デュエルパート1

【デュエルパート1】

 二人はデッキからカードを5枚ドローし、手札を確認する。

「なっ……!」
「はぁ!?」
「あらあら」

 今の台詞は上から、こなた、かがみ、かなたの台詞である。一体、何が彼女達を驚かせているのか。

「このカードって……どーゆーこと?」
「自分に合ったデッキが出来るって聞いたけど……これにはお母さんもビックリだわ」

 なんと彼女達のカードには、こなたの友人、姉妹、親子、親戚といった知人のイラストが描かれていたのである。

「こんなカードで……ちゃんと戦えるんでしょうね?」
「うーん……、まぁなんとかなるでしょ。早く始めようよ」
「……そうね。とにかく勝てば良いのよ! そしたらこなたと……」
「私だって負けないよ」

 二人は戦闘体制をとる。果たして、勝利はどちらの手に渡るのだろうか。

「先攻は私よ! ドロー!」

 かがみがデッキからカードを1枚、手札に加える。飴を舐めた効果なのか、ドローする仕種が様になっていた。

「私は『日下部みさお』を召喚するわ!」

 カードをディスクの上に設置すると、かがみの目の前に『日下部みさお』が「ヴぁ」という奇怪な声と共に現れた。本物と大差ない程、凄くリアルな立体映像である。
 攻撃力1700、守備力200。☆×4。

「ちょっと凄いじゃない! これってテレビのやつと同じ使用なの!?」

 かがみがデュエルディスクを指差して、少し興奮気味でこなたに問い掛ける。しかし、こなたも同様に驚いているようで……。

「いや、私も知らなかったよ……。も、もう少し離れたほうが良さそうだね」
「そうね」

 そう言って二人は、更に間合いを取る。その後ろで、かなたは「あれ? 言ってなかったかしら……?」と、頭に『?』マークを浮かべていた。

「じゃ、気を取り直して……」

 かがみはキリッと真剣な表情に戻し、勝負を再開する。

「私は更に場の日下部を選択して、手札から『峰岸あやの』を特殊召喚するわ!」
「い、いきなり二体のモンスター!?」

 かがみのフィールドに『峰岸あやの』が光り輝きながら召喚される。なんと眩しいおでこだろうか。
 攻撃力700、守備力2100。☆×3。


「峰岸は場に日下部がいるとき、特殊召喚出来るのよ」
「むむ……」

 こなたの少し焦った顔をみたかがみは、ニヤリと微笑む。

「まだ終わりじゃないわ。峰岸の特殊効果により、峰岸を日下部に装備!」
「ユニオンモンスター!?」

 ユニオンモンスターとは、モンスターカードでありながら、魔法カードの様にモンスターに装備する事が出来るモンスターである。
 これにより、『日下部みさお』の攻撃力は500ポイントアップした。
 みさお攻撃力2200。

「私はこれでターン終了よ」

 かがみはもう勝った気でいるのか、余裕の表情を浮かべている。

「私のターン、ドロー!」

 ようやくこなたの番。カードを1枚手札に加え、確認する。

「魔法カード『Dドライブ』を発動! その効果により、私はデッキから3枚カードをドローし、その中にモンスターカードがあった場合、手札に加える。そしてそれ以外はデッキの一番下に戻す」

 こなたはデッキから3枚ドローする。そしてその内1枚を手札に加え、残りをデッキに戻す。

「1枚しか増えなかったわね……」
「うん、でも良いカードだよ。とりあえず今はこれで防ぐよ」

 こなたは手札から2枚カードを取り出し、フィールドにセットする。

「私はモンスターを守備表示でセットし、リバースカードを1枚伏せてターンエンド」
「早いわね。私のターン、ドロー!」

 ドローしたカードを確認もせず手札に加える。なぜか視線はこなたを見ている。

「今のこの状況、私が攻めでこなたが受けって事よね?」
「そ、そうだけど……」

 かがみの目の色が変わる。なんつーか、色が変わるっていうより目がハートになったって感じだが。

「かがみちゃんの目が怖いわ、こなた」
「やばい、暴走モードだよ……」

 暴走モード。それは、かがみがこなたを襲うときの事を言う。命名こなた。

「一気にいくわ! 日下部でその守備モンスターを攻撃! ヴぁーストボイス!!」

 かがみの『日下部みさお』が「だってヴぁ!」と大声で叫び、こなたのモンスターに攻撃する。
 大きな爆発音が、辺りに響き渡る。

「これでこなたの壁は失くなったわ!」
「甘いねかがみん!」
「ふぇ?」

 壁が失くなって、こなたの焦り顔が見れると思ったかがみは、こなたの余裕の声を聴きマヌケな返事をしてしまう。

「私を守るモンスターの正体は……」

 爆発の煙が引いて、姿を表したのは、ミニマムテンポで有名なかがみと同じツインテールの……。

「ゆーちゃんだよ!!」
「はぁ!?」

 『小早川ゆたか』である。
 攻撃力500、守備力300。☆×3。

「たったそれだけの数値で何で防げるのよ!!」
「ゆーちゃんの特殊効果、このカードは戦闘で破壊されないんだよ☆」

 フィールドでは『小早川ゆたか』がイヤホンをして、小刻みにリズムを取っている。これでは『日下部みさお』のボイス攻撃も効かない筈だな。

「やっぱ、ゆーちゃんは頼りになるなぁ~」

 その言葉を聞いたかがみに黒い感情が生まれた。フィールドにいる『小早川ゆたか』を、物凄い形相で睨み付けている。そしてその視線に気付いたのか、フィールドの『小早川ゆたか』は涙目になってしまう。


「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られてなんとやらよ!」

 ただの嫉妬である。こなたはそんなことお構いなしに続ける。

「更に、ゆーちゃんのもう一つの効果。このカードが攻撃され表になったとき、デッキから『泉こなたLV4』を攻撃表示で特殊召喚出来る!!」
「泉……こなた!?」

 その名を聞いて、一気にテンションが上がるかがみ。そしてこなたのフィールドに『泉こなたLV4』が「むぁー」と、やる気のない声を出しながら現れる。

「私自身を召喚……ってあれぇ?」

 こなたが驚くのも無理はない。フィールドに現れたのは、間違いなく『泉こなた』なのだが、見た目が……。

「私より背が小さい……これは私が小学生の頃かな」

 現れたのは、見た目は子供(今もだが)、頭脳も子供なこなただった。カード名が『泉こなた”LV4”』という事だからだろう。
 攻撃力1700、守備力400。☆×4。

「か……かわいい!!」

 かがみは携帯を取り出し、『泉こなたLV4』の前に移動し写メを撮りまくる。

「ちょ、今デュエル中だよ! それに恥ずかしいからやめてよ、かがみん!」

 しかしかがみは止めない。いろんな角度から撮り、終いには「柊フラッシュ」等と叫ぶ始末である。

「こなた、あの写真って焼き増し出来ないかしら?」
「ちょ、お母さんまで……」
「だって、あんなこなた見た事ないもの。かがみちゃんじゃなくても、あの反応は普通よ」
「うぇー……」

 そんな会話をしている内に、満足したのか、かがみは自分の居た位置まで戻っていた。


「待たせてごめんね。さぁ、再開よ!」
「……」

 かがみのバトルフェイズは終了し、今はメインフェイズ2だ。

「私はモンスターを守備表示でセットし、伏せカードを2枚セットしてターン終了よ」

 今の状況を解説しよう。かがみのフィールドには『峰岸あやの』を装備し攻撃力が高い『日下部みさお』と、裏守備表示のモンスターが1体。それに魔法・罠ゾーンに2枚だ。手札も2枚。
 そしてこなたは、守備表示で戦闘では破壊されない『小早川ゆたか』と、その効果で現れた『泉こなたLV4』。魔法・罠ゾーンに1枚のカード。手札は5枚。
 若干、かがみが優勢に見える。ライフはまだ二人とも減っていない、8000だ。

「私のターン、ドロー!」

 勢いよくカードを引く。カードを確認すると、その内容が顔に出てしまった。

「なにか良いカードでも引いたみたいね」
「まぁね、今見せてあげるよ。いけー、パティ!」

 こなたが召喚したのは、海外からの留学生『パトリシア・マーティン』だった。
 攻撃力1900、守備力1200。☆×4。

「パトリシアさん? 折角だけど残念ね」
「え、どゆこと?」
「罠カード発動! 『岩崎みなみの憂鬱』!」
「なっ……!」

 かがみのフィールドの伏せカードが表になり、光だす。
 カードの絵には、みなみが自分の胸を触っている絵だった。

「その効果により、召喚されたパトリシアさんを除外するわ!」
「なんと!?」

 フィールドにみなみが現れ、こなたの『パトリシア・マーティン』の胸を見る。そして一言「恨めしい」と告げると、そのままパティは消えてしまった。……羨ましいの間違いだよな?


「そのかわり、あんたは私の手札から好きなカードを墓地に捨てることが出来るわ」

 こなたはかがみの元まで歩き、カードを選択する。

「う~ん……、じゃあこの厄介そうなカードで」
「妥当な判断ね」

 こなたが選んだのは、魔法カード『巫女巫女ハリケーン』。一定の条件が揃えば、相手の手札とフィールド上のカードを全て墓地に送るという恐ろしい効果内容だった。

「さぁ、どうするの? 期待のカードは居なくなっちゃったけど」
「まだ次の手があるもん!」

 こなたは自分の位置に戻る。

「魔法カード『レバ剣』を場の私に装備!」

 フィールドの『泉こなたLV4』の前に『レバ剣』が落ちてくる。そしてそれを拾い、装備する。

「『レバ剣』の効果により、攻撃力が500ポイントアップするよ!」

 『泉こなたLV4』の攻撃力が1700から2200に、かがみの『日下部みさお』と攻撃力が並んだ。おそらく、この『レバ剣』を先程除外されてしまったパティに装備させ、『日下部みさお』を破壊する予定だったのだろう。

「まさか相打ちを狙ってるの?」
「違うよ。バトル! 私で裏守備表示のモンスターを攻撃! レバ剣スラッシャー!!」
「そっちか!」

 『泉こなたLV4』が、かがみの裏守備モンスターを切り付ける。その際に「うにょ~ん」と言う声が聞こえてきた。

「この瞬間、私の特殊効果発動! このカードが裏守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力が相手の守備力を超えていれば、その数値分ダメージを与える!」
「そんな効果が!? 装備カードを使ったのはその為か!」
「ふふふ、そのモンスターの守備力はいくつかな?」

 攻撃を受けた裏守備のモンスターが表になり、その姿を現す。黄色いリボンがぴこぴこ跳ねている。


「って、つかさ!?」

 出てきたのは『柊つかさ』。といっても『泉こなたLV4』に破壊されてしまったので、すぐに消えたが……。
 攻撃力1200、守備力2000。☆×3。『レバ剣』を装備した『泉こなたLV4』の攻撃力は2200。よって、かがみは200ポイントのダメージ。
 かがみの残りライフは7800。

「くっ、だけどタダではやられないわ! つかさの効果発動! このカードがリバースしたとき、相手モンスターを1体破壊する! バル酢!」

 かがみが選択したのは勿論『小早川ゆたか』。戦闘で破壊されないなら効果で破壊するしかないからだ。

「ゆーちゃん!」
「これで邪魔な壁は消えたわね」
「むむ、私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 一見、こなたが不利な状況に見えるが、かがみには全然そんな風には見えなかった。

「何よ、その顔は……」
「かがみ~、さっきのつかさの効果で私を破壊しなかった事を後悔させてあげるよ」
「どういう意味?」

 こなたは不適に笑みを見せる。本来のかがみなら、こなたのこんな顔も愛おしく感じるだろうが、この状況でそんなこと考えてる暇は無かった。

「私、『泉こなたLV4』のもう一つの効果。このカードが先の効果によってダメージを与える事に成功したターンのエンドフェイズ、このカードを墓地に送ることでデッキから『泉こなたLV6』を特殊召喚できる!」
「LV6!?」

 フィールドの『泉こなたLV4』が消え、その位置に「あは☆」と言う声と共に『泉こなたLV6』が現れた。
 攻撃力2500、守備力1500。☆×6。

「おぉ~、これは今の私だ。ということは、これ以上のレベルは大人かな?」
「少し楽しみね。こなたの成長した姿かぁ……」

 かなたは目を閉じ、何か想像しているようだ。妄想に夢中になっているかなたはほっといて、こなたはデュエルを進める。

「更に、『レバ剣』が墓地に行ったことにより、かがみは500ポイントのダメージを受ける! ふふん、流石はレアアイテムだね♪」
「な、なんだとぅ!?」

 かがみの頭上に、剣が降り刺さる。これはあくまでも立体映像なので、グロい描写は想像しないでいただきたい。
 かがみのライフは残り7200。因みに何故『レバ剣』が墓地に行ったかと言うと、装備カードは装備モンスターがフィールドから居なくなったとき破壊される為である。


「や、やるわね……。それでこそ私の嫁に相応しいわ!」
「まだ嫁じゃないよ……」

 こなたのフィールドには攻撃力2500のモンスター、そしてライフポイントの差と、明らかにこなたが優勢である。

「こなた、その調子よ☆」
「任せてよ、お母さん☆」

 親指を立てガッツポーズ。次で一気に決めてしまいたい、という闘志が見えてしまいそうな、そんな表情だった。

「さっきからなに独り言喋ってるのよ?」
「あー……はは、なんでもないよ」
「まぁ、良いわ。私のターン!」

 かがみの手札は2枚、この2枚でどう立ち向かうというのか。

「ここで峰岸の効果発動、1ターンに1度、日下部に装備されている峰岸を解除し、フィールドに特殊召喚できる。 私は峰岸を攻撃表示で召喚!」

 フィールドの『日下部みさお』から『峰岸あやの』が離れ、モンスターゾーンに召喚される。装備が外れたことにより、『日下部みさお』の攻撃力は元に戻り、1700だ。

「そして、峰岸を生贄に捧げ……モンスターを守備表示でセット」
「防戦一方だね~、かがみん」
「う、うるさいわね! カードを1枚伏せ、ターン終了!」

 この時点でかがみの手札は無くなった。フィールドには攻撃表示の『日下部みさお』、裏守備表示のモンスターに、魔法か罠か1枚のカードのみである。
 それに引き換えこなたは、攻撃力の高い『泉こなたLV6』と伏せカードが1枚に、手札は4枚。先程とは逆で、圧倒的にこなたがリードしていた。

「ふふん、ドロー! 念のためにモンスターをセットして……」

 かがみの伏せカードを警戒し、守備表示でセットする。こうすることによって、かがみの伏せカードがモンスターを破壊する効果だった場合でも、壁が出来るからだ。

「バトルだよ! 私で守備モンスターを攻撃! これで更なる進化を……」
「そうはさせないわ!」
「え」
「速攻魔法発動、『愛食のポッキー』!!」

 フィールドに巨大なポッキーが現れ、『泉こなたLV6』を貫き破壊する。

「なんじゃそりゃあ!?」
「デッキの上からカードを1枚墓地に送る事で、相手の攻撃を無効にし破壊する、そして私はライフを500ポイント回復する!」

 これにより、かがみの残りライフは7700。

「こなたを破壊するのは嫌だったけど、そうも言ってられないのよ。ごめんね、後で愛してあげ……」
「私はカードを1枚伏せターンエンド!」

 変な事言われる前にターンを終了するこなたであった。それを見たかなたは、顔は笑顔だが眉毛は八の字になっていた。
 強力モンスターを破壊され、ライフも回復されてしまい、またまたかがみが有利な状況になってしまった。頼りになるのは2枚の伏せカード。

「まったく照れ屋さんね、ドロー!」

 手札は1枚だけ。良いカードが来ないことを祈るこなた。しかし、かがみの表情は決して悪いものではなかった。

「魔法カード発動!『双子の絆』! 墓地のつかさをゲームから除外することで、デッキからカードを2枚ドロー出来る!」
「手札増強カード……」

 こなたにとって、それはタイミングが悪いカード。手札が増えることによって戦略は変わるからだ。こなたの顔から余裕が消えた。

「いくわよ、私はいのり姉さんを召喚!」

 新たなモンスター、『柊いのり』の登場である。

「この瞬間、トラップ発動!」
「なにぃ!?」
「『朝までネトゲ』! モンスターの召喚を無効にして、デッキの一番上に戻す」

 召喚したと思ったら、デッキに戻ってしまった。これで次のかがみのドローは『柊いのり』ということが確定した。

「ふん、まぁいいわ。私は裏守備モンスターを表側攻撃表示に変更!」

 先程、生贄召喚されたモンスターが、ようやく姿を表す。『柊みき』の登場である。
 攻撃力2000、守備力2500。☆×6。

「速攻魔法『地獄の暴走ゆい姉さん』発動! モンスターが召喚したとき、そのモンスターの攻撃力を永続的に500ポイント下げる!」

 『柊みき』の攻撃力は2000から1500に。中級モンスターでこの数値は低いだろう。

「あぁん、もう! 素直に攻撃されなさいよ~!」
「こっちだって必死なんだよ……」
「でも、これで伏せカードは失くなったわね」
「う……」

 その通り。こなたのフィールドには裏守備モンスターが一体居るだけである。万事休すか……?

「行け! 日下部で守備モンスターを攻撃、ミートボールヴぁレンダ!!」

 『日下部みさお』がミートボールを惜しみそうに投げ付ける。『峰岸あやの』を装備していないと技が変わる仕組みのようだ。攻撃を受け、こなたのモンスターが表になり、姿を現す。

「危ない危ない」
「なっ、攻撃が通らない!?」

 果たして現れたのは『田村ひより』だった。
 攻撃力 300、守備力1900。☆×2。『日下部みさお』の攻撃力は1700なので、200ポイントの反射ダメージをかがみが受ける。
 かがみ残りライフ7700から7500に。

「更に、ひよりんを攻撃したモンスターは、かがみのターンで数えて2ターンの間、攻撃出来なくなるんだよ」
「攻撃を自重しろっての? さっきの魔法がなかったら、お母さんで倒せたのに……」

 フィールドでは『田村ひより』が「自重しろ~、自重しろ~」と呟いていた。とにかく、このターンのバトルを凌(しの)げた事は大きい。

「魔法カード『たっだ~お↑スペクタクル』発動!」
「!」
「お母さんにタダオカウンターを1つ載せる。これにより、お母さんが戦闘で破壊される場合、替わりにこのカウンターが破壊されるわ!」

 『柊みき』の前にタダオカウンターが立ち塞がる。これぞ夫婦愛……か?

「つまり、最低でも二回攻撃しなきゃ倒せない訳だね……」
「そういうこと、私はこれでターン終了よ」
「私のターン……ってお母さん?」

 こなたはかなたがボーッとしているのに気付き、声をかける。そして、かなたが見ているものに気付いた。

「……」

 かなたが見ていたものは、かがみのフィールドに存在する夫婦。立体映像であっても仲良さそうな二人に、かなたはどこか懐かしく思ってるのかもしれない……。

「お母さん……」
「あ、いけない、私ったら……ボーッとしてたわね☆ さ、こなたの番よ。頑張ってね」
「うん……」

 こなたは思う、どうにかしてお母さんをお父さんに会わせたい……でもどうすれば、と。

「でも確かこのデュエルに勝てば……」
「ん? どうしたの? こなた」
「いや、何でもないよ。ドロー!」

 とにかく今はデュエルに勝つことだけ考えよう、話はそれからだ。……こなたは再びデュエルに集中する。

「このカードは……!」
「!!」

 こなたのドローしたカードは『泉そうじろう』。このタイミングで出てくるとは……。

「お母さん、お父さんの勇姿を見ててよ」
「そう君……」
「私はこのモンスターを召喚! いっけー! お父さん!!」

 フィールドに『泉そうじろう』が「とーぅ!」と、勢いよく現れる。
 攻撃力2200、守備力 200。☆×4。

「星4つで攻撃力2200!?」
「そのかわり、かがみの場にモンスターが居ないと攻撃できないけどね」

 だが、かがみのフィールドにはモンスターが居る。『泉そうじろう』が攻撃することは可能だ!

「更に、魔法発動! 『ごみ箱から元に戻す』!」
「なんだそのふざけたカード名は……」
「パソコン持ってればわかるよ。んで、効果なんだけど……相手はカードを2枚ドローする」
「はぁ!? ドローして良いの?」
「うん」

 何がなんだか分からないといった顔で、カードをドローするかがみ。相手にカードをドローさせて何の得があるのだろうか……。それはすぐに分かることだが。

「そして私は墓地にある『こなた』と名の付くカードを、フィールドに特殊召喚出来る! 復活するよ、私のLV6!!」

 フィールドに「ヤフー!」と元気な声で『泉こなたLV6』が再び姿を表す。

「そ、そんなのありか!?」
「親子でダブルアタック! ……と行きたいところだけど、このカードの効果で召喚したモンスターは、このターン攻撃できないんだよね」
「そうなんだ……良かった」

 「良かった」と言っても、かがみの不利な状況に変わり無い。というか、ぶっちゃけこなたのデッキって強くないか? そう感じずにはいられないかがみだった。

「行くよ、お父さんでみさきちを攻撃! 活字レボリューション!!」

 『泉そうじろう』が『日下部みさお』に、自作の小説を見せる。読み方が分からくて、頭が混乱した『日下部みさお』はそのままバタンキューと倒れてしまった。しかしこの攻撃、小説好きな奴になら無意味なんじゃないか?
 今の戦闘で、かがみのライフは7000に。

「くぅっ……!」
「なんか迫力の無い攻撃だなぁ……」
「ふふ、そう君にピッタリの攻撃だと思うけど」
「でも、お父さんにピッタリの攻撃といえばカメラで……」
「こなた、早くして」

 ターン終了宣言をしないまま、独り言をしている(かがみにはそう見える)こなたに、かがみは少し苛立っていた。いや、その苛立ちは寧ろ自分のデッキにあるのかもしれない……。中々良いカードが回ってこない……と。

「ご、ごめん。私はこれでターンエンドだよ……」
「私のターン!!」

 このターンで何かしら手を打たないと、次のこなたのターンで一斉攻撃を受けてしまう。
 かがみの手札は2枚。内1枚は、こなたによってデッキに戻された『柊いのり』だ。攻撃力は1850、とてもじゃないが相手にならないだろう。
 「このドローに賭ける!」かがみは強くそう思った。

「ドロー!!」

 ドローしたカードを恐る恐る自分の目の前に合わせ見る。

「こ、これは……!」

 そのカードの内容を確認する。それがどんな内容なのかは知らないが、かがみの表情を見る限り、良いカードをドローしたに違いない。しかし何故顔が赤くなるのだろうか……。

「……なにニヤついてるの、かがみ」
「こなたぁ、私もう勝っちゃったかも……」
「え……?」

 ドローしたカードを、ゆっくりと手札に加える。

「ここからが本番よ。見せてあげるわ、私のデッキの恐ろしさを!!」

 

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