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眠れる恐怖 ◆nVZ6p0TCus



倒れている少年――それがムラクモというこのロワでもかなりの危険人物であることを青年は知らない――を見つけてから数十分。不動遊星はゲキド街を歩きまわっていた。
街を選んだのは、少年を見たところからかなり近く、また、街なら店や民家があるだろうと考えたからだ。
が、しかし、街は遊星の予想に反して建物の多くがビルの類で、人を一人休ませるに困らないような施設は今のところ見当たらない。

「………、……」

少年は全身にひどいダメージを受けているようで、見えるだけでも顔に殴られた跡と右の太ももに刺傷があるのがわかる。
特に、今はやや落ち着いているが足の傷から血が出続けている。
このまま治療しないで放置すれば、傷口からばい菌が入ったり感染症にかかる恐れがある。
貧血にだってなるかもしれない。いずれにせよ、彼の命が危なくなるのは誰の目にも明白だ。
しかし、遊星のデイパックには救急箱などの治療に使えるような道具もなく、街についてからそういった物がありそうなところを探し続けているのだ。


「……の、あ…ー…す……せ…ん」

時間がかかればかかるほど、彼の心は焦りという感情に包まれていく。
彼の心は背中の少年を助けたいという思いでいっぱいだった。
だから、

「すいません、そこの方!」
「えっ? …あぁ、すまない、気づけなくて」

街を歩く別の少年の呼びかけを認知することができなかった。
振り向き、少年の姿を確認する。年は背負っている子どもと同じか、それより少し幼いくらいだろうか。

「ええ、僕は構いませんが――」
「いきなりで悪いが、この近くに家か病院はないか? この子がひどい怪我をしていて治療を……」

そこまで話すと目の前の少年がにっこりとした笑顔で彼の望む答えを教える。

「それなら、小さいですけど薬屋さんがあります。このすぐ近くにあるんです。ついてきて下さい、案内しますよ!」

その答えを聞いて遊星は内心で喜んだが、彼は一つの可能性があるかもしれないと思った。

「順番が逆になってしまったが、……お前は殺し合いに乗っているのか?」
「そんな事はありません! 僕はついさっき目覚めるまでずっと気絶してたんです」


無力だと思っていたありがとウサギの変化。それが遊星の心に一つの影を落としていた。
自分以外の誰もが、殺し合いに乗る可能性。
極端に言えば、ここにいる全員がマーダーという事はないとは言い切れない。
だが、遊星は参加者を皆殺しにできる非情な男ではないし、彼は殺し合いに反対する者だ。
他に乗っていない者がいれば是非とも仲間にしたいと思っている。

そんな事を思っていると、少年がデイパックを投げ捨てた。

「こうすれば僕は武器を取り出してあなたに危害を加えることは出来ないし、そもそも僕はここに来てからデイパックの中身を一度も見ていません。
 ランダム支給品が何なのか聞かれても答えることはできませんよ?」
「それがお前の意思表示なんだな、殺し合いに乗っていないという」
「ええ」

少年の答えを聞き、うなずいた。

「わかった。俺はお前を信じる」
「! ありがとうございます!」
「ああ。さあ、薬屋まで案内してくれ。」
「はい!」

二人の間から緊張の糸が消え、勝治の顔に笑顔が宿る。
遊星の表情も心なしか先程より穏やかになっている。
そして勝治はデイパックを拾い、遊星の前に立って歩き出す。

「そういえば、お前の名前は……」
「僕は松岡勝治といいます。あなたは?」
「俺は―――」


    ☆



10分もしないうちに、彼らは勝治の言っていた薬屋に着いた。
ややこぢんまりとしてはいるが、在庫は潤沢なのが店内をざっと見るだけでもよくわかる。

「勝治、ちょっと持ってきてもらいたいものがある。 言うからデイパックから筆記用具を出してくれ」
「あっ、はい」

デイパックを開け、中身を見る。この時、勝治の顔が少し曇ったが遊星からは死角になっていたため見えなかった。

「よし、言うぞ。水、バケツ、ガーゼ、消毒液、軟膏、ハンドタオル、怪我用の防水テープ、…こんなところか」
「防水テープとは?」
「ガーゼなんかを抑えるための透明なフィルム状のテープだ。絆創膏の置いてあるところにあるはずだ。あと水は店にあるペットボトルのものを頼むぜ」
「了解です!」
「それじゃあ俺はバックヤードでこの子を寝かせてくるからな」
「はい」

そう言うと遊星は店の奥にある扉まで歩いていった。

バックヤードに着き、少年を寝かせる。部屋の中には枕の代わりになるものがなかったので、少年のデイパックを枕がわりにした。
今は深く規則的な寝息をたてて穏やかな表情で眠っている。背負われている時にうとうとしたのだろう。
傷口を心臓より高い位置にすると出血が少なくなるんだったか、と考えながら右膝を曲げる。
部屋の面積は割りと広めと思われたが、商品が入っているだろうダンボール箱が大量にあるおかげで結構狭く感じられた。
店長が使っていると思しき事務机と椅子がある。机の上にペン立てがあり、その中にはハサミがあった。
あの時ハサミも頼もうか迷ったが、頼まなくて正解だった。
傷口を洗いたかったが汚れた水を垂れ流すわけにもいかず、濡らしっぱなしも良くないと考えて勝治がこちらに来るのを待つ事にした。

部屋の目立たないところに「廃棄」と書かれた紙の貼ってある買い物カゴを見つけた。勝治が来るまで何もできないこともあり、暇つぶしのつもりで何気なくその中を見てみる。
なるほど、賞味期限が切れたりパッケージが傷んだお菓子やジュース、薬に様々な雑貨がいくつか入っている。
適当に物色していると、ふと、ある一つの物が目に入った。

「『ふしぎなくすり』?」

カゴの中にあるのはほとんどが何かしらのパッケージのある物が多かったが、「ふしぎなくすり」だけ、薬局で処方される時の紙の袋に入っている。
袋の中には紅白のカプセル錠が2つと、説明書が入っていた。




☆★☆★☆ふしぎなくすり★☆★☆★
効能:〇〇になりたい、体の器官を強化したいと思いながら服用すればその姿になれますが、
   何も考えずに服用した場合、何が起こるか分かりません。
その場合、よくあるものとしては
  ★幻覚
  ☆高揚感
  ★感情や行動の制御ができなくなる
等が挙げられます。

効果は1時間ほど続きます。
また、服用してから効果が現れるまで数分~十分ほどかかります。
ご利用は計画的に!




――――なんだこれ。
どうも特効薬のようではあるが、体を治したり体調を良くしたりするというより、リスクまみれのドーピング剤……なのだろうか?
「ふしぎなくすり」と聞いてわずかに期待したが、これはハズレかもしれない。
というより、薬の効果が服用者の心にここまで左右されるなんて常識外れにも程があるではないか。
説明書を袋に戻してカゴに入れなおした。

   ガチャ、

静寂を破る一つの音。振り返るとそこには勝治がカートとカゴと一緒にいた。

「もって来ました、遊星さん。ちゃんと全部ありましたよ」
「ああ、すまないな。俺はこの子を治療するから、その椅子に座って休憩しな」

カゴを取り、少年の近くに置く。その中からタオルと水とバケツを取り出した。


  ☆

机の上にデイパックを置き、中身を念入りに確認する。
病弱なのに動きすぎたせいだろう。とても眠いが、自分に鞭打ち「アレ」を探す。
だが……
「(やっぱり…エレクトリカル・スピードワゴンがない。主催者に取られた……?)」
目当ての物は彼に支給されなかった。
「(ああ、眠い―――)」

  ☆


数分後、少年の足にはガーゼが透明なフィルムによって太ももに貼り付けられていた。
傷口に消毒液を塗っている最中しみたのか、うめき声を上げて目を覚ましかけたが、
「安心しろ、俺はお前に危害を加えることはしない。今は治療しているだけだ、ダメージがすごいしお前は寝ていてくれ」
という遊星のセリフを聞くと、ほっとしたのかまたすぐに眠りに落ちた。
顔も腫れていたので薄く軟膏を塗っておいた。ちなみに軟膏の名前はオロ某という、現実でもよく知られているだろうアレだ。

ここで、少年……ムラクモの衣服について少し説明をしていきたい。
もこみちによって飲まされた薬で彼の体は大幅に縮んだ。それによって、服が強制的にブカブカになってしまったのは読者の皆様も理解していると思う。
故に、体が縮んだ彼が最初にとった行動は袖をまくることであった。
これで物を持てない問題は解決したが、今度は下半身…つまりズボンから下も不都合が発生している。
ズボンがずり落ちるのはベルトをきつく締めてぎりぎり落ちない程度になったが、ブーツが足に対して大きすぎてしまったのだ。
デイパックを確認しても靴の類は支給されておらず、かといって裸足で歩くのも足を汚したり怪我したりするので仕方なくブーツについては諦めざるを得なかった。
こうしてMOCO'sキッチンまでの道中をブーツに対する不満を抱きつつ歩いて行ったが、そこでもこみちに見つかって右足を負傷してしまった。
足を負傷することによって結果的にズボンが傷つき、血がこびりつくことになった。
そして、遊星が治療するにあたってズボンは脱がされた。
なお、どういう理屈かムラクモの履いているトランクスだけは今の彼にジャストフィットしている。なんともご都合主義的だが気にするな。

前置きが長くなってしまったが、少年のズボンに代わるものを残念ながら遊星は持っていなかった。
そして、少年がいま下に身に着けているものは靴下とトランクスだけというその手の変態が見たら大歓喜しそうな格好だ。


「勝治」
「ムニャ……っ、はっ、はい何でしょう遊星しゃん」
「(噛んだなこいつ…)何かこの子のズボンに代わるものはないか?」
「服……ですか。筆記用具を出す時にあるのを確認はしました。ただ………」
「ただ?」

疲れが溜まっていたのか、椅子に座ってうとうとしているところに声をかけられて起こされた勝治は、遊星の質問に困惑した表情を浮かべた。
そのまま、自身のデイパックに手を入れて「あるもの」を取り出した。
それは……。

「メイド……」
「服……」

勝治に女装経験があることを知ってか知らずか、主催者は彼の背丈にぴったりなメイド服を支給した。
この服は幻想郷に住む紅魔館のメイド、十六夜咲夜のそれだった。

「なぁ……他に服はないのか?」
「残念ながらこれだけです……そういう質問をするという事は遊星さんには」
「服の類はなかったな……」
「そうですか……」

「………マントを腰に巻くのは……」
「それだと歩いたり走りづらいだろうし、ずり落ちるだろう……」
「ですよねー……」

「治療する時にそこまで考えなかったんですか……」
「すまない……」
「…………」

二人は同じ方向に目線を向ける。その先には白くスラっとした少年独特の美しさをたたえた二本の生脚。
そこに体毛という忌避される存在は微塵もない。
その持ち主は今、穏やかな顔で深く眠っている。
お互いにほぼ同じタイミングで、スカートを見る。サイズに問題はなさそうだ。幸いホックは二つあるのでゆるかったらきつく締めればいい。

「………………………」
「………………………」


――――少年、お許し下さい!



  ☆


今、ムラクモの腰には膝までのスカートが装着されている。これしかなかったとは言え堅苦しく長過ぎる丈の軍服にヒラヒラしたスカートはアンバランスにも程がある。
そして二人は「男」に眠っている間に勝手にスカートを履かせた事による罪悪感にさいなまれている。
清潔な服はこれしかなかったし、話せばわかってくれる。きっとわかってくれる。
だから、許せ少年。


「そういえば、だ」
「なんですか?」
「お前は殺し合いが始まってから今まで何をしていたんだ?」

この空気を変えたかったのと、純粋な興味もあって遊星は勝治に質問をする。

「そうですね、ここに来てから僕は…………」




「なんてことだ……
 お前はその田所とかいう男に一服盛られたのか。無害を装って近づき、さり気なく殺人を犯そうとしただなんて最低野郎だな……」
「ええ……。幸い、ただの睡眠薬だったみたいで体の不調とかはないんですが。
 それよりマミさんが心配です。あの人、なんだか不安定だったんです。
 遊星さん、僕の友達にリュウセイ君とケンって子がいるんです。この子(ムラクモ)の事もありますが、もしよかったら今言った人たちを探してくれませんか?」
「勿論だ! 俺は―――」


――――――おはよう、諸君


「!? これは……」
「もしかしたら、主催者の言う放送って奴でしょうか……」


  ☆


遊星がゲキド街に着くか着かないかくらいの頃に、松岡勝治は目を覚ました。
ぼんやりとする頭で今までのことを思い出す。確か最後に覚えているのは田所にアイスティーを振舞われてそれを飲んだことだったか。
それで急に苦しくなって……
………そうか、僕はあの男に何か薬を盛られたんだ。毒性はないみたいだけど、あいつが僕とマミさんを殺そうとしたんだ……!
こうしちゃいられない、アイツを探して殺さないと……

そうは思ったが、疲れと体を酷使したせいかちゃんと立ち上がるのもままならない。
今いるところが街の中でもあまり目立たないところだし、少しの間休もう。

しばらくすると足音が聞こえてきた。
こっそり後ろ姿を見ると、とても特徴的な髪型と背負われている子供が見えた。
子供はぐったりしているようだ。殺し合いに乗っていたら、その子はすでに殺されているだろう。つまり、背負っている男は僕に危害を加える可能性は低い。
そう考え、勝治は男を追うことに決めた。


ああそうだ、僕への印象を悪くさせないためにもおっぱいぷるんぷるんな女の人を覗きしてた事は黙っておこう。


  ☆


一人の少年は眠り続け、
もう一人の少年は勘違いし、
一人の男は勘違いを真に受ける。

彼らの未来が明るいものになるのか、道を外れることになるのかは……………





【E-2 ゲキド街の薬屋/1日目・早朝】

【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(中)、主催者達に怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品(0~2、服の類はなし)、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード
[思考・状況]基本思考:殺し合いの打破
0:放送を聞く
1:ありがとウサギを止める。
2:先ずは首輪を解除する。
3:自分のカード達や仲間を探す。
4:田所に対する怒り、警戒。勝治を攻撃した誰かにも注意。
5:リュウセイ、ケン、マミを勝治と探す
6:許せ、少年
※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。
 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。


【松岡勝治@人造昆虫カブトボーグ V×V】
[状態]:疲労(大)、頭部に打撲の跡、足に豆が出来た、ちょっと眠い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品(0~2、確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める。
0:放送を聞く
1:リュウセイ、ケン、マミさん、エレクトリカル・スピードワゴンを遊星と探す。
2:マミさん、リュウセイ、ケンが心配
3:田所(野獣先輩)を警戒
4:放送が終わったらエレクトリカル・スピードワゴンの事も話しておこう
5:ムラクモ(名前は知らない)への軽い罪悪感
※遊星に今までしてきたことを話しました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは言ってません。
※田所(野獣先輩)が一服盛ったと思いこんでいます。


【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:睡眠、疲労(大)、ダメージ(大)、右足に刺し傷(治療済み)、身体が十二歳程になっています
[装備]: 六〇式電光被服@アカツキ電光戦記、十六夜咲夜のスカート
[道具]:基本支給品、マッド博士の整形マシーン、ポラロイドカメラ
[思考・状況]
基本:主催も含めて皆殺し。
1:……
※勝治の存在に気づいていません
※デイパックを枕にしています
※すぐ近くにスカートを除く十六夜咲夜の服とムラクモのズボンが置いてあります



※二人の近くに買い物カゴとカートがあります。カートの中には以下のものが入っています。
特に表記が無いものは全て少しずつ使われています。
水(1リットルのペットボトル、残り半分)、バケツ(汚れた水入り)、ハンドタオル(汚れてバケツにかかってる)、ガーゼ、消毒液、軟膏、怪我用の防水テープ
※廃棄カゴの中には様々な商品とふしぎなくすりが入っています。



【十六夜咲夜のメイド服@東方Project】
松岡勝治に支給。
子供サイズに仕立て上げられている以外は特に特徴のないメイド服。
ウィッグは入ってない。
永夜抄仕様。


【ふしぎなくすり@pop'n music(ふしぎなくすりシリーズ)】
遊星が薬屋で見つけた謎のくすり。
ブームのきっかけとなった動画では、くすりがタウリンだったりわざマシンだったりと特に決まってないが、
このロワでは原作の曲の担当キャラであるモニモニが持っている物に準拠。
効果は本編を参照して下さい。
ttp://dic.nicovideo.jp/v/nm10877222
(全ての元凶となった動画の記事。最近動画のほうが削除されました。南無。)
ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%B5%E3%81%97%E3%81%8E%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%99%E3%82%8A
ttp://www.nicovideo.jp/watch/nm7740647





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