去を挟みこめるのは人でも無機物でも何でもよく、
人を斬った場合は以前からの知り合いになることができ、無機物を斬った場合は既知の物体となる。
地面を斬り、“以前ここに罠をしかけた”という過去を挟み込む事も可能。
斬る際は相手を傷つけずに過去だけを挟む事もできる。
過去を挟み込むだけではなく、挟み込んだ過去を抜き出す事もできる。
ルキアを助け出せたのも愛染を倒せたのもみんな月島さんのおかげおかげおかげげげげげげ。
………あれ?
すいません間違えました。
ブック・オブ・ジ・エンドはメアリーが習得した魔術です。


【メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)】
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの魔術礼装、
月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)にまゆしぃの声を当てた魔術礼装。
性能は本家の月霊髄液と同じ。
ただしかわいい声で反応してくれる。
トゥットゥルー(物理)。

参考動画
ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm16233688





sm43:Little Witch in Moonlight ~月の女神よ、どうか今だけは小さな魔女に月光の祝福を~ 時系列順 sm45:「ロボットか。どうしてゆっこはロボットに縁があるんだろう?」「知らんな」
sm43:Little Witch in Moonlight ~月の女神よ、どうか今だけは小さな魔女に月光の祝福を~ 投下順 sm45:「ロボットか。どうしてゆっこはロボットに縁があるんだろう?」「知らんな」
sm23:燃え滾る魂! 王者と魔術師! ケイネス・エルメロイ・アーチボルト sm66:恐怖!精神病院
sm23:燃え滾る魂! 王者と魔術師! ジャック・アトラス sm66:恐怖!精神病院




| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー