初めは何を言っているのか解らなかった。結界が消えてしまった防衛線の壁づたいを走る男の背中を追いかけながら、ウィズは先ほど言われた言葉の意味を必死に考えてみる。 トリビュートが崩壊する。男は確かにそう呟いた。崩壊というのが物理的に崩れて壊れるという意味だとすれば、それは一大事である。三年前に出てからトリビュートにはほとんど立ち入ったことはないし、近付こうともしていなかったが、それは街が嫌いになってしまったからではない。むしろ、今でもトリビュートは大好きだ。その気持ちを根底から支えているのは他ならぬユナの存在であった。
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