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Operation TomodachiⅢ~信仰はか弱き仲間の為に~ ◆czaE8Nntlw






「随分とひねりのないレーザーですね!寅丸さんのレーザーに比べれば子供だましもいいところです」

迫りくるレーザーを寸前で回避し、御幣でボディーに打撃を一発。
どこぞのげんじんしん(しかも自称)とは違い早苗は正真正銘の現人神である。
おまけに自機キャラの経験まであるのだ、ある程度の戦闘能力は保障されている。
電光戦車が相手とはいえ、少なくとも遊星よりは善戦していると言えた。

(あの娘、素人だと思っていたが中々やるな。場数は踏んでいるようだ…こちらの男は全くの素人のようだが)

冷静に戦いを観察するムラクモの視線の先では、遊星が必死にレーザーをかわしている。

「遊星さん、避けてるだけじゃ戦闘になりませんよ!“ガンガンいこうぜ”です!」
「無茶を言うな!俺はただのメカニックだぞ!」

電磁サイリウムを手に、電光戦車と二人の戦いを観戦している海東は相変わらずの笑顔。
だがその裏には隠し切れない焦りを抱いていた。

(外部AIの効果は十分間…それまでに倒せればいいが…)

正直、普通の少女だと思っていた早苗があそこまで強いとは予想外だった。
もちろん現時点では電光戦車が圧倒しているが、外部AIの効果が切れてしまえば電光戦車はただの置物。
そうなってしまえば自分の切り札はなくなってしまう。

(電光戦車を置いて逃げる訳にもいかない…クソッ、誤算だった…)

油断していなかった、と言えば嘘になるが、それなりに注意は払ってきた。
だからこそ権兵衛を排除し、早苗が隙を見せた時を狙ったのだ。
完璧であるかのように思われた作戦の、小さな綻び。それはやがて大きな穴へと広がっていくのだが…海東はまだそれに気付いてはいなかった。

──外部AIの効果が切れるまで、あと7分。

(あの戦車…攻撃手段が前方に集中しているな…加えて、素早い機動は不得手のようだ)

一方、役立たずに思える遊星も戦闘の中で少しづつ情報を集めていた。
言うまでもないが、遊星の本職はメカニック。機械についてはお手の物だ。
そんな遊星だからこそ見抜けた電光戦車の弱点。

(恐らく後ろに回り込めれば、隙が出来る。そこをひたすら突いてやればどうにかなるかもしれん)

だが戦車の後ろ側には海東がいる。回り込んだところで、妨害されるのがオチだ。

(だが…やるしかない!!)

遊星は手にした包丁を一層強く握り締め、早苗へと叫ぶ。

「早苗!!アイツの弱点は後ろだ!俺が合図したら後ろに回り込め!」
「分かりました!“めくり”ですね、遊星さん」

返事を聞くよりも先に、海東へ向けて突っこんでいく。
レーザーと機関銃の弾丸が降り注ぐ中を必死に走る。
弾丸が手足を掠めていくが、気にしてはいられない。ひたすら突き進む。
ようやく海東の姿を捉えた。包丁を振りかぶったまま地面を蹴り、一気に跳躍。
このまま海東を抑え込む。チャンスは飛び掛かる、その一瞬だけ。

「行け、早苗ぇぇぇ!!!」

──外部AIの効果が切れるまで、あと5分。

(電光戦車の弱点を見抜いた、か。あの男も只の馬鹿ではないようだな)

ムラクモはこの短時間の内に電光戦車の弱点を見抜いた遊星を静かに見つめる。
電光戦車の耐久力は凄まじい。だがその犠牲に機動力は著しく低く、咄嗟の移動にはついていけないという弱点がある。
どういう仕掛けかは分からないが、今戦っている電光戦車は従来型よりも強化されているらしい。しかし根本的な弱点は変わらないはずだ。

「秘術『グレイソーマタージ』!!」

遊星の合図を受けた早苗が宙を舞い、電光戦車を飛び越える。
着地と同時にスペルカードを宣言。機動の遅い電光戦車では振り向く隙も無い。
それを見越していたかのように大量の星が現れ、戦車へと突き刺さる。

「これだけやれば、少しは…」

だが、振り向いた戦車にダメージを受けている様子は無い。それどころか、未だに爆雷をばら撒き始めているではないか。

「まだ効いてないんですか!?硬すぎですよ!!」
(禁断の決戦兵器の力はこんなものでは無い。精々もがいて死ね、女)

──外部AIの効果が切れるまで、あと3分。

空中から落下する力を生かし、海東へ包丁の柄を叩き込む。
しかし遊星の試みは腕で防がれ、失敗に終わった。

「くッ!」

何とか体勢を立て直すが、受け身を取るよりも先に地面へと落下。

「どうした?反撃しないのか?」

悪意交じりの笑みで遊星を見下ろす海東。

「ああ、もちろんさせてもらう」
「それは良かった」

立ち上がろうとする遊星に腹パン。
怯む遊星に向けて海東は電磁サイリウムを振り上げ…

「そう簡単にやられるかよ」

そのまま地面へとうずくまる。
怯んだフリをして近づいてきたところへ強烈な頭突き。
海東は先程デルタイーグルに撥ね飛されている。常人ならば脳震盪を起こしていても不思議はない。
そんな状況で無理矢理に動いていたところへこの攻撃である、ともすれば気絶し兼ねない程のダメージを海東は受けていた。

「悪いが俺も喧嘩には慣れてるんだ。容赦はしないぜ」
「…いいでしょう。試してあげましょう、貴方の力を」

海東はサイリウムを、遊星は包丁を構える。

  デュエル・スタンバイ
「「決闘、開始!!!」」

──外部AIの効果が切れるまで、あと2分。


「これだけやってるのに、倒れないなんて…」

立木の陰に隠れたまま早苗は呟く。
もう何度になるのか分からないほど攻撃したはずだ。
御幣で殴り、御札を投げつけ、弾幕を撃ちこんだ。しかしあの戦車に効いている様子は全くない。
相手の攻撃は激しさを増していくばかりだ。レーザーが何発掠ったのか、何度爆雷の爆発に巻き込まれたか分からない。
今の自分はきっと見るからにボロボロの酷い状態だろう。加えて弾幕もいつものような調子が出せないのだ。
果たして、自分はあの戦車に勝てるのだろうか。
自分の実力ではどうしようもできない相手。
その現実に、早苗の闘志は急速に尽き果てようとしていた。

「神奈子様、諏訪子様、どうかお力を…!」

──外部AIの効果が切れるまで、あと1分。

海東のサイリウムが遊星のキチガイじみたデザインの服を切り裂く。
負けじと遊星も包丁を振るうが、その刃は虚しく宙を切った。

「いい振りだな。攻撃的だ」

苦戦する遊星に対し余裕を見せる海東。
海東の変身する仮面ライダーグレイブは剣術を得意とするライダーである。つまり海東にとって刃物の扱いはお手の物。
一方の遊星は刃物に関しては全くの素人。差が開くのは当然だ。
何も出来ないまま、遊星の身体には切り傷が増えていく。
身体中の至る所から流れ出る血は遊星の視界を赤く染め上げていった。

(こんなところで終わりか…?)

ふと、そんな考えが頭をよぎる。
このまま、負けるのか。何も反撃出来ずに、このまま────。

「おい、遊星」

どこかで聞いたことのある声。

「お前はこんなところで終わるのか?」

聞き間違えるはずはない。この声は、鬼柳京介だ。
親友であり、敵であった男。そんな親しくて懐かしい友人の声。

(走馬灯、か)

もう自分は死ぬのだろう。
何も出来ず、海東に屠られて。

「遊星、お前はそれで満足なのか?」

当然、満足できるはずがない。
仲間を裏切り、殺し合う男を放っておけるはずがない。
一発でも殴ってやらねば気が済まない。

「じゃあ殴れ。仲間を裏切ったソイツを殴れ。お前が満足出来る結果を選ぶんだ、遊星」

その通りだ。
俺は、自分が満足する事を諦めていた。
このまま、満足できないままで負けてなどいられるものか!
何の為かなんて関係ない。俺は、俺の満足の為だけにコイツを殴るッ!!

「こんなところですかね。そろそろ死んで貰いましょう」

言って、サイリウムを構える海東。
遊星はその姿を眺めて、笑った。

「そうだよなぁ、京介。────満足、しようぜ!!!!」

回避の隙さえ与えない、凄まじいスピードで放たれた左フック。
顔面へと綺麗に入り込んだそれは海東の脳を激しく揺らす。
その威力は傷を負った海東の意識を吹き飛ばすには余りあるものだった。

「リアルファイトが下手なようじゃ、デュエリストとしてはまだまだだな」

──外部AIの効果、消失。

(戦車の攻撃が、止んだ…?)

外部AIの効果が切れた瞬間、電光戦車は機能を停止。
予想外の展開に早苗は驚きを隠せずにいたが、ムラクモは冷静に事態を把握していた。

(自律機能の停止か?いや、今までそんな事例は聞いたことが無い。…恐らくは外部からの操作が停止した、というところか)
「電池切れですかね…?電池の蓋がどこかに…ってそんなことより遊星さん!」

暫く電光戦車のボディーを撫で回していた早苗は頓狂な声を上げて遊星の元へと駆け寄っていく。
その場に残されたのはムラクモと電光戦車。

「…チャンスだな」




「遊星さん、無事でしたか」
「何とかな。お前も無事みたいで何よりだ」

身体中を血に滲ませて、遊星は薄く笑みを浮かべる。
傷口は酷いが、出血量はさほど多くない。
手当てをすればなんとかなるだろう。

「海東さんは?」
「あそこで伸びてるよ」

海東は地面に倒れ伏したまま、ぴくりとも動かない。脳震盪でも起こしているのだろう。

「デイパックも回収しておいたし、とりあえずはこの男も満足に行動できないだろうな」

そう言いながらデイパックを早苗に渡し、遊星は立ち上がる。
身体は痛むがそれよりも勝治達の行方が気になるし、あの少年も気掛かりだ。
と、そこで遊星は重大な事実に気付く。
少年が居ない。
さんざん探し回った少年は、戦車と共にかき消すように消えていた。

「…おい、早苗?あの少年は」

どこだ、と遊星が問おうとした瞬間、空に刻み込むような吼え声が響いた。

「…この声って」
「ああ。…権兵衛、だろうな」

ついさっき話したばかりの相手。
ついさっきまで一緒にいた相手。
そんな人物が発した咆哮に、二人は戸惑いを隠せない。
そして、一拍置いてまた声が響く。

『────アルセーヌさん、リュウセイ君、聞こえますか?他の誰でもいい、これを聞いている人は助けて下さい!私の仲間が死にそうなんです!!』

二度目の声の主はシャーロックだ。
その声が告げていたのは仲間が死にそうだという悲痛な叫び。
権兵衛の遠吠えとシャロの救援要請。彼らに何が起こったのか、遊星にはそれだけで理解できた。

「もしかして、権兵衛さん達に何かあったんじゃ…」

もしかしなくてもそうに決まっている。
今すぐ助けに向かわなければ彼らは全員死ぬだろう。
だが、行方不明の少年もまた気にかかる。

(今は一刻も早く少年と合流したいところだが…見捨ててはいけないな)

行方不明の少年は気になるが、今は死にそうな仲間の方を優先するべきだろう。

「よし、行くぞ早苗」
「はい!」

遊星はデルタイーグルのエンジン音を聞きながら心の中で懺悔する。

(許せよ…少年)



◆◆◆




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