デュエルパート3

【デュエルパート3】

 

 簡単に今の状況を整理しよう。

 こなたの手札は2枚、フィールドには伏せカードが1枚だけ。ライフは7000だ。
 かがみの手札2枚、内1枚は『狂気のバルサミコ酢』、フィールドには守備の『柊みき(タダオカウンター1)』、攻撃の『柊かがみ』、『柊つかさ』、『日下部2200(あやの合体)』(2ターン攻撃出来ない)、『柊まつり』の5体と、伏せカードが1枚だ。ライフは4800。
 そして、今はこなたのターン。どう動くのか!?

「私はみなみんを召喚!」

 『岩崎みなみ』がフィールドに現れる。
 攻撃力1500、守備力1300。☆×4。

「攻撃表示? 何考えてるの?」
「みなみんの特殊効果、このカードを生贄に捧げることで墓地のゆーちゃんを裏側守備表示でセットすることが出来る」
「!? またあの娘!?」

 『岩崎みなみ』が墓地の『小早川ゆたか』を連れ出し、軽く応急処置をする。そして自分は墓地へと退場して行く。
 フィールドには裏側守備表示の『小早川ゆたか』がセットされた。

「私はこれでターンエンドだよ……」
「打つ手が無いみたいね、この勝負もらったわ! 私のターン、ドロー!」

 『小早川ゆたか』の効果は、戦闘で破壊されないという効果だ。そして裏から表になったとき、デッキから『泉こなたLV4』を特殊召喚できる。
 まだ逆転のチャンスはある。

「戦闘で破壊されないなら効果で破壊すれば良い。私はつかさのもう1つの効果を発動!」
「もう1つの効果!?」
「そうよ。このカードを墓地に送ることで、レベル4以下の『柊』と名のつくカードを1体、デッキから裏側守備表示でセットすることが出来るの」

 『柊つかさ』が「なんじゃこりゃあぁー!?」と墓地へ消えていく。

「裏側守備……まさか!?」
「そのまさかよ! 私はデッキから2枚目のつかさをフィールドにセット! この意味、分かるわよね?」
「くぅっ……」

 『柊つかさ』は裏から表になったとき、相手フィールド上のモンスターを破壊できる効果を持っている。そして、今のこなたにはそれを回避する手段がない。
 だが、セットしたターンは表に出来ないので、このターンは凌ぐことが出来る。

「まつり姉さんで守備モンスターを攻撃!」
「な、破壊されないのに!?」
「承知の上よ」

 まつりの攻撃により、ゆたかが姿を現す。

「その娘の効果でデッキから『泉こなたLV4』を攻撃表示で特殊召喚するはずよね?」
「う……ばれてたか……」

 フィールドに2枚目の『泉こなたLV4』が現れる。

「これを狙ってたのよ! 『柊かがみ』で『泉こなたLV4』を攻撃! 究極の愛」
「えぇー! さっきと技名違うー!」

 『柊かがみ』が荒い息を上げながら『泉こなたLV4』に襲い掛かる!

「え、永続トラップ発動! 『幸せ願う彼方から』」
「何ぃ!?」
「手札を1枚捨てることで、モンスター1体を1度だけあらゆる破壊から免れることが出来る」
「あら、やっと私が出てきたわね♪」

 カードの絵柄は、こなたとそうじろうの背後にかなたが居るという図だ。

「でも戦闘ダメージは適用されるでしょ!」
「くっ……」

 こなたは1300のダメージ。ライフは5700に。

「今の戦闘で、私の攻撃力が更に上がるわ」
「攻撃力3300……」

 戦闘するたびに攻撃力が上がる……正に柊強暴伝説の名に相応しいカードだ!

「私は手札から捨てた『こなたの携帯電話』の効果を発動! このカードのみが他のカードの効果によって手札から墓地に行ったとき、デッキからカードを2枚ドローする」
「私はこれでターンエンドよ」

 相変わらず二人の有利、不利が交互に入れ代わるこのゲーム。しかし、これは良い試合でもあるのだ。見てる分には退屈かもしれないが、やってる本人達にしてみれば、一方的に攻められるよりも断然良いだろう。
 さて、だいたいデュエルの流れは解って来たと思う。ここからは解説無しのこなた視点でお送りさせていただく。


――――――

「私のターン、ドロー!」

 このカードは……! まだ、私には勝機がある!!

「魔法カード『ポイント使用』! 場のレベルを持つモンスター1体と墓地のモンスター1体をゲームから除外する事で効果発動」
「……」

 見せてあげるよ、私の真の姿をね!

「デッキからレベルを持つモンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚できる!」
「召喚条件を無視!?」
「場の私と墓地のパティをゲームから除外して、『泉こなたLV9』を特殊召喚!」

 ようやく私の最強カードが使えるのか、どんな姿なんだろ……。

「うぉっ!? まぶしっ」

 私のフィールドが光に包まれる。やがて後ろ姿が見えてきた。

「…………」

 ん? 何でそんなに見とれてるの? ま、いつもの事か……。

「…………」

 さりげなくお母さんを見ると、お母さんもかがみと同じ様にフィールドの私に見とれていた。

「ちょ、お母さ……泣いてるの?」
「ごめんね、まさかこんな形で見られるとは思わなかったから……」

 お母さんが感激するほどの姿なのか……、一体どんな――!
 再び前を向くと、光は消えていて、その姿が確認できた。その姿とは……。

「う、ウェディングドレスー!?」
「ふつくしい……」
「素敵ね、こなた」

 そこには白のウェディングドレスを着て、手に花束のブーケを持っている私が居た。しかもお化粧までしてるし……。
 攻撃力3300、守備力2500。☆×9。
 って、強っ! かがみと同じ攻撃力じゃん!

「相手は……?」
「へ?」
「こなたの相手は勿論、私よね!!」

 うわぁーい……。ま、予想通りの反応だけどね。

「何言ってるんですか、こなたの相手はそう君に似たカッコイイ男の子に決まってます!」
「アンタに聞いてないわよ!」
「むむ……」

 ちょっと、二人とも……デュエルを続けますよー。
 ふむふむ、どうやらレベル9は今までの貫通能力じゃないみたいだ。でもこの能力ならこのターンで勝てる! やるぞ!

「『泉こなたLV9』の効果! 手札を1枚墓地に捨てることで、ターン終了時まで相手モンスターのコントロールを得ることが出来る」
「はぁ……こなたぁ……」
「聞いてないし」

 心を鬼にするとか言っといてこれだよ……。いいや、聞いてないなら勝手にやっちゃうもんね。

「手札を1枚捨てて効果発動! その効果により、『柊かがみ』のコントロールを得る!」

 よし、これで勝ち……。

「ERROR! ERROR!」
「え!?」

 エラー!? そんな事って……!

「ん? 何かしたの?」
「かがみに私の効果を発動したらエラーになっちゃったんだよ!」
「ん~、そりゃそうよ」
「なんでさ」

 まさか、かがみ……デュエルディスクに細工を!? いつの間に……。

「言うの忘れてたけど、お母さん『柊みき』の効果よ」
「って、効果モンスターだったの!?」
「このカードがフィールド上に存在する限り、このカード以外の『柊』と名のつくモンスターカードは、相手モンスターの効果を無効にすることが出来るの」
「そ、そういうことは先に――」
「聞かないのが悪いんでしょ? 教えるなんてルールはないんだし」
「うっ……」

 確かにそうだけどさぁ……むむむ。
 そーなると、コントロールを得ることが出来るのは『柊みき』本体と『日下部みさお』だけか……。みさきちはひよりんの効果で、まだ攻撃できないから意味ないし……かがみのお母さんは弱いし……。

「さぁ、誰を奪うのかしら?」
「うー……」
「こなた、その効果は手札があれば何回でも出来るのよね?」
「え? あ……」

 そうだ、この効果は1ターンに1度なんて書いてないじゃん! 私の手札はまだ1枚ある、つまり……!

「アドバイスありがとう、お母さん!」
「いえいえ、役に立てて嬉しいわ」
「よーし、先ずは『柊みき』のコントロールを貰うよ」
「……」

 『柊みき』がかがみのフィールドから私のフィールドに移る。

「更に手札を1枚捨てて、今度は『柊かがみ』のコントロールを得る!」
「ちっ、気付いたか……」

 これで私のフィールドには、攻撃力3300のモンスターが2体となった。まだこのターンで勝つことは出来ないけど……やれるだけやってやる!!

「バトル! 『柊かがみ』で……」

 ここはやっぱり攻撃力が高いモンスターを倒した方が良いよね。

「みさきちに攻撃だ!」
「……!!」

 かがみがみさきちに攻撃するが、峰岸さんが前に出て代わりに破壊された。合体したみさきちの効果だね。

「峰岸と合体した日下部を倒すには、2回攻撃しなきゃダメなのよ」
「分かってるさ、でもダメージは受けてもらうよ」

 今の攻撃でかがみのライフは3700だ。やっと半分近くに減ったよ……。

「峰岸を破壊したことで私の攻撃力は300ポイントアップするわよ」

 攻撃力3600か……。このターンしか使えないのが惜しいね。

「次に、私LV9でかがみのお姉さん……『柊まつり』を攻撃! ハイ――」
「幸せな未来へのロード!!」
「ちょ、お母さん……」
「一回言ってみたかったの♪」

 フィールドを見ると、かがみのお姉さんは居なくなっていた。なるほど、幸せな未来へのロードか……。がんばれ! 立体映像だけど。
 これでかがみのライフは2100!! もう一息だ!!

「やってくれるわね! 罠カード発動!」
「え!?」

 そういえば伏せカードの存在を忘れてた!!

「『ふざけんじゃないわよ!』。これは自分モンスターが破壊されたとき、相手モンスターを1体破壊する効果を持っているわ!」
「!!」
「私は……もったいないけど、こなたを破壊!!」

 物凄い爆音と共に、私のLV9は跡形もなく消えてしまった。

「そ、そんな……!!」

 そして私は気付く。これを避ける手段があったことに……。
 永続罠『幸せ願う彼方から』の効果を使えば良かったんだ。
 このターン、私の効果を使わずに、私とかがみが相打ちをする。手札を1枚捨てて私は破壊を免れる。かがみも自身の効果を使い復活するだろうけど、攻撃力は元の2700に戻る……そうすれば次の私のターンで倒すことが出来たのに!!
 私の効果の魅力に負けず、手札を残していれば……!

「これでこなたのエースモンスターは無くなったわね。次のターンで私の勝ちよ!!」
「……『泉こなたLV9』が戦闘以外で破壊されたとき、フィールドに『アホ毛トークン』を1体、守備表示で召喚する……」

 フィールドに私と同じアホ毛が現れる。守備力1100……壁にもならないよ。

「ターンエンド……」
「モンスターは返してもらうわ。私のターン」
「…………」
「つかさをリバースし、効果発動! ゆたかちゃん撃破よ!」
「くっ……ゆーちゃん」

 これで私を守るモンスターは『アホ毛トークン』だけ……! やばいって!!

「これで終わりよ、お母さんを攻撃表示に変更! バトル!」
「――っ!?」
「つかさで『アホ毛トークン』に攻撃!!」

 壁が……失くなった。

「続いて、お母さんでこなたに直接攻撃! 高等祓い術!」

 かがみのお母さんが私の目の前に来て、なにやらお祓いを始めた。……良かった、これなら直接攻撃でも痛くな――

「ああぁぁぁぁっ!!」
「お母さん!?」

 お母さんがもの凄く苦しんでいる。まさか……幽霊だから!?

「お母さん! お母さん!!」
「はぁ……はぁ……、大丈夫よ……」
「あら、闇こなたには効果抜群のようね」
「かがみ……!! いい加減に目を覚ましなよ!!」
「目を覚ますのはそっちでしょ! 『柊かがみ』で直接攻撃!! 一刀両断ry」

 ちょ、そんなの喰らったら死ぬって……!!

「ぐぁ……!!」
「安心して、峰打ちだから」

 ポッキーに峰打ちなんてないと思うけど……。

「こなた……大丈夫?」
「はは……何とか……」

 残りライフは600か……。手札もない、フィールドには永続罠が1枚だけ……絶望的だ……。

「今の攻撃で『柊かがみ』の攻撃力が3900になったわ。ま、もう意味ないでしょうけど」

 この状況でどうやって勝つ?

「日下部も次のターンで攻撃出来るようになるけど意味ないわね。私はこれでターンエンドよ」
「……」

 無理だ……。

「こなた? どうしたの? 早くドロー……」
「勝てないよ……」
「え?」
「勝てっこないよ……。手札はゼロ、フィールドにはもう役に立たない罠カードが1枚、この状況でどうやったら逆転できるの?」
「……」
「無理でしょ? エースモンスターも殆ど墓地に行ってるし、ライフの差だって……これでどうやって勝てって言うんだよ!」
「こなた……」

 思わず声を荒げてしまう。出来ないと分かったら難癖付けて……まるで子供だね私……。

「でも、こなた――」
「良いんだよ、もう……私はかがみと幸せに暮らすよ、この世界の人達だってホントはそれが望みなんでしょ? 私それほどかがみは嫌いじゃないし、もうこのまま――」
「こなた!!」

 頬がひりひりする……、お母さんに叩かれた……?
 私は叩かれた頬を抑えて呆然としていた。そしてお母さんを見ると、泣いていた……。

「こなた、自分が何を言ったか分かってる?」
「……」
「お母さんがここに来た理由は最初に言ったでしょ? それをどうしてちょっと負けてるからってそんなに自暴自棄になるの? 世界の人達がそんなこと望んでる訳無いでしょ……それに、こなたは何の為に今まで戦ってきたの?」
「ぁ……」

 そうだ、私はかがみを助けるために……。あの楽しかった日々を取り戻すために……!

「お母さん、ごめん。私どうかしてたよ」
「お母さんの方こそごめんね、痛くなかった?」
「平気だよ。それに嬉しいよ」
「……?」
「お母さんに叱ってもらってね」
「ふふっ……叱ってもらって嬉しいなんて普通の子供じゃ言わないわよ♪」
「はは……」

 だってお母さんに叱られるなんてもう二度と来ないかもしれないもんね。

「こなた、アヤメの花言葉は知ってる?」
「信じる者の幸福、最後まで諦めるなって事だね!」
「頑張って!」

 まったく私らしくない。そうだよ、私が今までゲームでかがみに負けたことがある? 答えはノー。どんなゲームでも負けたことはない、それはこのデュエルでも同じ!!

「私は完全に空気ね」
「行くよ、私のターン! ドロー!!」
「いくらなんでも、そのカード1枚で逆転なんて不可能よ。ターンエンドして私の勝ちね♪」
「ふふふ、それはどうかな? かがみぃ~ん」
「な、何よ……急に余裕になったじゃない」

 さぁ、読者の諸君! お決まりのBGMを脳内再生の時間だよ!!

「魔法カード『アホ毛サーチ』を発動! 墓地からモンスターを3体デッキに戻し、その後カードを2枚ドローする」
「手札を増やしたところで――」
「魔法カード『親子の絆』発動! 墓地に『泉そうじろう』・『泉こなたLV4~9』があるとき、ライフを半分払い『泉そうじろう』と『泉こなたLV6』を特殊召喚する!」
「そんなカードが出てきたところで私の『かがみ』には――」

 まさかこんなカードがデッキに埋まってたとはね……行くよ、お母さん!!

「フィールドに『泉こなた』・『泉そうじろう』・『幸せ願う彼方から』の3枚が揃っている時、『幸せ願う彼方から』を墓地に送る事で手札から『泉かなた』を特殊召喚!」

 フィールドに天使の翼を生やしたお母さんが現れる。
 攻撃力0、守備力0。☆×10。

「自分とそっくりなモンスターがフィールドに居るなんて、なんだか不思議な気分ね♪」
「ふん、どんなモンスターが出るかと思えば……攻撃力0の雑魚モンス――」
「お母さんの効果、ライフを半分払い、全フィールド上のモンスターの攻撃力を0にする!」
「な、何よそれ!」

 私のライフは300から150へ、でもそんなのもう気にしない!!

「そして効果の対象になったモンスター全ての元々の攻撃力を足した数をこのカードの攻撃力にする事が出来る!」

 フィールドのモンスターの元々の攻撃力は……お父さん2200、私2500、かがみのお母さん1500、かがみ2700、つかさ1200、みさきち1700……つまり……。

「攻撃力11800のモンスターですって!?」

 ありゃ、流石かがみ。早いね。

「かがみ、勝ちに急いで何も伏せなかった事を後悔するんだね!」
「そんな……、ありえない……!!」
「お母さんで『柊かがみ』に攻撃! 行くよお母さん!」
「えぇ!」
「「スターライトエクスプローション!!」」

 『泉かなた』の翼が広がり、そこから光のビームが『柊かがみ』に直撃する。かがみの攻撃力は0なので、実質ダイレクトアタックと言っても良いかもね。

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 オーバーキル!! 遂に勝ったんだ!!

「勝ったぞぉー!!」
「よく頑張ったわ、こなた」

 長いようで短かったけど……ようやく終わったんだ! この達成感は異常だね。

「私が負け……た?」
「かがみ!?」

 ドサッとその場に倒れてしまったかがみ。どうしたの? まさか……!?

 

 デュエル終了、そして……

 

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