恐怖の終わり/恐怖の誕生 ◆ei404TFNOs
ジャックは走りながらも、後方のブルーベリー色の巨人、青鬼目掛けてて次々とカードを放つ。
しかし、無数に放たれたカードは青鬼の身体に傷をつける事もできず、その頑強な肉体に弾かれる。
「……っく」
疲労した足では青鬼との距離を開けられず、足止めに放ったカードも効かない。このままでは追いつかれるのは時間の問題だ。
ジャックには青鬼から逃れる方法が全く浮かばなかった。そもそも彼は今まで逃げるという行為をしたことがない。障害となるものは全てその力で打ち倒して来たのだ。
そんな彼が今更敵から逃げる方法など思いつく筈がない。ならば、取るべき道は一つだ。
しかし、無数に放たれたカードは青鬼の身体に傷をつける事もできず、その頑強な肉体に弾かれる。
「……っく」
疲労した足では青鬼との距離を開けられず、足止めに放ったカードも効かない。このままでは追いつかれるのは時間の問題だ。
ジャックには青鬼から逃れる方法が全く浮かばなかった。そもそも彼は今まで逃げるという行為をしたことがない。障害となるものは全てその力で打ち倒して来たのだ。
そんな彼が今更敵から逃げる方法など思いつく筈がない。ならば、取るべき道は一つだ。
ジャックは振り返り、青鬼目掛けて走りだす。と同時に青鬼に向かってカードを放った。狙いは目だ。さすがに青鬼も目に攻撃を受けるわけにはいかないだろう。青鬼はヒラリマントを振るい、カードを逸らした。
だが、目の前でヒラリマントを振った為に視界に隙が出来た。ジャックは一気に青鬼に肉薄する。カードを手に持ち、青鬼の瞳目掛けて切り裂く。だが青鬼は首を僅かに動かす事で狙いを瞳から逸らした。
カードは青鬼の瞳の僅か横に当たり、折れ曲がった。
ジャックは後ろに飛び退こうとするが、それよりも速く、青鬼の拳がジャックの腹部を捉えた。ジャックはボールの様に吹き飛び、地面に身体を打ち付ける。
だが、目の前でヒラリマントを振った為に視界に隙が出来た。ジャックは一気に青鬼に肉薄する。カードを手に持ち、青鬼の瞳目掛けて切り裂く。だが青鬼は首を僅かに動かす事で狙いを瞳から逸らした。
カードは青鬼の瞳の僅か横に当たり、折れ曲がった。
ジャックは後ろに飛び退こうとするが、それよりも速く、青鬼の拳がジャックの腹部を捉えた。ジャックはボールの様に吹き飛び、地面に身体を打ち付ける。
「……ぐっ!」
青鬼が迫ってくる。ジャックは立ち上がろうとするが、痛みで身体が思うように動かない。
その間に青鬼はすぐ側まで来ていた。獲物を食わんと大きく口を開ける。
ジャックはデッキケースからカードを取り出す。しかし、間に合わない。ジャックがカードを放つよりも青鬼に食われる方が速い。
ダメかと思ったその時、突如青鬼の背後で床が崩れる音がし、二人は思わず、一瞬だけ音のした方を向いた。
青鬼が迫ってくる。ジャックは立ち上がろうとするが、痛みで身体が思うように動かない。
その間に青鬼はすぐ側まで来ていた。獲物を食わんと大きく口を開ける。
ジャックはデッキケースからカードを取り出す。しかし、間に合わない。ジャックがカードを放つよりも青鬼に食われる方が速い。
ダメかと思ったその時、突如青鬼の背後で床が崩れる音がし、二人は思わず、一瞬だけ音のした方を向いた。
二人は同時に気を持ち直し、相手を攻撃しようとする。今度はジャックの方が速い。
少し視線をズラすだけだったジャックと違い、青鬼は後ろを見る為に振り返った。そこに差が生まれたのだ。
カードで青鬼の右目を切り裂く。青鬼は痛みに怯みながらも腕を振るうが、ジャックは後方に飛び退き、それを避けた。
少し視線をズラすだけだったジャックと違い、青鬼は後ろを見る為に振り返った。そこに差が生まれたのだ。
カードで青鬼の右目を切り裂く。青鬼は痛みに怯みながらも腕を振るうが、ジャックは後方に飛び退き、それを避けた。
「フンッ、この程度なら初めから逃げる必要などなかったな」
ジャックは挑発する様に言う。しかし、今の一撃は偶然のものに過ぎない。
片目を失ったと言っても身体は先程までと同じように動く。対してこちらは青鬼の攻撃を二度もまともに受けている。肋骨の二、三本は持っていかれたかもしれない。
だが、ジャックには諦める気などない。血を流しながらこちらを睨む青鬼を負けじと、睨み返す。
そして、青鬼が走りだそうとした、瞬間。
「scalp(斬)」
「トゥットゥルー!」
ジャックは挑発する様に言う。しかし、今の一撃は偶然のものに過ぎない。
片目を失ったと言っても身体は先程までと同じように動く。対してこちらは青鬼の攻撃を二度もまともに受けている。肋骨の二、三本は持っていかれたかもしれない。
だが、ジャックには諦める気などない。血を流しながらこちらを睨む青鬼を負けじと、睨み返す。
そして、青鬼が走りだそうとした、瞬間。
「scalp(斬)」
「トゥットゥルー!」
銀の刃が青鬼の身体を横に薙ぎ。そのまま壁に叩きつけた。
ジャックは銀の刃の根本の方を見た。
そこには床の穴を塞ぐように広がった水銀の上に立つ、ケイネスの姿があった。
「ケイネス、お前、逃げたのではなかったのか!」
「私を見くびらないでもらおうか、ジャック。このケイネス・エルメロイ・アーチボルト、敵を前にして逃げ出す様な腑抜けではない」
ケイネスは水銀から降り、青鬼の方に目を向けた。
青鬼は、チタン鋼やダイヤモンドすら切り裂く月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の刃を受けてなお、大したダメージを負っていなかった。
そこには床の穴を塞ぐように広がった水銀の上に立つ、ケイネスの姿があった。
「ケイネス、お前、逃げたのではなかったのか!」
「私を見くびらないでもらおうか、ジャック。このケイネス・エルメロイ・アーチボルト、敵を前にして逃げ出す様な腑抜けではない」
ケイネスは水銀から降り、青鬼の方に目を向けた。
青鬼は、チタン鋼やダイヤモンドすら切り裂く月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の刃を受けてなお、大したダメージを負っていなかった。
「ほう、さすがは化け物だ。身体だけは頑丈な様だな」
ケイネスは小馬鹿にする様に言う。
青鬼は今の言葉に対してか、先程の一撃に対してか、怒りの感情を残った左目に浮かべ、ケイネスを睨んでいる。
「どうした化け物。ここまで来てみろ」
ケイネスは床をブック・オブ・ジエンドで叩き挑発する。
ケイネスは小馬鹿にする様に言う。
青鬼は今の言葉に対してか、先程の一撃に対してか、怒りの感情を残った左目に浮かべ、ケイネスを睨んでいる。
「どうした化け物。ここまで来てみろ」
ケイネスは床をブック・オブ・ジエンドで叩き挑発する。
青鬼がケイネスに向かって突進する。ケイネスはそれを撃退せず、一歩後ろに下がった。
青鬼がケイネスまであと一歩という所まで迫った時、青鬼を乗せた床が突然崩れ始めた。
ケイネスがブック・オブ・ジエンドでここの床は脆くなっているという記憶を挟み込んだのだ。
青鬼は床と共に落ちていった。だがケイネスの攻撃はこれからだ。
月霊髄液で天井を壊し、階下へ落とす。さらに上の階の天井も落とす。さらに上の階、さらに上の階。月霊髄液の射程内にある全ての階の天井を青鬼へ落とした。
瓦礫が山の様に積み上がり、下に居るものへ膨大な重量をかける。さすがの青鬼もこの重さには耐えられないだろう。仮に耐えられたとしても、この瓦礫の中から脱出する事は不可能だ。
ジャックがあれだけ苦戦した青鬼との戦いは、ケイネスの手によって呆気なく終わり、それを告げるかの様に、辺りにサイレンの音が響いた。そしてそのすぐ後に放送が始まった。
青鬼がケイネスまであと一歩という所まで迫った時、青鬼を乗せた床が突然崩れ始めた。
ケイネスがブック・オブ・ジエンドでここの床は脆くなっているという記憶を挟み込んだのだ。
青鬼は床と共に落ちていった。だがケイネスの攻撃はこれからだ。
月霊髄液で天井を壊し、階下へ落とす。さらに上の階の天井も落とす。さらに上の階、さらに上の階。月霊髄液の射程内にある全ての階の天井を青鬼へ落とした。
瓦礫が山の様に積み上がり、下に居るものへ膨大な重量をかける。さすがの青鬼もこの重さには耐えられないだろう。仮に耐えられたとしても、この瓦礫の中から脱出する事は不可能だ。
ジャックがあれだけ苦戦した青鬼との戦いは、ケイネスの手によって呆気なく終わり、それを告げるかの様に、辺りにサイレンの音が響いた。そしてそのすぐ後に放送が始まった。
「鬼柳が死んだ?」
ジャックは事実がイマイチ信じられなかった。
同じ人物を二度言うなど、元から怪しい放送というのもあるし、鬼柳が簡単に死ぬとも思えなかった。
その為、さほどショックを受ける事もなく、他に知り合いがいるか確認しようと名簿を見る。
ジャックは事実がイマイチ信じられなかった。
同じ人物を二度言うなど、元から怪しい放送というのもあるし、鬼柳が簡単に死ぬとも思えなかった。
その為、さほどショックを受ける事もなく、他に知り合いがいるか確認しようと名簿を見る。
名簿には鬼柳京介の他にも、友であり、ライバルでもある男、不動遊星の名前があった。
「遊星、お前も来ているのか」
遊星がいることを頼もしくこそ思えど、ショックを受けはしなかった。遊星ならこんな所で死ぬ筈がないと信じているからだ。
プラシドという名もジャックの知る名前ではあったが、あの男は既に死んでいる。同名の別人だろうと思い、深く考えはしなかった。
「遊星、お前も来ているのか」
遊星がいることを頼もしくこそ思えど、ショックを受けはしなかった。遊星ならこんな所で死ぬ筈がないと信じているからだ。
プラシドという名もジャックの知る名前ではあったが、あの男は既に死んでいる。同名の別人だろうと思い、深く考えはしなかった。
「ケイネス、お前の知り合いはいるか?」
ジャックはケイネスの知り合いはいるのか聞こうとした。しかし、ケイネスは名簿の確認もせず、エレベーターの方へ歩いていた。
「ケイネス、どうした」
ジャックはケイネスを追う。
「私にはやる事がある。名簿を見るのはそれが終わってからだ」
「やる事が? なんだそれは」
「メアリーを埋葬する」
その言葉にジャックはいたたまれない思いがしたが、意を決し、言う。
「……ケイネス、メアリーはお前の娘では……」
「わかっている!」
ケイネスは遮る様に言った。
「そんな事はわかっているんだ! だが、それでも、それでもだ!」
ジャックはケイネスの知り合いはいるのか聞こうとした。しかし、ケイネスは名簿の確認もせず、エレベーターの方へ歩いていた。
「ケイネス、どうした」
ジャックはケイネスを追う。
「私にはやる事がある。名簿を見るのはそれが終わってからだ」
「やる事が? なんだそれは」
「メアリーを埋葬する」
その言葉にジャックはいたたまれない思いがしたが、意を決し、言う。
「……ケイネス、メアリーはお前の娘では……」
「わかっている!」
ケイネスは遮る様に言った。
「そんな事はわかっているんだ! だが、それでも、それでもだ!」
その言葉に込められた複雑な感情はジャックにもわかった。
頭では理解出来ているが、未だ記憶の上ではメアリーは大切な仲間の一人だ。
自力で気づいたからかケイネス程でないが、メアリーの死を痛む気持ちはジャックにもある。
「……わかった。俺も手伝おう」
だからジャックは、純粋に自分もメアリーを供養しようと思った。
ケイネスはこちらを見て何か言おうと口を動かす。だが、結局なにも言わなかった。
頭では理解出来ているが、未だ記憶の上ではメアリーは大切な仲間の一人だ。
自力で気づいたからかケイネス程でないが、メアリーの死を痛む気持ちはジャックにもある。
「……わかった。俺も手伝おう」
だからジャックは、純粋に自分もメアリーを供養しようと思った。
ケイネスはこちらを見て何か言おうと口を動かす。だが、結局なにも言わなかった。
エレベーターの前には月霊髄液が開けた穴がある。正面に立てるのは一人が限界だった。
ケイネスが正面に立ってボタンに手を伸ばし、ジャックはその横で何気なくエレベーターの上にある階数表示を見る。
エレベーターは二階にある。ケイネスがボタンを押せばすぐに扉は開き、下に降りられるだろう。しかし、ジャックは違和感を感じた。
(エレベーターが二階にある? ケイネスはエレベーターで一階に降りたあと、天井を壊し、二階に上がってきた。
ならばなぜ、エレベーターが二階にある……」
その時、ジャックの脳に電流が走った。
「やめろ、ケイネス。ボタンを押すな!」
ジャックは走りだし、叫ぶ。だが手遅れだった。ケイネスは既にボタンを押し終えたあとだ。エレベーターの扉が開き、中にいたのは……
ケイネスが正面に立ってボタンに手を伸ばし、ジャックはその横で何気なくエレベーターの上にある階数表示を見る。
エレベーターは二階にある。ケイネスがボタンを押せばすぐに扉は開き、下に降りられるだろう。しかし、ジャックは違和感を感じた。
(エレベーターが二階にある? ケイネスはエレベーターで一階に降りたあと、天井を壊し、二階に上がってきた。
ならばなぜ、エレベーターが二階にある……」
その時、ジャックの脳に電流が走った。
「やめろ、ケイネス。ボタンを押すな!」
ジャックは走りだし、叫ぶ。だが手遅れだった。ケイネスは既にボタンを押し終えたあとだ。エレベーターの扉が開き、中にいたのは……
大きく口を開けたブルーベリー色の巨人。
ジャックはケイネスを突き飛ばす。青鬼の歯が左胸に刺さった。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは生まれついての天才だった。
人生においておよそ、失敗というものを経験した事がない。あらゆる出来事を自分の思い通りになしてきた。
もし自分の思い通りにならなかったとすれば、その原因は自分の失敗ではなく、他の何かによるものだ。
その考えはここに来てからも変わっていない。ソラウの死も、メアリーの死も、自分の失敗によるものとは考えていなかった。
だから、エレベーターの中にブルーベリー色の巨人が見えた時、とっさに動く事が出来なかった。
自分が敵を『仕留め損なった』という、有り得ない事態に、動く事が出来なかったのだ。
人生においておよそ、失敗というものを経験した事がない。あらゆる出来事を自分の思い通りになしてきた。
もし自分の思い通りにならなかったとすれば、その原因は自分の失敗ではなく、他の何かによるものだ。
その考えはここに来てからも変わっていない。ソラウの死も、メアリーの死も、自分の失敗によるものとは考えていなかった。
だから、エレベーターの中にブルーベリー色の巨人が見えた時、とっさに動く事が出来なかった。
自分が敵を『仕留め損なった』という、有り得ない事態に、動く事が出来なかったのだ。
「ジャック!」
目の前には青鬼に噛まれ、血を流しているジャックの姿が見える。
ケイネスはすぐさま月霊髄液に青鬼を攻撃させようとする。しかし、青鬼がジャックを月霊髄液の方へ投げた為にそれは出来なかった。
月霊髄液を使えない事を理解しているのか、いないのか。青鬼はケイネスに向かって走ってくる。ケイネスはとっさにデイパックからあるものを投げた。
それは機能停止した草薙京のクローン。青鬼の目的が捕食なら、これでも十分囮になる筈だ。
案の定、青鬼は草薙京のクローンに文字通り、食らいついた。その隙に月霊髄液にジャックを抱えさせ逃走を図る。
目の前には青鬼に噛まれ、血を流しているジャックの姿が見える。
ケイネスはすぐさま月霊髄液に青鬼を攻撃させようとする。しかし、青鬼がジャックを月霊髄液の方へ投げた為にそれは出来なかった。
月霊髄液を使えない事を理解しているのか、いないのか。青鬼はケイネスに向かって走ってくる。ケイネスはとっさにデイパックからあるものを投げた。
それは機能停止した草薙京のクローン。青鬼の目的が捕食なら、これでも十分囮になる筈だ。
案の定、青鬼は草薙京のクローンに文字通り、食らいついた。その隙に月霊髄液にジャックを抱えさせ逃走を図る。
通路を曲がり、青鬼の視界から逃れるとジャックを床に下ろし、傷の具合を確認した。もはや手の施しようがない事が一目でわかる傷だった。
ケイネスは歯噛みする。
「……ケイネス」
ジャックがケイネスを呼ぶ。とても弱々しい声で。
「なんだ。ジャック」
喋るなとは言わない。もう助からない事はわかりきっている。ならばせめて最後の言葉くらい聞いてやりたい。
「ここには……俺の仲間が二人来ている……不動遊星と……鬼柳京介だ。
鬼柳はさっき……放送で呼ばれていたが……アイツがそう簡単に死ぬとは思えん」
ケイネスは何も言わず、ジャックの言葉に耳を傾ける。
「……二人を……頼む……遊星は凄腕のメカニックだ……アイツなら……首輪も外せるだろう」
「……ああ。わかった」
ケイネスは頷く。そしてしばしの沈黙を挟んだあと、口を開いた。
ケイネスは歯噛みする。
「……ケイネス」
ジャックがケイネスを呼ぶ。とても弱々しい声で。
「なんだ。ジャック」
喋るなとは言わない。もう助からない事はわかりきっている。ならばせめて最後の言葉くらい聞いてやりたい。
「ここには……俺の仲間が二人来ている……不動遊星と……鬼柳京介だ。
鬼柳はさっき……放送で呼ばれていたが……アイツがそう簡単に死ぬとは思えん」
ケイネスは何も言わず、ジャックの言葉に耳を傾ける。
「……二人を……頼む……遊星は凄腕のメカニックだ……アイツなら……首輪も外せるだろう」
「……ああ。わかった」
ケイネスは頷く。そしてしばしの沈黙を挟んだあと、口を開いた。
「なあ、ジャック。お前はどうしてそこまで私を信じられる。私は一度お前を殺そうとした男だぞ。仲間にも同じ事をするとは思わないのか。
そもそも、どうして私を助けた。こんな誰が敵かもわからない場所で、会って間もない男を……」
ジャックは何をバカな事をというふうに笑った。
「お前……も……」
そこから先が言われる事はなかった。
ジャックの身体から力が抜け、段々と冷たくなっていった。
「ジャック……」
涙は流れなかった。涙を流せる程、ケイネスはこの男のことを知らない。
だから、ただ一言、一言だけ呟く。
「すまない……」
ケイネスは生まれて始めて、自分の失敗を謝った。
そもそも、どうして私を助けた。こんな誰が敵かもわからない場所で、会って間もない男を……」
ジャックは何をバカな事をというふうに笑った。
「お前……も……」
そこから先が言われる事はなかった。
ジャックの身体から力が抜け、段々と冷たくなっていった。
「ジャック……」
涙は流れなかった。涙を流せる程、ケイネスはこの男のことを知らない。
だから、ただ一言、一言だけ呟く。
「すまない……」
ケイネスは生まれて始めて、自分の失敗を謝った。
青鬼はゆっくりと歩く。獲物に向かって。
目の前にいる獲物は仲間の死にショックを受けているのか、動く気配がない。
青鬼はその光景を見て、笑みを浮かべながらゆっくりと近づいていく。
青鬼が獲物の真後ろに立った。動く気配はない。
青鬼は動かない獲物に対して、楽に食えると喜んでいるのか。それとも張りあいがないと失望しているのか。窺い知る事はできない。
青鬼が獲物を食す為、口を大きく開けたその瞬間。
目の前にいる獲物は仲間の死にショックを受けているのか、動く気配がない。
青鬼はその光景を見て、笑みを浮かべながらゆっくりと近づいていく。
青鬼が獲物の真後ろに立った。動く気配はない。
青鬼は動かない獲物に対して、楽に食えると喜んでいるのか。それとも張りあいがないと失望しているのか。窺い知る事はできない。
青鬼が獲物を食す為、口を大きく開けたその瞬間。
「トゥットゥルー!」
何かが口の中に入り込んだ。
獲物、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが立ち上がり、言う。
「お前は私のどんな攻撃にも耐えてきた。月霊髄液の刃にも、降り注ぐ無数の瓦礫にも」
青鬼は身体を動かそうとするが、口から体内に入った月霊髄液に押さえつけられ、動くことができない。
「だがそれは全て外側からの攻撃だ。自分の体内からくる攻撃には耐えられるのか?」
神経を右腕一本に集中する。僅かに動き始めた。
「メアリーとジャックを殺した貴様に容赦などしない。内より来る刃に貫かれて息絶えるがいい」
一気に右腕に力を入れ、ケイネスへ向かって突き出す。
「scalp」
獲物、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが立ち上がり、言う。
「お前は私のどんな攻撃にも耐えてきた。月霊髄液の刃にも、降り注ぐ無数の瓦礫にも」
青鬼は身体を動かそうとするが、口から体内に入った月霊髄液に押さえつけられ、動くことができない。
「だがそれは全て外側からの攻撃だ。自分の体内からくる攻撃には耐えられるのか?」
神経を右腕一本に集中する。僅かに動き始めた。
「メアリーとジャックを殺した貴様に容赦などしない。内より来る刃に貫かれて息絶えるがいい」
一気に右腕に力を入れ、ケイネスへ向かって突き出す。
「scalp」
青鬼の全身から銀の刃が生える。
体中を内側から突き刺され、一瞬の内に命を落とした。
「仇は討ったぞ。メアリー……ジャック……」
体中を内側から突き刺され、一瞬の内に命を落とした。
「仇は討ったぞ。メアリー……ジャック……」
ケイネスは月霊髄液で二つの穴を掘ると、そこにジャックとメアリーを埋めた。
土の上に瓦礫を突き刺し、文字を刻む。
土の上に瓦礫を突き刺し、文字を刻む。
ジャック・アトラス ここに眠る
メアリー・アーチボルト ここに眠る
「メアリーはこんな事をしても喜ばんかもしれんがな」
ケイネスは自嘲するように笑う。
メアリーが内心で自分のことをどう思っていたのか、もう知ることはできない。
ケイネスは自嘲するように笑う。
メアリーが内心で自分のことをどう思っていたのか、もう知ることはできない。
ケイネスはデイパックからパンを二つ取り出し、二人の墓の前に置いた。
「私は空腹なのでな。これが最後の機会だ。共に食事を楽しもうではないか」
ケイネスは自分のパンを取り出し、静かに食事を始めた。
三人でする、最初で最後の食事だった。
「私は空腹なのでな。これが最後の機会だ。共に食事を楽しもうではないか」
ケイネスは自分のパンを取り出し、静かに食事を始めた。
三人でする、最初で最後の食事だった。
【ジャック・アトラス@遊戯王5D's 死亡】
【青鬼@青鬼 死亡】
【青鬼@青鬼 死亡】
【G-06 こんなところ近く/1日目・朝】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(大) 魔力消費(中)
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)
[道具]:基本支給品×4、アカツキのディバック、ジャックのデイパック、青鬼のデイパック
ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
ヒラリマント@ドラえもん、ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1:三人で食事をする
2:名簿の確認
3:不動遊星と鬼柳京介を探す
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(大) 魔力消費(中)
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)
[道具]:基本支給品×4、アカツキのディバック、ジャックのデイパック、青鬼のデイパック
ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
ヒラリマント@ドラえもん、ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本思考:主催者の打倒
1:三人で食事をする
2:名簿の確認
3:不動遊星と鬼柳京介を探す
時間は僅かに遡る。
草薙京のクローンを犠牲にケイネスが逃げたあと、青鬼に異変が起こっていた。
自分の口の中に手を突っ込み、何かを出そうとしている。一旦手を休めたあと、勢いをつけて引っ張り出す。
青鬼の口から出てきたもの、それは青鬼だった。
青鬼に食われた人間は青鬼になる。それはクローンとて変わらない。
自分の口の中に手を突っ込み、何かを出そうとしている。一旦手を休めたあと、勢いをつけて引っ張り出す。
青鬼の口から出てきたもの、それは青鬼だった。
青鬼に食われた人間は青鬼になる。それはクローンとて変わらない。
新たな青鬼は精神病院を離れ、どこへともなく歩いてゆく。
青鬼という名の恐怖は未だ潰えていない。
青鬼という名の恐怖は未だ潰えていない。
【青鬼@青鬼 誕生】
【F-5/1日目・朝】
【青鬼@青鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
【青鬼@青鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
sm74:邪神様の機嫌の悪さで周りがやばい | 時系列順 | sm76:見せてやるよ……暗殺者の意地って奴をよぉおおおお!!!!! |
sm74:邪神様の機嫌の悪さで周りがやばい | 投下順 | sm76:見せてやるよ……暗殺者の意地って奴をよぉおおおお!!!!! |
sm66:恐怖!精神病院 | ケイネス・エルメロイ・アーチボルト | sm90:To the beginning |
sm66:恐怖!精神病院 | ジャック・アトラス | GAME OVER |
sm66:恐怖!精神病院 | 青鬼 | sm109:ロイドの店デース |