ID:zlujjwYV0氏:タイトル不明

「・・・で、なんですよ。怖いですね。」
「わーちょっとぞくっとしたかもー」
「確かにちょっと怖かったわね。」
今は昼休み、お弁当を食べて少し長めのお話タイムだ。
いつものようにこなちゃんと私とお姉ちゃんとゆきちゃんで食後の会話を楽しんでいた。
それで私が今お手洗いに行って戻って来たところでさっきから続いていた会話は終わって、
また別の話をしているようだった。
「何が怖いの?」
「あ、つかさ。みゆきさんが七不思議について教えてくれたんだよ~。」
「つかさが聞いたら夜寝れなくなっちゃうかもね。」
いつものようにお姉ちゃんががひひひと笑う。
「べ、別にこわくないよぅ。」
「え?じゃあみゆきつかさにも教えてあげてよ。」
思わず張ってしまった虚勢で墓穴を掘ってしまった。全く気が晴れない。
「では・・・コホン」
ゆきちゃんが語り口調についた時にはもう遅かった。

「・・・というわけなんですよ。」
「怖いよぉ・・・」
「二回目でもゾッとするわね。つかさが聞いたら卒倒しそうだもんね。」
「怯えて震えるつかさ萌え。」
こなちゃんが私の頭を撫でてくれる。
「すみませんつかささん。別に怖がらせるつもりで言った訳では・・・」
「いいのよみゆき。こんなのどこの学校でもある都市伝説の類なんだから
つかさもそんなに真剣に捉えなくていいわよ」
お姉ちゃんはそういってくれるがもう聞いてしまったが既に遅し。
板書をノートに写すようにインパクトの強すぎたその怖い話は私の薄味な脳みそに深々と刻み込まれた。
「お、じゃあそろそろ自分のクラスに戻るわ。つかさも適当に忘れちゃいなさいよ。」
教室から出て行くお姉ちゃんの背中を見ながらどうか忘れますように散々祈った。


「・・・でねー、臭いよねー」
「あーわかるわかる臭いねーアレ」
いつものようにこなちゃんとお姉ちゃんの3人での帰路。
適当に雑談しながらゆっくり帰る。
そして帰宅時にもなると昼休みの話など当の昔に忘れてしまっていた。
「あ」
「どしたのつかさ?」
「学校にリコーダー忘れちゃった・・・」
「ああそういえば練習してたわね。それなら私の貸そうか?って私もアルトリコーダー学校だわ」
「そんなに熱心に練習しなくてもいいじゃんつかさ。愛があれば伝わるよ!」
「うん。でも練習したいし取りに戻るね。」
「そう?私も着いていこうか?」
「いいよ悪いし、こなちゃんとおねえちゃんと先に帰ってて。」
「そう?じゃあ気をつけて帰ってくるのよ。」
そして私はアルトリコーダーを取りに喪と来た道を戻ることにした。
学校に着いた頃若干西日は差し込んでいたが、まだ運動部はいるみたいだし、
ブラスバンド部の演奏の音が聞こえてくる。
青春だなーと胸をときめかせつつ教室へ戻りアルトリコーダーを確かにかばんに入れて教室を出る。
教室を出るとそこには先ほどまで居なかった女子生徒の子が窓を見ていた。
別に私はそんな良くある一風景を目に留める必要はないけど、女の私が見褒めるほどきれいな人だった。
ゆきちゃんにも勝るほどのスタイルで、こなちゃんに言わせれば萌えなのだろうか?
それに夕陽が混じりまさに画になっていた。
「?あの私の顔に何かついてますか?」
いきなりこちらを向いて話しかけられたので思わずビクリと反応してしまう。
「あ・・・ううん、きれいで思わず見とれちゃって・・・」
「あら?ありがとうございます。こんな時間に何か忘れ物ですか?」
「えっとリコーダー忘れちゃって取りに戻ってきたんです。」
「そうなんですか~・・・」
沈黙。初対面の人間と話すときよくあることだ。けれどこの居たたまれない空気はなんだろう。
「で、では失礼します!」


自分なりに丁重にお辞儀して踵を返す。
「あ、待って。私も今から帰るので校門まで一緒に行きましょう。」
またもや唐突なことに私はあっけらかんに「・・・はい」としか返事できなかった。
そういうと彼女はすぐにカバンを取って廊下に出てきた。
「さ、帰りましょう。」と彼女は歩き出す。
階段の所まで来て彼女はおもむろに足を止めた。
「そうだ、私をきれいだと言った貴女に見せたいとっておきの場所があるんです!」
私の返答を待たず、名前も聞いていない少女は私の手をグイと引く。
なすがまま私は階段を駆け上がる彼女を尻目に引かれる手に少しの痛みを感じながら私も必死に階段を上る。
そういえばこの先は屋上だ。要するに屋上から見える夕陽に照らされる景色がきれいなのだろうか。
全く知らない少女に連れて行かれる若干の恐怖を覚えながらも心躍る妄想に内心ワクワクしていた。
だが不意に昼のゆきちゃんの話が頭によぎる。
3番目だったろうか?確か「屋上から飛び降り自殺した少女が夜の教室を徘徊している」だったはずだ。
今から行くのはほぼ屋上で間違い無い。そう気づいた瞬間私は階段を駆け上がる足を止めた。
「どうされたの?もうすぐよ早く行きましょう」
「ごめんなさい!わ、私お家に帰って夕飯の支度しなきゃ・・・」
いつの間にこんなに階段を上がったのだろうと彼女のすぐ後ろに屋上ドアのすりガラスが夕陽の赤に染まっている。
彼女はすぐに向き返り私の手を引く。今までとは違うほどの恐ろしい力で。
「いやぁ!離して!お姉ちゃん!」
今いない姉に助けを懇願する。あの時一緒に来てもらえばとひどく後悔した。
腕が千切れるほどの力で引っ張ってくる彼女に抵抗しながら誰かに助けが届くようにと出来る限りの大声で叫ぶ。
少し力が弱まった瞬間私は絶句した。
もはや人ではないそれは首を180℃曲げ、私にひりつく様な表情で微笑む。
そして
「ほら、早くしないと閉まっちゃうわよ、早く逝きマしょううウウウウウ!!!!」
「いやあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
もう正常な精神状態を保っていられない私の意識はここで途切れた。



朝?ああそういえば何か怖い夢を見た気がする。
スッと目を覚ますと目の前には黒井先生がしゃがみこんでいた。
「お前こんなとこで何寝とんねん。風邪ひくで。」
そういえば何でこんな所で寝ているんだろう。確か・・・
ああそうだった。
段々と先ほどの恐怖が蘇ってくる。さっきのアレが。
「わあああああ!!!!」
ガバッと私は黒井先生に抱きついてしまう。
「おわっ!柊悪いけどウチにそんな気は全く無いで!それに教師と生徒は立場上やな・・・」
「違うんです!七不思議が、幽霊がいたんですようううう!!」
先生はハァ?という表情を浮かべ、「ほらほら帰るで」と私を立たせる。
しかしずっと泣き続ける私を不憫に思ったのか、
「しゃーない。ほな今日は特別や、ウチが送ったるさかいに泣くのやめや。な?」
と私を車で送ることにしてくれた。
車の中でも先生にこのことを話しても全く信じてくれなかったが、ずっと慰めてくれていた。
そして結局家に着いたのは20:00を回っていた。
「ちょっとつかさ!どうしたの!?あんまり遅いから心配したじゃない!」
「ごめんなさい・・・」
「てっきり変なヤツに絡まれたり大事に巻き込まれたと思ったじゃない。」
大事には実際巻き込まれている。そうだこのことをお姉ちゃんに話さなくては。
「あーこなたにも連絡したからアイツにもつかさが帰ってきたこと伝えなきゃ。」
「お姉ちゃん・・・」
「ん?どうしたのつかさ?やっぱりなんかあったの?」
「あのね昼ゆきちゃんがした話ね・・・あれね・・・本当だったよ・・・。」
「・・・?何言ってんのつかさ」
「だってあたし見たんだよ!あの屋上から飛び降り自殺した女子生徒の幽霊!」
は?と狐につままれたような表情を見せるお姉ちゃん。
そして一言
「あるわけないじゃん、だってあの話みゆきの中学校の七不思議だしね。」            おしまい
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