「最悪の脚本(マッドスプリクト)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「最悪の脚本(マッドスプリクト)」(2015/01/05 (月) 10:31:26) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo
----
「中々良いペースで減ってるじゃねえか」
第二回放送を聞きジャギは笑みを浮かべる。
どうやら、自分以外にも積極的に殺し合いをしている者は少なくはないらしい。
殺し合いに反対する参加者に下手に徒党を組まれるよりは遥かにましだ。
「さて、どうするか」
疲労が取れたのを確認し、ジャギは前方の獲物を確認する。
数は六人、男二人、女四人。
その内一人は上半身だけ、死体だろうか。
車種までは分からないが、車に乗ってこちらに向かってきている。
(流石にあの人数は面倒だな)
連中がこちらに気付き、車を停車させる。
中から金髪の少女と軍服を着た男が降りてきた。
常人だけならともかく、この二人は相当な使い手。まず一度に相手するのは得策ではない。
「私達は殺し合いには乗っていません」
「うむ、出来れば争いは避けたいが」
相手側に殺意は無い。少なくとも今は。
ならば、今回はそれに乗っかるのも手か。
「ああ、俺も争う気はねえな」
勿論嘘だ。
獲物を欺き隙を見せたところを一気に狩る。
それが彼の立てた作戦、単純極まりないが厄介な事この上ない。
「どうやら敵意は無いらしいな」
「そうですわね。響さん――」
警戒を解き、二人組みは車の中の仲間に呼びかけ始めた。
どうやらファーストコンタクトは悪くないらしい。
正直、あからさまな世紀末フッションにヘルメットと見れば誰でも怪しむものだが、生憎とこの二人が色々ずれてたのも要因だろう。
その後、自己紹介から始まり今までの情報の交換、危険人物など平穏なコミュニケーションが行われた。
無論ジャギは今までに自分が戦ったリュウセイ、研を危険人物だと教えるなど嘘も混じっているが。
(青色の巨人、か。覚えておくか、いずれ殺してやるがな)
「二人組みの子供か……信じがたいが」
「ああ、俺もそれで騙された。くれぐれも気をつけろよ」
情報の入手も上手くいった。
完全に気を許しているわけでも無いが、それでも隙は徐々に見せ始めている。
何時殺すか、あるいはこのまま誤った情報を流し他の参加者と潰し合わせるのも悪くは無い。
「あァ?」
だからだろう。
「どうし――」
アカツキの背後。
生い茂る木々、茶と緑の自然しかない空間に現われた青色の異物。
その巨体を歩み寄せ、口を開きニタリと笑う“ソレ”。
かつて感じた。そして今尚、アカツキの心を蝕む存在。
「くっ……」
何時から居たのか。如何にしてこの近距離まで気配を消したのか。
浮かぶ疑問は尽きず、そして思考する間もなく身体は回避運動を行う。
だが、驚愕はその回避運動を僅かながら遅らせた。
時間にして一秒も無かったかもしれない。しかし、この場面に置いてこれは致命的過ぎる。
――間に合わない。
闇に包まれ覆われる視界。生暖く気色の悪い吐息。
感じる全てが不快で、そして恐怖で満たされていく。
血が、舞う。
頭を失った体は力を無くし、重力に従い崩れ落ちる。
残ったのは首から上が無い無残な死体。
「雛、子……?」
頭部を噛み千切られた際に地へと落ちた雛子の金髪だけだった。
あの一瞬、雛子はアカツキを跳ね飛ばし青鬼に喰われた。
まるで悪い夢のようだ。
淡々と起こっては過ぎていった事態に理解が追いつかない。
「アカツキさん!」
鬼子の叱咤。
アカツキの意識は再び覚醒し事態を無理やり認識させた。
「ここは私が何とかしてみせます……ですから早く逃げて!」
「待て、お前一人では……」
「私の命は既に一度、ある人の犠牲により救われました……。今度は私が……」
止めたかった。
戦力的に考えてもアカツキがここに留まるべきなのは明白だ。
(何故、震えが止まらないんだ……!)
怖い。
どうしようもなくあの存在が恐ろしい。
戦意どころか無謀な戦いに臨む仲間を止める事すらできない程に。
「ひ、ひな……なんで、雛子……? 雛子雛子雛子!?」
「ちっ」
虚ろな目で雛子だったものへ近づこうとする響をアカツキは無理やり抱き寄せ担ぎ上げた。
肩の上で暴れる響を制し、上半身だけのプラシドを拾い上げる。
「逃げるぞ!!」
全速力で駆け出した。
「ハァ……ハァ……ここまでくれば大丈夫か?」
半ば放心状態の響を下ろし自身も腰を下ろす。
無我夢中で走った。ここに来たなかで全速力かもしれない。
「鬼子……」
あの場で誰かが残るのは間違った選択じゃなかった。
だが問題は誰が残るかだ。
考えなくても分かる。
鬼子よりも、適任者が居た。
アカツキならば、青鬼と対峙しても生還できる可能性は高い。
「くっ……自分は……」
未だに体が震えている。
止まらない。
「おいアカツキ……ルカは何処だ?」
「何?」
ルカ……。
居ない。何処に?
プラシドの呼びかけでアカツキは更なる異常に気付いた。
ジャギと会ってから、口数は多くはなかったが確かに先までは居たはず。
「不味い、連れ戻さなければ危険だ」
逸れたとすれば、青鬼に遭遇した場所からここまで逃げてきた道中になる。
一先ず来た道を戻り、ルカを捜索を行うべきか。
「!? かわせアカツキ!!」
プラシドの叱咤と同時に五体の一部の感触が消えた。
激痛と溢れ出す流血。
「ぁあ……」
小さく呻き声を上げ、だがそれでも戦闘の体勢に切り替え襲撃者に視線を移すのは、流石アカツキといったところか。
「ちっ一撃で殺してやろうと思ったんだがな」
血の付いた刃物を振るい血を払うジャギ。
「何の、つもりだ……?」
「見て分からないかよ。乗ってるんだよ、このケンシロウは殺し合いにな!
数が多くて厄介だと思ったが、いい具合に分かれてくれてラッキーだぜ」
間髪入れず横薙ぎに刃物が迫り、アカツキがいなそうとしたところで止まる。
フェイント。
本命はアカツキの右脇腹を狙った回し蹴り。
右腕を失った事によりガードも出来ず、そのまま衝撃を受け地面を無様に転がる。
即座に残った左腕で立ち上がり体勢を整えようとするも、眼前にはジャギの膝蹴りが迫り顔面にめり込み背中から倒れ付す。
「大した事はねえな。少しは骨のある奴だと思ったんだがな」
状況はこちらが押されている。
とすればせめて仲間だけでも逃がすべきだ。
「に、逃げろ……響! プラシドを連れて逃げろ!!」
「む、無理だ……」
雛子へ闘争を促すが彼女は聞き入れてくれない。
「怖いんだ……。雛子も鬼子も居なくなってアカツキまで……」
震える手で銃。
ディエンドライバーを構え響はジャギへと構える。
「止めろ、お前の勝てる相手じゃない!」
「それを貸せ響! 下半身は無いがお前よりは上手く使える筈だ!!」
死への恐怖から正常な判断が出来ないというのもあるだろう。
だが――その目には強い意志が感じられた。
決して、それは正しい行動とはいえない勇気ではなく無謀なこと。
だとしても、今この瞬間響きの眼には強い意思、恐怖へと抗う勇気があった。
(自分は……一体何をしていたんだ……?)
銃を強く握り決して手放そうとしない響を見てアカツキは自然と笑いが込み上げてきた。
まるで、今までの自分が馬鹿らしくなってくる。
――あの青色の巨人に会ってから自分は何をしていた?
――何を震えていたのだろう。
――あんな少女ですら、戦いを決意している最中自分は……なんと無様な事か。
「止めろ、響」
静かに、そして先までとは違う意思と決意に満ちたその声は、初めて響の耳に届いた。
「自分は帝国軍人。このような賊に負けなどしない」
何も恐れる必要など無い。
あの巨人もヘルメットの男も、全て倒すだけだ。
恐怖などで止まるわけにはいかない。自分にはまだすべき事がある。為さねばならない事もある。
救わなければならない仲間がいる。
「行け響。自分はこんなところで止まるつもりは無い」
強者に平伏す豚は再び戦士としての覚醒を果たす。
その背中は無言の圧力と安堵感が伝わってくる。
「言うじゃねえか、面白ェ」
ジャギはヘルメットの下で静かに、笑う。
それは嬉しさ。
本人すら気付き得ない場所で漢として求めているのかもしれない。
戦うに値する強者に。
ジャギは気付かない。この場に来てから徐々に変わりつつある何かに。
「響は――行ったか」
プラシドを連れこの場を去った響を確認し、アカツキは残った左拳を握り込む。
長くは戦えそうに無い。不意を突かれ片腕を失ったツケがここで回ってきた。
出血は多い。意識を保てるのはあと僅かか。
「一撃で決めさせて貰うぞ」
故に取った行動は一撃必殺。
初撃で勝負を決め、腕の手当てをし意識を繋ぎとめ響を追う。
アカツキが立てたのはシンプルな予定。
「電光機関――開放……!」
全ての電気エネルギーを左拳に込める。
傷が痛むが気にする暇は無い。
並々ならぬ膨大な力にジャギも一歩後ずさる。
「まだ、そんなもんを隠してやがったか……」
対するジャギは腰を僅かに引き手を携える。
闘気を全身に纏わせアカツキを睨む。
誇り高き帝国軍人に対し、最大の敬意を払うために。
以前のジャギであれば思いもしなかった行動に。
「歯を……」
「南斗――」
アカツキが駆け出し、ジャギは僅かにバックステップをし助走を付ける。
「食いしばれ!!」
「邪狼撃!!」
拳と貫手。電撃と闘気。
両者の奥義が交差し交わり。
静寂が支配する。
ジャギの貫手に使った右腕の皮膚が裂け鮮血が散る。
「すまない……響」
胸部に赤黒い穴を空けアカツキは倒れた。
「クソがっ……」
力なく垂れた右腕を纏っていたジャケットで巻きつけ止血する。
応急処置もいいところだ。何処か落ち着ける場所で治療に専念する必要があるか。
アカツキのディバックを拾い上げ自分のディバックへ放り込むとジャギはその場を後にした。
その顔は、だが何処か満ちているようにも見えた。
【C-05 /1日目・日中】
【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、全身に爆発によるダメージ×2、QMZの力の目覚め、原因不明の苛立ち、右腕に裂け傷(止血済み)
[装備]:魔法戦士の衣装一式@QMZ
[道具]:基本支給品一式、音の出るフリスピー@ミツバチ(遊助)、アカツキのディバック
日本酒一升、刃物×2(全て違う種類、そこそこ大きい)
[思考・状況]
基本思考:ケンシロウの名を騙ってゲームに乗る
0:ケンシロウも気になるが、コソコソ見てた奴(譲治)も気になる。
1:参加者を探し、殺す。
2:銃火器がほしい。ガトリングとか。
3:襲撃者(にとり)は確実に殺す。
4:自分をコケにした女と犬(早苗と権兵衛)は許さない。
5:研、リュウセイ(名前を知らない)は次会ったら殺す。
6:奇跡の部屋にある新鮮な血に疑問。
7:右腕の治療と青鬼を警戒。
「アカツキ……」
「心配するな響、奴は強い。恐らくこの俺をも凌ぐやも知れないほどにな」
プラシドを連れジャギから逃げ延びた響。
アカツキの事も気になるが、プラシドの言った事をアカツキの言葉を信じて、待つしか今は出来ない。
辺りを見渡し、ここが何処か確認する。
あの青色の巨人と鉢合わせは勘弁だ。
「響、あの車……」
何かを見つけたのか、小脇に抱えられたプラシドが指差す。
その先には見覚えがある車が一台あった。
ホンダのオデッセイだ。自分達が散々乗り回して来た車、忘れるわけが無い。
「何でこんなところに……」
「ルカか鬼子が乗って、ここまで来たのかもしれないな」
そっとドアノブに手を掛ける。
……揺れている。僅かにだが車体が振動している事に響は気づいた。
ガチャっとドアを開ける。
「!?」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
「ルカ……?」
車内に居たのは紛れも無く巡音ルカその人だった。
違いがあるとすれば、少なくとも逸れる以前はまだ生気があったのに比べ
今は顔面蒼白、体は絶えず震えを繰り返し異常なほどに見開いた眼でこちらを見てくる。
「何だ? 何があった!」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
まるで話にならない。これではマナーモードだ。
「!? お、鬼子!!」
その時、木々の向こうから見覚えのある着物姿が見えてきた。
特徴的な和服、長い黒髪に鬼の角。
間違いない、日本鬼子。
「ぶ、無事だったんだな……」
鬼子の安否を確認し、ほっと一息着いた。
プラシドを助手席に置き、自分は外に出て鬼子を見つめる。
雛子以外は誰も死んでいなかった。
良かった。本当に良かったと心の中で何度も呟き続ける。
気付けば安堵からか、涙まで出始めていた。
「……」
それを心配してか鬼子が響へ近寄ってくる。
響は涙を拭い笑顔を作ると。
「大丈夫、大丈夫だぞ……」
そうだ泣いてる暇なんか無い。
鬼子が生きていたんだ。なのに鬼子をここで心配させてどうする。
アカツキだって生きてる。今は泣くような事は無いのだから……。
「ルカ! 貴様何をしている!!!」
車のエンジン音。最早止まることなど考えていない異常な加速。
ただその場から離れる為だけの運転に響は呆然とする。
「え?」
ニヤリと笑う。
黒い髪に鬼の角を生やした
「助、け――」
ブルーベリー色の巨人は。
&color(red){【アカツキ@アカツキ電光戦記】死亡}
&color(red){【四条雛子@MUGEN】死亡}
&color(red){【日本鬼子@日本鬼子ぷろじぇくと】死亡}
&color(red){【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】死亡}
【D-05 /1日目・日中】
【プラシド@遊戯王5D's】
[状態]:上半身のみ、希望の番人化
[装備]:アノニムの二丁拳銃 弾数(5/6、6/6)(一丁のみ腰に差している)@アカツキ電光戦記
[道具]:基本支給品一式、インヴェルズ・ギラファ@遊戯王、 希望王セット@遊☆戯☆王ZEXAL、RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース@遊☆戯☆王ZEXAL
[思考・状況]
基本行動方針:絶望の未来を変える
0:ルカ……? 響は?
1:気に食わないが戦力になりそうな不動遊星を探す。
2:愛用のDホイールと剣が欲しい。
3:不動遊星との決着は保留。
4:下半身♂を直したい。
5:宙……。
※シンクロの代わりとなるエクシーズに注目しています。
※歴史を改変しシンクロ時代の今をエクシーズの時代に変えようと思っています。
※ルカ達の話の食い違いについては一応思考中・・
※RUMと希望王セットのカードは一度使うと6時間使用できません。
※NO.の精神汚染は本ロワでは無効です。
【巡音ルカ@VOCALOID】
[状態]:健康、ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
[装備]:大口径拳銃@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、プラシドの下半身@遊戯王5D's、モンスターボール(バッフロン)
もしかしてオラオラですかーッ!?@未来ガジェット研究所、ふなっしー@現実
[思考・状況]
基本思考:歌い続けるために生きる
1:???
【C-05 /1日目・日中】
【青鬼@青鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
【D-04 /1日目・日中】
【青鬼B@青鬼】
[状態]健康、日本鬼子の肉体
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
※雛子、響も青鬼化するかは不明です。
|sm135:[[幕間]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm137:[[イカ娘、侵略やめるってよ]]|
|sm135:[[幕間]]|[[投下順>101~150]]|sm137:[[イカ娘、侵略やめるってよ]]|
|sm100:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|アカツキ|&color(red){GAME OVER}|
|sm100:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|四条雛子|&color(red){GAME OVER}|
|sm103:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|我那覇響|&color(red){GAME OVER}|
|sm103:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|プラシド|sm:[[]]|
|sm78:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|巡音ルカ|sm:[[]]|
|sm78:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|日本鬼子|&color(red){GAME OVER}|
|sm119:[[激戦の!ソウル・バーニングバトル!]]|ジャギ|sm:[[]]|
|sm120:[[A.O.青鬼は死なないのか? 最終鬼畜化け物青鬼]]|青鬼|sm:[[]]|
||青鬼B|sm:[[]]|
*最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo
----
「中々良いペースで減ってるじゃねえか」
第二回放送を聞きジャギは笑みを浮かべる。
どうやら、自分以外にも積極的に殺し合いをしている者は少なくはないらしい。
殺し合いに反対する参加者に下手に徒党を組まれるよりは遥かにましだ。
「さて、どうするか」
疲労が取れたのを確認し、ジャギは前方の獲物を確認する。
数は六人、男二人、女四人。
その内一人は上半身だけ、死体だろうか。
車種までは分からないが、車に乗ってこちらに向かってきている。
(流石にあの人数は面倒だな)
連中がこちらに気付き、車を停車させる。
中から金髪の少女と軍服を着た男が降りてきた。
常人だけならともかく、この二人は相当な使い手。まず一度に相手するのは得策ではない。
「私達は殺し合いには乗っていません」
「うむ、出来れば争いは避けたいが」
相手側に殺意は無い。少なくとも今は。
ならば、今回はそれに乗っかるのも手か。
「ああ、俺も争う気はねえな」
勿論嘘だ。
獲物を欺き隙を見せたところを一気に狩る。
それが彼の立てた作戦、単純極まりないが厄介な事この上ない。
「どうやら敵意は無いらしいな」
「そうですわね。響さん――」
警戒を解き、二人組みは車の中の仲間に呼びかけ始めた。
どうやらファーストコンタクトは悪くないらしい。
正直、あからさまな世紀末フッションにヘルメットと見れば誰でも怪しむものだが、生憎とこの二人が色々ずれてたのも要因だろう。
その後、自己紹介から始まり今までの情報の交換、危険人物など平穏なコミュニケーションが行われた。
無論ジャギは今までに自分が戦ったリュウセイ、研を危険人物だと教えるなど嘘も混じっているが。
(青色の巨人、か。覚えておくか、いずれ殺してやるがな)
「二人組みの子供か……信じがたいが」
「ああ、俺もそれで騙された。くれぐれも気をつけろよ」
情報の入手も上手くいった。
完全に気を許しているわけでも無いが、それでも隙は徐々に見せ始めている。
何時殺すか、あるいはこのまま誤った情報を流し他の参加者と潰し合わせるのも悪くは無い。
「あァ?」
だからだろう。
「どうし――」
アカツキの背後。
生い茂る木々、茶と緑の自然しかない空間に現われた青色の異物。
その巨体を歩み寄せ、口を開きニタリと笑う“ソレ”。
かつて感じた。そして今尚、アカツキの心を蝕む存在。
「くっ……」
何時から居たのか。如何にしてこの近距離まで気配を消したのか。
浮かぶ疑問は尽きず、そして思考する間もなく身体は回避運動を行う。
だが、驚愕はその回避運動を僅かながら遅らせた。
時間にして一秒も無かったかもしれない。しかし、この場面に置いてこれは致命的過ぎる。
――間に合わない。
闇に包まれ覆われる視界。生暖く気色の悪い吐息。
感じる全てが不快で、そして恐怖で満たされていく。
血が、舞う。
頭を失った体は力を無くし、重力に従い崩れ落ちる。
残ったのは首から上が無い無残な死体。
「雛、子……?」
頭部を噛み千切られた際に地へと落ちた雛子の金髪だけだった。
あの一瞬、雛子はアカツキを跳ね飛ばし青鬼に喰われた。
まるで悪い夢のようだ。
淡々と起こっては過ぎていった事態に理解が追いつかない。
「アカツキさん!」
鬼子の叱咤。
アカツキの意識は再び覚醒し事態を無理やり認識させた。
「ここは私が何とかしてみせます……ですから早く逃げて!」
「待て、お前一人では……」
「私の命は既に一度、ある人の犠牲により救われました……。今度は私が……」
止めたかった。
戦力的に考えてもアカツキがここに留まるべきなのは明白だ。
(何故、震えが止まらないんだ……!)
怖い。
どうしようもなくあの存在が恐ろしい。
戦意どころか無謀な戦いに臨む仲間を止める事すらできない程に。
「ひ、ひな……なんで、雛子……? 雛子雛子雛子!?」
「ちっ」
虚ろな目で雛子だったものへ近づこうとする響をアカツキは無理やり抱き寄せ担ぎ上げた。
肩の上で暴れる響を制し、上半身だけのプラシドを拾い上げる。
「逃げるぞ!!」
全速力で駆け出した。
「ハァ……ハァ……ここまでくれば大丈夫か?」
半ば放心状態の響を下ろし自身も腰を下ろす。
無我夢中で走った。ここに来たなかで全速力かもしれない。
「鬼子……」
あの場で誰かが残るのは間違った選択じゃなかった。
だが問題は誰が残るかだ。
考えなくても分かる。
鬼子よりも、適任者が居た。
アカツキならば、青鬼と対峙しても生還できる可能性は高い。
「くっ……自分は……」
未だに体が震えている。
止まらない。
「おいアカツキ……ルカは何処だ?」
「何?」
ルカ……。
居ない。何処に?
プラシドの呼びかけでアカツキは更なる異常に気付いた。
ジャギと会ってから、口数は多くはなかったが確かに先までは居たはず。
「不味い、連れ戻さなければ危険だ」
逸れたとすれば、青鬼に遭遇した場所からここまで逃げてきた道中になる。
一先ず来た道を戻り、ルカを捜索を行うべきか。
「!? かわせアカツキ!!」
プラシドの叱咤と同時に五体の一部の感触が消えた。
激痛と溢れ出す流血。
「ぁあ……」
小さく呻き声を上げ、だがそれでも戦闘の体勢に切り替え襲撃者に視線を移すのは、流石アカツキといったところか。
「ちっ一撃で殺してやろうと思ったんだがな」
血の付いた刃物を振るい血を払うジャギ。
「何の、つもりだ……?」
「見て分からないかよ。乗ってるんだよ、このケンシロウは殺し合いにな!
数が多くて厄介だと思ったが、いい具合に分かれてくれてラッキーだぜ」
間髪入れず横薙ぎに刃物が迫り、アカツキがいなそうとしたところで止まる。
フェイント。
本命はアカツキの右脇腹を狙った回し蹴り。
右腕を失った事によりガードも出来ず、そのまま衝撃を受け地面を無様に転がる。
即座に残った左腕で立ち上がり体勢を整えようとするも、眼前にはジャギの膝蹴りが迫り顔面にめり込み背中から倒れ付す。
「大した事はねえな。少しは骨のある奴だと思ったんだがな」
状況はこちらが押されている。
とすればせめて仲間だけでも逃がすべきだ。
「に、逃げろ……響! プラシドを連れて逃げろ!!」
「む、無理だ……」
雛子へ闘争を促すが彼女は聞き入れてくれない。
「怖いんだ……。雛子も鬼子も居なくなってアカツキまで……」
震える手で銃。
ディエンドライバーを構え響はジャギへと構える。
「止めろ、お前の勝てる相手じゃない!」
「それを貸せ響! 下半身は無いがお前よりは上手く使える筈だ!!」
死への恐怖から正常な判断が出来ないというのもあるだろう。
だが――その目には強い意志が感じられた。
決して、それは正しい行動とはいえない勇気ではなく無謀なこと。
だとしても、今この瞬間響きの眼には強い意思、恐怖へと抗う勇気があった。
(自分は……一体何をしていたんだ……?)
銃を強く握り決して手放そうとしない響を見てアカツキは自然と笑いが込み上げてきた。
まるで、今までの自分が馬鹿らしくなってくる。
――あの青色の巨人に会ってから自分は何をしていた?
――何を震えていたのだろう。
――あんな少女ですら、戦いを決意している最中自分は……なんと無様な事か。
「止めろ、響」
静かに、そして先までとは違う意思と決意に満ちたその声は、初めて響の耳に届いた。
「自分は帝国軍人。このような賊に負けなどしない」
何も恐れる必要など無い。
あの巨人もヘルメットの男も、全て倒すだけだ。
恐怖などで止まるわけにはいかない。自分にはまだすべき事がある。為さねばならない事もある。
救わなければならない仲間がいる。
「行け響。自分はこんなところで止まるつもりは無い」
強者に平伏す豚は再び戦士としての覚醒を果たす。
その背中は無言の圧力と安堵感が伝わってくる。
「言うじゃねえか、面白ェ」
ジャギはヘルメットの下で静かに、笑う。
それは嬉しさ。
本人すら気付き得ない場所で漢として求めているのかもしれない。
戦うに値する強者に。
ジャギは気付かない。この場に来てから徐々に変わりつつある何かに。
「響は――行ったか」
プラシドを連れこの場を去った響を確認し、アカツキは残った左拳を握り込む。
長くは戦えそうに無い。不意を突かれ片腕を失ったツケがここで回ってきた。
出血は多い。意識を保てるのはあと僅かか。
「一撃で決めさせて貰うぞ」
故に取った行動は一撃必殺。
初撃で勝負を決め、腕の手当てをし意識を繋ぎとめ響を追う。
アカツキが立てたのはシンプルな予定。
「電光機関――開放……!」
全ての電気エネルギーを左拳に込める。
傷が痛むが気にする暇は無い。
並々ならぬ膨大な力にジャギも一歩後ずさる。
「まだ、そんなもんを隠してやがったか……」
対するジャギは腰を僅かに引き手を携える。
闘気を全身に纏わせアカツキを睨む。
誇り高き帝国軍人に対し、最大の敬意を払うために。
以前のジャギであれば思いもしなかった行動に。
「歯を……」
「南斗――」
アカツキが駆け出し、ジャギは僅かにバックステップをし助走を付ける。
「食いしばれ!!」
「邪狼撃!!」
拳と貫手。電撃と闘気。
両者の奥義が交差し交わり。
静寂が支配する。
ジャギの貫手に使った右腕の皮膚が裂け鮮血が散る。
「すまない……響」
胸部に赤黒い穴を空けアカツキは倒れた。
「クソがっ……」
力なく垂れた右腕を纏っていたジャケットで巻きつけ止血する。
応急処置もいいところだ。何処か落ち着ける場所で治療に専念する必要があるか。
アカツキのディバックを拾い上げ自分のディバックへ放り込むとジャギはその場を後にした。
その顔は、だが何処か満ちているようにも見えた。
【C-05 /1日目・日中】
【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、全身に爆発によるダメージ×2、QMZの力の目覚め、原因不明の苛立ち、右腕に裂け傷(止血済み)
[装備]:魔法戦士の衣装一式@QMZ
[道具]:基本支給品一式、音の出るフリスピー@ミツバチ(遊助)、アカツキのディバック
日本酒一升、刃物×2(全て違う種類、そこそこ大きい)
[思考・状況]
基本思考:ケンシロウの名を騙ってゲームに乗る
0:ケンシロウも気になるが、コソコソ見てた奴(譲治)も気になる。
1:参加者を探し、殺す。
2:銃火器がほしい。ガトリングとか。
3:襲撃者(にとり)は確実に殺す。
4:自分をコケにした女と犬(早苗と権兵衛)は許さない。
5:研、リュウセイ(名前を知らない)は次会ったら殺す。
6:奇跡の部屋にある新鮮な血に疑問。
7:右腕の治療と青鬼を警戒。
「アカツキ……」
「心配するな響、奴は強い。恐らくこの俺をも凌ぐやも知れないほどにな」
プラシドを連れジャギから逃げ延びた響。
アカツキの事も気になるが、プラシドの言った事をアカツキの言葉を信じて、待つしか今は出来ない。
辺りを見渡し、ここが何処か確認する。
あの青色の巨人と鉢合わせは勘弁だ。
「響、あの車……」
何かを見つけたのか、小脇に抱えられたプラシドが指差す。
その先には見覚えがある車が一台あった。
ホンダのオデッセイだ。自分達が散々乗り回して来た車、忘れるわけが無い。
「何でこんなところに……」
「ルカか鬼子が乗って、ここまで来たのかもしれないな」
そっとドアノブに手を掛ける。
……揺れている。僅かにだが車体が振動している事に響は気づいた。
ガチャっとドアを開ける。
「!?」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
「ルカ……?」
車内に居たのは紛れも無く巡音ルカその人だった。
違いがあるとすれば、少なくとも逸れる以前はまだ生気があったのに比べ
今は顔面蒼白、体は絶えず震えを繰り返し異常なほどに見開いた眼でこちらを見てくる。
「何だ? 何があった!」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
まるで話にならない。これではマナーモードだ。
「!? お、鬼子!!」
その時、木々の向こうから見覚えのある着物姿が見えてきた。
特徴的な和服、長い黒髪に鬼の角。
間違いない、日本鬼子。
「ぶ、無事だったんだな……」
鬼子の安否を確認し、ほっと一息着いた。
プラシドを助手席に置き、自分は外に出て鬼子を見つめる。
雛子以外は誰も死んでいなかった。
良かった。本当に良かったと心の中で何度も呟き続ける。
気付けば安堵からか、涙まで出始めていた。
「……」
それを心配してか鬼子が響へ近寄ってくる。
響は涙を拭い笑顔を作ると。
「大丈夫、大丈夫だぞ……」
そうだ泣いてる暇なんか無い。
鬼子が生きていたんだ。なのに鬼子をここで心配させてどうする。
アカツキだって生きてる。今は泣くような事は無いのだから……。
「ルカ! 貴様何をしている!!!」
車のエンジン音。最早止まることなど考えていない異常な加速。
ただその場から離れる為だけの運転に響は呆然とする。
「え?」
ニヤリと笑う。
黒い髪に鬼の角を生やした
「助、け――」
ブルーベリー色の巨人は。
&color(red){【アカツキ@アカツキ電光戦記】死亡}
&color(red){【四条雛子@MUGEN】死亡}
&color(red){【日本鬼子@日本鬼子ぷろじぇくと】死亡}
&color(red){【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】死亡}
【D-05 /1日目・日中】
【プラシド@遊戯王5D's】
[状態]:上半身のみ、希望の番人化
[装備]:アノニムの二丁拳銃 弾数(5/6、6/6)(一丁のみ腰に差している)@アカツキ電光戦記
[道具]:基本支給品一式、インヴェルズ・ギラファ@遊戯王、 希望王セット@遊☆戯☆王ZEXAL、RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース@遊☆戯☆王ZEXAL
[思考・状況]
基本行動方針:絶望の未来を変える
0:ルカ……? 響は?
1:気に食わないが戦力になりそうな不動遊星を探す。
2:愛用のDホイールと剣が欲しい。
3:不動遊星との決着は保留。
4:下半身♂を直したい。
5:宙……。
※シンクロの代わりとなるエクシーズに注目しています。
※歴史を改変しシンクロ時代の今をエクシーズの時代に変えようと思っています。
※ルカ達の話の食い違いについては一応思考中・・
※RUMと希望王セットのカードは一度使うと6時間使用できません。
※NO.の精神汚染は本ロワでは無効です。
【巡音ルカ@VOCALOID】
[状態]:健康、ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
[装備]:大口径拳銃@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、プラシドの下半身@遊戯王5D's、モンスターボール(バッフロン)
もしかしてオラオラですかーッ!?@未来ガジェット研究所、ふなっしー@現実
[思考・状況]
基本思考:歌い続けるために生きる
1:???
【C-05 /1日目・日中】
【青鬼@青鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
【D-04 /1日目・日中】
【青鬼B@青鬼】
[状態]健康、日本鬼子の肉体
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???
※雛子、響も青鬼化するかは不明です。
|sm135:[[幕間]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm137:[[イカ娘、侵略やめるってよ]]|
|sm135:[[幕間]]|[[投下順>101~150]]|sm137:[[イカ娘、侵略やめるってよ]]|
|sm100:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|アカツキ|&color(red){GAME OVER}|
|sm100:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|四条雛子|&color(red){GAME OVER}|
|sm103:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|我那覇響|&color(red){GAME OVER}|
|sm103:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|プラシド|sm147:[[大きすぎる…修正が必要だ…]]|
|sm78:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|巡音ルカ|sm147:[[大きすぎる…修正が必要だ…]]|
|sm78:[[増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-]]|日本鬼子|&color(red){GAME OVER}|
|sm119:[[激戦の!ソウル・バーニングバトル!]]|ジャギ|sm147:[[大きすぎる…修正が必要だ…]]|
|sm120:[[A.O.青鬼は死なないのか? 最終鬼畜化け物青鬼]]|青鬼3|sm147:[[大きすぎる…修正が必要だ…]]|
||青鬼4(B)|sm147:[[大きすぎる…修正が必要だ…]]|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: