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「すべてはたった一つの間違いから」(2013/03/13 (水) 19:37:13) の最新版変更点
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*すべてはたった一つの間違いから ◆czaE8Nntlw
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ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは木立の陰にしゃがみこむと、地図を開いた。
ジャックの友人だという不動遊星、鬼柳京介。出来る限り早急に彼らと接触を図りたい所だが、闇雲に探索していては埒が開かない。
まずは学校や教会といった人の集まりそうな施設を目指すのが得策だろう。(病院はあの有様だったので無視する)
「学校はC-03。それに…G-02に冬木市ハイアットホテル、か」
予想通り、学校はあった。しかし、それ以上に気になるのがG-02に位置している「冬木市ハイアットホテル」。
このホテルにはフロアひとつ借り切った完璧な工房に結界24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊、魍魎数十体、無数のトラップ、廊下の一部には異界化された空間を備えた魔術工房があるのだ。
拠点を構えるのにこれほど相応しい場所は無いだろう。
それに、ランサーのこともある。
あいつは愚鈍だが、決して馬鹿ではない。地図を見ていたとすれば、ほぼ確実にホテルを目指しているはずだ。
生憎、学校とホテルは対極に位置しており、両方を尋ねる事はほぼ不可能。
(ランサーとの合流を優先するか、他の参加者との接触を優先するか…)
「雛子ー、危ないから止めた方がいいぞー!雛子にもしもの事があったら自分はどうすればいいんだ!?」
少し離れた森林では帝国軍人とアイドル、そしてSUMOUをこよなく愛するお嬢様の議論が行われていた。
「うむ、響の言う通りだ。俺も腕には覚えがあったというのにこのザマだ。あの化け物がどれだけ強いか、お前は分かっていないだろう?」
「大丈夫ですわ。危険を感じたらすぐに逃げますから。それにアカツキさんのデイバックも回収しなくてはいけませんし。食料も入れたままなのでしょう?」
「むむむ…」
雛子の冷静な反論に黙り込んでしまうアカツキ。
どうにも食料の話を出されると弱い。あれだけ食べておいて実は腹八分目です、などとどの口が言えようか。自分のデイバックを回収し、ある程度食料を確保しておきたいのも本音ではあるのだが…。
「ほら、どっちにしてももう病院の近くまで来てしまいましたわ」
と、そこまで考えた所で雛子が聞き捨てならない台詞を平然と吐き捨てた。
「おのれ雛子、図ったな!?自分は絶対行かないぞ!」
「別に図ってなどいませんわ。たまたま歩いていた先に病院があっただけですもの」
涙目で文句を告げる響に悪びれる様子もなく、淡々と言い返す雛子。
彼女は一見おっとりしているようだが、意外に策略家なのである。
汚いなさすがSUMOUきたない。
「おいおい…響も嫌がっているぞ。あまり勝手な行動は「アカツキさん!何者かの気配を感じますわ。もしかしたらその怪物かも…」何!?」
その巧妙な策略に半ば呆れていたアカツキに雛子が異変を告げた。
その瞬間、脳内にあの恐ろしい外見がフラッシュバックする。
またあの化け物と遭遇するとは冗談にもならない。雛子も手慣れのようだが、あれはスポーツにおける闘気とは別次元の恐ろしさを持っているのだ。…帝国軍人でさえ怯ませる程の恐ろしさを。
「…この辺りですわ。アカツキさん、響さんをお願いします」
期待と緊張を浮かべた表情で、雛子がゆっくりと茂みへ近づいていく。
響が後ろから軍服の裾を掴んでくるのを感じながら、アカツキは全神経を拳に集中させる。
「…怪物さん、ですか?」
雛子の問いかけに反応するように茂みが震えた。
雛子が茂みを間合いに入れるまであと三歩。
二歩。
一歩。
茂みの後ろから、青色の人影が姿を現した。それはゆっくりと雛子の方へ向き直り―――――。
「怪物呼ばわりとは心外だ。私はアーチボルト家⑨代目当主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。君達は何者だ?」
「…つまり、その怪物はケイネスさんに倒されてしまったという事ですか…」
「ああ…大きな代償は支払わされたがね」
残念そうに話す雛子とケイネスを横目に、アカツキは一人デイバックを物色していた。
話を聞いてみるとこのケイネスという男、なんとあの化け物を倒してしまったらしい。生憎どうやって倒したのかという事までは教えてくれなかったが、講師をしているという優男然とした外見からは想像出来ない実力の持ち主のようだ。
そのケイネスの持っていた大量のデイバックの内どれか一つがアカツキの物らしい、という事で物色させてもらっているのだが…。
「うーむ…」
「見つかったか?」
「いや、どうもな…」
ケイネスが声を掛けるが、アカツキの返事はどこか要領を得ない。
無理もない、何せアカツキ自身デイバックの中身はほとんど確認していなかったのだ。外見の特徴だけで自分のデイバックを選べという方が無茶だろう。
「実は中身はほとんど見ていなかったのでな…もし良ければ俺のデイバックの中身は貴様にやろう。その代わりと言っては何だが…」
「何だ?」
「デイバックは貴様の分を除いても三つあるんだろう?出来れば食料を分けてくれないか?」
「私は別に構わないが…」
「よろしい。交渉成立だな」
嬉しそうに食料をデイバックに詰め込むアカツキと呆れたようにそれを見つめる二人の少女。
そんな三人を前に、ケイネスは本題を切り出す。
「さて、君達の情報を聞かせてもらおう。…まず、不動遊星と鬼柳京介という男に心当たりは?」
「知らんな」
「自分も知らないぞ。雛子はどうだー?」
「私も存じ上げませんが…鬼柳という方は先程の放送でお名前が呼ばれたはずでは?」
「分かっている。だが、私の恩人が言うには彼はこんなところで死ぬような男ではないらしい。…あいつがそう言うのだから、きっと生きているだろうさ」
ケイネスは自嘲するような笑みを浮かべながら言った。朧気ながらもその心情を察した雛子もそれ以上は追求せず、力になれない事を申し訳なさそうに謝った。
「話を戻そう。君達はこれからどうするつもりだ?もし良ければ提案があるんだが」
先程とはうってかわって、自信に満ちた表情を浮かべながらケイネスが告げる。
「どうするつもり、と言われましても…」
と悩んだように雛子が返す。
思えば雛子は先の事について全く考えていなかった。
とりあえず真剣勝負を堪能して、SUMOUの楽しさを伝える事で頭が一杯だったのだ。今更どうするか、と聞かれても困惑するだけである。
「…アカツキさんはどうするおつもりですか?」
とりあえずアカツキに助言を求めてみる。響は自分についてきてくれるだろうから、心配は無用だ。
「うむ、俺は…待て、ケイネス。まずは貴様の提案を聞かせてもらおう」
アカツキがケイネスに問いかけると、ケイネスは淡々と語り始めた。
「そうだな、私の提案というのはこうだ。
まず、私は鬼柳京介と不動遊星を探している。島全体を闇雲に探し回るよりは特定の施設を探した方が捜索が楽な上、他参加者と接触するチャンスも多い。
次に、このような状況下において一番に頼られるのが病院や学校といった公共施設だ。病院は君達も知っているように、化け物の根城と化しているという噂が出回っている。賢明な参加者ならば、まず近寄らないだろう。
そういった事実を考慮すると、最後に残るのがC-03の学校。君達にはそこへ向かってもらいたい」
「なるほど、つまり俺達に人探しを手伝って欲しいという事か」
腕組みをしながら納得したように頷くアカツキ。
それから数秒の間を置いて、詰問するようにケイネスに聞き返す。
「貴様の言い分は分かった。だが、俺達が学校へ向かう間、貴様は何をするつもりだ?ケイネスよ」
予想していたと言わんばかりの表情でケイネスは返答する。
「なに、私は先に従者を迎えに行こうと思ってな」
「従者?」
「ああ。愚鈍で役立たずだが、一応は騎士のはしくれだ。連れて来ればいくらかは心強いだろう。…頼めるか?」
「俺は構わん。雛子、お前はどうする?」
「私もアカツキさんにご一緒しますわ。響さんもそれでよろしいですか?」
「うー…あんまり怖いことはしたくないけど雛子が行くなら…」
雛子の問いかけに響が同意したのを見届けてから、ケイネスは何かを思い出したようにデイバックを開き、大きめの箱を取り出した。
「食料のついでだ、これも持っていくといい」
「何だこれは?」
「“銃火器予備弾薬セット”…。私の持っているデイバックに銃火器の類は入っていなかったし、銃を使うつもりは更々ないのでね。
服装から見るに、アカツキは軍人だろう?私より君達が持っていた方が役に立つ」
「うむ…感謝する」
「なに、大したことはない。私もそろそろ出発するとしよう。
不動遊星と鬼柳京介…彼らを頼んだぞ」
「ああ、任せておけ」
アカツキの返事を背に、ケイネスは再び森の奥へと姿を消していった。
「さて、俺達も出発するか……響、どうした?顔色が悪いぞ?」
「な、何でもない!何でもないぞ!!」
「…ならいいが…」
雛子の後ろで青い顔をしていた響。それが何か不吉な予感のように感じて、アカツキは若干の不安を抱かずにはいられなかった。
【G-06 こんなところ付近/1日目・午前】
【アカツキ@アカツキ電光戦記】
[状態]:疲労(大)、左腕に大きな噛み傷(応急処置済み)、腹七分目
[装備]:試作型電光機関@アカツキ電光戦記、阪本さんのスカーフ@日常、軍服(手で持っている)
[道具]:こんなところの閉鎖病室の鍵の束@チャージマン研!、銃火器予備弾薬セット@オリジナル、青鬼のデイバック(食料×3)
[思考・状況]
基本行動方針:殺しあうつもりは無い。
1:「不動遊星」と「鬼柳京介」を探しに学校へ向かう。
2:メイトリックスを探し主催の事を聞きだす。
3:こんなところの地下が少し気になる。
4:実はまだちょっと物足りない(胃袋的な意味で)
5:二人の素性を聞きたい。
6:ケイネスの動向が少し気になる。
7:全身タイツを警戒。
※総統閣下シリーズの世界を知りました。
※別の世界から呼ばれたのだとギルガメッシュから聞きました。ほぼ確定だと考えています。
※第一放送を聞き逃しました。
※青鬼は死亡したと思っています。
【四条雛子@MUGEN】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水残り70%)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:真剣勝負を堪能する。相撲に勧誘する。
1:学校へ向かう。
2:「鬼柳京介」と「不動遊星」、ついでに強者を探す。
3:響を守り、一緒に相撲をする。
4:アサシンとの決着をつける。
5:余裕があればアカツキの腕をちゃんと治療したい。
6:また会えたらケイネスとも勝負したい。
※MUGENのアカツキと面識があります。その他にも何人かとは面識があるかもしれません。
具体的に誰を知っているかは後の人におまかせします。
※響の素性を簡単に聞きました。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
彼ほどではありませんがそう考えています。
ケイネスがアカツキに渡した「銃火器予備弾薬セット」。
響はそれを目にした瞬間から震えが止まらなかった。支給された拳銃と、都合良く手元に集まった弾薬。――――これではまるで、自分に闘えと言ってるみたいじゃないか!
冗談じゃない。自分は闘いたくない。怖いのだ。武器も殺し合いも、なにもかも全て。
今はただ、何も考えたくなかった。
(だから、雛子やアカツキと一緒に居ればどうにかなるさー…二人共強そうだし…)
そんな根拠の無い自信が、響の頭を支配していった。
それが彼女にどのような影響をもたらすのか…今はまだ、分からない。
【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】
[状態]:軽い打撲、死への恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水少量消費)、ディエンドライバーとライダーカード(ディエンド)@仮面ライダーディケイド、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:生きて帰る。
1:アカツキと雛子に着いていく。
2:雛子に守ってもらう代わりに一緒に相撲をする。
3:何で自分の周りは超人だらけなんだ〜!?
4:プロデューサーやアイドルのみんなに会いたい。
5:別の世界……なんかすっごいさ〜
6:ディエンドライバーは絶対に使いたくない。戦いたくない!
※参戦時期はアニメ15話終了時からです。
※雛子の素性を簡単に聞きました。
※雛子を頼りにする事で死への恐怖を薄れさせています。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
彼ほどではありませんがそう考えています。
アーチボルト家⑨代目当主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。彼もまた間違いを犯していた。
彼自身その間違いに気付いてはいないが、それも仕方のないことかもしれない。
何しろ彼はこの場に来てから一日も経たない内に許嫁と愛娘、恩人を失ったのだ。知覚出来ない部分でパニックを起こしていても不思議ではない。
その間違いはたった一つ。
『アカツキ達からこれまでに出会った参加者達の情報を聞かなかった。』
たったそれだけ。
恩人を死なせてしまった後悔の念とランサーへの僅かな期待。それが普段は冷静な彼の判断力を鈍らせたのは確かだろう。
だが、彼らに詳細な情報提供を求めなかったのは失敗だった。現にアカツキはギルガメッシュと対話していたし、雛子はアサシンと一戦交えていた。
彼にとって、人生二度目とも言える失敗。
その失敗は魔術師にどのような影響を与えるのだろうか?
それも今はまだ、分からない。
【G-06 森林/1日目・午前】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(中) 魔力消費(極小) 令呪残り二画
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)、 ヒラリマント@ドラえもん
[道具]:基本支給品×4(食料×1)、アカツキのディバック、ジャックのデイバック
ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
乖離剣・エア@Fate/stay night
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒。
1:冬木ハイアットホテルへ向かい、ランサーと合流する。
2:不動遊星、鬼柳京介を捜索。
3:ランサーの魔力は誰が・・・?
4:ギルガメッシュ、アサシン、ラミエル、グレーテルを警戒。
5:このゲームは聖杯戦争と関連している・・・?
※ハリボテエレジーはデイバッグの中で修復するかもしれません。
※令呪を使ったとき発動するかどうかは他の書き手さんに任せます。
※この首輪、または会場の所為で魔力の消費が著しくなっていると考えています。
※青鬼は死亡したと思っています。
【銃火器予備弾薬セット@オリジナル】
ロケットランチャーから拳銃まで様々な銃火器の予備弾薬の詰め合わせ。
各種弾薬が200発ずつ入っている。
|sm105:[[殺し合いから逃げよう、遠くへ遠くへ逃げよう]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm107:[[損をするのはいつも優しい人ばかり]]|
|sm105:[[殺し合いから逃げよう、遠くへ遠くへ逃げよう]]|[[投下順>00〜50]]|sm107:[[損をするのはいつも優しい人ばかり]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|アカツキ|sm:[[]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|四条雛子|sm:[[]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|我那覇響|sm:[[]]|
|sm90:[[To the beginning]]|ケイネス・エルメロイ・アーチボルト|sm120:[[A.O.青鬼は死なないのか? 最終鬼畜化け物青鬼]]|
*すべてはたった一つの間違いから ◆czaE8Nntlw
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ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは木立の陰にしゃがみこむと、地図を開いた。
ジャックの友人だという不動遊星、鬼柳京介。出来る限り早急に彼らと接触を図りたい所だが、闇雲に探索していては埒が開かない。
まずは学校や教会といった人の集まりそうな施設を目指すのが得策だろう。(病院はあの有様だったので無視する)
「学校はC-03。それに…G-02に冬木市ハイアットホテル、か」
予想通り、学校はあった。しかし、それ以上に気になるのがG-02に位置している「冬木市ハイアットホテル」。
このホテルにはフロアひとつ借り切った完璧な工房に結界24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊、魍魎数十体、無数のトラップ、廊下の一部には異界化された空間を備えた魔術工房があるのだ。
拠点を構えるのにこれほど相応しい場所は無いだろう。
それに、ランサーのこともある。
あいつは愚鈍だが、決して馬鹿ではない。地図を見ていたとすれば、ほぼ確実にホテルを目指しているはずだ。
生憎、学校とホテルは対極に位置しており、両方を尋ねる事はほぼ不可能。
(ランサーとの合流を優先するか、他の参加者との接触を優先するか…)
「雛子ー、危ないから止めた方がいいぞー!雛子にもしもの事があったら自分はどうすればいいんだ!?」
少し離れた森林では帝国軍人とアイドル、そしてSUMOUをこよなく愛するお嬢様の議論が行われていた。
「うむ、響の言う通りだ。俺も腕には覚えがあったというのにこのザマだ。あの化け物がどれだけ強いか、お前は分かっていないだろう?」
「大丈夫ですわ。危険を感じたらすぐに逃げますから。それにアカツキさんのデイバックも回収しなくてはいけませんし。食料も入れたままなのでしょう?」
「むむむ…」
雛子の冷静な反論に黙り込んでしまうアカツキ。
どうにも食料の話を出されると弱い。あれだけ食べておいて実は腹八分目です、などとどの口が言えようか。自分のデイバックを回収し、ある程度食料を確保しておきたいのも本音ではあるのだが…。
「ほら、どっちにしてももう病院の近くまで来てしまいましたわ」
と、そこまで考えた所で雛子が聞き捨てならない台詞を平然と吐き捨てた。
「おのれ雛子、図ったな!?自分は絶対行かないぞ!」
「別に図ってなどいませんわ。たまたま歩いていた先に病院があっただけですもの」
涙目で文句を告げる響に悪びれる様子もなく、淡々と言い返す雛子。
彼女は一見おっとりしているようだが、意外に策略家なのである。
汚いなさすがSUMOUきたない。
「おいおい…響も嫌がっているぞ。あまり勝手な行動は「アカツキさん!何者かの気配を感じますわ。もしかしたらその怪物かも…」何!?」
その巧妙な策略に半ば呆れていたアカツキに雛子が異変を告げた。
その瞬間、脳内にあの恐ろしい外見がフラッシュバックする。
またあの化け物と遭遇するとは冗談にもならない。雛子も手慣れのようだが、あれはスポーツにおける闘気とは別次元の恐ろしさを持っているのだ。…帝国軍人でさえ怯ませる程の恐ろしさを。
「…この辺りですわ。アカツキさん、響さんをお願いします」
期待と緊張を浮かべた表情で、雛子がゆっくりと茂みへ近づいていく。
響が後ろから軍服の裾を掴んでくるのを感じながら、アカツキは全神経を拳に集中させる。
「…怪物さん、ですか?」
雛子の問いかけに反応するように茂みが震えた。
雛子が茂みを間合いに入れるまであと三歩。
二歩。
一歩。
茂みの後ろから、青色の人影が姿を現した。それはゆっくりと雛子の方へ向き直り―――――。
「怪物呼ばわりとは心外だ。私はアーチボルト家⑨代目当主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。君達は何者だ?」
「…つまり、その怪物はケイネスさんに倒されてしまったという事ですか…」
「ああ…大きな代償は支払わされたがね」
残念そうに話す雛子とケイネスを横目に、アカツキは一人デイバックを物色していた。
話を聞いてみるとこのケイネスという男、なんとあの化け物を倒してしまったらしい。生憎どうやって倒したのかという事までは教えてくれなかったが、講師をしているという優男然とした外見からは想像出来ない実力の持ち主のようだ。
そのケイネスの持っていた大量のデイバックの内どれか一つがアカツキの物らしい、という事で物色させてもらっているのだが…。
「うーむ…」
「見つかったか?」
「いや、どうもな…」
ケイネスが声を掛けるが、アカツキの返事はどこか要領を得ない。
無理もない、何せアカツキ自身デイバックの中身はほとんど確認していなかったのだ。外見の特徴だけで自分のデイバックを選べという方が無茶だろう。
「実は中身はほとんど見ていなかったのでな…もし良ければ俺のデイバックの中身は貴様にやろう。その代わりと言っては何だが…」
「何だ?」
「デイバックは貴様の分を除いても三つあるんだろう?出来れば食料を分けてくれないか?」
「私は別に構わないが…」
「よろしい。交渉成立だな」
嬉しそうに食料をデイバックに詰め込むアカツキと呆れたようにそれを見つめる二人の少女。
そんな三人を前に、ケイネスは本題を切り出す。
「さて、君達の情報を聞かせてもらおう。…まず、不動遊星と鬼柳京介という男に心当たりは?」
「知らんな」
「自分も知らないぞ。雛子はどうだー?」
「私も存じ上げませんが…鬼柳という方は先程の放送でお名前が呼ばれたはずでは?」
「分かっている。だが、私の恩人が言うには彼はこんなところで死ぬような男ではないらしい。…あいつがそう言うのだから、きっと生きているだろうさ」
ケイネスは自嘲するような笑みを浮かべながら言った。朧気ながらもその心情を察した雛子もそれ以上は追求せず、力になれない事を申し訳なさそうに謝った。
「話を戻そう。君達はこれからどうするつもりだ?もし良ければ提案があるんだが」
先程とはうってかわって、自信に満ちた表情を浮かべながらケイネスが告げる。
「どうするつもり、と言われましても…」
と悩んだように雛子が返す。
思えば雛子は先の事について全く考えていなかった。
とりあえず真剣勝負を堪能して、SUMOUの楽しさを伝える事で頭が一杯だったのだ。今更どうするか、と聞かれても困惑するだけである。
「…アカツキさんはどうするおつもりですか?」
とりあえずアカツキに助言を求めてみる。響は自分についてきてくれるだろうから、心配は無用だ。
「うむ、俺は…待て、ケイネス。まずは貴様の提案を聞かせてもらおう」
アカツキがケイネスに問いかけると、ケイネスは淡々と語り始めた。
「そうだな、私の提案というのはこうだ。
まず、私は鬼柳京介と不動遊星を探している。島全体を闇雲に探し回るよりは特定の施設を探した方が捜索が楽な上、他参加者と接触するチャンスも多い。
次に、このような状況下において一番に頼られるのが病院や学校といった公共施設だ。病院は君達も知っているように、化け物の根城と化しているという噂が出回っている。賢明な参加者ならば、まず近寄らないだろう。
そういった事実を考慮すると、最後に残るのがC-03の学校。君達にはそこへ向かってもらいたい」
「なるほど、つまり俺達に人探しを手伝って欲しいという事か」
腕組みをしながら納得したように頷くアカツキ。
それから数秒の間を置いて、詰問するようにケイネスに聞き返す。
「貴様の言い分は分かった。だが、俺達が学校へ向かう間、貴様は何をするつもりだ?ケイネスよ」
予想していたと言わんばかりの表情でケイネスは返答する。
「なに、私は先に従者を迎えに行こうと思ってな」
「従者?」
「ああ。愚鈍で役立たずだが、一応は騎士のはしくれだ。連れて来ればいくらかは心強いだろう。…頼めるか?」
「俺は構わん。雛子、お前はどうする?」
「私もアカツキさんにご一緒しますわ。響さんもそれでよろしいですか?」
「うー…あんまり怖いことはしたくないけど雛子が行くなら…」
雛子の問いかけに響が同意したのを見届けてから、ケイネスは何かを思い出したようにデイバックを開き、大きめの箱を取り出した。
「食料のついでだ、これも持っていくといい」
「何だこれは?」
「“銃火器予備弾薬セット”…。私の持っているデイバックに銃火器の類は入っていなかったし、銃を使うつもりは更々ないのでね。
服装から見るに、アカツキは軍人だろう?私より君達が持っていた方が役に立つ」
「うむ…感謝する」
「なに、大したことはない。私もそろそろ出発するとしよう。
不動遊星と鬼柳京介…彼らを頼んだぞ」
「ああ、任せておけ」
アカツキの返事を背に、ケイネスは再び森の奥へと姿を消していった。
「さて、俺達も出発するか……響、どうした?顔色が悪いぞ?」
「な、何でもない!何でもないぞ!!」
「…ならいいが…」
雛子の後ろで青い顔をしていた響。それが何か不吉な予感のように感じて、アカツキは若干の不安を抱かずにはいられなかった。
【G-06 こんなところ付近/1日目・午前】
【アカツキ@アカツキ電光戦記】
[状態]:疲労(大)、左腕に大きな噛み傷(応急処置済み)、腹七分目
[装備]:試作型電光機関@アカツキ電光戦記、阪本さんのスカーフ@日常、軍服(手で持っている)
[道具]:こんなところの閉鎖病室の鍵の束@チャージマン研!、銃火器予備弾薬セット@オリジナル、青鬼のデイバック(食料×3)
[思考・状況]
基本行動方針:殺しあうつもりは無い。
1:「不動遊星」と「鬼柳京介」を探しに学校へ向かう。
2:メイトリックスを探し主催の事を聞きだす。
3:こんなところの地下が少し気になる。
4:実はまだちょっと物足りない(胃袋的な意味で)
5:二人の素性を聞きたい。
6:ケイネスの動向が少し気になる。
7:全身タイツを警戒。
※総統閣下シリーズの世界を知りました。
※別の世界から呼ばれたのだとギルガメッシュから聞きました。ほぼ確定だと考えています。
※第一放送を聞き逃しました。
※青鬼は死亡したと思っています。
【四条雛子@MUGEN】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水残り70%)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:真剣勝負を堪能する。相撲に勧誘する。
1:学校へ向かう。
2:「鬼柳京介」と「不動遊星」、ついでに強者を探す。
3:響を守り、一緒に相撲をする。
4:アサシンとの決着をつける。
5:余裕があればアカツキの腕をちゃんと治療したい。
6:また会えたらケイネスとも勝負したい。
※MUGENのアカツキと面識があります。その他にも何人かとは面識があるかもしれません。
具体的に誰を知っているかは後の人におまかせします。
※響の素性を簡単に聞きました。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
彼ほどではありませんがそう考えています。
ケイネスがアカツキに渡した「銃火器予備弾薬セット」。
響はそれを目にした瞬間から震えが止まらなかった。支給された拳銃と、都合良く手元に集まった弾薬。――――これではまるで、自分に闘えと言ってるみたいじゃないか!
冗談じゃない。自分は闘いたくない。怖いのだ。武器も殺し合いも、なにもかも全て。
今はただ、何も考えたくなかった。
(だから、雛子やアカツキと一緒に居ればどうにかなるさー…二人共強そうだし…)
そんな根拠の無い自信が、響の頭を支配していった。
それが彼女にどのような影響をもたらすのか…今はまだ、分からない。
【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】
[状態]:軽い打撲、死への恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水少量消費)、ディエンドライバーとライダーカード(ディエンド)@仮面ライダーディケイド、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:生きて帰る。
1:アカツキと雛子に着いていく。
2:雛子に守ってもらう代わりに一緒に相撲をする。
3:何で自分の周りは超人だらけなんだ〜!?
4:プロデューサーやアイドルのみんなに会いたい。
5:別の世界……なんかすっごいさ〜
6:ディエンドライバーは絶対に使いたくない。戦いたくない!
※参戦時期はアニメ15話終了時からです。
※雛子の素性を簡単に聞きました。
※雛子を頼りにする事で死への恐怖を薄れさせています。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
彼ほどではありませんがそう考えています。
アーチボルト家⑨代目当主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。彼もまた間違いを犯していた。
彼自身その間違いに気付いてはいないが、それも仕方のないことかもしれない。
何しろ彼はこの場に来てから一日も経たない内に許嫁と愛娘、恩人を失ったのだ。知覚出来ない部分でパニックを起こしていても不思議ではない。
その間違いはたった一つ。
『アカツキ達からこれまでに出会った参加者達の情報を聞かなかった。』
たったそれだけ。
恩人を死なせてしまった後悔の念とランサーへの僅かな期待。それが普段は冷静な彼の判断力を鈍らせたのは確かだろう。
だが、彼らに詳細な情報提供を求めなかったのは失敗だった。現にアカツキはギルガメッシュと対話していたし、雛子はアサシンと一戦交えていた。
彼にとって、人生二度目とも言える失敗。
その失敗は魔術師にどのような影響を与えるのだろうか?
それも今はまだ、分からない。
【G-06 森林/1日目・午前】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(中) 魔力消費(極小) 令呪残り二画
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)、 ヒラリマント@ドラえもん
[道具]:基本支給品×4(食料×1)、アカツキのディバック、ジャックのデイバック
ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ
ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
乖離剣・エア@Fate/stay night
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒。
1:冬木ハイアットホテルへ向かい、ランサーと合流する。
2:不動遊星、鬼柳京介を捜索。
3:ランサーの魔力は誰が・・・?
4:ギルガメッシュ、アサシン、ラミエル、グレーテルを警戒。
5:このゲームは聖杯戦争と関連している・・・?
※ハリボテエレジーはデイバッグの中で修復するかもしれません。
※令呪を使ったとき発動するかどうかは他の書き手さんに任せます。
※この首輪、または会場の所為で魔力の消費が著しくなっていると考えています。
※青鬼は死亡したと思っています。
【銃火器予備弾薬セット@オリジナル】
ロケットランチャーから拳銃まで様々な銃火器の予備弾薬の詰め合わせ。
各種弾薬が200発ずつ入っている。
|sm105:[[殺し合いから逃げよう、遠くへ遠くへ逃げよう]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm107:[[損をするのはいつも優しい人ばかり]]|
|sm105:[[殺し合いから逃げよう、遠くへ遠くへ逃げよう]]|[[投下順>00〜50]]|sm107:[[損をするのはいつも優しい人ばかり]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|アカツキ|sm122:[[下っ端の憂鬱]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|四条雛子|sm122:[[下っ端の憂鬱]]|
|sm82:[[SUMOUとポニテとチャーシュー麺]]|我那覇響|sm122:[[下っ端の憂鬱]]|
|sm90:[[To the beginning]]|ケイネス・エルメロイ・アーチボルト|sm120:[[A.O.青鬼は死なないのか? 最終鬼畜化け物青鬼]]|
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