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レ陰謀クルーズ(前編) ◆J/0wGHN.4E





「ここにも…あったゲソ…」


深海の侵略者、イカ娘はそういって地面に落ちていた「それ」を拾う。
そして自分の触手を器用に扱い、近くの地面を掘る。
次に、自分の手で拾った「それ」―肘から先の無い人の腕をそっと穴に入れ、土を被せる。

付け足しておくとこの腕は爆☆殺されたディーノの残骸である。
最もそんな事はイカ娘にとっては知る由もない。

だが、また自分の知らない所でこうして罪も無いであろう人々が無惨に死んでいく様は、イカ娘の心を強く痛めつけた。

もうこの作業にも慣れてしまった。
海の家れもんから街へ向けて歩みだした矢先、イカ娘を迎えたのはおぞましい死屍累々であった。


最初にイカ娘が見つけたのは氷漬けになったバラバラ死体。
その死体を見るに30くらいの男性のようであり、死顔は苦しみに歪んでいた。
人は死ぬ瞬間、こんな顔をするのだろうか。
イカ娘はついそんな事を考えてしまい、背筋が凍った。

幸いデイバックを身に付けていたようなので埋葬した後で失礼ながら頂く事にした。
ついでに首輪も何かあった時に備えて回収しておく。

氷漬けの死体が土に埋まっていく瞬間、その男の死顔がどこか誇らしい表情に変わった…ような気がした。


次に見かけたのは指先や足で辛うじて人とわかる死体の残骸。
ここまで酷いともはや爆死にしか見えないのだが何故か周囲に焦げたような後が無い。
まるで内側から破裂していったようにも見える。
しかしそれでも、何とか残っていた残骸を埋めていく。

道中、血塗れた槍を見つけたので一応拾っておく事にした。


3番目にイカ娘が目にしたのは緑色の肌をした幼い少女のような死体と顔の無い猫のような動物であった。
少女の死体の方は首を折られたことが死因のようであり、死体の損壊は少ない。
年齢はあかりよりも幼いくらいであろうか。
動物の方は何らかの力によって顔から上が無惨に抉られている。

その幼い少女の死体はそれほど無惨な形ではないが、むしろイカ娘はそれに目を合わせたくなかった。
イカ娘にとってこんな幼女までこの殺し合いに参加させられているとは考えたくはない。
こういったものを見る事になるなら、まだ原型のわからないくらいバラバラ死体の方が良かった。


そして先ほど埋めた5つ目の死体。
腕だけは何とか見つかったがそれ以外は梨の礫であった。

「こんな事をする理由が…何所にあるんでゲソ…」


人だって自分だって魚や家畜を殺し、自らの糧としている。
それは自然の摂理であり、生きていく為に必要な事。
ただ殺すだけ殺して、命であったものを無為に捨てる。
人として、生物にとして、この上無い愚行である。
それを剰え人間という同族に、これだけ凄惨に殺めておいて野に捨て置く。

イカ娘は人間ではない、故に人と価値観も死生観も異なる。
だがそれでも、許せない物は許せない。
人にしろイカにしろ、このような惨い行いが許される摂理などあるのだろうか。断じてあり得ない。

自分は無力だ。
だから、誰にでもできる事を誰よりもできるようにしたい。
その怒りと悲しみは決意となり、イカ娘の歩みをより確かな物にした。






¶ ¶ ¶












「ここが光写真館ですね」

うさんくささに定評のある男、海東が言った。

遠目に見ると少し大きな民家程度の認識であったが、近くで見れば意外と豪華な外装であり、館と言った印象はある。

「へぇー、以外とゆっくりできそうじゃん!」

「でも大事なのは中身さ、酷かったらおっさんでも怒るからな」

何とあつかましいキチガイであろうか。
大人への態度だとか接し方という物すら何一つ録に学んでいない様だ。
育ちの問題なのか或は脳に障りでもあるのか。
そんな思いを心に抱きながらも、海東はまったくもって平静を乱さない。表情は緩み気味だが。

「こら、紹介してもらっておいてその態度はダメですよ!」

早苗がケンを宥める。

「いえいえ、構いませんよ」


何故光写真館に5人が向かったのか。
わずかに時は遡る。



§ § §



「せっかくの部下なんだ、命令ぐらいしてもいいよな!」

唐突にケンが声高に言った。

「俺ちょっと疲れたからさ、休むトコとかない?」


このキチガイはどこまで自己中心的な人間であろう。
こんな戦の場において悠長にちょっと疲れたから休むなどとふざけた真似を。
貴様のような者の為に安息など毛頭も要らぬ。
首輪の解除の真偽はともかく、用が済めばこいつから真っ先に殺してやる。


「わかりました、近くに光写真館という施設があります。」

「私が知る限りではそれ也に休む空間はあるので行く価値はあるかと思われます」

「私も一応それが私の知る光写真館なのか確かめたいのです。いかかでしょうか?」


心の中で半ギレするムラクモとは対照的に海東は妙に協力的であった。
何故海東とやらはこのキチガイにここまで協力的なのか。
いや、それ以前に気になる言葉が出てきた。
「私の知る光写真館」とはどういう事なのか。
自分が地図を確認する限りでは何所にでもあるような施設と聞いた事も無いような施設の2種類しかなかった。
奴が元々この場所を知っていたのか。いや、それはないだろう。
ではなぜなのか。

こんな疑問を持つ者がもう一人。星君である。
先ほど自分が訪れた光写真館というものを、奴は知っている。
自分が訪れた時はホモ向けAVを見て一人シコシコ自慰行為に耽っているクッソ汚い野獣がいたくらいだったがあの施設に何か特別な物でもあるのだろうか。



「じゃあわかった、行ってやるよ」

「行ってやるよじゃありません!大人の人には敬語を使いなさい」

しつこく早苗が指導する。

このままでは早苗をこのキチガイから引き剥がすのは難しそうだ。
と、海東は思った。
だが、これで良い。少なくともこれで自分の目的の一つである光写真館を調べる事ができる。
首輪の取り外しの真偽だけでなくあの二人の情報についても聞いておいて損は無い。


こうして一行は光写真館に向かう運びとなったのだ。



「よし、合格!」

ケンが海東を認める。

「早速飯でも食おうぜ!」

「ってわけで早苗、何か持ってないか?」

早速ソファに座り込み、ごく自然な流れでケンは物乞いをする。
現在ケンの所持品は愛機であるエレクトリカル・スピードワゴンしかない。
デイバックなどの支給品はクッソ汚い野獣に略奪されてしまったのだ。

助けってもらった分際で何を抜かすか、とムラクモがまた心の中でキレる。


「私ので良ければどうでしょうか」

そういって海東は自分のデイバックから食料品を取り出し、ケンに見せる。

「お、じゃ遠慮なく頂くぜ!」

それに答えるようにケンは海東の食料に手を伸ばす。
が、その手は第三者によって阻まれた。

「ありがとうは?」

早苗である。
そういわれて、嫌々ながらもケンは海東に感謝する。

「はい、ありがとうございます」

「良いんですか海東さん」

「買いませんよ、それより私はここをもう少し調べたいので」

そういって海東は隣の部屋に入っていった。







「ふむ、見事な再現具合…いえ、本物でしょうね」

海東が独り言を呟く。
配置されている写真、部屋の作りや模様、調度品の位置、どれをとってもオリジナルと何ら変わりはない。

「ん?」

奇妙な違和感を感じた。
妙にイカ臭い、元々こんな匂いはなかったはずだ
ふとこの部屋の片隅を見る。すると何か奇妙な跡があった。
大分乾いてはいるが何かを零したような跡である。臭いの原因はこれであろうか。


ここでまた海東はもう一つ異変に気がついた。
零し跡の側には再生機があるのだが、よくみるとDVDが差さったままなのだ。
そしてそれに接続されているテレビも電源がはいっている。
入り口に面した四人の居る部屋にもテレビはあったがあちらは電源が切れていた。

「だれかが、ここにいたんですかね。」

そういうことになる。
何のDVDかはわからないが興味を持ったので取り敢えず再生してみた。


~真夏の夜の淫夢~

第四章「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」


テレビに映像が映し出され、そのようなテロップが流れた後二人の男が映し出される。


「ん~。いい時には結構いくね」

「う~ん・・・」

「結構楽だった?」

「こ↑こ↓」

「へぇ~、すっごい大きい・・・」

ガチャン!ゴドンッ!
乱暴な音を立てて映像の扉が開く。

「入って、どうぞ

「おじゃましまーす」

ギィー、ガッタン!
閉まり音も何所か乱暴である。

「いいよ上がって」

「あっ・・・」

「こっちも大きいっすね~・・・」

「まずウチさぁ、屋上、あんだけど・・・焼いてかない?」



(クッソ汚いし長いので少し中略)

(なお、この間海東は普通にホモビに見入っていた模様)



「これ以上やると気持ちよくなっちゃう。もういいよ。ヤバイヤバイ」

「喉渇いた・・・喉渇かない?」

「あー、喉渇きましたね」

「何か飲み物持ってくる。ちょっと待ってて」

「はい」



何か嫌な予感がしてきた。
テロップの時点で疑わしかったがこれはもしやただの同性愛者向けのAVではないのか。






「ああ、気持ちイイ・・・。」

「イイよぉ・・・ハァ、ハァ・・・・アアッー、アッ、ンアッー、ンッ・・・ォゥ、ォウ」

「オォン!アォン! ハァ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ・・・」

「アアッー!ハァハァ、イキすぎィ!イクゥ、イクイクゥ・・・」

「ンアッー!」

「ウン、ウン、ウン、ウン、フン、ウン、ウン、ウン」

「ウンッ!ウンッ!ウンッ!ンッ!・・」

「イキそ・・・」

「いいよ、来いよ!胸にかけて!胸に!」

「アッー、胸にかけて、アッー!・・・ファッ!?」


~二人は幸せなキスをして終了






ーー結局最後まで見てしまった。

「私の知る写真館には、こんなDVDはなかったはずだが・・・」

この床の零れ跡の正体も何となく理解できた。
これは恐らく映像にも映されていた体液という事になる。
余り想像したくないが、何者かがここでこれを見ながら自慰行為に耽っていたのだろう。
だからといって床を汚染したまま放置するのはいかがな物か。


心のどこかで無駄な時間を過ごしたと思う一方で気がかりなものが一つあった。
あの役者の中で遠野という人物を襲った男は田所と呼ばれていたのだ。


『野獣先輩…いや田所と言った方が良いか』

ここで海東は記憶を巡らせる。
第2回放送のたしかそのような死亡者が呼ばれていた。
田所と言った方が良いか、という呼び方をする事はつまりその呼び名が本来あるべき名である事を示す筈だ。
名字だけなら偶々という可能性もあり得るが、先ほどのテロップには「野獣と化した先輩」表示されていた。
これを略すれば参加者名簿にも記載されている「野獣先輩」となる。
憶測の域を出ないが偶然にしては奇妙な一致である。

もしこれが実際の参加者の情報であるならば他にも、参加者の情報を知る事ができる物もあるかもしれない。
ステルスマーダーとして行動する自分にはこれほど有益な物は無いだろう。

「いいヒントだ 感動的だな」


といった理由で海東は早速再生機とテレビ回りの引き出しなどを漁ってみた。




& & &






「飯の味に関しては流石にどうしようも無いか」

またしてもケンが不満を漏らす。

ムラクモはもうこんなキチガイに一々心の中でつっかかるのは面倒なのでやめる事にした。

「呑むが良い、オレンジジュースだ」

「腹の足しにはなるだろう」

割り切ったような表情で早苗がオレンジジュースに変えた水をデイバックから取り出しケンに差し出す。

あの女の事なのだから毒など入ってはいないだろうが、警戒に越した事は無い。
実際に毒がはいっていたにしてもこうして渡してしまえばキチガイも処理できるのだから一石二鳥だ。

ケンにジュースを取り出した後、ムラクモも食料品を取り出して口に運ぶ。
凡人というものはいつも周囲に流されてばかりでまったくもって芯が無い。
流石に自分もここで周りに合わせて食べておかなければこの女に妙な情をかけられてしまうだろう。
それは正直言って癪に障るのでそういう庇護念はしばらくはこのキチガイに向けてもらいたい。




『首輪の話だが、どうなった?』

食事時が一段落した所でムラクモ支給品のメモに書いた文字をケンに見せる。
所謂筆談である。
これで首輪に盗聴機能があったとしても大丈夫な筈だ。

「あ、わりぃ、ちょっと飯食った跡だからさ、食休み、休ませて」

素っ気ない返事とともにケンは寝込んでしまった。
同時にムラクモは、手に青筋を浮かべながらメモ用紙を握りつぶした。



「おや、星君どうしたんですか?」

早苗が問いかける。
その目線の先にはその場を離れようとする星君の姿があった。

「うん、気になる事があったんでちょっとこの館を調べてみたいと思ったんだDA」

そう答えると海東とは別の部屋に入っていった。


運のいい事もある物である。
海道や星君とも分断できた事だしさっさと首輪の話を聞き出したら、いっそ早苗ごとこのキチガイを殺してしまおうかとムラクモは考えていたが、ふと思いとどまった。

海東という男、おそらくは黒と見て間違いないだろうが何故こんな無力そうな女を殺さないでいるのか。
このキチガイと違って首輪の解除の話みたいな有益な情報も持っていない。
自らの手を汚したくないにしても自分が見ていない間に何時でも殺せたはずである。
何か生かす理由が?



ムラクモが自らへ問いかける。



そして、その答えが出るのは比較的早かった。



ーなるほど、そういう事か。

確かに、生かしておいて得策かもしれない。
これからも、たくさんの仲間を引き入れるのならば。
あの男、実際何を考えているかは審らかではない。
が、スタンスとしては自らの手を汚さずこのゲームに乗る。
これが一番早苗を生かす理由を含めてしっくりくるという物だ。

早苗を生かす理由。
推測に過ぎないが海東はあの女を自分の潔白のシンボルにしたいのではないのか。
まず第一印象の時点で海東を心から信頼できるような人間はそう多くはないだろう。
だが早苗はそんな海東に憧れの念すら抱いている様だ。
早苗という女ははっきり言って頭の程度はそれほど高くなく、疑う事すら知らない。
騙すのもさほど難い事ではないだろう。
信頼されている人間が居れば、それだけでその人物の信頼性を大きく引き上げる事になる。

東風谷早苗、考えてみればこれほど良い駒もなかなかないというものである。
精々自分もそれに肖らせてもらうとしよう。


…ガチャリ。

「!」



「すまない、ここにスカートを履いた少年が来なかったか…あっ!」





⌘ ⌘ ⌘






「うん、気になる事があったんでちょっとこの館を調べてみたいと思ったんだDA」

少し面倒な事になった。
星君はそう思う一方で丁度いい余裕ができたかもしれないと感じた。

海東という男は元々ここに住んでいたような素振りは無いのにこの光写真館を知っていた。
あの男が何か特別なのか、それてもこの施設に何か彼に知り得る要素があるのか。
本来なら自分が彼に詰め寄るのが一番手っ取り早い話である。

だがあの男の表情が、星君にそれを躊躇わせた。



              /. : /⌒ヽ ∨,.≦三==:.、ヽ. \
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       〃.:: : .: .:i| :.: .            ミハ :. ヽ. : . ヽ
       ,' .: : : : : :儿_,.-='≧:.    .;≦三ニ:.ヽ'ミ人. :. . ヽ、._ ',_
     、i .: : : : : ;レ'イ'´_,..,_`ヽ.   .:  _,..,_ `ヾ\:.≧==ニ二 > 、
     ヽ._彡.: : : リ ;'_イ'じノヘ ';:. . : ∠じリ>.、_ \≧==ニ ='⌒ヽ  
     ._,.イ.:: : ノ.: .:`¨¨⌒ ;:':; . : ::. . .::⌒     :乂 ー-=彡ヘ ':.   
     ≧=ー .:彳.:: .:      ,' .:; .: :  .:: .      .:从':.、: : .ヽ、)′ 
     三:._彡'.::从:: .:    .イ:::;'  .:   , 、: .      :|lヽヽ`:.、: . 〉  
     /.:/.: ;厂ヘ.: : :. / `'ヘ、_ , -:'  \     :リ ヽ \`:.、
      乂 .:: :人__八 : .′ _,..,_    _,,..、 〉    从_ .ノヽ冫〉
      ヽ: ;' .: : : :∧  : <L.T^Y^レイ:/     .:////イ′
       ヽ\ : :/. :ト、 .   \`'┴ イ/   . :,イ|// . : : :/
        \|l : : :ノ| ';.丶   `¨¨ ´   , : , '  |/, : : ; ;'
            〃: :〈│: '; .ヽ: .        ,.:' :/  .:|八: :ノノ
          八:、;ゝノ: : : : . ヽ、: : . ._.; .;' : : '   . : |、彡'
            ` 爪: : : : : : : : : : : : : :      . : ;ハ、
            ,イ│\: : : : : .            . :/  |:.\

↑常にこんな顔をしているのだ。怪しすぎる。
何だあのいかにもうさんくささの漂う貼り付けたようなにやつき方は。
まるで『私は何か企んでいます』と書いてあるような物だ。
元々人間なんてハナから信用していないが、あの顔はその不信感に一段と磨きがかかっている。
今はこうして穏健派を装って居る以上、今あの男が本音を吐くとは思いがたい。
何か都合の悪い事でも聞かれれば適当な嘘を吐いて自分たちを混乱させてくるだろう。
できるだけ、海東に依存するのは控える。
そして、解決できる謎は自分で解決していく。

そう思ったが故の、この館の探索行動であった。

考えてみればこの人間の集まりで利用できそうな者は少ない。
ムラクモといっていた少年だが彼も少し妙だ。
海東程露骨ではないがあの目つき、産まれもって身に付いているにしては鋭すぎる。
それは非力な少年の眼というよりは獲物が隙を見せる瞬間をじっと待ち続ける蛇のそれに近い。
仕草や歩き方も気になる事がある。
背丈からしてだいたい年齢は10にも満たないであろうが、それにしては隙がない。
常に周囲に気を配り続けており、後ろに立っていても見られているような気分だった。
結果的に見れば、恐らく何らかの訓練を受けていると見て間違いない。
悟られない程度には警戒しておくべきだろう。



そんな事を考えながら星君が入った海東とは別の部屋。
少し広いが物置きの様だ。
棚にはDVDやらBDやらが仕舞われており、下の方には今では珍しいVHSなどが所狭しと敷き詰められている。
床に置かれたカゴを見るとフィルムが入っていた。
星君は直感的に匂うと思い、DVDやらBDやらがはいった棚の方から気になる物が無いか探した。


「…?」




見つけた。気になる物を。

[人造昆虫 カブトボーグ V×V]とパッケージに書かれたDVD。
問題はそのパッケージイラストである。
さっき自分が戦っていた人間ーーケンというらしいーーがこのパッケージイラストに写っている人物のそれではないか。
ケンという奴はこうして人間達の間でメディアにもよく顔をみせているのか。
となるとこの殺し合いに参加させられる人間は一定の世間への知名度を参加者の判断基準にしているのだろうか。
だがそれなら何故自分が参加させられている?
美少年の転校生という芝居書きの元で泉研に近づく予定はあったが、テレビに出た覚えは無い。
仮にそんな事をしたらかえって動きにくくなる。
自分はジュラル星人の中でも単体で見ればかなりの強さを持つエリートとと自他ともに認めている以上、そんな事をする理由も無い。
何はともあれ、内容も含めて後ほどケンに聞いてみる事にしよう。
そうして人造昆虫 カブトボーグ V×VのDVDをデイバックに入れる。
ついでに同じ物もいくつかあったのでそれも纏めていれておいた。

デイバックにDVDを入れた後、軽く外の様子を確認し、見ている人間が無い事を確かめた。
その上で星君は物置き探しを再開する。
今度は先ほどの棚とは違う棚を漁ってみた。
見るとこちらの棚の上には妙な物がある。
透明のケースの中に入れられた精巧な人形のようだ。
大きさは8センチから15センチ程であり、どれも綺麗に並べられている。

ここでまた一つ、気がかりな物を見かけた。
ケース内に並べられた人形の内の一体だが、それが早苗とか言う女の容姿と一致する。
緑の髪、白い装束、青い袴、どれをとっても大きさ以外は本人と瓜二つだ。
彼女もまた精巧な玩具が作られる程、人間共の間で著名な存在なのだろうか。
逆の考え方もある。
彼女らがこのような作品を模した服装を着ているとしたら。
となると海東も何かの人物の模倣をしているのだろうか、その割にはただのフォーマルな服で見分けがつきにくいが。

これも機会があれば早苗に聞いてみる。
早苗という人間は海東やムラクモと違って表情や目つきに一切曇りが無い。
根っからの正直者で今も穏健派として動いている。
あの女なら嘘を吐く事は無いだろう。実際駒として利用できそうだ。
早苗の人形をデイバックに入れ、星君は再び棚の中を探す。

こちらにもDVDやBDが入っている様だが、ちらほらゲームソフトの類いも見られる。

…[Fate/Zero]

…[日常]

…[DEAD RISING]

…[HUNTER×HUNTER]

…[探偵オペラ ミルキィホームズ]

…[THE IDOLM@STER]

…[チャージマン研]

!?

ハッと気付いたような顔で[チャージマン研]のDVDを見つめ直す。
星君が驚くのも無理は無い。
何故か、理由はそのDVDのパッケージイラストにあった。
見間違えようが無い。それは自らの宿敵である泉研が大きく写し出されているのだ。
何故研がここに。否、やはりと言うべきなのだろうか。



…ガチャリ。




「!」

物音。
同時に星君は部屋の扉の方に目を向けるが、異常や変化は無い。
ここではない別の部屋からの物音の様だ。恐らく入り口の広間からだろう。
扉の向こうから声が漏れる。

「…すまない、ここにスカートを履いた少年が…」


誰かが来た。
どうせ人間だろうが口ぶりからして襲撃が目的ではないだろう。
取り敢えず目欲しい物はそれなり見つけた事だし探索はもう切り上げても良い。
DVDをデイバックに入れ、来訪者を確認するために星君は部屋を出た。





♩  ♩  ♩





「ヴォー…」

結局こんな日暮れまで探してしまったが、未だ音沙汰はない。
麗華達と別れてから三、四時間は経っただろうか。
遊星はどこか施設に居るのかもしれないと踏んで道中ホテルや王宮も見て回っていた。
だが両方とも蛻の殻であった。
建物を見ても半壊しており、安全は保証できそうにない。
皆ここを拠点にしている可能性は低いだろう。

そういった事情の中遊星が地図で見つけたのは光写真館と呼ばれる場所であった。
写真館と言うと美術館や博物館のような施設のイメージが沸く。
人が落ちつける場所かと言われると微妙だがそういった場所にも医務室の類はあるだろう。



「ここが…光写真館…」

今、遊星の目の前にある建物こそ光写真館である。
外見としては民家が二つくっついたくらいの大きさに少し洒落の利いた外装が施されている様だ。
一見床屋のようにも見えるそれは美術館や博物館のような施設のイメージを持っていた遊星を意外に思わせた。
それなりに急いでここに来たつもりだが時計を見るともう5時15分を回っている。
次の放送はここで聞く事になりそうだ。

窓から光が漏れている。
中には人が居ると見て間違いないだろう。
遊星はDホイールから降り、入り口のドアを開ける。



「すまない、ここにスカートを履いた少年が来なかったか…あっ!」




「誰…ですか?」

東風谷早苗が素っ気なく返した。

まずい、順番が逆になってしまった。自己紹介を先にしておくべきだった。
とは言え、自分が探し求めていた人間を見つけ出す事ができたのは大きな成果である。


当のスカートをはいた少年、ムラクモにも自分の事は覚えてくれていた。
恐らく、表情からしても確実にスカートを履かせられた事をまだ怒ってはいる様だが。
ムラクモの事は権兵衛が言っていた早苗達が見つけてくれた。
今生きているかはわからないが彼には感謝しておかなくてはなるまい。
早苗達は今参加者達を味方につけ大きな集団になっている。
自分が協力しない理由は無い。



現在遊星は早苗達の中に溶け込み、情報交換を進めていた。
今までであった人物、自分の居た世界の話、この会場に対する推測。
恐らく教えても問題ないだろうと判断した範囲まで遊星は話した。

情報交換の中で泉研には気をつけてほしいと星君に教えられた。
話からして朝方出会った黄色の少年の事だろう。
確かにあれは正義の味方という割には容赦がないというか、キチガイ染みた様子だった。
やはり殺し合いに乗っていたのか。

教えても問題ないだろうという範囲を選択する、砕いていえば全部教えない事であるが端から見ればそれは妙かもしれない。
別に遊星は早苗を疑っているわけではなかった。

問題は自分がこの館に入りしばらくして部屋から出てきた男ー海東純一というらしいーだ。

『海東には気をつけてください。明確な根拠があるわけはありませんが……あの男は怪しいです」

遊星は記憶を掘り起こす。
昼頃出会った権兵衛が自分との別れ際に聞かされたセリフである。

(海東純一か…確かに怪しいな…)

いわれてみれば確かに怪しい所がある。
早苗の憧れる人物だというが…



        __ ,.,.,. -‐==ミ            x==‐- .,.,., __
       /.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::}         {::::::::::::::::::::::::.:.:.`ヽ
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     /    _, ==ミ     ::ヽ           , ==ミ,_      ヽ
        〃_xく(:::じ::)`ヽ   .:::       ,ィ (:::じ::)`ヾx_
        ^ニ二二ニ''^ ノ .::}      ^ニニ二二ニ´
          ⌒>‐--   彡 .::|      ヾ..   --‐<⌒
        /           .:::|                   ヽ
                    .::::|  i
               /^ヽ.:::::|  i    ヽ
                 {  〃 .:       }
           /   ー-、      .-‐ ''     \
              /       ヽ. __ ,ノ          ヽ
          {           、_              }
             ::__.:.:.:.:.:.:.:.J.:.:.:.:.:.:.:.__;:
             ヽ i^Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y^i .ノ
                    \!._{__|__}_.!/
                      、:::::::::::::::::::::::::::,
                    `二二二二´


↑常にこんな引きつったような笑顔をした人間を信じろと言う方が難ではないのか。
雰囲気からして、少年少女達を纏める冷静な大人、と言った印象を受けるがそれには表情が場違いである。
人は見かけによらないとは言うが、初対面の人間には正直第一印象でしか判断できない。
権兵衛もまた同じ気持ちであったのだろう。


一応本来の海東はこんな朝から晩までオリジナル笑顔を振りまくような人間ではないのだが。
このバトルロワイアル会場はニコニコ動画バトルロワイアルであるという事を忘れてはならない。
奇妙なハサンダンスが強化されていたアサシン同様、知らぬ間にニーサンにもニコニコ補正がかかっているのだ。
こんなうさんくさい表情に本人が気づかないのも、その補正の一環である。



sm162:どうしてD・ホイールと合体しないんだ・・・ 時系列順 sm163:レ陰謀クルーズ(後編)
sm162:どうしてD・ホイールと合体しないんだ・・・ 投下順 sm163:レ陰謀クルーズ(後編)
sm150:伏線回収した淫夢くんUC 不動遊星 sm163:レ陰謀クルーズ(後編)
sm153:人探 HITO SAGA イカ娘 sm163:レ陰謀クルーズ(後編)
sm149:自分から騙されていくのか(困惑) 東風谷早苗 sm163:レ陰謀クルーズ(後編)
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