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ゆっこの登場話で自重できていないちゃんみお、長野原みお ◆17xbkNAGAE






(ふむ……これはどうしたものか……)

 半裸の男――不破刃が夜の森の中で悩む。
 彼は世を忍ぶ……忍の師範である。
 ……と、言っても、その忍術はほぼ我流である。

(無駄な殺生はしたくはないが……如月影二がいるのであれば……)

 怨敵である男のことを考える。
 もしこの殺し合いに居るのであれば……『そいつ』を抹殺し、元の世界に帰ればいい。
 だが、居ないのであれば……

 その時である。

(……なんだ、この殺気は?)

 刃は凄まじい殺気を感じた。
 これほどまで殺気を放つとは……間違いなく誰かいる。

「滅!」

 気合と共に姿を見えず辛くする忍術を発動する。
 闇に乗じて、その殺気の方角に向かう。

 そして、その直後、刃が見つけたのは……
 空を切るように拳を振るう水色の髪で小柄な一人の少女だった。
 傍目から見れば……所謂、シャドーボクシングしている。
 残像が見えるような速度で振るわれる拳はさながらボクサーのようにも見える。
 が、刃が見た限り、彼女は『普通』の女子高生のように見える。

(・・・・普通の女子高生だ)

 刃の率直な感想がそれであった。
 少女の右拳から、光る汗が飛び散る。
 そこで少女の動きが止まった。

(どうする? 接触してみるか?)

 刃が意を決して少女に話しかけてみた。

「おい、そこの――?」
「!?」

 しかし、少女から返ってきたのは刃が予想だにしなかった返答だった。

「…………ドキュー……返せ……!」
「何?」
「……ウッドキューブを返せ……!」
「そんなものは知らな―――!?」

 次の瞬間、刃の腹部に強い衝撃が襲い掛かった。
 光速で振るわれた少女の右拳が入る。
 刃の身体が地面から離れたが、少女に一瞬で背後を取られた。
 今度は少女のコークスクリュー気味に放たれた左拳が背中に入り、刃の身体が地面に叩きつけられた。

「……ガハッ」

 完全に油断していた。
 見た目が普通の女子高生だったから。
 動きがボクサーだろうと忍である自分が見切れると思っていた。
 だが、今のは一体なんだ? こうなったら、もうやるしかない。

「流影じ―――!?」

 刃が戦闘態勢に入った所で顔面に拳がまた入る。
 少女の右フックが。
 少女の左ジャブが。
 少女の右コークスクリューが。
 少女の左アッパーが。
 右拳が。左拳が。右拳が。左拳が。右拳が。左拳が……
 右左右左右左左右左右左右上上下下左右左右……
 左左上上下下右右右右右右右右右右……
 刃の身体中、あちらこちらに少女の拳によるラッシュが入っていく。 

(こ、こんなところで拙が……)

 薄れゆく意識の中、刃の脳裏には今までの人生が走馬灯のように流れていく。
 如月影二に次期総帥の座を奪われ、それから世界を放浪する日々。
 何故、そんなことをしていただろうのか?
 自分自身に問いかける。

(……拙は倒すため。拙の全てを奪ったあやつを……影二を……!)


「そうだ、こんな所で拙は死ぬわけには……!
 うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「……五月蠅い」

 叫びと共に立ち上った刃をさらに上から殴る。
 右コークスクリューが叩きつけるように刃の頭部に綺麗に入った。
 その一撃を受けた刃の口から、赤い血が飛び散る。

「・・・・す、すごい女子高生だ」

 その言葉を最後に刃は起き上がらなくなった。

「……無い」

 殺した男のデイバックを漁る。
 彼女――長野原みおのお目当ての物は無かった。

 所謂―――ウッドキューブ(Wood Cube)。

 彼女の髪止めである。
 それを彼女は殺し合い直後に奪われたのだ。
 恐らくは他の参加者が支給されている。
 もしくは、主催者が持っている可能性がある。
 だったら、簡単だ。奪い取ればいい。サーチ&デストロイだ。

「……ウッドキューブを返してもらうぞ……!」

 そして、彼女は歩き出す。
 ただ、ウッドキューブを取り戻すために……


 …………


 ……………………


 ………………………………



「んぎゃ――――――っ!!!! ちゃ、ちゃんみお――――っ!!!!」

 と、ここでゆっここと、相生祐子は目覚めた。
 今のゆっこがいるのは森の中ではないB-05にあるサティスファクションタウンのとある酒場である、
 そう、今までのは全てゆっこの見ていた夢である

「……って、なんだ夢か……いやあ、まさか本当に殺し合いなんて起こるわけないよね……
 高崎先生、廊下で頭冷やしてきますよ………………って、あれここ学校じゃない?」

 ここは彼女の学校『時定高校』ではないことに気付いた。
 今度は自分の首元を触る……手に冷たい感触が伝わる。
 自分の頬を思いっきり抓る……普通に痛い。
 近くに放置されていたデイバックの中身を確認する。
 ……先程の説明で言われた通りの物が入っていた。



(こ、これって……ゆ、夢じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)



 ゆっこは心の中で力強く叫んだ。
 部屋の中を右往左往、往ったり来たりした。
 謎のポーズを取り、心を落ち着けようとさせたが静まらない。
 そして、仕舞いには頭を抱えて、部屋の中をゴロゴロし始めた。
 いつもだったらここら辺で自分の母が部屋に入ってくるはずだが……
 その気配すらまるでなかった。

(お母さん、来ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)

「……スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルやばい」  

 ……夢だと思いたかった。
 先程、男の説明も……女の人の首輪の爆発も夢だと思いたかった
 ……が、全て現実だった。


 ――――殺し合い 嘘だと言ってよ 最上川  ゆっこ


 思わず、心の俳句を詠んでしまった。
 今の状況が全く掴めない……だってゆっこだもの。
 ゆっこは馬鹿だけど普通の女子高生だ。
 本当にどこにでもいそうな普通の女子高生だ、馬鹿だけど。

「……どうしよう……
 殺したくないし……人も殺したくない……何より死にたくないよ……」

 ただ、そんな馬鹿な彼女でも分かったことはあった。
 この殺し合いは夢なんかじゃない……
 この場が日常なんてものじゃない……


 今、この瞬間、全てが彼女にとって―――非日常だということだ。


【B-05 サティスファクションタウン/一日目・深夜】

【相生祐子@日常】
[状態]:動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(0~3)
[思考・状況]
0:殺し合いなんてしたくない…………
1:落ち着きたい



sm02:男の名は反逆者 時系列順 sm04:ボーガーオペラミルキィボーグズ
sm02:男の名は反逆者 投下順 sm04:ボーガーオペラミルキィボーグズ
相生祐子 sm45:「ロボットか。どうしてゆっこはロボットに縁があるんだろう?」「知らんな」




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