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ニコロワγのクウガが強すぎるやばい ◆SH/EhYKwtA




 空が白み始めいる。
 早朝に入って一時間が経過していた。

「これは……」

 H-6東部。
 小野寺ユウスケの肩に乗るキュゥべえは地面に走る溝を見ていた。
 その表情は変わらないが、思考はこれからどうすべきかを熟考している。

 キュゥべえの視線の先にあるのは、時間が経過した後に見たとしても容易にその威力を想像できる爪跡。
 溝の幅は一メートル程。
 その程度の溝ならばクウガを使えば簡単に作れるだろう。
 しかし、溝の長さが尋常ではない。周囲の状態も異常である。

 溝はH-6東部まで届いていた。
 溝を発見したキュゥべえは、何らかの支給品による攻撃と見て取った。
 クウガや魔法少女のように、超常の力を遣う参加者がいることはキュゥべえも把握している。
 だがこの溝が参加者の能力であるならば、それはあまりにも圧倒的に過ぎるものだった。
 溝の内部は融解、蒸発し気体となって消え去っている。
 残った地面も、融解した部分は冷えて固まり、所所が結晶化していた。
 この攻撃は衝撃波も伴っていたのだろう。
 周囲の草は溝から逃げるように倒れ伏しており、焼け焦げた痕はこの攻撃がそれだけの熱波を放っていたことを示していた。

 推測されるのは膨大な熱量を持った熱光線兵器。
 これだけの熱量を発生させるとなれば相当な大きさの物体となるだろう。
 目測でしかないが、この攻撃は一エリア以上の射程を持っている。
 超火力に長射程。
 そのような支給品を逃す手はない。

 キュゥべえはユウスケの肩から降りると、ユウスケをクウガライジングアルティメットフォームへと変身させる。
 もしもこの攻撃が再び成された時、クウガの身体能力で対処する為だ。
 溝内部の温度を確かめたキュゥべえは、攻撃から随分と時間が経過してしまっている事を知る。
 事象を引き起こした下手人を捜すにしても、東に向かったところで移動してしまった後だろう。
 それでも、何か手掛かりくらいは掴めるやも知れぬ。
 最終目標は優勝。
 時間はたっぷりとある。

 クウガの肩へと飛び乗ると、地の石を通じて東進しようと東を向いた。

「むぅ?」

 白む空の光を反射して、正八面体の物体が西進しているのが見える。
 宙に体を浮かせ、子供が走る速度と同程度の速さでこちらへ移動していた。

「おーい! そこの方ー!」

 気の抜けた成人男性の声。
 物体の声なのだろう。

「少し頼みたい事があるのですが、よろしいでしょうかー!」

「ふむ……」

 声からは害意は感じられない。
 知的生命体なのだろうか。
 初めて見る種族だ。
 見れば、首輪が体に取り付けられている。
 あれも参加者であるようだ。

「……………」

 キュゥべえはクウガの方から降りると、近くの木の陰に身を潜めた。
 あの物体は、東から来たことからこの惨状を齎した兵器について何か知っている可能性がある。
 あちらから接触してくるというのなら、応えるのもいいだろう。
 例え攻撃があったとしても、クウガの肉体、そしてキュゥべえならば防げる。
 “そのように施してある。”

 普通の生命体は、キュゥべえを視認できない。
 キュゥべえを認識できるのは、魔法少女の素質を持つ者だけだ。
 仮に一般人にもキュゥべえの姿が見えるよう主催が細工していたとしても、見た目はぬいぐるみ。
 そして会話はテレパシーで行う為口は動かない。
 キュゥべえを生物と見破る事は、通常では不可能である。

 正八面体の物体、名をラミエルと言う参加者の一人。
 そのラミエルが、クウガの前方三十メートルの距離まで近づいていた。

「止まれ。用件は何だ?」

 キュゥべえがテレパシーでラミエルに語りかける。
 今のクウガは変身しており口元が見えない。
 このような状況では、相手はクウガが喋っていると思うだろう。

「はぁ。用という事の程でもないのですが、地図を見せてはいただけないでしょうか?」

「地図だと?」

「はい。実は地図を誤って消滅させてしまいまして。このままでは禁止エリアが分からず死んでしまうんですよ」

 腰の低いラミエルの口調。

 対して、キュゥべえは高圧的にラミエルに語りかける。

「良ぃだろう」

「ありがとうございます。助かります」

「だがその前に、こちらの質問に答えてもらおうか」

「はい? 何でしょうか? 私が答えられる物ならお答えしますが」

「それでは訊くが、この溝。これについて何か知っているか?」

「ああ、これですね? これは私のビームの痕ですよ」

「何? ではこれは貴様の力によるものだと言うのか。支給品の力ではないと」

「ええ、その通りです。
 さあ、あなたの質問に答えましたよ。ですから……え?」



 ラミエル         /\
│HP┣━━━┨   //   \
└─────→  ∠∠_  _\
            \\  ̄ ̄ /
              \\  /
               \/
               ___
                 ̄



━━━━━━━━━━━━━━
あ! さんかしゃの ラミエルが
あらわれた!

キュゥべえは どうする?
━━━━━━━━━━━━━━


 クウガが地を駆け、一瞬でラミエルに詰め寄る。
 勢いを殺さず、拳をラミエルの首輪へ向けて正確に打ち付ける。
 だがその拳は、空間に物質化された壁によって阻まれる。
 『Absolute Terror FIELD』。
 A.T.フィールドと呼称されるそれは、使徒の周りに常時展開されている絶対不可侵領域。
 人類が使徒に対抗できない要因の一つ。
 この壁を突破しなければ、ラミエルを傷付ける事は不可能である。

「いきなり何をするんですか!」

 ラミエルが怒りを示す。
 その怒りに対して、キュゥべえもクウガも答えない。
 欲しい情報は手に入った。
 結果、こいつは危険だと判断するに至る。
 野放しにし、後で戦闘に乱入されるよりはここで排除するのが安全だ。
 クウガが負ける事はあり得ない。
 キュゥべえは、確信を持ってそう言えた。

「心を閉ざしている素晴らしい好青年だと思ったのに!
 このような扱いはあんまりではないですかぁ!?」

 ラミエルの叫びを余所に、クウガの猛攻は続く。
 殴打、蹴り、高速の連撃は悉くA.T.フィールドによって阻まれた。
 このままでは埒が明かない。
 必殺の一撃を撃ち込むべく、クウガが距離を取る。

「必殺の一撃って何ですか!? 助けてぇー!」

 必殺の一撃を食らう等堪った物ではない。
 遣られる前に遣らねば。

「厄介なのは、私一人で充分です!!」

 ラミエルの体が変化する。
 ぽぽん、と言う太鼓の音と共にラミエルの核が露わになった。


                     , <|l\
                 , <////|l: : .\
             , <////////|l : : : . \
           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|//∠ヽ: : | ̄ ̄ ̄|
        ,. <|: : : .       |二二二ヽ|   . : : :ト、
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           |//∧<////>´|l\   >: : . ∨|
           |///∧ : .>_∠|l>_<: : : : : . 〈|
           ̄ ̄ ̄ ̄ <工工>  ̄ ̄ ̄ ̄
                   <>
                   o             <アチョー☆
                   <>  _,、
                   _厂 _, ̄</|l: \
                  _,><///////|l: : : .\
            _,  </////////////|l : : : : . \
        _,  <///////////////>≦\: : : : : : .\
     │ ////| ̄ ̄|/// >≦三三三三\: : :| ̄ ̄ト、
     │ ////|: .   |≦三三三三三三三三\|   . :| : .l
     │ //≦|: : : : . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ . : : : | : :|
      <三三|;_;_;_;_;_;_;_;_,_,_,_,____,_,_,_,_;_;_;_;_;_;_;_| : :|
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            |////////< / /\>/////////
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`\//´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ラミエルから一条の光が伸びる。
 光は細いが、その威力は地に残る爪跡が保証している。


 目標はクウガではなく木陰に隠れるキュゥべえ。
 ラミエルの読心能力は、制限により最大一エリア分までしか発揮されない。
 だがそのような制限下であろうと、百メートル圏内ならば十全にその能力を発揮する事は可能だ。

 流石に百メートルを超えるとノイズ混じりになってしまうが、ここまで近ければ相手の心は丸聞こえとなる。

 キュゥべえが小野寺ユウスケを操っている事等、最初からラミエルは知っていたのだ。
 その事を指摘しなかったのは、単に指摘する理由が無かったから。

 他人の指示で動き、自ら動かないクウガ。
 ラミエル好みの消極的人物だ。
 なので贔屓した。
 贔屓して、クウガにはビームを撃たず、木陰に隠れて様子を伺っている黒幕のキュゥべえを標的とした。
 クウガがお目当ての地図を持っている事も理由の一つだが、もうそれは関係ない。
 理由がどうあれ、ラミエル☆ビームはキュゥべえを狙い、キュゥべえにはその攻撃を避ける術も技量も無い。
 それだけの話だ。

 キュゥべえが隠れていた木は一瞬で蒸発。
 裏に居たキュゥべえ目掛けて熱線は直進した。


 キュゥべえは こうげきから みをまもった!


 通り過ぎるだけで周囲も焼き焦がす強烈な熱線を受けたと云うのに、キュゥべえの白く柔らかな体躯には傷一つ無い。
 その後方にビームが通り過ぎた痕が無いことから、ラミエルの攻撃がキュゥべえに当たった事は確かだ。
 では何故キュゥべえは無事なのか。
 答えは彼の支給品にある。

 『わざマシン17』。
 CDのような形をしたそれは『まもる』というわざを覚えさせる道具である。
 まもると云うわざは、文字通り身を守る為のわざだ。
 はかいこうせんやだいばくはつであろうと、身を守る者を傷付ける事は出来ない。
 ラミエルのビームとて例外ではなかった。

「うわ! 何ですかその無駄なスキル!?」

 驚愕するラミエルに構う事無く、クウガは両の足にエネルギーを溜める。
 跳躍するクウガ。
 強大なパワーを秘めた両脚は紫電を纏い、自由落下とは思えない速度でラミエルへと急降下した。


 こうかが ない みたいだ…


 しかし鉄壁を誇るA.T.フィールドを突破する事敵わず。
 数多の怪人を屠った技ではあったが、ラミエルはびくともしない。

(このままでは埒が明かぬか。ならば……)

 第三の支給品を開帳するまでの事。
 命令を受信したクウガが、デイバッグがらある物を取り出そうとする。

「させませんよぉ!!」

 悠長に相手の行動を見逃す訳は無いと、ラミエルがクウガ目掛けて熱線を放った。
 地を融かし、あらゆる物質を気体に変え、熱量の塊はクウガに伸びる。


 クウガは こうげきから みをまもった!


「またですか!!」

 わざマシンは何度でも使う事が出来る。
 キュゥべえ己とクウガに『まもる』を覚えさせていたのだ。
 身を守っている状態のクウガは、先程のキュゥべえ同様無傷でそこに立っている。
 難無くデイバッグから目的の物を取り出すと、クウガはそれをキュゥべえへ向けて放り投げた。

 それは懐中電灯のように見えた。
 懐中電灯が地に落ち、キュゥべえが一歩踏み出す。
 物が持てぬ体とて、手足はある。
 スイッチのオンオフ位ならば、出来ない事は無い。

 懐中電灯から光が照射される。
 その光を浴びたクウガが、持っていたデイバッグをキュゥべえの近くに放り投げた。
 もうそれを持つ必要はない。
 正確には、持っていることが不可能となる。

 懐中電灯の名は『ビッグライト』。
 光を当てる事で、対象を巨大化させるひみつ道具である。
 制限により一度光を当てた対象には三時間使用できず、巨大化も三分間しか効果を発揮しない。
 だが三分で充分だ。
 ラミエルの超防御とて、この大質量のクウガの前には沈む他ない。

「あんまりにも突然の展開ではありませんかぁ、これは!」

 聳え立つ巨人。
 その巨躯は優に四十メートルは超えているだろうか。
 今のクウガから見ればラミエル等、豆粒程の大きさでしかない。
 体は漆黒となっているが、光によって巨大化したその姿は、数数の怪獣達を葬って来た光の巨人のようでもあった。
 ラミエルは人類の敵である。
 光の巨人が悪い怪獣を倒すのに、何の不思議があるだろう。

「絶望した!! ヒーローに勝てない悪役に絶望した!!
 こんなことなら対主催になれば良かったですよ!!」



 苦し紛れにビームを放つ。
 あれだけの巨体だ。
 外れる方がおかしい。


 クウガは こうげきから みをまもった!


 やはりと言うべきか。
 身を守るクウガにラミエルのビームは効果が無い。
 聳え立つは絶望を体現する漆黒の巨体。
 人類に絶望を与える第六使徒の前に、大いなる絶望が立っている。

 巨人の足に炎が灯る。
 地を揺るがす程の跳躍。
 跳び上がるだけでこの有様だ。
 巨人が着地する衝撃を誰が推し量れよう。

 焔を纏う両脚が、ラミエルへと叩きつけられる。
 ラミエルの体が衝撃で地に沈み、エネルギーの余波でクレーターを作るように大地が爆ぜた。
 轟音。それに伴う振動。
 まるで島全体が揺れているようだ。

 攻撃は、これで終わりではない。
 漆黒の巨人の右手に炎が宿る。
 時間と共にその光量と熱量が増してゆく。
 その正体は電離気体“プラズマイオン”。
 プラズマイオンに注ぎ込まれるエネルギーが最大に達した時、クウガの手先より巨大な炎が放たれた。
 向かうはクレーターの中心。爆心地に残るラミエルの残骸。

 耳を塞ぎたくなる程の爆発音。
 この攻撃に耐えられる存在が此の世に存在するだろうかという圧倒的な火力であった。


『ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウゥゥゥゥウウゥゥゥゥゥゥウゥウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!』


 地鳴りが収まると共に、島中に鳴り響くサイレンの音。
 赤錆びた金属のような、不快な音色が続いている。

「放送か?」

 もしもの時の為にデイバッグから取り出していたモンスターボールを背中で転がしながら、サイレンに耳を傾ける。
 成る程、このような大音量ならば、寝ている者も起きるだろう。

 キュゥべえは巨人を見上げ、逡巡する。
 クウガを巨大化させた状態で他の参加者を葬りたい所だが、時間も余り残ってはいない。
 禁止エリアを記憶した後、ゆっくりと他参加者を狩り取って行くとしよう。
 もうすぐ始まるだろう放送を待ち、キュゥべえは空を見上げた。



【ラミエル@絶望ラミエル 死亡】


【H-06 /一日目・早朝】

【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ(キュゥべえのCVが若本だったら)】
【状態】:健康
【装備】:地の石@仮面ライダーディケイド
     モンスターボール(キルリア)@ポケットモンスター
【道具】:基本支給品一式×2、ランダム支給品×1~2(ユウスケ+キュゥべえ)
【思考・状況】
基本:小野寺ユウスケを利用して優勝し、宇宙の熱的死を防ぐ。
1:次の目的地に向かい、見つけた参加者を殺す。
2:戦闘の際は、姿を隠して様子を見る。
3:もし見つかった場合は、状況に応じて対応する。
※次にどこに向かうかは、後の書き手にお任せします。
※まもるを覚えました。

【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【状態】:疲労(中)、地の石で操られている、巨大化
【装備】:アマダム
【道具】:
【思考・状況】
基本:――――――――
※地の石の影響で、ライジングアルティメットフォームに変身可能となりました。
※まもるを覚えました。






















































「死んだらどうする!!」


 粉塵舞い上がるクレーター内部、その土中より放たれる一条の光。
 被さる土や舞い散る塵等障害に成りはしない。
 光条はクウガへとぶつかり、熱波を周囲に拡散する。


 クウガは こうげきから みをまもった!


「ひどいっ! あんまりですぅ!」

 風に吹かれ粉塵が晴れる。
 地中に半分以上埋まってしまってはいるが、そこにはラミエルが無傷の状態で存在していた。
 声色からしてダメージすら与えられていない。

 当然だ。
 A.T.フィールドは排他的精神領域であり、その強さはフィールドを展開する者の心と密接に関係している。
 心の鎖国政策を貫くラミエルのA.T.フィールドは使徒随一の防御力を誇る。
 彼の心の壁を突破したければ、国一つを賄えるだけの電力と同等のエネルギーを用意しなければ不可能だろう。

「もう贔屓するのはやめます!!」

 ラミエルの体が今までにない変化を見せる。
 内部に高エネルギーを凝縮。
 そのエネルギーを放出する為、逆五芒星を作るように体を突出させた。
 まるでラミエルの体積が八倍近く増えたようにも見える。
 内部に凝縮される高エネルギーによって悲鳴のような音が鳴る。
 発射口付近の空間が影響を受け、オーロラのような光が円環状に発生する。

 ラミエルの内部に蓄積されたエネルギーはどれ程の物か。
 内部の赤き光りは、薄く透き通るラミエルの体を通じて外部からも見られる程強烈に発光している。

 今度の攻撃に気の抜けた掛け声は無かった。
 見た事もない膨大な光。
 今までよりも一周り大きな熱光線だ。



 クウガは まもるを つかった!

 しかし うまくきまらなかった!!


 ラミエルの ラミエル☆ビーム!

 きゅうしょにあたった!!



 ラミエルから放たれたビームが雲を突き抜け天を貫く。
 その軌道上にあるのはクウガ、小野寺ユウスケの肉体。
 クウガの頭を、槍のような一本線が通過していた。
 骨は既に蒸発している。
 脳髄は融けている。
 熱によって蛋白質が固まり、傷口は存在しない。
 あるのは重度を超す火傷。
 血の一滴どころか体液すら出る事の出来ない、ベリーウェルダンをも通り越して焦げ付いた肉。

「ほら見たことですか!」

 天へと昇る光の柱が消える。
 巨人の頭は消滅していた。
 首の断面はぶくぶくと泡立ち、残った水分を蒸発させている。

 首から上を失くした巨人は、ゆっくりと倒れ落ちる。
 ずしん。重たい音が地に響いた。
 しかし地は揺れず、震えず。
 巨人の体からは、ラミエルを地にめり込ませた時のような重さは感じられない。
 確かに質量は減ってはいるが、それでも島全体を揺るがした時と比べると余りにも軽過ぎる。
 果たして、あの地の震えは本当にクウガによる物であったのか。

 キュゥべえは、三分が経過した事により縮み始めたクウガを一瞥する。
 武器を満足に扱えぬキュゥべえにとって、自由に動かす事の出来る小野寺ユウスケという男は優秀な駒であった。
 だがソレは死んだ。
 覆水盆に返らず。
 まもるを過信したのが敗因、と冷静に自己分析を下す。
 小野寺への興味を失くしたキュゥべえが、ラミエルの居るクレーターへ視線を動かした。

 ここから穴の中は分からない。
 が、中を確認しに行くつもりはない。
 小野寺亡き今、あの生物にこちらを捕捉されては詰みだ。
 背中で転がすボールを、穴の中から、ラミエルから見える位置へと放り投げた。
 地に落ちたモンスターボールから、ポケモンが飛び出した。
 キルリアと呼ばれるポケモンだ。

「?」

 キルリアがきょろきょろと辺りを見渡す。
 モンスターボールに入っていたと云う事は、それは誰かのポケモンだったと云う事。
 しかし周りを見渡したところで、キルリアのトレーナーは何処にも居ない。

「キルリア、みちづれだ」

 キルリアへの命令。
 その命令を下したのは、見た事のない白いポケモンだった。

 キルリアは、そのポケモンから感情を感じ取る事ができなかった。
 まるでロボットか何かだ。
 悪いポケモンなのか、良いポケモンなのか、知る事が出来ない。
 それでも、命令を受けた。
 トレーナー以外の者の言う事を聞くかどうかはポケモンが決める。
 少しだけ迷って、そしていつも通りではないかと思った。
 自分を犠牲にして、消える。
 トレーナーがキルリアに与えた役目はそういう物だった。


 キルリアの みちづれ!

 キルリアは あいてを
 みちづれに しようとしている!



「それでいい」

 キュゥべえはキルリアに背を向け走り去る。
 今の声でキュゥべえの声から位置を特定されたとしても、その直線上にはキルリアが居る。
 どうあっても先に死ぬのはキルリアだ。

 あの生物は早急に対処しなければならない。
 如何にまもるがあろうと、あれだけの射程と威力では勝ち目が無い。
 今ここで確実に、あの生物をキルリアと共に道連れせねばならぬ。

 白い矮躯が茂みに入った。
 このまま走り続ければ、キュゥべえを発見する事は不可能となる筈だ。
 最初の場には少女も居たな、とキュゥべえは記憶を掘り起こした。
 持ち前の話術でこの会場に居る少女を魔法少女にし、利用するのが理想的だろう。

「何を言っているんですかあなたは。そんな事させる訳がないでしょう」

 キュゥべえの心の声に返答するように、何度目になるか分からぬ熱光線が放たれる。
 キュゥべえの真下、地面が急激に赤い光を発し始めた。

「何!?」

 土が蒸発する。
 その蒸気をも高温で電離させながら、ラミエル☆ビームはキュゥべえに直撃する。


 キュゥべえは こうげきから みをまもった!


 辛うじて身を守る事に成功したが、非常に不味い事態となった。
 ビームが地面から出てきたと云う事は、この攻撃は地中を突き進んで来た事になる。
 だとすればキルリアは未だ無事なのか。
 それとも死んでみちづれに成功していて、光線の名残が襲い掛かって来ただけなのか。
 確認している余裕はない。

 膨大な熱量を持った光の中、キュゥべえは光の外に出る為もがいていた。
 今まで見てきて言える事は、この攻撃は直線的であるということ。
 ならば攻撃の軌道から外れれば当面は無事だ。
 まもるが解除されるより先に、キュゥべえの体が熱光線の外に出た。
 そしてまもるが解除された瞬間、異常な熱波がキュゥべえを襲う。
 熱光線は周囲にも過剰な熱を放射し続けている。
 直撃を免れたとしても、傍に居るだけで致命的な熱を浴びてしまう。

 ビームに触れていない筈のキュゥべえの尾が一瞬で燃え上がる。
 尾が異常な速度で炭化するのも構わずに、キュゥべえは走り続けた。
 後方にいる、生きているかも死んでいるかもわからぬキルリアに指示を出している暇は無い。
 一刻も早くこの場から立ち去らねばならない。

「世の中そんなに甘くありませんよ」

 逃げるキュゥべえを追うように、熱光線が右に動く。
 ラミエルはレーザーを自在に動かす事も可能だ。
 回避したところでどうにもならない。
 一人の教師として、ラミエルは世の中の厳しさをインキュベーターに叩き込む。


 キュゥべえは まもるを つかった!

 しかし うまくきまらなかった!!


「ん!? んっく……」


 キュゥべえ、真の名をインキュベーター。
 この宇宙生物は何度殺そうと意味が無い。
 スペアがある限り、記憶を引き継ぎ何度でも蘇る。
 だが今回のキュゥべえは違った。
 このインキュベーターは彼の世界に存在する全てのインキュベーターとリンクしている。
 主催者による制限だ。
 ただのスペアを殺し合いに呼んでも意味がない。
 バトルロワイアルに呼ばれた時点で“何度でも蘇る”という不死性は否定されている。
 男声のインキュベーターが光の奔流に飲まれ、首輪諸共蒸発する。
 その瞬間。彼の世界のインキュベーターと呼ばれる種族は滅んだ。
 宇宙の死を回避する為、家畜を利用し奔走していた彼等だったが、その全てが機能を停止する。
 別の世界では、声の違うインキュベーターが未だ鹿目まどかを魔法少女に勧誘する為活動を続けているだろう。

 それでも、一つの世界でインキュベーター族が滅んだ事に変わりない。
 最後まで他者を利用する事しか考えていなかった生命体は、宇宙の終焉を回避する為だけに行動していた生物は、ここに終焉を迎えたのだ。

【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド 死亡】
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ(キュゥべえのCVが若本だったら) 死亡】






「………?」

 物の蒸発する音を耳にして、キルリアが振り返る。
 そこにあるのは天に向かって伸びる光の線。
 余りの眩しさと熱に思わず目を閉じた。

 十秒程が経過しただろうか。
 光が収まったようで、目蓋を開く。
 およそ五十メートル先の地面が横一文字に抉れていた。
 融けた地面が今も赤赤と光を発している。
 何が起こったのか。
 キルリアには推測すらできなかった。

「すみませーん!」

 ラミエルの声。
 キルリアがクレーターを見下ろす。

「そこの貴方、参加者ではありませんよね?
 助けて頂けませんか?」

 助けて、と言われたら助けないわけにはいかない。
 キルリアは一度後ろを振り向いた。
 そこにはもう、みちづれの指示を出したポケモンの姿は無かった。
 最後に見たのは走り去る姿だったし、どこかに行ってしまったのだろう。

 キルリアはラミエルに会いにクレーターを降りる。
 頭部の赤い二本の角で、キルリアはラミエルの感情を感じ取った。
 礼儀正しく、悪意の無い感情だ。
 それと、どこか絶望しているような感情も混じっている。
 悪いポケモンではないだろう。

「そんな! 簡単に人を信じるなんていけません!
 世の中、善人面して詐欺を働いている人だって沢山居るんですよ!?
 絶望した! 人の善意が信じられなくなった社会に絶望した!!」

「!?」

「ああ、驚かせてすいません。
 あなたが私を助けにここまで来てくださった事は感謝しています。
 つい、いつもの癖で叫んでしまいました……。
 それはそうと、助けてもらいたい事と云うのがですね───」



「───絶望した!
 犠牲になる事を強いられているポケモンに絶望した!」

 周囲に落ちているキュゥべえとユウスケの支給品をキルリアに集めてもらい、地図でだいたいの現在位置を把握したラミエル。
 途中、会話をしていたのだが、その話の中でラミエルは知ってしまった。
 キルリアのわざが倒されるのを前提に構成されている事を。
 自分を犠牲にし、サポートに徹する事を強いられている事を。
 その事実に絶望したラミエルをキルリアはなだめようとするが、ラミエルの勢いは止まりそうになかった。

「私は大丈夫、ですって!?
 自殺するのは私一人で充分です!
 どうしても自殺したいのなら、思い人と心中して御覧なさい。
 それなら私も止めはしません」

「キル……」

「ほら、丁度ここに二つのわざマシンがあることですし、そんな物騒なわざはさっさと忘れてしまいましょう」

 ラミエルに押される形でわざマシンを使うキルリア。
 ラミエルは善意からそう言っているのだし、断る事は出来なかった。
 キルリアは自滅する代わりに相手の攻撃と特防を下げるおきみやげを忘れ、代わりにまもるを覚えた。
 残念ながられいとうビームは覚えることはできなかった。

 そのどちらもを覚えることができたラミエルは「れいとうビームなら速さは遅くならないはずですよー!」と嬉しそうに叫ぶ。
 そんなラミエルの明るい感情に触れて、楽しい気分になったキルリアがクルクルと踊り始めた。

「おお、踊りが上手いですねえ。私も負けていられませんよぉ!」

 ラミエルが形を変える。
 細かくなった体の一部を周囲に回転させた。
 キルリアに合わせて、ラミエルも踊っているように見えた。

「そこのわざマシンを、二枚共上に投げてくれませんか?」

「キル?」

 ラミエルに頼まれるまま、キルリアが二つのわざマシンを放り投げる。
 二枚のディスクが宙を舞った。

「アチョー☆」

 空へ放たれるラミエル☆ビーム。
 威力は抑えてあり、非常に細い。
 これならば、近くにいるキルリアに害が及ぶ程の熱は放射されないだろう。
 細長い光が二つのわざマシンに当たる。
 わざマシンは一秒と待たずして融解し、使い物にならなくなった。

「どうですか?」

「キル!」

 ラミエルの正確な射撃にキルリアは両手を叩いて喜びを示す。
 その反応に気を良くしたラミエルが、回転速度を速くする。
 それにつられて、キルリアも踊りを再開した

 楽しい気分になった二人は、クルクルと回り続ける。
 放送が始まるのはもう少し後の事だ。

【H-06 クレーター内部 /一日目・早朝】

【ラミエル@新劇場版ヱヴァンゲリヲン・序(さよなら 絶望ラミエル)】
【状態】遅化
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本:優勝して生き残る
1:禁止エリアには絶対に近付きませんよ! 一度だって入るものですか!
2:キルリアさんのおかげで少し気分が良くなってきました。
3:キルリアさんに協力してもらえて助かりました。
4:このまま豪華客船まで行きましょう。
5:見晴らしの良い場所を移動しますよ。
6:絶対読めないオチにしてやりますから! 絶対読めないオチにぃ!!
※力を使うと比例して移動スピードが遅くなることに気付きました。
※百メートル以内なら心を読む能力は十全に働きます。
※まもるを覚えました。
※れいとうビームを覚えました。

※キルリアがおきみやげを忘れ、まもるを覚えました。
 キルリアがラミエルのA.T.フィールドをトレースしました。

※基本支給品×2、モンスターボール(キルリア)@ポケットモンスター、ビッグライト@ドラえもん、地の石@仮面ライダーディケイド、不明支給品×1(確認済み)はデイバッグに入っています。
 デイバッグはキルリア@ポケットモンスターが持っています。
※キュゥべえの肉体が首輪ごと消滅しました。
※わざマシン13@ポケットモンスターブラック・ホワイトが破壊されました。
 わざマシン17@ポケットモンスターブラック・ホワイトが破壊されました。
※H-06に激しい戦闘の痕が残されています。



【支給品】
『キルリア@ポケットモンスター』
小野寺ユウスケに支給された。
かんじょうポケモン。
頭部の二本の赤い角でトレーナーの気持ちを敏感にキャッチする。
発達した脳でサイコパワーを操り、空間の裂け目から未来の出来事を見る力を持つ。
サイコパワーが使われる時、周りの空間が捻じ曲がり現実にはない景色が見えると云う。
晴れた朝や、楽しい気分になるとクルクル踊る。
トレーナーの明るい気持ちがサイコパワーの源であるようだ。
使えるわざ:トリックルーム、かなしばり、おきみやげ、みちづれ


『わざマシン13@ポケットモンスターブラック・ホワイト』
キュゥべえに支給された。
ディスク状の物体。
これを使うと『れいとうビーム』を覚える事ができる。

れいとうビーム
わざタイプ/こおり
こごえる ビームを あいてに はっしゃして こうげきする。こおり じょうたいに することが ある。


『わざマシン17@ポケットモンスターブラック・ホワイト』
小野寺ユウスケに支給された。
ディスク状の物体。
これを使うと『まもる』を覚える事ができる。

まもる
わざタイプ/ノーマル
あいての こうげきを まったく うけない。れんぞくで だすと しっぱい しやすい。
一度失敗したり、連続で使用しなかった場合、次のターンは成功率が元に戻る。

れいとうビームとまもるの参考動画
【公式】ポケモンBW2 紹介SPムービー[高画質]
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17844865
※ダイケンキが『れいとうビーム』を、とキリキザンが『まもる』を使っている。


『ビッグライト@ドラえもん』
キュゥべえに支給された。
懐中電灯型のひみつ道具。
スイッチを入れると拡大ビームを照射し、光を当てた物体を巨大化させる。
最大拡大率は百倍。
元に戻すビームを出すことも可能。
制限により、持続時間は三分間。
同じ対象には三時間使用できない。







sm63:最終鬼子一部吐く 時系列順 sm65:眠れる恐怖
sm63:最終鬼子一部吐く 投下順 sm65:眠れる恐怖
sm08:「あたしは絶対認めない」 小野寺ユウスケ GAME OVER
sm08:「あたしは絶対認めない」 キュゥべえ GAME OVER
sm46:私達はまだ本気出してないだけ ラミエル sm74:邪神様の機嫌の悪さで周りがやばい




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