「おかしいわねぇ…。」
かがみは台所で独り思案に暮れていた。
「だしの素も具材も一緒で、みその量も多くないのに、
どうしてこうも味噌汁の味が違うんだろう?」
つかさに頼んで味を見てもらおう。
そう思ってかがみはつかさを呼んだ。
「何、どうしたのお姉ちゃん?」
「つかさ、味噌汁の味おかしいよね…。」
「どれどれ?」
つかさは少しだけ味噌汁を飲んでみる。
つかさは思案顔になる。
「うーん、そうかなぁ?」
「そう?」
急につかさの思案顔が溶けて満面の笑みに変わる。
「うーん、あ!そうだ!お姉ちゃんの味噌汁、美味しくしてあげる。」
「へ、どうやって?」
「今は内緒だよ!あ、お姉ちゃん、台所には入らないでね。あとで教えてあげるから。」
そう言ってかがみは台所から追い出された。
数分後、つかさに呼ばれてかがみは台所にきた。
「お姉ちゃん、飲んでみて?」
かがみは味噌汁を飲んでみる。
「…うまい!」
先ほどまでまずいと感じた味噌汁が究極の味噌汁にランクアップしている。
「ちょっと味噌が薄い気がしたけど、よかった。」
「で、どうやって美味しくしたの?」
「ふふ、それはね…。本当は何もしてないんだよ。」
「え?」
何もしていないのに、味が変わるわけがない。
「うそでしょ!何入れたのよ!教えなさいよ!」
「本当に何も手を加えてないよ。」
かがみの追及に対してはっきりというつかさ。
「…おねえちゃんって、自分が料理音痴だって思いこんでない?」
「…まぁ、料理は苦手だけど…。あんたと違ってね。」
かがみにとって料理ははっきりいって苦手である。
「やっぱり。それだよ。自分は下手だからまずいに決まっているって思いこんでるからだよ。
だから、味もそのように感じるんだよ。私はこの味噌汁おいしいと思ったよ。」
「そ、そう?でも、つかさのには…」
「それはきっとお姉ちゃんの愛情だよ。」
つかさはたまにすごいことを言ってくる。
だけど、それは本当は的を得ているのかもしれない。
料理は愛、Love is OKなんていうのも事実かもしれない。
「…ま、まぁ、私も愛情込めて作ったんだからね…その…。」
「うん、本当においしかったよ。」
つかさが喜んでくれてうれしかった。
つかさのために、今度は弁当を作ろうとかがみは思った。
それも、しっかりとしたものを…。
おわり
最終更新:2008年05月14日 23:18