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889氏 Part2」(2007/12/12 (水) 18:16:48) の最新版変更点

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920 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/08(木) 20:25:58 0 ちょっと遅くなったね。 あまり期待されるのも、怖いものがあるな・・・ 書き出す前に構想があったのは、これから投下する辺りまで。 なので、これからは投下が遅くなるかもしれないし、迷走するかもしれない。 読んでるみんなの期待に沿えるものにはならないかもしれない。 それでも、楽しみにしてる人がいる以上は、がんばって書いていくつもり。 ↓続きドゾ 数多の英雄たちの門出を見送ってきた酒場の片隅。 少年は、只管酩酊していた。 まるで、すべてを酒に溶かしてしまいたいとでも言わんばかりに。 (花に嵐の例えもあるさ、さよならだけが人生だ) 少年はひとりごちながら、また酒をあおった。 その姿に、偉大なる勇者「覆面のオルテガ」の面影を感じ取れる者など、いるはずがあろうか。 ルイーダ「アレンくん、気持ちはわかるけど・・・さすがに呑み過ぎよ」 お姉さんの声が、頭の中に響く。 酒から来る頭痛と眩暈のなか、俺はひたすら酒を飲んでいたかった。 ・・・俺には、置手紙一つで簡単に去っていくような知り合いしかいない。 もう、この世界に信じられる者すらいないのかもしれない。 不意に胸を昇るものを感じる。 俺は急いでトイレに駆け込み、吐瀉物を撒く。 できることならば、このまま何もかも・・・内臓も心も吐き出してしまいたい。 何もかも忘れて、森の中ででも一人静かに佇んでいたい。 ・・・不意に、爺ちゃんの顔を思い出す。 目頭が熱くなった気がしたが、俺はそのまま・・・ 921 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/08(木) 20:28:09 0 まただ。 眠ってしまうと、いつも・・・ もう嫌だ。 むせ返る煙の幕。 日常ではありえない熱気。 人肉の焼ける臭い。 ・・・ 形容しがたい喪失感。 はっきり言葉にすることもできないのに、鮮明に焼きついている感覚。 ・・・ ルイーダ「アレンく~ん、大丈夫?」 甘優しい声と、ドアをノックする音で意識を取り戻す。 体中が冷たくべた付く。 ルイーダ「厳しいことを言うようだけど・・・いつまでもこのままじゃ、お母さんもお爺さんも、安心できないんじゃないかな?      こんなときだからこそ、勇者アレンは雄々しく旅立つのよ」 いや、俺は、もう・・・ ルイーダ「あなたに会いたいって人が来てるわ。準備ができたら、出てきてね」 正直なところ、どうにも出て行く気にはなれなかった。 だが、いつまでもトイレの個室にいるわけにもいかない。 俺は顔を洗い、一つ気合を入れなおしてトイレを出た。 ルイーダ「おはよう。この子が、あなたに話があるそうなの」 そこには、少し地味だが整った顔立ちの・・・同級生がいた。 そう、ジャンのハーレムの一員。 運動神経抜群のジャンに黄色い声をあげていたビッチどものなかにいた女。 俺なんかに、何の用だ。 女「あの・・・アレンくん、前にジャンと一緒だったよね?   ちょっと訊きたい事があるんだけど、いいかな?」 ニア はい     いいえ またしても選択肢。 よかったら、この選択に答えてやってくれ。 今回も、反応があれば多数決で書いていくよ。 922 名前:('A`) 投稿日:2007/11/08(木) 22:42:14 0 これはイベント発生フラグ。 当然「はい」 923 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/08(木) 23:03:30 0 おそらくこれはジャンNTRイベントにつながる 「はい」で 924 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/08(木) 23:04:51 0 やばい。おもしろいよ 俺も「はい」に1票 925 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/09(金) 21:08:27 0 はいだけどこんなみえみえの罠に引っかからずに逆に利用する黒さがあってもいい気がする 926 名前:('A`) 投稿日:2007/11/10(土) 10:18:55 0 恐らくジャンも裏切る・・・ 927 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/10(土) 17:29:45 0 みんな、回等ありがとう どう見ても「はい」が優勢なんで、その方向でまた考えてくるよ。 個人的には、こいつの精神状態から考えて「いいえ」だったんだけど・・・俺だけだったとはw ''>>922'' たしかに、どうみてもイベントフラグだよね ''>>923'' NTRの意味がわからずググった俺 ''>>924'' がんばります。 ''>>925'' 罠とは限らないぜ? どのみち、今のこいつにそんな余裕はない気がする。 ''>>926'' 裏切るのか、裏切らないのか、それとももう既に裏切っているのか・・・ この先どうなるか、実は結末もまだ決まってないw 930 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/13(火) 02:32:02 0 今頃気付いたんだけど、「主人公になった妄想」してないよね、これって ↓続き 俺「なに?俺にわかる事なら話せるけど」 俺は快諾した。 もちろん、ちゃちな良心やポーズなんてものじゃない。お姉さんのためだ。 間に立ったお姉さんに、恥をかかせたくない。ただ、それだけ。 女は一言の礼も言わずに用件を切り出した。 「じゃあ早速だけど・・・ジャンはもう戻ってこないつもりなのかな?  あいつ、マリエを置いて行くつもりなの?」 何を言いたいのかわからない。誰だよマリエって。確か、ジャンが付き合ってるのは大臣の姪のエイミーじゃなかったか? ・・・いや、そんなことはどうでもいい。色恋のもつれは他所でやってくれ。そんなことに首を突っ込んでられる場合じゃない。 俺「・・・それは、俺にはわからない」 俺はそれだけ言い、ジャンからの手紙を女に見せた。 女が手紙に目をやっている隙に俺はテーブルを離れ、お姉さんに話しかける。 俺は、俺が旅に出る唯一の目的を、忘れてはいない。 俺「お姉さん、折り入って頼みたいことがあるんだけど、・・・」 ルイーダ「それは、すぐにでもできるけど・・・それで誰が幸せになれると言うの?」 お姉さんは、すぐに俺の意図を読み取ったようだった。 一瞬お姉さんの顔が影を帯びたように見えたが、お姉さんはいつも通りの口調で続ける。 ルイーダ「・・・アレンくんの気持ちは痛いほど解るの。だから、陰ながら協力はするわ。  でも、これだけは言わせて。復讐なんてくだらない・・・そう思う日が、きっと来るわ」 お姉さんは、終始穏やかな口調のままだった。 ルイーダ「依頼の品を渡すから、また明日来てくれる?」 俺が頷くころ、女が手紙を持ったまま寄ってきた。 「じゃあ私も、また明日来るから・・・この手紙、借りていい?」 こんな内容の薄い手紙を持って行って何をする気なのか、と思いながら軽く頷いた。 931 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/13(火) 23:20:10 0 俺は悪酔いに効く薬草をひと飲みにして、外に出た。 今日もいつものように聞き込みを続けたが、さほど広くないアリアハンの城下では、もうこれ以上の情報は期待できそうもない。 無論、城の人間が何かを知っているはずもなかった。 頼みの綱は、もうお姉さんだけだ。 俺は何の収穫もないまま宿屋に戻った。 ・・・ ・・・ 以前の俺なら、暇に飽かせて2,3発は抜いてたんだろうが・・・最近はなにもしない日が多くなってきた。 単に性欲が湧かないこともあるが、それより何より、オナニー後に無防備に寝てしまうのが怖いのだ。 寝る前にはいつも、目を閉じて楽しいことを考えるようになった。ただ甘いだけの妄想で頭を満たして、満たされたまま眠る。 そうすれば、冷たい汗のぬめりで目が覚めることもないから。 今日はいい朝だ。あの夢を見ないで眠り、そして起きられた。 いつも通りに朝食を済ませ、小一時間ほど外で雑魚相手に体を動かしてから酒場に入った。 ルイーダ「おはよう、アレンくん。早速だけど、これ・・・」 俺が手渡されたのは、あの日の朝方に酒場を出入りした人間全員を思い出せる限りリストアップしたもの。 他に何の手がかりもない以上、こいつらを片っ端から当たってみるのが、最善の手段だろう。 ルイーダ「アレンくん、その中にはかなりの手練もいるわ。印の付いてる相手には、あまり荒っぽい手段には出ないほうがいいでしょうね。      ま、相手の実力を見極めて動くのも、冒険者の心得だけどね」 こんな俺にも、お姉さんは優しい。お姉さんは、こんな俺にも暖かい手を差し出してくれる。 俺「お姉さん、本当に、あ・・・ぁり・・・」声が出なくなった。 あっという間に眼の前も見えなくなった俺の顔に、布が押し付けられた。 ルイーダ「泣くのは、すべて終わってから・・・そうでしょ?」 俺「ぁ・・・あびがどぅ・・・おねえざん」 眼前の布地にぬくもりを感じながら、俺は涙を押さえていた。 朝日の差し込む、酒場の広間。 少年は一人、雲の一片を掴んだような気がしていた。 酒場の外には、少女が二人。 仲の良さげな少女たちは、酒場のドアを開く。 少女たちは、少年に何をもたらす者なのだろうか。 932 名前:('A`) 投稿日:2007/11/14(水) 03:27:44 0 ゆっくり続きを書いてくれ マジ期待してるよ 937 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/17(土) 04:27:58 0 もう5ヶ月書いてないのか、勇者ニート・・・ 続き書こうと思っても、忘れちゃっててもう書けないのかも 書けるんだったら読みたいけど。 ''>>757''とか''>>880''とかは戻ってこないのかな? 938 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/17(土) 04:32:56 0 それはそれとして、続き↓ 英雄の門出に相応しい、よく晴れた朝の酒場。 少年は、優しさで涙を拭っていた。 (そうだ。エンディングまで、泣くんじゃない。俺。) 少年は、その身に言い聞かせた。 酒場に入った少女たちは、少年の姿に偉大なる勇者「覆面のオルテガ」の面影を感じ取れたのだろうか。 扉が開き、軽やかな風が2人の間に流れた。 「おはよう、アレンくん。」 「おはようございます。はじめまして・・・じゃ、ないか」 女は連れを一人伴っていた。 彼女たちは、初めて旅に出ようとする冒険の初心者、そんな装いをしていた。 が、それよりも俺は連れの子の可愛らしさに面食らっていた。知っている顔ではあったのだが。 俺「あ、お、おはようございます・・・(ああ、この子のことだったのか)」 思い出した。 美人というよりは可愛い、やや幼さを残す顔立ちと、おっとりした性格で人気があった子だ。 ジャンはこの子にも手を出していたか、まったくお盛んなことで。 「昨日アンタと別れた後、この子と二人で話し合って、決めたの。  あいつを追いかける。あいつに会って、何故この子を連れて行ってあげなかったのか・・・問い詰めたいの」 「その、問い詰めるっていうか・・・ジャンくん、何も言わずに出て行っちゃったから・・・」 なんてこった、話が読めてしまった。 ジャンを知ってる俺に道案内兼用心棒になれと、そういう話か。 そんなことに付き合ってる暇は、俺には無いんだが。 俺「手紙読んだならわかるだろうけど、ジャンがどこへ行ったか俺にはわからないんだけど」 「どうせアンタも旅に出るんでしょ?旅のついでに、あたしたちがジャンに会えるよう護衛してくれたらいいの」 「私たち、呪文は勉強してるけど・・・二人では不安だから、もし良かったら助けてくれないかな?」 予想通りの言葉が、二人の口から発せられていた。 正直、気が進まない。 こいつらを連れていては、火事の調査はほとんどできないだろう。 それに、こいつらが足手まといにならないという保障もない。 地味な割りに気の強そうな女と、おっとりした可愛らしい女・・・見た目には初心者、つまりただの女だ。戦闘の助けにはならないだろう。 確かにマリエは可愛いと思うが、所詮人のもの。けして手の届かない、やわらかく光る下弦の月のようなもの。 可愛いだけで連れ立って、要らぬ苦労をすることはない。今の俺には、旅を楽しむような・・・そんな余裕は無い。 だが、俺としてもジャンに会いたい、それは確かだ。 奴を疑うわけじゃないが、奴は何か知っている可能性がある。 宿屋のおっさんの話が正しければ、奴もあの日の早朝まではアリアハンにいたのだから。 俺はどのくらい考え込んでいたのだろうか、女の急かす声に思考を切り裂かれた。 「ちょっと、聞いてるの?あたしたちと一緒に来てくれるの?来てくれないの?」 ニア はい     いいえ うん、またなんだ。すまない。 よかったら、この選択に答えてやってくれ。 今回も、反応もらえれば多数決に従うよ。 939 名前:('A`) 投稿日:2007/11/17(土) 08:27:56 O 俺はNOとしか言わない男だぜ――――― だがここは・・・YESッ 940 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/17(土) 10:53:06 0 インタラクティブ小説って初めてだ まあ俺はYES以外の展開など予想付かないのだ 941 名前:('A`) 投稿日:2007/11/17(土) 15:39:52 0 >>938 喪ならノー 独自で調べる・・・・だろ 942 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/18(日) 19:51:14 O NOといいたいところだが… YES! 943 名前:('A`) 投稿日:2007/11/18(日) 23:41:15 0 YESと言いたいけど…こいつら相手にフラグたつのか? ここはNOでいこうぜ 944 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/19(月) 23:27:30 0 みんなで小説を創る感じがして楽しいなw ちなみに俺はNOだな。 また旅の途中で会う事もあるかもだし 945 名前:('A`) 投稿日:2007/11/20(火) 06:56:08 O そろそろ締め切らないとモチベーション下がって書けなくなるぞ 946 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/20(火) 17:50:18 0 みんな回答ありがとうです 3:3か・・・じゃあそれっぽくまとめようかなw ''>>940'' レスできるんだから、こういうのもアリなんじゃね? と思ってやってみた ''>>944'' 楽しんでもらえてなによりだ ''>>945'' サーセン モチベはあるけど時間がなかった・・・ 949 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/22(木) 04:52:49 0 心の中まで流れ込んで洗っていくような、爽快な空気の流れる酒場の広間。 少年は悩み、少女は苛立っていた。 (どーすんの、俺!?) 少年は、その身に続けざまに這い寄る悩みに、今回ばかりは答えを出せないでいた。 少女には、少年の姿に偉大なる勇者「la Mascara」の姿を感じ取ることなどできなかったことだろう。 俺はどうにも決断することができず、ただ頭を空回りさせていた。 「・・・あ~!! もう、さっさと決めなさいよ、男でしょ!?」 ・・・随分とカリカリした気性の持ち主だ。これでは先が思いやられる・・・ 俺はようやく、判断を下せた。 俺「・・・う~ん、わr」 ルイーダ「お嬢さんたち、見たところ護衛が必要なようにみえるけど、護衛だったらもっと向いてる人がいるわ。      文字通りあなたたちの盾になってくれる、ガチムチの鎧武者を紹介するわ。そこの彼よりも、余程適任だと思うけど。      明日には帰ってくる予定よ、1日くらい待てないような用件でもなさそうだけど?」 俺の言葉を遮ったのは、迷い人を救い出す光だった。 きっと、俺からは断りにくいだろうと考えて言ってくれたのだろう。 本当に、お姉さんは優しい。 お姉さんは一瞬俺に目配せし、その戦士の資料を女たちに渡した。 女たちは納得した面持ちで、帰り支度を始めた。 「アレンくん、じゃあね。またどこかで会ったら、よろしくね」 「マリエ、そんな奴ほっといて帰るよ!」 ルイーダ「ごめんね、勝手なことしちゃったかな?」 俺「あ、いっいや、とても助かりました!   じゃあ俺、さっそくだけど行ってきます、本当にありがとうございました!   絶対に、また帰ってきます!」 突然、お姉さんと二人きりでいることを気恥ずかしく感じ、飛び出すように酒場を出て行った。 すべてはこれからだ。これからは自分一人の力で生きて、そして・・・ 少年は荒野へと走り出した。 心の奥底に重い想いを引きずるその姿は、風と呼ぶには哀しすぎた。 950 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/22(木) 05:56:57 0 俺はまず、ナジミの塔に向かったという初心者のパーティを追うことにした。 例のリストに載った人間が、先達としてこのパーティに加わっている。 パーティの目的は、おおかた盗賊の鍵が目当てといったところだろう。 ナジミの塔に登るくらいのことで人を雇うようなレベルの集まりなら、恐れることもなさそうだ。 ついでに、盗賊の鍵も手に入れておこうか。俺は西進し、岬の洞窟を抜けた。 ナジミの塔に入った。入ったはいいが、この広い塔の中でどうやって奴らを探そうか・・・ どうにも思慮を欠いていたと、一人反省しながら塔をうろつく。 塔の下層では、まだ俺を恐怖させる魔物は現れない。俺も随分変わったものだ。 3階に上がる階段を見つけた辺りで、上から女の叫び声が響いた。 死を予感させる強敵との戦闘に、身を震わせながら発する声か? 俺は双方に気付かれないよう、注意深く階段を這いあがる。 階段を上りきり、気配を殺しながら壁に沿って進んでいく・・・ ビンゴ! 思わず声を出しそうになってしまった。 リストの似顔絵どおりの男が、あさっての方向に剣を向けて間合いを詰める様な動きをしている。 俺はつい口を塞ぎながら、周囲の状況を確認する。 人間が2人、人間の死体が2つ。 さそり蜂と、人面蝶が2匹。 死体にはバブルスライムが、そのだらしなく開いた口から身を滑り込ませようとしている。 戦いのさなか、仲間に加勢もせず死体を貪る・・・余程空腹なのだろうか? 「うああぁっ!!」 女の悲鳴だ。 見やると、さそり蜂の尾が女魔法使いの背を刺し貫いていた。 これは死んだだろう。これで、残るはお目当ての戦士一人。 しかし奴は、今も顔を青くしながら誰もいない空間に剣を振り下ろしている。 まるで、闇雲な素振りの特訓だ。 傍から見ると、こうまで間の抜けたものだとは思わなかった。 さて、このままでは奴も遅からず死んでしまう。死人に口なし、それでは困る。 奴に加勢して魔物を追い払うか、奴を連れて逃げるか・・・そのくらいしか打つ手は無さそうだが。 俺は魔物たちの隙を見て飛び出し、男の項に思い切り拳を入れた。 終始無防備なままうつ伏せに倒れこんだ戦士を慌てて担ぎ、急いで逃げ出した。 俺は階下の小部屋に入り、戦士の装備を剥ぎ取って後ろ手に縛った。 これで、反抗のしようもない。俺は縄が解けないのを確認してから、戦士を平手打った。 が、戦士は起きない。何度か引っ叩いてみたが、まるで反応が無い。 体温は失われていないので、死んではいないはずだが・・・仕方がない、気が付くまでのんびり待つとするか。 951 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/22(木) 11:02:02 0 GJ ハードボイルドみたいでかっこいいぜ 962 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/28(水) 05:19:41 0 続きです。 埃っぽい、乾いた風が漂う塔の玄室。 少年は、静かに待つ。 (死んではいない・・・はずだよな?) 少年は、己が人生を規定しかねない一歩を踏み出した。 少年が偉大なる勇者の裔として捉えられることは、もう二度とないのかもしれない。 いつまで気絶してるつもりなんだ、この戦士様は。 3時間ほど待っただろうか、こんなところでぼんやりしているのもそろそろ限界だ。 俺はもう一度、戦士の顔をはたいてみた。 「…うぅっ… !?」 ようやくお目覚めか。 戦士は体の自由が利かないことに戸惑っている、そんな声で怒鳴りだした。 「おい、そこのガキ!な、なんなんだこれは!?」 「あんたに聞きたいことがある。正直に答えれば、危害は加えない」 「なに!?お前、こんなこと、俺が誰だかわかってやってんのか?」 自分の置かれている状況がまるでわかっていないのか、俺をなめてかかっているのか、 とにかく反抗的な態度が俺を苛立たせる。 肺腑を小虫が這い回るような不快感に晒された俺は、何も考えられずに肌の露出した体を鞭打った。 戦士の顔が歪む。 再び鞭がうなり、それにあわせて男のうめき声が響く。 3度ほど繰り返したあたりで、ようやく不快感を払えた俺は、質問を始めた。 「あんたの名はグライス、ランシール出身の戦士…間違いないか」 戦士が無言で頷くのを見て、質問を続ける。 「4月28日の朝方、酒場から出てどこへ行った」 「28日・・・確か、海辺でキャンプ張ってた仲間に、酒場で分けてもらった酒と肉を持って行ったはずだ」 嘘を吐いているような様子は見当たらない。 「あんたは、ハッパは吸っているのか?」 訊きながら、道具袋を見れば済む話だと気付いた。が、袋をまさぐるまえに戦士は首を横に振った。 「そうか・・・わかった」 おそらく、ハズレだ。 そう確信した俺は、戦士の縄をほどいてやろうと後ろに回った。 が、ある考えが浮かんだ。 この男に、不意打ちした挙句縛り上げて詰問するなどという話を広められては困る・・・この男は、殺すしかないのではないか? 我ながら、冷静な判断だ。 死体も塔に放置しておけば、誰かが見つける頃には魔物に食い荒らされていることだろう。 俺は道具袋から銅の剣を取り出し、目いっぱいの力で戦士の頭に叩きつけた。 戦士の道具袋には、めぼしい物は入っていなかった。 戦士が使っていたらしきうろこの盾だけを頂戴して、階を上った。 階を上ると、先ほどの魔法使いたちの死体に魔物が群がっている。 俺はメラを唱えて魔物を追い払った。 冒険者たちの死体を漁ると、やはい初心者だからか大したものは持っていなかった。 が、折角なので金を頂いておいた。 不意に、爺ちゃんの声が聞こえた・・・そんな気がした。 965 名前:('A`) 投稿日:2007/11/30(金) 01:43:47 0 勇者には復讐しか見えてないな エロは期待できないっぽいけど、この調子で書いておくれ 966 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/30(金) 04:40:51 O 自演で支援すんのが一番見苦しいな 967 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/30(金) 22:46:34 0 ''>>965'' 前にまとめのエロ作品を見た限り、俺にエロは無理だと思います(´・ω・`)読むのは楽しいけど・・・ ''>>966'' 見苦しいと思うなら見なければいい、わざわざ書き込みなどせず黙ってスレを閉じればいい。 自演云々についてはお互い証拠もないので何も言いませんが、一つだけ断っておきます。 俺がこのスレにいる主目的は勇者ニートの帰る場所を保守することであって、自分の書く文章を読ませることではありません。 ただ、自分の文章を楽しみにしてくれている人がいるようなので、その人が少しでも楽しんでもらえたらと思い文章を書いています。 帰らない主を、今でも待ち焦がれているだけなのです。 ↓続き 俺は死体を横目に最上階へと向かった。 最上階の小部屋には、ベッドに臥せる老人がいるだけだった。 盗賊の鍵について訊ねてみると、老人にはもはや鍵を作る体力がないのだと言う。 ・・・どんな人間も衰える、どんな人間も老いには勝てない。 自分に残された時間があとどれほどかはわからないが、目的はきちんと果たして死にたいものだ。 この老人の苦しむ顔には、どこか誇らしげなものを感じる。 見る者にそう形容させているのは、大事を成し遂げた男の矜持なのか。 願わくば、俺もこの老人のように。 老人から鍵の製法を教えてもらい、塔を降りた俺は一日かけて盗賊の鍵を作ることができた。 この盗賊の鍵があれば、アリアハン北東のいざないの洞窟と呼ばれる洞窟からロマリアへ抜けられるという。 レーベの道具屋で薬草と毒消し草を買いこんで準備を整え、宿に入った。 夕食を終えて個室に行こうとしたとき、閉じられたドアがあることに気がついた。 俺は好奇心から、ドアに手を伸ばす。ドアには鍵がかかっていたが、そのことが俺の好奇心をさらに刺激した。 盗賊の鍵の具合を試すいい機会でもあった。 鍵の作成は完璧だったようだ、さあ、開いたぞ?もっとよく見せてくれ? そのまま、この暗い部屋に入ってみた。 「おにいちゃん、強いんだよね!?いっぱい魔物を殺してよっ!」 突然におこった子供の大声に、尻餅をついてしまった。 いつの間にか後ろに駆け寄っていた主人に窘められる。 「ああ、お客さん、困りますよ。この部屋は開けないでください」 主人は子供の声を無視して扉の奥に押し込んだ。 主人の話によると、この子供は目の前で両親を殺され、そのショックで気が触れてしまったらしい。 俺は夜中にもう一度、この部屋を訪れた。 「おにいちゃん、強いんだよね!?いっぱいいっぱい魔物を殺してよっ!」 ・・・さすがに2度目ともなれば、驚きはするものの気圧されはしない。 「ねえ、おにいちゃん!」 パシッ 子供はだらしなく顎を下げて、呆然とこちらを見ている。いや、見ているように見えた。 「人に頼るんじゃない、自分でやるんだ。今は無理かもしれないが、いつの日か、自分自身で」 そう言って、袋の中で転がっていた棍棒を子供に握らせた。 子供の口は半開いたまま、間の抜けた顔のまま。 俺は、こんな場合の対処法など知らない。子供の頭に手をかざし、とりあえずホイミを唱えてみた。 子供は白目をむいて痙攣し、しばらくするとそのまま眠りこけていた。 もしかしたら、目が覚めた時には正気を取り戻しているかもしれない。 我ながら、柄にもないことをしたもんだ。 後になってどうにも恥ずかしく感じるが、きっと似たような境遇の者を放っておけなかったんだろう。 神に祈っても救われはしないのに、人に祈って何になるというのか。 969 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/01(土) 01:20:22 0 >>967 乙 目的がニート待ちなのは良いけど、 ニートが帰って来ても辞めないで完結させてくれい >神に祈っても救われはしないのに、人に祈って何になるというのか。 なんかハードボイルド風味でカコイイな 970 名前:('A`) 投稿日:2007/12/01(土) 05:59:52 O 大槻ケンヂの歌詞みたいだ こうゆう良いフレーズ思いつくのに喪とか運命ヒドス 972 名前:('A`) 投稿日:2007/12/01(土) 16:54:26 0 >>967 はっきりいって、下手にエロ入れるよりも、 今の路線の方が面白い。 973 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/01(土) 22:23:38 0 もうシリアスな路線に入ったからな エロは他の奴に期待しよう 974 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/02(日) 14:35:37 O >>967 そろそろ次スレだしコテつけたら? 976 名前:&color(blue){('A`) ◆OW4jDecrBQ} sage 投稿日:2007/12/04(火) 03:37:25 0 みんなありがとう、889です。 ''>>974''に従い、以降はトリつけて書きます。 今の方向性をなるべく守りつつ、書き続けたいと思います。 ↓続きドゾー 今日も、甘い妄想から突き出されて朝を迎えた。 宿の主人いわく、子供に朝食を食わせようとあの部屋に入ったが、いつものように喚き散らすことはなかったということだった。 扱いやすくなっただけでも、主人にはありがたいことなのかもしれない。 ・・・俺には関係のないことだが。 今やアリアハンでやるべきことはなく、探すべき者も守るべき者もいない。俺はいざないの洞窟へ向かった。 いざないの洞窟、そこは洞窟というよりは古ぼけた地下壕だった。今は昔、アリアハン王家が世界的強国だった時代のものらしい。 一時は大陸側に興った勢力の脅威のために封鎖されたこの地下壕も、今では防壁が崩され、開錠さえできれば自由に通れる。 アリアハンのものらとはうってかわって、魔物が随分手強い。 群れをなす魔物に、苦戦する自分に苛立ちながら、どうにか先へと進んでいく。 レーベで買いこんだ薬草が、体のところどころを癒していく。薬草の痕は、戦いを経るごとに増えていった。 そうして体を薬草まみれにしながらも、どうにか旅の扉を見つけ、ロマリアへと抜けることができた・・・ が、しばらくは修練を積まなければ、ロマリア周辺を気兼ねなく動き回ることはできなさそうだ。 どのみち、しばらくはロマリアで情報を集めなければならず、ちょうどいい機会なのかもしれないが。 2日間、ロマリア周辺で修行しつつ、町で情報を集めていた。 ロマリアの城下では、カンダタという男を首魁とする盗賊団の話でもちきりだった。 この地方でのカンダタ一味の狼藉に対し、幾度となくカンダタ討伐隊が組織されたが、まるで成果がないらしい。 兵士も老人も、口にするのはカンダタの話ばかり。俺が聞きたいのはそんな話じゃないんだが・・・鬱陶しい。 とはいえ、全く役に立たない話というわけでもなさそうだ。 この討伐隊について、以前ルイーダの酒場でも募集があったらしく、アリアハンからの参加者もいたそうだ。 ・・・と、いうことは? 討伐隊参加者のなかに何らかの情報を持っている者がいる、さらにいえばリスト内の人間が参加している、そんな可能性がある・・・ しかし、前回の第8回討伐隊は、1週間前から連絡が途絶えているという。 カンダタ一味、随分力を持った盗賊団らしい。 さて、もうしばらくは鍛錬に励むとして・・・これからどう動くべきだろうか? 次のカンダタ討伐隊に参加し、その中で情報を集めるか?  単独で動いて、前回の討伐隊の生き残りを探してみるか? それとも、カンダタ一味に近づいてみるか? もしかしたら、彼等のような者こそが知りうる、そんな類の情報が得られるかもしれない。 俺はじっくり考えながら、さらに3日間を修行に費やした。 977 名前:('A`) 投稿日:2007/12/05(水) 01:15:32 O ほほう 978 名前:('A`) 投稿日:2007/12/05(水) 06:14:47 0 討伐対に参加希望。
920 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/08(木) 20:25:58 0 ちょっと遅くなったね。 あまり期待されるのも、怖いものがあるな・・・ 書き出す前に構想があったのは、これから投下する辺りまで。 なので、これからは投下が遅くなるかもしれないし、迷走するかもしれない。 読んでるみんなの期待に沿えるものにはならないかもしれない。 それでも、楽しみにしてる人がいる以上は、がんばって書いていくつもり。 ↓続きドゾ 数多の英雄たちの門出を見送ってきた酒場の片隅。 少年は、只管酩酊していた。 まるで、すべてを酒に溶かしてしまいたいとでも言わんばかりに。 (花に嵐の例えもあるさ、さよならだけが人生だ) 少年はひとりごちながら、また酒をあおった。 その姿に、偉大なる勇者「覆面のオルテガ」の面影を感じ取れる者など、いるはずがあろうか。 ルイーダ「アレンくん、気持ちはわかるけど・・・さすがに呑み過ぎよ」 お姉さんの声が、頭の中に響く。 酒から来る頭痛と眩暈のなか、俺はひたすら酒を飲んでいたかった。 ・・・俺には、置手紙一つで簡単に去っていくような知り合いしかいない。 もう、この世界に信じられる者すらいないのかもしれない。 不意に胸を昇るものを感じる。 俺は急いでトイレに駆け込み、吐瀉物を撒く。 できることならば、このまま何もかも・・・内臓も心も吐き出してしまいたい。 何もかも忘れて、森の中ででも一人静かに佇んでいたい。 ・・・不意に、爺ちゃんの顔を思い出す。 目頭が熱くなった気がしたが、俺はそのまま・・・ 921 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/08(木) 20:28:09 0 まただ。 眠ってしまうと、いつも・・・ もう嫌だ。 むせ返る煙の幕。 日常ではありえない熱気。 人肉の焼ける臭い。 ・・・ 形容しがたい喪失感。 はっきり言葉にすることもできないのに、鮮明に焼きついている感覚。 ・・・ ルイーダ「アレンく~ん、大丈夫?」 甘優しい声と、ドアをノックする音で意識を取り戻す。 体中が冷たくべた付く。 ルイーダ「厳しいことを言うようだけど・・・いつまでもこのままじゃ、お母さんもお爺さんも、安心できないんじゃないかな?      こんなときだからこそ、勇者アレンは雄々しく旅立つのよ」 いや、俺は、もう・・・ ルイーダ「あなたに会いたいって人が来てるわ。準備ができたら、出てきてね」 正直なところ、どうにも出て行く気にはなれなかった。 だが、いつまでもトイレの個室にいるわけにもいかない。 俺は顔を洗い、一つ気合を入れなおしてトイレを出た。 ルイーダ「おはよう。この子が、あなたに話があるそうなの」 そこには、少し地味だが整った顔立ちの・・・同級生がいた。 そう、ジャンのハーレムの一員。 運動神経抜群のジャンに黄色い声をあげていたビッチどものなかにいた女。 俺なんかに、何の用だ。 女「あの・・・アレンくん、前にジャンと一緒だったよね?   ちょっと訊きたい事があるんだけど、いいかな?」 ニア はい     いいえ またしても選択肢。 よかったら、この選択に答えてやってくれ。 今回も、反応があれば多数決で書いていくよ。 922 名前:('A`) 投稿日:2007/11/08(木) 22:42:14 0 これはイベント発生フラグ。 当然「はい」 923 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/08(木) 23:03:30 0 おそらくこれはジャンNTRイベントにつながる 「はい」で 924 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/08(木) 23:04:51 0 やばい。おもしろいよ 俺も「はい」に1票 925 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/09(金) 21:08:27 0 はいだけどこんなみえみえの罠に引っかからずに逆に利用する黒さがあってもいい気がする 926 名前:('A`) 投稿日:2007/11/10(土) 10:18:55 0 恐らくジャンも裏切る・・・ 927 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/10(土) 17:29:45 0 みんな、回等ありがとう どう見ても「はい」が優勢なんで、その方向でまた考えてくるよ。 個人的には、こいつの精神状態から考えて「いいえ」だったんだけど・・・俺だけだったとはw ''>>922'' たしかに、どうみてもイベントフラグだよね ''>>923'' NTRの意味がわからずググった俺 ''>>924'' がんばります。 ''>>925'' 罠とは限らないぜ? どのみち、今のこいつにそんな余裕はない気がする。 ''>>926'' 裏切るのか、裏切らないのか、それとももう既に裏切っているのか・・・ この先どうなるか、実は結末もまだ決まってないw 930 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/13(火) 02:32:02 0 今頃気付いたんだけど、「主人公になった妄想」してないよね、これって ↓続き 俺「なに?俺にわかる事なら話せるけど」 俺は快諾した。 もちろん、ちゃちな良心やポーズなんてものじゃない。お姉さんのためだ。 間に立ったお姉さんに、恥をかかせたくない。ただ、それだけ。 女は一言の礼も言わずに用件を切り出した。 「じゃあ早速だけど・・・ジャンはもう戻ってこないつもりなのかな?  あいつ、マリエを置いて行くつもりなの?」 何を言いたいのかわからない。誰だよマリエって。確か、ジャンが付き合ってるのは大臣の姪のエイミーじゃなかったか? ・・・いや、そんなことはどうでもいい。色恋のもつれは他所でやってくれ。そんなことに首を突っ込んでられる場合じゃない。 俺「・・・それは、俺にはわからない」 俺はそれだけ言い、ジャンからの手紙を女に見せた。 女が手紙に目をやっている隙に俺はテーブルを離れ、お姉さんに話しかける。 俺は、俺が旅に出る唯一の目的を、忘れてはいない。 俺「お姉さん、折り入って頼みたいことがあるんだけど、・・・」 ルイーダ「それは、すぐにでもできるけど・・・それで誰が幸せになれると言うの?」 お姉さんは、すぐに俺の意図を読み取ったようだった。 一瞬お姉さんの顔が影を帯びたように見えたが、お姉さんはいつも通りの口調で続ける。 ルイーダ「・・・アレンくんの気持ちは痛いほど解るの。だから、陰ながら協力はするわ。  でも、これだけは言わせて。復讐なんてくだらない・・・そう思う日が、きっと来るわ」 お姉さんは、終始穏やかな口調のままだった。 ルイーダ「依頼の品を渡すから、また明日来てくれる?」 俺が頷くころ、女が手紙を持ったまま寄ってきた。 「じゃあ私も、また明日来るから・・・この手紙、借りていい?」 こんな内容の薄い手紙を持って行って何をする気なのか、と思いながら軽く頷いた。 931 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/13(火) 23:20:10 0 俺は悪酔いに効く薬草をひと飲みにして、外に出た。 今日もいつものように聞き込みを続けたが、さほど広くないアリアハンの城下では、もうこれ以上の情報は期待できそうもない。 無論、城の人間が何かを知っているはずもなかった。 頼みの綱は、もうお姉さんだけだ。 俺は何の収穫もないまま宿屋に戻った。 ・・・ ・・・ 以前の俺なら、暇に飽かせて2,3発は抜いてたんだろうが・・・最近はなにもしない日が多くなってきた。 単に性欲が湧かないこともあるが、それより何より、オナニー後に無防備に寝てしまうのが怖いのだ。 寝る前にはいつも、目を閉じて楽しいことを考えるようになった。ただ甘いだけの妄想で頭を満たして、満たされたまま眠る。 そうすれば、冷たい汗のぬめりで目が覚めることもないから。 今日はいい朝だ。あの夢を見ないで眠り、そして起きられた。 いつも通りに朝食を済ませ、小一時間ほど外で雑魚相手に体を動かしてから酒場に入った。 ルイーダ「おはよう、アレンくん。早速だけど、これ・・・」 俺が手渡されたのは、あの日の朝方に酒場を出入りした人間全員を思い出せる限りリストアップしたもの。 他に何の手がかりもない以上、こいつらを片っ端から当たってみるのが、最善の手段だろう。 ルイーダ「アレンくん、その中にはかなりの手練もいるわ。印の付いてる相手には、あまり荒っぽい手段には出ないほうがいいでしょうね。      ま、相手の実力を見極めて動くのも、冒険者の心得だけどね」 こんな俺にも、お姉さんは優しい。お姉さんは、こんな俺にも暖かい手を差し出してくれる。 俺「お姉さん、本当に、あ・・・ぁり・・・」声が出なくなった。 あっという間に眼の前も見えなくなった俺の顔に、布が押し付けられた。 ルイーダ「泣くのは、すべて終わってから・・・そうでしょ?」 俺「ぁ・・・あびがどぅ・・・おねえざん」 眼前の布地にぬくもりを感じながら、俺は涙を押さえていた。 朝日の差し込む、酒場の広間。 少年は一人、雲の一片を掴んだような気がしていた。 酒場の外には、少女が二人。 仲の良さげな少女たちは、酒場のドアを開く。 少女たちは、少年に何をもたらす者なのだろうか。 932 名前:('A`) 投稿日:2007/11/14(水) 03:27:44 0 ゆっくり続きを書いてくれ マジ期待してるよ 937 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/17(土) 04:27:58 0 もう5ヶ月書いてないのか、勇者ニート・・・ 続き書こうと思っても、忘れちゃっててもう書けないのかも 書けるんだったら読みたいけど。 ''>>757''とか''>>880''とかは戻ってこないのかな? 938 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/17(土) 04:32:56 0 それはそれとして、続き↓ 英雄の門出に相応しい、よく晴れた朝の酒場。 少年は、優しさで涙を拭っていた。 (そうだ。エンディングまで、泣くんじゃない。俺。) 少年は、その身に言い聞かせた。 酒場に入った少女たちは、少年の姿に偉大なる勇者「覆面のオルテガ」の面影を感じ取れたのだろうか。 扉が開き、軽やかな風が2人の間に流れた。 「おはよう、アレンくん。」 「おはようございます。はじめまして・・・じゃ、ないか」 女は連れを一人伴っていた。 彼女たちは、初めて旅に出ようとする冒険の初心者、そんな装いをしていた。 が、それよりも俺は連れの子の可愛らしさに面食らっていた。知っている顔ではあったのだが。 俺「あ、お、おはようございます・・・(ああ、この子のことだったのか)」 思い出した。 美人というよりは可愛い、やや幼さを残す顔立ちと、おっとりした性格で人気があった子だ。 ジャンはこの子にも手を出していたか、まったくお盛んなことで。 「昨日アンタと別れた後、この子と二人で話し合って、決めたの。  あいつを追いかける。あいつに会って、何故この子を連れて行ってあげなかったのか・・・問い詰めたいの」 「その、問い詰めるっていうか・・・ジャンくん、何も言わずに出て行っちゃったから・・・」 なんてこった、話が読めてしまった。 ジャンを知ってる俺に道案内兼用心棒になれと、そういう話か。 そんなことに付き合ってる暇は、俺には無いんだが。 俺「手紙読んだならわかるだろうけど、ジャンがどこへ行ったか俺にはわからないんだけど」 「どうせアンタも旅に出るんでしょ?旅のついでに、あたしたちがジャンに会えるよう護衛してくれたらいいの」 「私たち、呪文は勉強してるけど・・・二人では不安だから、もし良かったら助けてくれないかな?」 予想通りの言葉が、二人の口から発せられていた。 正直、気が進まない。 こいつらを連れていては、火事の調査はほとんどできないだろう。 それに、こいつらが足手まといにならないという保障もない。 地味な割りに気の強そうな女と、おっとりした可愛らしい女・・・見た目には初心者、つまりただの女だ。戦闘の助けにはならないだろう。 確かにマリエは可愛いと思うが、所詮人のもの。けして手の届かない、やわらかく光る下弦の月のようなもの。 可愛いだけで連れ立って、要らぬ苦労をすることはない。今の俺には、旅を楽しむような・・・そんな余裕は無い。 だが、俺としてもジャンに会いたい、それは確かだ。 奴を疑うわけじゃないが、奴は何か知っている可能性がある。 宿屋のおっさんの話が正しければ、奴もあの日の早朝まではアリアハンにいたのだから。 俺はどのくらい考え込んでいたのだろうか、女の急かす声に思考を切り裂かれた。 「ちょっと、聞いてるの?あたしたちと一緒に来てくれるの?来てくれないの?」 ニア はい     いいえ うん、またなんだ。すまない。 よかったら、この選択に答えてやってくれ。 今回も、反応もらえれば多数決に従うよ。 939 名前:('A`) 投稿日:2007/11/17(土) 08:27:56 O 俺はNOとしか言わない男だぜ――――― だがここは・・・YESッ 940 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/17(土) 10:53:06 0 インタラクティブ小説って初めてだ まあ俺はYES以外の展開など予想付かないのだ 941 名前:('A`) 投稿日:2007/11/17(土) 15:39:52 0 >>938 喪ならノー 独自で調べる・・・・だろ 942 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/18(日) 19:51:14 O NOといいたいところだが… YES! 943 名前:('A`) 投稿日:2007/11/18(日) 23:41:15 0 YESと言いたいけど…こいつら相手にフラグたつのか? ここはNOでいこうぜ 944 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/19(月) 23:27:30 0 みんなで小説を創る感じがして楽しいなw ちなみに俺はNOだな。 また旅の途中で会う事もあるかもだし 945 名前:('A`) 投稿日:2007/11/20(火) 06:56:08 O そろそろ締め切らないとモチベーション下がって書けなくなるぞ 946 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/20(火) 17:50:18 0 みんな回答ありがとうです 3:3か・・・じゃあそれっぽくまとめようかなw ''>>940'' レスできるんだから、こういうのもアリなんじゃね? と思ってやってみた ''>>944'' 楽しんでもらえてなによりだ ''>>945'' サーセン モチベはあるけど時間がなかった・・・ 949 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/22(木) 04:52:49 0 心の中まで流れ込んで洗っていくような、爽快な空気の流れる酒場の広間。 少年は悩み、少女は苛立っていた。 (どーすんの、俺!?) 少年は、その身に続けざまに這い寄る悩みに、今回ばかりは答えを出せないでいた。 少女には、少年の姿に偉大なる勇者「la Mascara」の姿を感じ取ることなどできなかったことだろう。 俺はどうにも決断することができず、ただ頭を空回りさせていた。 「・・・あ~!! もう、さっさと決めなさいよ、男でしょ!?」 ・・・随分とカリカリした気性の持ち主だ。これでは先が思いやられる・・・ 俺はようやく、判断を下せた。 俺「・・・う~ん、わr」 ルイーダ「お嬢さんたち、見たところ護衛が必要なようにみえるけど、護衛だったらもっと向いてる人がいるわ。      文字通りあなたたちの盾になってくれる、ガチムチの鎧武者を紹介するわ。そこの彼よりも、余程適任だと思うけど。      明日には帰ってくる予定よ、1日くらい待てないような用件でもなさそうだけど?」 俺の言葉を遮ったのは、迷い人を救い出す光だった。 きっと、俺からは断りにくいだろうと考えて言ってくれたのだろう。 本当に、お姉さんは優しい。 お姉さんは一瞬俺に目配せし、その戦士の資料を女たちに渡した。 女たちは納得した面持ちで、帰り支度を始めた。 「アレンくん、じゃあね。またどこかで会ったら、よろしくね」 「マリエ、そんな奴ほっといて帰るよ!」 ルイーダ「ごめんね、勝手なことしちゃったかな?」 俺「あ、いっいや、とても助かりました!   じゃあ俺、さっそくだけど行ってきます、本当にありがとうございました!   絶対に、また帰ってきます!」 突然、お姉さんと二人きりでいることを気恥ずかしく感じ、飛び出すように酒場を出て行った。 すべてはこれからだ。これからは自分一人の力で生きて、そして・・・ 少年は荒野へと走り出した。 心の奥底に重い想いを引きずるその姿は、風と呼ぶには哀しすぎた。 950 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/22(木) 05:56:57 0 俺はまず、ナジミの塔に向かったという初心者のパーティを追うことにした。 例のリストに載った人間が、先達としてこのパーティに加わっている。 パーティの目的は、おおかた盗賊の鍵が目当てといったところだろう。 ナジミの塔に登るくらいのことで人を雇うようなレベルの集まりなら、恐れることもなさそうだ。 ついでに、盗賊の鍵も手に入れておこうか。俺は西進し、岬の洞窟を抜けた。 ナジミの塔に入った。入ったはいいが、この広い塔の中でどうやって奴らを探そうか・・・ どうにも思慮を欠いていたと、一人反省しながら塔をうろつく。 塔の下層では、まだ俺を恐怖させる魔物は現れない。俺も随分変わったものだ。 3階に上がる階段を見つけた辺りで、上から女の叫び声が響いた。 死を予感させる強敵との戦闘に、身を震わせながら発する声か? 俺は双方に気付かれないよう、注意深く階段を這いあがる。 階段を上りきり、気配を殺しながら壁に沿って進んでいく・・・ ビンゴ! 思わず声を出しそうになってしまった。 リストの似顔絵どおりの男が、あさっての方向に剣を向けて間合いを詰める様な動きをしている。 俺はつい口を塞ぎながら、周囲の状況を確認する。 人間が2人、人間の死体が2つ。 さそり蜂と、人面蝶が2匹。 死体にはバブルスライムが、そのだらしなく開いた口から身を滑り込ませようとしている。 戦いのさなか、仲間に加勢もせず死体を貪る・・・余程空腹なのだろうか? 「うああぁっ!!」 女の悲鳴だ。 見やると、さそり蜂の尾が女魔法使いの背を刺し貫いていた。 これは死んだだろう。これで、残るはお目当ての戦士一人。 しかし奴は、今も顔を青くしながら誰もいない空間に剣を振り下ろしている。 まるで、闇雲な素振りの特訓だ。 傍から見ると、こうまで間の抜けたものだとは思わなかった。 さて、このままでは奴も遅からず死んでしまう。死人に口なし、それでは困る。 奴に加勢して魔物を追い払うか、奴を連れて逃げるか・・・そのくらいしか打つ手は無さそうだが。 俺は魔物たちの隙を見て飛び出し、男の項に思い切り拳を入れた。 終始無防備なままうつ伏せに倒れこんだ戦士を慌てて担ぎ、急いで逃げ出した。 俺は階下の小部屋に入り、戦士の装備を剥ぎ取って後ろ手に縛った。 これで、反抗のしようもない。俺は縄が解けないのを確認してから、戦士を平手打った。 が、戦士は起きない。何度か引っ叩いてみたが、まるで反応が無い。 体温は失われていないので、死んではいないはずだが・・・仕方がない、気が付くまでのんびり待つとするか。 951 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/22(木) 11:02:02 0 GJ ハードボイルドみたいでかっこいいぜ 962 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/28(水) 05:19:41 0 続きです。 埃っぽい、乾いた風が漂う塔の玄室。 少年は、静かに待つ。 (死んではいない・・・はずだよな?) 少年は、己が人生を規定しかねない一歩を踏み出した。 少年が偉大なる勇者の裔として捉えられることは、もう二度とないのかもしれない。 いつまで気絶してるつもりなんだ、この戦士様は。 3時間ほど待っただろうか、こんなところでぼんやりしているのもそろそろ限界だ。 俺はもう一度、戦士の顔をはたいてみた。 「…うぅっ… !?」 ようやくお目覚めか。 戦士は体の自由が利かないことに戸惑っている、そんな声で怒鳴りだした。 「おい、そこのガキ!な、なんなんだこれは!?」 「あんたに聞きたいことがある。正直に答えれば、危害は加えない」 「なに!?お前、こんなこと、俺が誰だかわかってやってんのか?」 自分の置かれている状況がまるでわかっていないのか、俺をなめてかかっているのか、 とにかく反抗的な態度が俺を苛立たせる。 肺腑を小虫が這い回るような不快感に晒された俺は、何も考えられずに肌の露出した体を鞭打った。 戦士の顔が歪む。 再び鞭がうなり、それにあわせて男のうめき声が響く。 3度ほど繰り返したあたりで、ようやく不快感を払えた俺は、質問を始めた。 「あんたの名はグライス、ランシール出身の戦士…間違いないか」 戦士が無言で頷くのを見て、質問を続ける。 「4月28日の朝方、酒場から出てどこへ行った」 「28日・・・確か、海辺でキャンプ張ってた仲間に、酒場で分けてもらった酒と肉を持って行ったはずだ」 嘘を吐いているような様子は見当たらない。 「あんたは、ハッパは吸っているのか?」 訊きながら、道具袋を見れば済む話だと気付いた。が、袋をまさぐるまえに戦士は首を横に振った。 「そうか・・・わかった」 おそらく、ハズレだ。 そう確信した俺は、戦士の縄をほどいてやろうと後ろに回った。 が、ある考えが浮かんだ。 この男に、不意打ちした挙句縛り上げて詰問するなどという話を広められては困る・・・この男は、殺すしかないのではないか? 我ながら、冷静な判断だ。 死体も塔に放置しておけば、誰かが見つける頃には魔物に食い荒らされていることだろう。 俺は道具袋から銅の剣を取り出し、目いっぱいの力で戦士の頭に叩きつけた。 戦士の道具袋には、めぼしい物は入っていなかった。 戦士が使っていたらしきうろこの盾だけを頂戴して、階を上った。 階を上ると、先ほどの魔法使いたちの死体に魔物が群がっている。 俺はメラを唱えて魔物を追い払った。 冒険者たちの死体を漁ると、やはい初心者だからか大したものは持っていなかった。 が、折角なので金を頂いておいた。 不意に、爺ちゃんの声が聞こえた・・・そんな気がした。 965 名前:('A`) 投稿日:2007/11/30(金) 01:43:47 0 勇者には復讐しか見えてないな エロは期待できないっぽいけど、この調子で書いておくれ 966 名前:('A`) sage 投稿日:2007/11/30(金) 04:40:51 O 自演で支援すんのが一番見苦しいな 967 名前:&color(blue){('A`)} sage 投稿日:2007/11/30(金) 22:46:34 0 ''>>965'' 前にまとめのエロ作品を見た限り、俺にエロは無理だと思います(´・ω・`)読むのは楽しいけど・・・ ''>>966'' 見苦しいと思うなら見なければいい、わざわざ書き込みなどせず黙ってスレを閉じればいい。 自演云々についてはお互い証拠もないので何も言いませんが、一つだけ断っておきます。 俺がこのスレにいる主目的は勇者ニートの帰る場所を保守することであって、自分の書く文章を読ませることではありません。 ただ、自分の文章を楽しみにしてくれている人がいるようなので、その人が少しでも楽しんでもらえたらと思い文章を書いています。 帰らない主を、今でも待ち焦がれているだけなのです。 ↓続き 俺は死体を横目に最上階へと向かった。 最上階の小部屋には、ベッドに臥せる老人がいるだけだった。 盗賊の鍵について訊ねてみると、老人にはもはや鍵を作る体力がないのだと言う。 ・・・どんな人間も衰える、どんな人間も老いには勝てない。 自分に残された時間があとどれほどかはわからないが、目的はきちんと果たして死にたいものだ。 この老人の苦しむ顔には、どこか誇らしげなものを感じる。 見る者にそう形容させているのは、大事を成し遂げた男の矜持なのか。 願わくば、俺もこの老人のように。 老人から鍵の製法を教えてもらい、塔を降りた俺は一日かけて盗賊の鍵を作ることができた。 この盗賊の鍵があれば、アリアハン北東のいざないの洞窟と呼ばれる洞窟からロマリアへ抜けられるという。 レーベの道具屋で薬草と毒消し草を買いこんで準備を整え、宿に入った。 夕食を終えて個室に行こうとしたとき、閉じられたドアがあることに気がついた。 俺は好奇心から、ドアに手を伸ばす。ドアには鍵がかかっていたが、そのことが俺の好奇心をさらに刺激した。 盗賊の鍵の具合を試すいい機会でもあった。 鍵の作成は完璧だったようだ、さあ、開いたぞ?もっとよく見せてくれ? そのまま、この暗い部屋に入ってみた。 「おにいちゃん、強いんだよね!?いっぱい魔物を殺してよっ!」 突然におこった子供の大声に、尻餅をついてしまった。 いつの間にか後ろに駆け寄っていた主人に窘められる。 「ああ、お客さん、困りますよ。この部屋は開けないでください」 主人は子供の声を無視して扉の奥に押し込んだ。 主人の話によると、この子供は目の前で両親を殺され、そのショックで気が触れてしまったらしい。 俺は夜中にもう一度、この部屋を訪れた。 「おにいちゃん、強いんだよね!?いっぱいいっぱい魔物を殺してよっ!」 ・・・さすがに2度目ともなれば、驚きはするものの気圧されはしない。 「ねえ、おにいちゃん!」 パシッ 子供はだらしなく顎を下げて、呆然とこちらを見ている。いや、見ているように見えた。 「人に頼るんじゃない、自分でやるんだ。今は無理かもしれないが、いつの日か、自分自身で」 そう言って、袋の中で転がっていた棍棒を子供に握らせた。 子供の口は半開いたまま、間の抜けた顔のまま。 俺は、こんな場合の対処法など知らない。子供の頭に手をかざし、とりあえずホイミを唱えてみた。 子供は白目をむいて痙攣し、しばらくするとそのまま眠りこけていた。 もしかしたら、目が覚めた時には正気を取り戻しているかもしれない。 我ながら、柄にもないことをしたもんだ。 後になってどうにも恥ずかしく感じるが、きっと似たような境遇の者を放っておけなかったんだろう。 神に祈っても救われはしないのに、人に祈って何になるというのか。 969 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/01(土) 01:20:22 0 >>967 乙 目的がニート待ちなのは良いけど、 ニートが帰って来ても辞めないで完結させてくれい >神に祈っても救われはしないのに、人に祈って何になるというのか。 なんかハードボイルド風味でカコイイな 970 名前:('A`) 投稿日:2007/12/01(土) 05:59:52 O 大槻ケンヂの歌詞みたいだ こうゆう良いフレーズ思いつくのに喪とか運命ヒドス 972 名前:('A`) 投稿日:2007/12/01(土) 16:54:26 0 >>967 はっきりいって、下手にエロ入れるよりも、 今の路線の方が面白い。 973 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/01(土) 22:23:38 0 もうシリアスな路線に入ったからな エロは他の奴に期待しよう 974 名前:('A`) sage 投稿日:2007/12/02(日) 14:35:37 O >>967 そろそろ次スレだしコテつけたら? 976 名前:&color(blue){('A`) ◆OW4jDecrBQ} sage 投稿日:2007/12/04(火) 03:37:25 0 みんなありがとう、889です。 ''>>974''に従い、以降はトリつけて書きます。 今の方向性をなるべく守りつつ、書き続けたいと思います。 ↓続きドゾー 今日も、甘い妄想から突き出されて朝を迎えた。 宿の主人いわく、子供に朝食を食わせようとあの部屋に入ったが、いつものように喚き散らすことはなかったということだった。 扱いやすくなっただけでも、主人にはありがたいことなのかもしれない。 ・・・俺には関係のないことだが。 今やアリアハンでやるべきことはなく、探すべき者も守るべき者もいない。俺はいざないの洞窟へ向かった。 いざないの洞窟、そこは洞窟というよりは古ぼけた地下壕だった。今は昔、アリアハン王家が世界的強国だった時代のものらしい。 一時は大陸側に興った勢力の脅威のために封鎖されたこの地下壕も、今では防壁が崩され、開錠さえできれば自由に通れる。 アリアハンのものらとはうってかわって、魔物が随分手強い。 群れをなす魔物に、苦戦する自分に苛立ちながら、どうにか先へと進んでいく。 レーベで買いこんだ薬草が、体のところどころを癒していく。薬草の痕は、戦いを経るごとに増えていった。 そうして体を薬草まみれにしながらも、どうにか旅の扉を見つけ、ロマリアへと抜けることができた・・・ が、しばらくは修練を積まなければ、ロマリア周辺を気兼ねなく動き回ることはできなさそうだ。 どのみち、しばらくはロマリアで情報を集めなければならず、ちょうどいい機会なのかもしれないが。 2日間、ロマリア周辺で修行しつつ、町で情報を集めていた。 ロマリアの城下では、カンダタという男を首魁とする盗賊団の話でもちきりだった。 この地方でのカンダタ一味の狼藉に対し、幾度となくカンダタ討伐隊が組織されたが、まるで成果がないらしい。 兵士も老人も、口にするのはカンダタの話ばかり。俺が聞きたいのはそんな話じゃないんだが・・・鬱陶しい。 とはいえ、全く役に立たない話というわけでもなさそうだ。 この討伐隊について、以前ルイーダの酒場でも募集があったらしく、アリアハンからの参加者もいたそうだ。 ・・・と、いうことは? 討伐隊参加者のなかに何らかの情報を持っている者がいる、さらにいえばリスト内の人間が参加している、そんな可能性がある・・・ しかし、前回の第8回討伐隊は、1週間前から連絡が途絶えているという。 カンダタ一味、随分力を持った盗賊団らしい。 さて、もうしばらくは鍛錬に励むとして・・・これからどう動くべきだろうか? 次のカンダタ討伐隊に参加し、その中で情報を集めるか?  単独で動いて、前回の討伐隊の生き残りを探してみるか? それとも、カンダタ一味に近づいてみるか? もしかしたら、彼等のような者こそが知りうる、そんな類の情報が得られるかもしれない。 俺はじっくり考えながら、さらに3日間を修行に費やした。 977 名前:('A`) 投稿日:2007/12/05(水) 01:15:32 O ほほう 978 名前:('A`) 投稿日:2007/12/05(水) 06:14:47 0 討伐対に参加希望。 この作品の感想を投稿 #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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