ID:iEVP8Kk0氏:春日部サイバーウォーズ

『春日部~、春日部ぇ、野田線乗り換えです。え~到着の電車はぁ…』
ある日の東武鉄道春日部駅、そこには3人のバシャー…もとい、人影があった。
「ふぅ…長かったけどやっと着いたな…ここが埼玉県か」
「ねぇ、やっぱりやめたほうがいいんじゃない?」
「そ、そうですよぉ…」
「いや、俺はやる!この埼玉県で伝説的な存在になっている『奴』を倒すためにな!」
一体彼等は何者なのか。見たところ大学生のようだが、彼等がきた目的とは一体!?

一方その頃、埼玉県春日部市某所。
柊つかさの経営する小さな喫茶店『ひいらぎの葉』で、異様なテンションの3人が打ち合わせをしていた。
「でね、今回は大仕事になるから是非ひよりんたちの力を借りたいのだよ」
「なるほど、キャラデザなら私の出番スね」
「OK!じゃあワタシはMechanicsを描きマスネ」
「え!?…パティ、メカなんか描けるんだ。スゴイね」
「Robot Animeも大好きデスカラ☆」
「じゃぁこのスタッフで決定だね、あとはシナリオをどうするかなんだけど…」
「みんなー、注文決まった?」
「あ…じゃあ私はアイスココア下さい」
「Coke Please!」
「じゃあ私はアイスティーにしようかな。あとホットケーキ3つね」
和やかに話が進んでいたその時、ベルの音と共に店のドアが開いた。

「いらっしゃいませー」
つかさが挨拶をする。しかし相手はスタスタと入って来ると突然質問をぶつけてきた。
「…すいません、この写真の子を探しているんですが」
こなたたちは仰天した。それもそのはずである。
写真に写っていたのは…こなたたちもよく知っている人物だった。
「「ゆ、ゆーちゃん!?」」
「What?なんでユタカが写ってるデスカ?」
「…ねぇ、浩之ちゃん。やっぱりやめたほうがいいんじゃない?」
浩之ちゃんと呼ばれたその大学生…藤田浩之の後ろからは、普段のつかさと同じように頭のてっぺんで黄色いリボンを結んだ赤い髪の少女が顔を出した。彼女の名は神岸あかり。
(…カブってる…!私とキャラが被ってる…どんだけ?)
(…リボンキャラの元祖は私だよ、フッフッフ…)
(…他作品のキャラのくせにぃ…バルサミコ酢ぅ…)
つかさは思わず親指の爪を噛んだ。

「あの、一つ訊いてもいいかい?」
「何だ?」
「それ…私の従姉妹なんだけど」
「ぬわぁにぃ!?」
「だから止めようっていったんだよ~」
「そ、そうですよぉ」
浩之の反対側から現れたのは緑色の髪の少女。よくみるとその耳には銀色のパーツ。
こなたたちにとってみれば、そのパーツ自体は珍しいものではなかった。しかし…
「Wow!ホンモノのMaid Robotデスネ、初めて見マシタ!」
「はわっ!?」
「ちょ、パティ!?」
これにはパティが激しく食いついた。
こなたからメイドロボの存在は聞かされてはいたものの、本物を見るのは初めてだったのだろう。
「You、確か来栖川のHM-12…Multi SeriesのPrototype、『HMX-12』デスネ?」
「そ、そうですけど…」
そう、彼女こそがパティの言うとおり、HMX-12『マルチ』である。
「クル酢~?」
「すげー!噂には聞いてたけどホントに人間みたいな反応してるんスねー」
ひよりんまで一緒になって何やってんだ。そんなにマルチが珍しいか。
てかアキバとか探せば普通にあちこちいるだろうに…。ま、埼玉は田舎だからしょうがな…
「悪かったな、田舎で」
ちょ、こなたさん冗談ですやめてゆるs(ry

「で?…単刀直入に聞くけど、どーしてゆーちゃんを探してるわけ?」
「それはだな…つまり、まぁ、なんだ…」
浩之がめんどくさそうに頭を掻き回していたその時である。
「こなたお姉ちゃん、ただいまー」
「…こんにちは」
バイトから帰ってきた小早川ゆたかと岩崎みなみが店の傍を通りかかった。
「…!ゆーちゃん危ない!」
こなたが叫ぶが速いか、浩之はいつの間にかゆたかの方に向き直っていた。

「探したぜ…『小早川ゆたか』!」
「なななな、何ですかいきなりっ!?」
「俺の名は藤田浩之…いきなりで不仕付けだがお前に勝負を挑む!」
「ふぇっ!?」
「どんだけ~」

「な、何のことやら…」
ゆたかには何がなんだか理解できなかった。無理もない、見ず知らずの相手にいきなり勝負を挑まれたのだから。
しかし浩之はそんなのお構いなしといった様子で続ける。
「お前の噂は聞いてるぜ。災害救助から銀行強盗の撃退までやってのけて、もはや埼玉県では伝説的な存在のサイボーグ、ってな」
「は、はぁ…」
浩之の目は自信に満ちていた。困惑するゆたか。浩之を止めたいけど止められないあかりとマルチ。
凍りついた空気が店の前に漂い、しばらくして…
「お前に決闘を申し込むぜ!」
「えぇ!?」
「うしょーん!?」
「ひ、浩之ちゃん!?」
一同がショックを受ける。いきなりの決闘宣言。みなみがゆたかの前に立ち、両手を広げて庇う動作を見せる。
「…そう、このHMX-12・マルチがな!!」
「は、はわわわわっ!?」
……って、お前じゃないのかよ!!

「その勝負!合意と見て宜しいですね!!」
どこからか声が聞こえてくる。春日部駅の駅舎の上に人影が立っていた。
「だ、誰だ!」
謎の人物の登場に驚く浩之。だがその人物は大きくジャンプした!
「とぅっ!!」
「み、みゆきさん!?」
この凄まじいアクションをとった彼女。高良みゆきである。
みゆきさん、メダロットなんてよく知ってるな…。
「では、ロボトル…ファイト!!」
「ロボットじゃありません!!」
ゆたかは必死で反論するが、みゆきの耳には届いていないようである。

…かくしてゆたかとマルチの対決が始まった。
今回の勝負はクレープ作りだ。両者共に気合が入っているようだ。
では、ここからの実況はこのお二人にやってもらいましょう。

「…というわけでやってまいりましたロボトル大会、実況の神岸あかりです」
「解説の岩崎みなみです…なんでゆたかがこんなことに…」
「岩崎さん…それは気にしちゃいけないよ、多分…。さて、今回の試合はクレープ作り。『喫茶 ひいらぎの葉』に協力を得まして両者にクレープの出来を争っていただく訳ですが」
「…ゆたか、クレープ作れるのかな…」
「おおっと、両者材料をさばいていく!ゆたか選手、バナナを上に放り投げた!!」

「いけー!ゆーちゃん!ロボットになんか負けるな!サイボーグの意地を見せてやれー!」
「…はぁっ!!」
「これはすごいっ! 空中を漂うバナナを包丁一本で華麗に切り落としていくー!」
「ゆたか…私の知らないところであんな技を…」
「一方のマルチ選手、バナナを切ろうとするがうまくいかなーい!!」

「わ、私だって、やればできるんですぅ…」
「ムリすんなよ、マルチ…」
「え、えぇぇぇ~~~いっ…はわっ!」
「おおっと、マルチ選手、ゆたか選手の真似をしようとして大きく尻餅!これは手痛いー!!」
「……見よう見まねでうまくいくほど、世の中は甘くない…ということですね」
「その間にもゆたか選手、生地を鉄板の上に広げていくー!」

「~♪」
「へぇ~、ゆーちゃんクレープなんて作れるんだ」
「えへへ…実はね、こっそりつかささんに創り方を教わってたんだ」

「…うぅ、私だって、私だって…」
「おおっと、マルチ選手も生地を焼こうとしているようです!」
「でりゃりゃあ~~~~~っ!!」
「熱い!熱いって!マルチ、生地が飛び散ってるぞぉ!?」
「す、すみませぇぇ~~~ん…!」

「おおっと、マルチ選手やっぱりうまくいかない!思いっきり飛び散っているー!!」
「……ユニーク」

「さて、そうこうしているうちに両者出来上がったようであります。審査員のもとにクレープが運ばれていきます!」
「…審査員の高良さん、柊さん、田村さん、パトリシアさん、よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いしますぅ…」
「…ねえゆきちゃん、これ一体何?」
「…煎餅…でしょうか?」
「…はうぅ…」
「確かマルチちゃん、クレープ作ってたんだよね…」
「Well…Looksはトモカク重要なのはTasteデスネ…」
「「「「いただきます」」」」モグモグ

「Oh My God!Multi…You…Are…Crazy…!」
「な、なんつー味ッスか…!」
「これは…クレープの味ではありません!」
「どんだけー!?」
「そ、そんな…一生…懸命…」フラッ…
「おーっと、マルチ選手!ショックのあまり機能停止してしまったぞー!!」

「さぁっ、お次はゆたか選手!」
「…これは!」
「…ユタカのクレープはとってもPrettyデスネ☆」
「これは期待できそうですね」
「それじゃー早速」
「「「「いただきます」」」」モグモグ

「Oh!Excellent!流石はユタカネ」
「小早川さん、あんた最高ッス…」
「これはいいクレープですね、いいお味です」
「初めて一人で作ったにしては上出来だね~」
「えへへ…」

「さぁそれでは審査員の皆さん、美味しいと思ったほうのプラカードをドン!!…『ゆたか、ゆたか、ゆたか、ゆたか』よってゆたか選手の勝利ー!!」
「あ、ありがとうございます!」
「ゆーちゃん…!」
「ゆたかちゃん…!」


さてさて、試合が終わったところで…
「あうぅ~、すみません、また失敗してしまいましたぁ…私って、ダメなロボットですぅ…」
「泣くなよ、マルチ…お前は精一杯がんばったじゃないか」
「そ、そうだよ」
「またNext TryすればOKネ」
浩之とひより、そしてパティがマルチを慰める。
「でも…でも…私……!」
泣きじゃくるマルチの元に歩み寄るゆたか。
そしてゆたかはポケットからハンカチを取り出した。
「はい、マルチちゃん」
「…ゆたか、さん…?」
「マルチちゃんならきっと、いいメイドロボになれるよ」
「あ、ありがとうございますぅ…ところで、ゆたかさん…」
「?」
涙をハンカチで拭きながら、マルチは言った。
「ゆたかさんは、どこのメーカーのロボットなんですか?」

再び凍りつく空気。気まずい雰囲気がマルチを包む。
「マルチちゃん…?」ガッシ
「は、はわっ!?」
「…私……ロボットじゃないんだよ…?」
「あ、あのぉ…」
「…少し、頭冷やそうか…」

次の瞬間、マルチの悲鳴が埼玉県の空にこだました…。

「…ゆーちゃん、サイボーグになってからというもの、ホント強くなったね…」
「……問題なし」

 

 

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