ID:S9LId1Vh0氏:タイトル不明

カーテンの隙間から見える灰色の空
ちらちらと白い粉雪が舞うのが見える



部屋の中は暖房が効いてて暖かい
それでもコタツの外に出ている両肩はほんのりと寒さを感じる

クリスマス
こなたさんもゆいさんも、そうじろうさんも用事で出かけてる
私はゆたかの家で二人きりで過ごしている

二人きり
昔友人のいなかった私には想像もできなかったこと

…友人か

何処までが他人で
何処からが友人で

何処までが友人で
そして何処からが親友なのだろう

ふと、そんな疑問が頭に浮かぶ

「みなみちゃん?」

コタツの向かい側でみかんを口に運びながら
ゆたかは私の顔を覗く


「?」

とっさの事で私は首を傾げるかできなかった

「ううん、なんでもない
 ただみなみちゃんがボーッとしてたから、何考えてるのか気になって」

ゆたかはそう言うと顔をわずかに赤らめて俯き、みかんを口に運ぶ

「私は……」
「?」

私は……ゆたかの友達?
ささいな愚問

きっと優しいゆたかなら、私の事を友達と言ってくれるに違いない
でも、本当は私がそう一方的に思ってるだけなのかもしれない
それをゆたかに押し付けてるのかもしれない

もしかしたら──

本当は──

そう思うと、少しだけ怖くなって
言葉の続きを言うのが怖くなる

「私ね……」

不意に口を開いたのは
ゆたかの方だった


「私ね、こうやって友達と一緒にクリスマスを過ごすのって、初めてなの」

ゆたかはゆっくりと、まるで童話を子供に詠み聞かせるように
ゆっくりと言葉を紡いだ

「だから、こういう時ってどんな話をすればいいのかとか、
 わからなかったりしちゃって
 なんか変なことを言ってみなみちゃんに嫌われたりしたらやだなーとか
 そんな風に思っちゃったりするんだよね」

「そんなことはない、私はゆたかの事が好きだから」

私は頭で考えるよりも先に答えていた
そうだ、きっと頭でごちゃごちゃ考えすぎてた

「私は……ゆたかの友達だから」

相手が自分のことをどう思ってるかなんて
わかりようがない

でも、少なくとも私はゆたかのことを友達だと
親友だと思ってるから

そう、それだけで十分だった

「えへへ、ありがとう、みなみちゃん」

ゆたかは照れくさそうに笑いながら喋る

「ううん、こっちこそ、ありがとう」

「へ?」
「ううん、なんでもない」

私はそう言うと
ゆたかに笑いかける

相手が自分のことをなんて思ってるかなんてわからない
"私"は"ゆたか"の友人なのかはわからない

だけど
"ゆたか"は"私"の友人だから

そしてゆたかも今さっき
私を"友達"と言ってくれた

それなら
私とゆたかは"親友"なのだろう

「メリークリスマス、ゆたか」
「うん、メリークリスマス、みなみちゃん」

互いにそう言って
そして互いに少し照れくさそうに微笑む

些細なこと
だけどそんな些細な関係が

ずっと続けばいいと思う

-fin-
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