Operation TomodachiⅠ~開戦~ ◆czaE8Nntlw
「サリーよ、今度は誰を潰すのだ?」
下劣な笑みを浮かべてベアトリーチェは無線機へ話し掛けた。
サリーと呼ばれた無線越しの男は溜息を吐きながらも嬉しそうに応える。
サリーと呼ばれた無線越しの男は溜息を吐きながらも嬉しそうに応える。
「全く、お前は随分と仕事熱心だなベアトリーチェ。ま、こちらとしちゃその方が有難い。
そうだな、今度は仲良しこよしなグループ…勝治、権兵衛、シャーロックあたりを潰して貰おう。戦闘能力はあまり高くないから、そう手間取りはしないさ」
「分かった。すぐに潰して来よう」
そうだな、今度は仲良しこよしなグループ…勝治、権兵衛、シャーロックあたりを潰して貰おう。戦闘能力はあまり高くないから、そう手間取りはしないさ」
「分かった。すぐに潰して来よう」
偽情報を流すのもいいが、やはり弱者を叩き潰すには直接手を下す方が早い。
何より、先程の女が思い通りに動かなかったせいで不満が溜まっているのだ。
勝治達には悪いが、ストレス解消の相手になってもらうとしよう。
これから訪れる殺戮を思い、ベアトリーチェは笑う。
何より、先程の女が思い通りに動かなかったせいで不満が溜まっているのだ。
勝治達には悪いが、ストレス解消の相手になってもらうとしよう。
これから訪れる殺戮を思い、ベアトリーチェは笑う。
「フン、精々あがいて貰うとしよう。アカンパニーオン。勝治達の場所へ」
◆◆◆
「…勝治さん、どうやらまた貴方のお名前が呼ばれたようですが」
毎度お馴染みとなった死ぬ死ぬ詐欺に対して権兵衛が冷静に突っ込みを入れる。
もちろん背中に乗っている勝治もついさっき少しばかり気絶してはいたが、健康そのものである。
もちろん背中に乗っている勝治もついさっき少しばかり気絶してはいたが、健康そのものである。
「これで三度目ですよ…どうなってるのか、僕にも全く分からない」
「やっぱり、首輪が壊れて…?」
「いや、それは無いでしょう。そもそも首輪が壊れているのなら、二回目で気づくはずです。
それなのに、対策をしていないということは…やはり何か思惑があるのでしょうね」
「やっぱり、首輪が壊れて…?」
「いや、それは無いでしょう。そもそも首輪が壊れているのなら、二回目で気づくはずです。
それなのに、対策をしていないということは…やはり何か思惑があるのでしょうね」
何度も死んだ事にされては、その度に放送で名前を挙げられる勝治。
何故主催がその様な無意味な行動をするのか、権兵衛は未だその真意を図りかねていた。
実際は真意も糞も無いただの主催の悪ノリによるものに過ぎないのだが、権兵衛達がそんな事を知る由もない。
何故主催がその様な無意味な行動をするのか、権兵衛は未だその真意を図りかねていた。
実際は真意も糞も無いただの主催の悪ノリによるものに過ぎないのだが、権兵衛達がそんな事を知る由もない。
そんな静かな考察は、突然の襲撃者によって中断させられる。
「犬っころと探偵、それに…フン、死にぞこないか。ずいぶんと手応えの無い連中だねえ」
ついさっきまで何も無かったはずの空間に現れた、中世ヨーロッパ風のドレスに身を包んだ妙齢の女性。
彼女は二人と一匹を見回して醜悪な笑みを浮かべ、空中からナイフを取り出して弄びながら言う。
それと同時に姿を消したかと思うと、次の瞬間には眼鏡を掛けた青年へとその姿を変化させていた。
彼女は二人と一匹を見回して醜悪な笑みを浮かべ、空中からナイフを取り出して弄びながら言う。
それと同時に姿を消したかと思うと、次の瞬間には眼鏡を掛けた青年へとその姿を変化させていた。
「こんにちは、譲治だよ」
口調こそ丁寧だったものの、そこにはぞっとするような凄みが隠れている。
そのことを三人はひしひしと感じていた。
殺される。
ボーガーや妖怪、トイズの使えない探偵では太刀打ちできる相手ではない。
権兵衛は二人を背中から下ろし、緊迫した口調で告げた。
そのことを三人はひしひしと感じていた。
殺される。
ボーガーや妖怪、トイズの使えない探偵では太刀打ちできる相手ではない。
権兵衛は二人を背中から下ろし、緊迫した口調で告げた。
「勝治さん、シャーロックさんをよろしくお願いします」
「え、でも権兵衛さんは…」
「私は妖怪です。並みの人間よりは戦える。それに、首輪の情報…あれを東風谷さんに伝えてもらわないと」
「でも、そんなのって!権兵衛さん、殺されちゃいますよ!!」
「シャーロックさん、貴方は探偵でしょう。ならば一人でも多くの人を助けなければならない。
それは妖怪である私が戦わなくてはならないのと同じように、大事な役割です。貴方はそれを果たして下さい」
「え、でも権兵衛さんは…」
「私は妖怪です。並みの人間よりは戦える。それに、首輪の情報…あれを東風谷さんに伝えてもらわないと」
「でも、そんなのって!権兵衛さん、殺されちゃいますよ!!」
「シャーロックさん、貴方は探偵でしょう。ならば一人でも多くの人を助けなければならない。
それは妖怪である私が戦わなくてはならないのと同じように、大事な役割です。貴方はそれを果たして下さい」
抗議するシャロに向かって静かに微笑みながら、権兵衛は言う。
そこにある意志を勝治は汲み取らずにいられなかった。
ボーガーは命懸けで勝負を行う。勝治やリュウセイ、ケンだって命を失ったのは一度や二度ではない。
それでも、決して逃げずにボーグバトルに向かう漢達。
権兵衛の目には、その漢と同じ不屈の闘志が宿っていた。
そこにある意志を勝治は汲み取らずにいられなかった。
ボーガーは命懸けで勝負を行う。勝治やリュウセイ、ケンだって命を失ったのは一度や二度ではない。
それでも、決して逃げずにボーグバトルに向かう漢達。
権兵衛の目には、その漢と同じ不屈の闘志が宿っていた。
「…行こう、シャーロックちゃん」
「……分かりました。死なないで下さいね、必ず勝って下さいね」
「……分かりました。死なないで下さいね、必ず勝って下さいね」
二人は振り返らずに走り出した。俯きながら、それでも決して振り返らずに。
◆◆◆
甘い。
自分に背を向けたままうずくまる早苗に、海東はニヤついた笑みを隠さずにはいられなかった。
知り合いでも亡くしたのか、時折落胆したような表情で手許のメモ帳に放送の内容を書き込んでいく早苗。
その背中には一切の注意というものがなく、無防備極まりない。
仮面ライダーというだけで自分をここまで信用し、一寸の疑いもなく背中まで向けてしまう。
ここまで来ればもはやお人好しというより、単なる馬鹿と言っていい。
権兵衛という邪魔者が居なくなった今、この場にいるのは自分と早苗、それに無力な少年のみ。
その気になればいつだって殺せるのだ、もはやこの空間を自分は完全に支配している。
海東は電磁サイリウムに手を伸ばし、より一層口許を歪ませた。
最初のターゲットは東風谷早苗。
まず彼女を消して、それから恐怖に怯えている少年を殺す。
この顛末を知ればあのいけ好かない妖怪も冷静ではいられまい。
きっと自分の判断の間違いに苦悩することだろう。ああ、愉快だ。
その光景を想像しながら、海東は早苗の無防備な背中へとサイリウムを向けた。
自分に背を向けたままうずくまる早苗に、海東はニヤついた笑みを隠さずにはいられなかった。
知り合いでも亡くしたのか、時折落胆したような表情で手許のメモ帳に放送の内容を書き込んでいく早苗。
その背中には一切の注意というものがなく、無防備極まりない。
仮面ライダーというだけで自分をここまで信用し、一寸の疑いもなく背中まで向けてしまう。
ここまで来ればもはやお人好しというより、単なる馬鹿と言っていい。
権兵衛という邪魔者が居なくなった今、この場にいるのは自分と早苗、それに無力な少年のみ。
その気になればいつだって殺せるのだ、もはやこの空間を自分は完全に支配している。
海東は電磁サイリウムに手を伸ばし、より一層口許を歪ませた。
最初のターゲットは東風谷早苗。
まず彼女を消して、それから恐怖に怯えている少年を殺す。
この顛末を知ればあのいけ好かない妖怪も冷静ではいられまい。
きっと自分の判断の間違いに苦悩することだろう。ああ、愉快だ。
その光景を想像しながら、海東は早苗の無防備な背中へとサイリウムを向けた。
くだらない、というのがムラクモの正直な感想だった。
もこみちが死んだ、という放送を聞いて少し気分を良くしていたところで、いきなりあのニヤついた男が女に武器を突き付けて「動くな!」と言い放った。
それだけだ。
男にしてみれば人質のつもりなのだろうが、そもそもムラクモにとっては女が殺されようと関係無い。
むしろ殺してくれた方がこちらも行動しやすくなるし、色々と都合が良いのだ。
だから止めはしない。どちらが死のうと知った事か。
生き残った方を殺し、武器を頂く。
どちらが勝つか、精々楽しませて貰うとしよう。
もこみちが死んだ、という放送を聞いて少し気分を良くしていたところで、いきなりあのニヤついた男が女に武器を突き付けて「動くな!」と言い放った。
それだけだ。
男にしてみれば人質のつもりなのだろうが、そもそもムラクモにとっては女が殺されようと関係無い。
むしろ殺してくれた方がこちらも行動しやすくなるし、色々と都合が良いのだ。
だから止めはしない。どちらが死のうと知った事か。
生き残った方を殺し、武器を頂く。
どちらが勝つか、精々楽しませて貰うとしよう。
首筋に冷たい質感を感じながら、早苗は混乱していた。
どうして。
仮面ライダーは正義の味方ではないのか。
髪の毛を掴まれながら、海東へ問う。
どうして。
仮面ライダーは正義の味方ではないのか。
髪の毛を掴まれながら、海東へ問う。
「海東さんっ…どうして、こんな…仮面ライダーは、正義の味方じゃないんですか…?」
海東は相変わらずニヤついた表情のまま早苗へ腹パンを食らわせ、声色一つ変えずに答えた。
「( ^U^)申し訳ございません、このような裏切り者で。…さようなら」
電磁サイリウムを振り上げる海東。
(フン…決したか)
ムラクモが興味なさげに目を背けた、丁度その時だった。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
乱入者が出現したのは。
デルタイーグルを駆る乱入者はスピードを緩めずに二人に向かって突撃し、そのまま海東を撥ね飛ばす。
デルタイーグルを駆る乱入者はスピードを緩めずに二人に向かって突撃し、そのまま海東を撥ね飛ばす。
「ぐっ!!」
「きゃっ!!」
「きゃっ!!」
数メートルも撥ね飛ばされ、地面にうずくまる海東。
乱入者はそれを認めてから地面へ倒れ込んだ早苗へと手を伸ばし、デルタイーグルから降りる。
乱入者はそれを認めてから地面へ倒れ込んだ早苗へと手を伸ばし、デルタイーグルから降りる。
「どうにか間に合ったな…大丈夫か?俺は不動遊星。あんたの仲間に頼まれて来た」
(アイツは…あの時のッ……!!)
(アイツは…あの時のッ……!!)
不動遊星。
ショタと化したムラクモにスカートを穿かせた張本人である。
ショタと化したムラクモにスカートを穿かせた張本人である。
(コイツ…生かしてはおかん!!)
「ええ、なんとか。ありがとうございます。あっ、私は東風谷早苗といいます。よろしく、遊星さん」
「ああ、よろしく。ともかく無事で良かった。ところで…」
「ああ、よろしく。ともかく無事で良かった。ところで…」
会話中の二人の傍らで静かに殺意を募らせるムラクモ。
そんな感情を抱いているとは露ほども思わず、遊星は嬉しそうに話掛ける。
そんな感情を抱いているとは露ほども思わず、遊星は嬉しそうに話掛ける。
「無事だったか少年。心配したぞ」
「あ、あれっ!」
「あ、あれっ!」
ムラクモが行動を起こそうとするより先に、早苗が頓狂な声を上げた。
その視線の先では、海東が頭を押さえながらも立ち上がろうとしていた。
その視線の先では、海東が頭を押さえながらも立ち上がろうとしていた。
「まだ意識があったか…君は少年と逃げてくれ!ここは俺が」
「お断りします。そんな死亡フラグ全開の台詞吐かれて見捨てられる訳ないでしょう」
「お断りします。そんな死亡フラグ全開の台詞吐かれて見捨てられる訳ないでしょう」
包丁を構える遊星と、それに付き従うように立ちふさがる早苗。
「…いい台詞だ、感動的だな。だが無意味だ。行け、電光戦車」
頭から血を流しながらも張り付いた笑顔を絶やさぬまま、海東は電光戦車を起動させる。
「おい、なんだよコイツは!」
狼狽する遊星の隣で、早苗は海東を真っ直ぐに睨み付けて言った。
「海東さん、貴方は仮面ライダーの力を悪事に使おうとした。ライダーファンとして許しがたい行為です」
「私は感謝しているんだ早苗、私は貴方のお蔭で武器を手に入れられた。今度は私がお前を救ってあげよう」
「私は感謝しているんだ早苗、私は貴方のお蔭で武器を手に入れられた。今度は私がお前を救ってあげよう」
戦闘の始まりを告げるように、機関銃の弾丸が二人へと降り注ぐ。
(電光戦車まで支給されていたとはな…まぁいい。どちらにせよアレは私が手に入れる)
予想もしなかった嬉しい誤算にムラクモは押し殺した笑みを浮かべた。
電光戦車は強力な武器だ、手に入れれば戦局を覆す事とて容易に出来る。
相変わらずどちらが勝つかなどという事に興味はない。
どちらが死のうが電光戦車は頂く。
電光戦車は強力な武器だ、手に入れれば戦局を覆す事とて容易に出来る。
相変わらずどちらが勝つかなどという事に興味はない。
どちらが死のうが電光戦車は頂く。
(いよいよもって面白くなってきたな。少しは楽しめそうだ)
それぞれが異なる思惑を抱いたまま、戦闘は加速していく。
闘いの終わり、最後に勝ち残るのは一体誰なのだろうか。
闘いの終わり、最後に勝ち残るのは一体誰なのだろうか。
◆◆◆
sm128:希望の船 | 時系列順 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm128:希望の船 | 投下順 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | シャーロック・シェリンフォード | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | 松岡勝治 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | 権兵衛 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | 不動遊星 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | 海東純一 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | ムラクモ | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm124必ず無事で…… | 東風谷早苗 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm125胴長のクマにカブトボーグを与えてみた | ルシフェル | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm70第一回定時放送 | サリー | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |
sm119激戦の!ソウル・バーニングバトル! | 右代宮譲治 | sm129Operation TomodachiⅡ~未来への咆哮~ |