ID:g2yr7mw0氏:サイバー☆ゆーちゃんAnother~生き物って?~

先にサイバー☆ゆーちゃん を読んでおくことをオススメします。

別作者による外伝。

 

私は先日、かなたさんから生きる事の大切さを学びました。
ドキュメンタリー番組や学校の授業でも似た事を良く聴きます。
でもね、機械の私が幽霊のかなたさんからそんな話しを聴くからこそ、強く実感したんだと思うんです。
機械の私と幽霊のかなたさん……。

あれから数日がたって、ふと思うようになりました。
「私って本当に生物なの?」って……
それがどうにも気になってしまった私は、体内の無線LANを使ってGoogle検索してみました。

ちなみに、昔はあまり外出出来なかった私は、必然的に家の中でインターネットをする事が趣味となりました。
そしてこの体になって依頼、外出する機会はずっと増えました
ところがインターネットが使い放題で時間も場所もお金も気にする必要がなくなった今、私は軽いネット中毒になっちゃっているんです。
オンラインゲームではプレイキャラクターと一体化出来るし、オークションだったら24時間監視できるし、
とある掲示板の保守を完璧にこなせるし。
趣味に没頭できて充実はしてるんですけど、これで本当に良いのかな……。
ひょっとしたら、こなたお姉ちゃんよりもマニアックになって来ちゃってるかもっ。

あっ、いつの間にか話がそれちゃった。
えーと、私は、そもそも生物ってなんなのか、という事から調べ始めました。
生き物と言えば動いて……、でも植物は動かないし……。
生物って何なのかって、なかなか説明できないですよね。
いくつかのHPを巡って見たところ、生物の定義と言うものがあるみたいなんです。
それは、こうありました。
1.自分のコピーを作る能力がある
子供を作れるって言う事ですね。
2.恒状性がある
自分の身は自分で守れると言う事です。
3.エネルギーを生産する
例えばライオンは自分で獲物を捕まえて食べて、体を動かすエネルギーにしますよね?
この三つを満たした"もの"が生物である。という事でした。
でも世界中にはどうしても子供を産めない体の人もたくさんいるし、そんな人たちがまさか生き物じゃないなんて事はないですよね。
結構、マトを得てるようで簡単に例外を許しちゃうような曖昧な定義です。

とは言えそれなりに基本的な事を言っていて、間違ってるとも言えないでしょ?
それで、これを私に当てはめると……。

1はダメ……。2は全然大丈夫!3は……、私は発電所の電気を充電して動いてるから、これも×みたい。
つまり私は、一つしかあてはまらないみたいなんです。

やっぱり私は機械であって、生物じゃないのかな。
もう私は生きているとは言えなのかな?
私が生きてるように思うのは、全部AIが生み出した情報でしかないのかも知れないって思うようになりました。

それから更に数日がたって、みさおさんとバトルをした後、つかささんに言われました。
「ゆたかちゃん、すごくいきいきしてるね」
いきいき……。
多分そう見えるだけなんですよ。
本当にいきいきしてるって言うのは、機械の私にはきっと当てはまらないですから。
「どうしたの?ゆたかちゃん。さっきと違って元気ないよ?」
その時私、どんな顔をしていたんだろう。
いくら機械で出来ていても、表情は正直に顔にでてしまうようなんです。
それにしてもつかささんの目、キラキラと光っていてとっても綺麗。
輝きがすごく深くて、見たもの全部を飲み込んでしまいそうで……。
いきいきしてるとは、つかささんにこそ相応しい言葉だと思います。
そんなつかささんを目の前にして、私は自然と口が動きました。
かなたさんの事、生物の定義、機械の私の事。
つかささんは独特の柔らかい声で、私にそっと語りました。
「定義って難しくてよくわかんないんだけど……。
ゆたかちゃんが生きてるように見えるのは、コンピューターがそんなふうに見せようとしてるからなの?
……う~ん、私はそんな風に見えないけど。じゃあさ、ゆたかちゃんは私が生きてるように見える?」
どうしてそんな事を聞くんだろう?って少し考えてから、私は答えました。
「はい、見えます」
「どうしてそう思うのかな?あ、定義って言うのはなしで」
私は余計に困ってしまいました。
熱を持ったCPUを冷やそうとするファンが回りだしました。
「えっとそれは……」
私はとうとう答えられませんでした。
戸惑う私を見ながらつかささんが話します。
「あのね、生きてるかどうかってね、自分にしかわからないんだと思うの。
だからゆたかちゃんが、自分で生きてるんだって思えるなら、それが生きてる証拠だと思うよ」
そっか。生きてるから生きてるって思えるんだ。
学者が客観的に、曖昧な生き物と無生物の境界線をはっきりさせようとして、作ったのがこの定義。
今回はこれに振り回され過ぎたのかも。
「私は……、うん、生きてると思います!」
客観的に私が生きてるかどうかは、きっと誰にもわからないけど、私は私が生きてるんだって言うことは出来ます。
「えへへ、良かった。ゆたかちゃんの笑顔、さっきよりもいきいきして見えるよ。今の言葉、私は信じるからね」
私は生きている。
つかささんの笑顔がとっても印象的でした。


そして今、私は田村さんの家に来ています。
「ぐおーー!!提出まであと七時間!!小早川さん、それ、インクと取ってくれない?」
あ、あー。ダメダメ。現実逃避して昔の事ばっかり考えてちゃ……!
「えっと……、これかな?あ、ご、ごめん……っ。原稿にこぼしちゃったよ……」
「お、お……オ―――――――――っ!!いっそ殺してくれーっ!」
でもやっぱり、無理して生きる事もないのかな~、なんて、最近思うようになりました。
「た、田村さん。リラックス、リラックス。」
「り、リラックス?フ……。フフ……。フハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
深夜でも照明が消えない部屋には、生者とも死者とも言えないものの声が響きわたりました。

 

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