Nightmare lucky City

朝起きたかがみは時計をみて驚いた。
「ち、遅刻だぁ~~~~~~!」
飛び起きてリビングへ出ると・・・・・。
「あ、お姉ちゃん。おはよ」
妹のつかさはボーっとしながらテレビを眺めていた。

つかさが特にあせる様子もないのでかがみの頭の中に疑問符がたくさん浮かび上がった。
ここで、かがみは気づく。
――――――そういや、“アレ”は明日じゃん・・・・。
少し恥ずかしい。例え、誰にも分からないにしても。
そのままその場に突っ立っていると・・・・。
「ん?どうしたの?もしかして、遅刻と思って飛び起きたら“アレ”は明日ってことに気づいたとか?」
つかさがクスクス笑いながら言う。
――――――相変わらず感が鋭いやつだ。
“アレ”というのは、意識を仮想現実空間に送るプロジェクト、「Nightmare lucky City」のこと。
かがみ・つかさはともにテスターとなっている。
「そうそう、峰岸さん達が逃げ・・・・もとい。遊びに来るらしいよ。昼に」
「んじゃ、私はそれまで寝るわ。オヤスミ~」
というとかがみはソファーにどさっと寝転んだ。
「どんだけー・・・・」
つかさはため息をついた。

昼になって峰岸達が“逃げてきた”といって、つかさにたたき起こされた。
みさお、あやの ともにコブやアザができている。
また、やばいことが日下部の兄貴にばれてボコられたのだろう。
「そういえばゆたかちゃんは?てっきり一緒かと・・・。」
「友達と遊びに行ってる。なんだ、来てほしかったのか?つかさ?」
「ち、違うよ・・・・・」

とまあ、他愛もない話をしながら時間が過ぎていき、峰岸達は帰っていった。
そしてかがみはというと・・・・・。
「さて、寝坊しないようにさっさと寝るかな」
「どんだけー・・・・。早すぎでしょ・・・・。」
かがみは問答無用で布団へバタリ、そしてグースカ。
時計はPM7:00を指していた。
「ホントに寝坊しないのかな・・・。そのときはたたき起こすか。」
つかさはぼそりとつぶやきあきれていた。
そのころ、「Nightmare lucky City」(以後NLC)の仮想現実空間では・・・。

「ククク・・・・。そろったようだな、管理者の諸君。」
姿をマントなどで隠しているものもいるが、十数人いる。
「いよいよだ。ここを、われわれの理想郷とする!」
モララーは声高々に宣言した。
これが本当の悪夢(Nightmare)の始まりだった・・・。

     当日・・・・。
かがみとつかさは集合10分前というギリギリに到着(しかもタクシー)
「っんもー、いつまで寝てりゃ気が済むんだか・・・・・」
つかさは、あきれていた。
――――――まったくだ。自分でもそう思う・・・・。
「まぁ間に合ったからよしとしてやるか。入ろうつかさ」
2人は、「NLC]の行われる凌桜ビルに入っていった。

受付でIDカードを受け取り「NLC」が行われるエレベーターで20階に上がった。
一緒に乗った女の子をかがみはニヤニヤしながら見ていたが、つかさがその足を思いっきり踏んだ。
かがみは一瞬ぶん殴ろうかと思ったが、やめた。
仮にも双子の妹だからだ・・・・・・・
20階に着くと、みなみが出迎えてくれた。
みなみはこの研究所所長であり、この「NLC」計画の実行者である桜庭博士の一番弟子である。
「私も・・・・参加・・・する。」
といいながらそれぞれのID番号の付いたカプセルの前に誘導してくれた。
周りを見渡すとかなりの人数がいる。
その中に峰岸・日下部・ゆたかちゃん・やまとを見かけた。
―――――あいつらも参加するのか・・・。
そう思ってから、カプセルの中に入った。

アナウンスが入る。
“準備完了しました。ログインを開始します。”
そうすると、自分の体が浮いているような感覚に陥った。
“意識を仮想現実へ転送しているのです。心配要りません”
その次の瞬間には、周囲の景色が変わっていた。
周りを見渡すと、猫や犬やわけの分からない生物がいた。
“そのままの姿ではサーバーの負荷が高すぎるため独特なキャラクター設定になっています。”
かがみはビルのガラスで自分の姿を見た。
―――――猫・・・・だね。
かがみは紫の猫の姿だった。
“ログアウトは最果てにある【オアシス】でできます。
 この空間で、最初各プレイヤー4000LPを所持しています。足りなくなったら、ログアウトして補充してください。
 【オアシス】へは直行タクシーが無料で運行しています。”
「あの~」
一人の“猫”がアナウンスに質問した。
「迷ったり、困ったときはどうすれば・・・?」
“管理AIがいますので、その方たちに尋ねてください。疑問を解消してくれるでしょう。
 ではごゆっくり”
そういってアナウンスは切れた。
そして、人々はあちこちに散らばっていった。

かがみはその辺をうろうろうろつくことにした。
近くに喫茶店を見つけたので店に入り、メロンソーダとケーキを注文した。
・・・・合計金額1900LP・・・・。
―――――ぼったくりかよ・・・・。
そう思いながら、かがみは店を出た。
その辺の路肩にすわり空をボーっと眺めていると、あることに気が付いた。
「太陽が・・・・黒い!?」
ちょうどそのときだった。悲鳴とも断末魔とも取れる叫びが聞こえたのは。

~現実世界の研究所内~
「桜庭さん大変です!」
「NLCの太陽が黒く!」
「なっ・・・・」
なぜだ?博士はなんとも言いようのない不安が襲った。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」

あの叫びが聞こえて以来、次々に悲鳴と銃声が鳴り響いた。
あちこちでガラスが割れ、爆発が起きる。

そんな時、かがみはいやな予感がして、後ろへ下がった。
次の瞬間、刀を持った何者かが先ほどかがみがいた空間を切りつけた。
「へへへ・・・・。お前で何十人目かなへへへ・・・。」
「だ、誰よアンタ!?」
刀には血がべっとりと付いている。
「オレかい?冥土の土産に教えてやろうか。オレはなぁ・・・・・。管理AI、白石NO.8だ。」

白石 管理AI:NO.08-8

かがみは丸腰。到底かなうわけがない。
「さて、おしゃべりはこの辺にして・・・。死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
かがみは思わず両腕を頭をかばうように突き出した。
「死ぬのはお前だよ」
どこからか声がした。
前で鈍い音がして恐る恐る腕をおろした。
黄色の犬が大剣を持っている。
白石は遥か右方向に転がっている。
「大丈夫、お姉ちゃん!?」
「この声・・・・つかさ?」
「お姉ちゃん・・・・。無事でよかった。」
「その剣は?」
「そこの武器屋で買った」
―――――私も武器ほしいよ・・・・。
一通りはなしをすると、急いでバーに向かった。
「だれかいる~?」
「そ、その声柊か?」
青い猫が顔を出した。
するとそれに続いて数人顔を出した。

「右からあやの、ゆたか、やまと、みなみだ。」
と、日下部が説明してくれた。
「か、顔が変わると分かりにくいな・・・」
『だな』
なぜかみんなハモった。ゆたかだけが「ですね」といったのが聞こえたような気がするが・・・。
峰岸は緑の日下部と同体系の猫。ゆたか、みなみは人型に近いが、現実の本人とはまったく似ていない。
そしてやまとだ。やまとは、顔が時計になっていた。

「一体どうしたんの?」
「あたしたちにもわかんねーな。とりあえず生き残りがいないか探しに行こう。
 あたしたち3人は西街を。やまととみなみは東街へ。つかさは駅へ向かってくれ。柊はオアシスへ。」
日下部がてきぱきと指示する。
「武器は、私が剣。ゆたかちゃんたちが拳銃。永森さんとみなみちゃんは軽トラック。」
「わたしは?」
「こいつを持っていって」
つかさが投げたのは拳銃だ。
「行っておくけど、弾の補充はできないから。大事なときだけ使って。」

みんな外に出て行動開始する。
永森さんとみなみちゃんは軽トラにのり。ゆたかちゃんたちはバイクに乗った。
「ちょ、私は?」
「歩いて」
「ぅぇ」
―――――オアシスまでどれだけかかるんだ・・・・。
「とにかく全員無事でまた合おう!」
そういって各人持ち場へ散った。

かがみは街を歩き出した。ひたすらオアシスを目指して。
そして、途中角を曲がったときに人影が見えた。
「だ、誰!?」
かがみはとっさに拳銃を構えた。
そこには青の猫がちょこんと座っていた。
「ごめん・・・・。あんたは?私はかがみって言うんだ。」
「あたし?あたしはこなた。」

「この世界、何か辺・・・。どうすればいいの・・・。このままじゃ、みんな・・・・!」
こなたは下を向いてうつむいていた。
―――――か、かわいい・・・・・。
そう思ったかがみだったが、今はそんなことを思っている場合ではない。
「・・・・・方法は無いこともないけど・・・・。」
こなたが唐突に口を開いた。
「えっ!それはなに?お、おしえて!」
かがみはこなたに近寄った。
「う、うん・・・。」
「いったんログアウトして、博士にシステムコントロールのプログラムを誰が持っているか聞いて、それを破壊すれば止まるのね?」
「うん・・・・・」
「おし!オアシスへ急ぐかぁぁ!」
かがみは立ち上がって歩き出すかとこなたは思った。
しかしかがみは・・・・。
「あんたも一緒に行こう。ここにいちゃいけない。」
「で、でもあたしは・・・。」
「いいからっ!」
そういうとかがみはこなたの腕をつかんで、走り出した。
―――――結局言えなかった・・・・。どうしよう・・・。
こなたは管理AI。
だが“不完全”管理AIと呼ばれていた。公式的には管理AIと登録され、発表されていた。
しかしこの“不完全”という単語が後に大きな意味を持つことになる。

こなた“不完全”管理AI。管理AI:NO.00。

この2人の出会いがNIghtmare lucky City、そして現実世界で大きな“奇跡”を起こすことになることを2人は知らなかった。


こうたちはキーンに追われて、街の裏路地をひた走っていた。
「あははは・・・・。待ちなよ~。死なせてあげるからさ~~~~~。あははは・・・」
「キモイっスーーー!」
「もう!どっか行きなさいよ!」
ひよりとこうが叫ぶが相手が聴くわけがない。
「モ、モウキツインデス?アチラサンハ・・・ウワ!?」
パティが溝につまずいて転んだ。
「あははは・・・・。まず君からだね~」
そういって手にしていた「ライトニングナイフ」を高々と持ち上げた。
万事休す。しかしこのとき、こうは覚悟を決めた。
―――――あたしがここで体をはらなきゃパティが・・・!
こうはキーンに殴りかかり、がら空きの腹に強烈なボディブローを叩き込んだ。
「!?」
完全にパティに意識が飛んでいたキーンは、それをもろに受けた。
「こうちゃん先輩、よけるっス!」
こうが横に飛んだとき銃声が鳴った。
キーンはその場に倒れ伏した。
ひよりの手にはマグナムが握られていた。
「コウ、サンキュ・・・」
「無事ならよかったけど、こんなときにドジするなんて・・・・・。
まあ、結果オーライでよしにしますか。」
そこまで言って、こうは自分が震えていることに気づいた。

~地下鉄駅・構内~
周囲に人影はない。
そこに入ってきた電車につかさが乗ろうとしたときだった。
「フーン。まだ生き残りがいたモナか?」
「だ、誰!?」
「僕かい?AIのモナーだモナ。」
つかさは大剣を握り締め、モナーのいる電車の屋根に飛び乗った。

モナー 管理AI:NO.02

~東街~
やまとが軽トラを運転し、みなみは荷台で生存者を探していた。
「ん?あれは?」
みなみが何かに気づいた。
「どうしたの?生存者がいた?」
「いや・・・道路を猛スピードで走ってくるなにかが・・・・!?」
「な、何?」
「や、やまと、アクセルを全開にして!追いつかれる!」
追ってきていたのは白石NO.1~3だった。
「いい女み~っけ☆」
「逃がさないよぉ~」
「マテマテ~」

『き、キモイぃぃぃぃ!』
みなみとやまとは同時に叫び、アクセル全開にした。

白石 管理AI:NO.08-1~3

~西街~
みさおはあやのとゆたかをビルの中に残し、捜索を続けていた。
「こちらみさお。生存者はいない模様。」
無線で、あやのに告げると「ラジャ」と返事が帰ってきた。
みさおがふとバックミラーを見ると、赤いものがビルとビルを跳ねながら近づいてくるのが見えた。
「な、なんだ!?」
「アヒャヒャヒャ。次の獲物みーっけ!アヒャヒャヒャ」
「誰なんだ!?お前は!?」
みさおはアクセルを全開にして逃げに入る。
「オレか!?アヒャヒャヒャ!管理AIのつーだ!アヒャヒャヒャ」
「あ、あやの!敵に見つかった!ピストルの準備を!そしてアレもだ!」
つーは手に武器を発生させた。
「ライトニングダガー」だ。
それをみさおに向け、数本投げつけた。
「アヒャヒャヒャ!よく逃げるねぇ。そのくらい活きがよくなきゃ。アヒャヒャヒャ」

つー 管理AI:NO.03

~地下鉄・電車屋上~
つかさは管理AIのモナーと激しく切り結んでいた。
「うっ!強い!」
―――――しかもなに?あの光る武器は!?
「「ライトニングハルバート」とモナーはまだこんなもんじゃないモナよ?」
「うるさい!」
そういうと、つかさは相手の懐目掛けて突進した。
「捨て身モナ?そんなの・・・意味ナイモナ!」
つかさの捨て身の攻撃はあっさり防がれ、逆に弾き飛ばされてしまった。
そしてモナーはこっちに突っ込んできた。
「モナナナー!」
「!?」
モナーの全体重を乗せた一撃に、つかさは吹っ飛ばされ電車から落ちそうになった。
どうにか電車の屋根のヘリをつかんではいるが、大剣はどこかに飛んでいった。
「年貢の納め時モナ」
「それは・・・・・どうかな!」
つかさはその手を離し、電車から落ちた。
「な、自分で落ちるとは・・・。天晴れモナ」

「くぅ・・・・。」
どうにか逃げおおせたものの、落下したときに左腕を負傷した。
「痛い・・・・。とにかく駅まで戻るか・・・・。
ほかのみんなはどうしたかな・・・・」
つかさはトコトコ歩き出した。


~東街~
「や、やまと!角を、角をジグザグに曲がって!こいつらを撒く!」
「お、OK!」
次の角を、アクセルを全開にしたまま曲がった。
さらにその次、その次とカーブを曲がっていく。
するとそのうち白石が見えなくなった。
「よし!撒いた!車を降りてビルに隠れる!」
「う、うん!」
車を止めて、少し先のビルに入っていた。

「ん~?」
「あれれれ?」
「どこに隠れたかな~?」
白石たちはその辺をキョロキョロしている。
「たぶんあのビルでしょ」
といって、やまと達がいるビルに入っていった。

~西街~
つーが放つ「ライトニングダガー」をよけるのでみさおはいっぱいいっぱいだった。
もう少しで・・・・。
「あやの!後もう少しだ!今・・・見えた!」

「OKみさちゃん!準備万端!ゆたかちゃん、来るよ!」
「分かったです!」
そして、みさおが窓ガラスを突き破って入ってきた。
――――― 日下部先輩・・・・。ここ、2階です・・・。
みさおはなんと、バイクで2階の窓ガラスに飛んで入ってきたのだ。
その後赤いものがゆたかたちの目に見えた。
「き、来たぞ!」
ゆたかたちがピストルを撃つ。
「アヒャヒャヒャ!そんなの当たるかぁ!」
つーは「ライトニングダガー」を投擲した。
ゆたかは危うく当たりそうになるが、恐るべき反射神経でそれをよけ、髪を切った程度で済んだ。
「ゆたか、伏せろ!」
そういうと、あやのはつーに向かって何かを投げた。
「アヒャ?」
それは突然ものすごい光を放った。
「発光弾!?」
「いまよ!」
3人は、ビルから出て逃げた。

ようやく視界が元に戻ったつーは奥歯をギリリとかみ締めた
「アヒャヒャヒャ・・・にげやがったか。アヒャ」

~オアシスへ向かうかがみ・こなた~
トンネルに差し掛かったときに、トンネル入り口に白石が見張りについていた。
「ちぃ。こいつを使うか。こなたは隠れてて」
「う、うん・・・・」
かがみは物陰から躍り出て、右手には拳銃をグリップしている。
白石NO.4はかがみにようやく気づくが遅かった。
2発の銃声が鳴り、白石は倒れ伏した。
「さぁ行こう」
2人はまた走り出した。


かがみとこなたはオアシスへ向かって、オアシスへと架かる橋に差し掛かっていた。
しかし、橋の支柱の上にはみゆきがいた。

「この期に及んでログアウトしようとする方がいるとは。
白石はやられましたか。
仕方ありません・・・。私が直々に相手をしてさしあげます。」
みゆきは手に持つ光る剣「ライトニングブラッディソード」を落下しながら振り下ろした。

ズドォォォーン!
「な、なに!?」
「ここがアナタ達の墓場です」
「いきなりかよ!こなた、下がってて!」
みゆきはかがみに切りかかってきた。
持っている拳銃を撃つが、当たらない。弾を使い切った。
と、みゆきが振った剣で、道路標識が切れた。
―――――しょうがない、こいつを使うか!
かがみはその標識を握り締め、みゆきに向かっていった。


「そんなもので私がやれると思ったのですか!」
「やってみなきゃ・・・、わからないでしょ!」
しかし、かがみは一方的に押され気味だった。
二人は激しく攻防を繰り広げ、支柱の上で戦闘している。
「ふふ、がんばったようですがこれで終わりです!」
ザン!
かがみはなすすべもなく斬られ、海中に落ちていった。
「かがみーーーー!」
こなたの悲痛な叫びもかがみには聞こえなかった・・・・。


かがみは海に沈んでいった。
―――――私は・・・、死んだ・・・・・の?
ここで、終わり?
なんか、悪いな・・・みんな。まだ頑張ってるんだろうな・・・。
先に逝くわ・・・・。
こなた・・・約束守れなくて・・・・ごめん・・・・。

『 そ れ が お 前 の 望 ん だ 結 末 か ?』

そう、どこからか声が聞こえたような気がした。
いや、聞こえたんだ。
―――――これが、望んだ結末・・・・?私が?ていうかあんた誰?
『お前の質問など聞かん。お前はこの結末を望んだのか?
仲間も、大切なものも、約束すら守れず、ただ死んでいくのか?』
―――――私のことがわかるのか?
『さっきも言った。お前の質問など聞かん。
【これがお前の望んだ結末】か?」

―――――仲間も、こなたも、約束も守れずに死んでいく・・・。これが私が望んだ結末?


―――――そんなわけ・・・、そんなわけない!
かがみの体に力が湧き出た。


~橋~
「うぅ・・・・ひぐ・・・・」
「今更泣こうが同じです。おとなしく死にな・・・・。」
みゆきが剣を構えたときだった。
かがみが突如海面から飛び出してきた。
「な・・・、バカな!」
―――――なぜ、海中からあの高さまで飛べる!?
かがみの周りの水がかがみの手に集まり、そして剣となった。
「オーシャンブレイド」
かがみに隠された力だった。

―――――う、うそでしょ・・・・。
みゆきは舌を巻いた。
みゆきと互角の勝負。お互いに激しく斬りあい、攻防を繰り広げる。
と、みゆきが思い切り剣を振り下ろし、2人とも弾き飛ばされた。
同時に剣を構えなおし、すれ違いざまに斬りあった。
ドサッ
倒れたのはみゆきだ。
「いまよこなた!いくよ!」
2人は走り出した。

 

~ビルの中~
ひなたとひかげはビルの中に隠れ続けていた。
「ひかげちゃん見て・・・きれい・・・」
ひかげが窓から覗き込む。
「ほんとね・・・・」

~裏路地~
みさお達はどうにか逃げ切り一息ついていた。
「きれいだな・・・。」
「えぇ、きれいね・・・・ゆたかちゃん。見てごらん・・・・?」
あやのがゆたかのほうをみると、スヤスヤと眠っていた。
疲れたのだろう。
「今のうちだけだぞ・・・」
みさおは頬笑みながら言った。


~とあるビルの屋上~
こうたちはそのビルでゆいとななこを見つけたあと、屋上へ上がった。
「きれいだね・・・・・」
「きれいっス」
「コウイウノモイイネ」

 


みんなが見ていたもの。
それは地平線に沈む太陽だった。
NLCを赤々と照らす太陽は、テスター達の戦いの疲れを癒すのに十分すぎるほどだった。

 


~オアシス~
かがみとこなたはオアシスまでたどり着いた。
しかしこなたは途中で立ち止まった。
「さぁ、早く行こう」
かがみはそう促した。
「ありがとう・・・。でも、あたしは一緒に行けない。」
かがみは耳を疑った。
「何・・・。」
―――――何言ってるの?
そう言い掛けてこなたへ近づこうとしたときだった・・・・。
「こないで!」
こなたの叫びと共に2人の前の大きな壁が立ち上がった。
いや、2人の前だけではない。オアシスの全体を取り囲んでいた。

壁の向こうからこなたの声が聞こえた。
「はやく・・・いきなさい・・・」
声から泣いていることが分かった。
かがみの足元が透け、崩れていく。ログアウトが始まったのだ。
「すぐもどるから。まってて。」
―――――必ず君を助け出すから・・・・!


残されたこなたにみゆきが近づいてきた。
「ちぃ、間に合わなかったようですね。だがアナタだけでも殺してさしあげます。」
そういって、剣を構えこなたの方へ飛び上がった。
「あんたなんかに・・・・・。
あんたなんかに殺されるもんかーーー!」
そういって、構えたもの。それは光る武器「ライトニングアロー」だった。
みゆきは不意をつかれ、その弓をかわすのが精一杯だった。
「どこにいったのです!?」
一瞬の隙に、こなたは視界から消えていた。
「裏切り者がいたか・・・・・・!」
みゆきは奥歯をギリリと噛み締めた。


~現実世界~
「被害者の状況は?」
「はい。全員どうにか一命は取り留めたようですが、まだ40%の方が意識不明です。」
「そうか・・・・。このプロジェクトは失敗だ」
桜庭博士はそうつぶやいた。
「ですね・・・・。仮想世界での死が直接、現実世界での死につながりかねません。」
「夢を夢と見抜ける人でなければ生き残るのは難しいでしょうね。」
研究員達はため息をついた。
「せめて誰か一人でもログアウトできれば、状況が分かるのだが・・・。」
桜庭博士がそう言ったときだった。

“プレイヤーログアウト。IDNO.OCEAN。確認してください”

突然のことに研究員達は、慌てて持ち場に就いた。
「ID:OCEAN。プレイヤーNAME:カガミ。ログアウト確認。カプセルオープン」


「よくログアウトできたなぁ」
などと、かがみは研究員達に誉められていたが、かがみは内心かなり急いでいて、かなりいら立っていた。
「博士・・・。桜庭博士は・・・?」
「何だね?」
「システムコントロールのプログラムを誰が持っているかを教えてください」
博士は驚いた。
「な、なぜ君がそれを!?」
「こなたという子から聞きました。」
「こなたが・・・・。あれはみゆきが持っているはずだが・・・・。まさか君!?」
「私は・・・、私は約束したんです。こなたを守ると。だから・・・・。」
「死ににいく気か!?自殺行為だぞ!」
研究員達がそれを静止しようとするがかがみの決心は固かった。

「わかった。だが条件がある。今の状況を聞かせてくれ。」
「博士!?」
「街は壊滅状態です。今私の仲間が生存者を確認しています。」
「そうか・・・・わかった。ではログインを・・・」
「博士!?何を言っているんです!だいたいし・・・」
それ以上は何も言うなと言いたげな目でにらまれた研究員は黙るしかなかった。
「今あちらは夜だ。少しだがAI達の戦闘能力が上がる。
・・・・死ぬなよ。」
「はい」
カプセルは閉じられ、かがみは再びNLCへログインした。
―――――待っててこなた。今行くから・・・!

「なぜ行かせたんです!?」
不満が爆発した研究員が叫んだ。
「彼女の決意は固く、かわりそうも無かった。とめるだけ無駄だろう?それに・・・・」
「それに?」
「それに発見があった。こなただけ、暴走していない。これは確かだ。」
「!!」
「そしてこれは私の勝手な推測だが・・・。おそらく彼女はこなたに恋をしているようだ。」
「な・・・」
研究員達はあっけにとられた。
「それじゃあ彼女は、幻を守るためだけに戻った、と?」
「それだけとはいえないが・・・・。
だが“君達”から見れば幻を守るために戻ったといえるかもしれないな・・・」
「我々からって・・・?」
博士はあのことを伝えるか否か迷ったが決断した。
「着いて来なさい。」

~AI管理室~
部屋に置かれたコンピューターにそれぞれ
「MN(モナー)」「MK(みゆき)」
などと書かれている。
博士はそのうち「KT(こなた)」と書かれたコンピューターの前に立ち止まった。
そのコンピューターの横に鍵穴がある。
「この鍵で開けてみろ」
博士は研究員に鍵を渡した。

ガチャリ

鍵が開き、扉を開いた研究員達は驚愕した。
「こ、これは・・・!」
その中にはカプセルがあった。
そしてそのカプセルには青い髪をした少女の姿があった。

~NLC~
かがみは再びNLCに戻ってきた。
仲間と、こなたとの約束のために。
道路のあちらこちらで火が赤々とあたりを照らしていた。
みなみとやまとはもうボロボロだった。
「みなみさん・・・・大丈夫・・・?生きてる・・・?」
「そっちこそ・・・・・」

「ふふふ・・・・」
「そろそろ終わりにしようか。」
「がんばってたんだけどね~」
そういうと、白石は「ライトニングカッターウィップ」を構えた。
―――――もうダメ・・・・
やまとがそう思ったときだった。
「待ちな!」

「いくよあんた達!」
「はいっス!」
「ソロソロ幕引キデースシライシ!」
アニ研メンバーの3人は白石に襲い掛かった。


ひよりとパティはすばらしいパンチとキックのコンボを雨霰を浴びせる。
そしてこうは、「ライトニングカッターウィップ」をものともせず、華麗なステップを踏んでそれをすべてよけきって見せた。
「うらぁぁぁぁぁ!」
こうの渾身の一撃がものの見事に決まり、白石NO.1は大きく後ろに飛ばされた。
そして・・・・・

ガシャ・・ガラガラ・・・・
「WAギャァ~~~~~~・・・・」
NO.1は金網を突き破り屋上から転落した。

パティは珍しくひよりより速く相手をKOしていた。
ひよりはてこずっていたが結局・・・・・・
ドン!
マグナムを撃って終わらせた。


「大丈夫?」
「何とか・・・。ね?やまとさん?」
「なんとか・・・・」
こうたちは一安心した。

~高架橋~
「く、来るぞ!」
一方のみさお達は、高架橋でモナーとつーを相手にしていた。
ピストルを連射するるものの、あまりのスピードのためかすりもしない。
「アヒャヒャヒャ!そんなもんが・・・・・」
「当たるわけないモナーーーーーー!」
つーは無造作に「ライトニングダガー」を投げつけた。
みさおは足に、あやの・ゆたかは腕に命中した。
そんな中、ゆたかだけが右手にピストルを握っていた。
つーは止めを刺すため「ライトニングダガー」を発生させ、肉迫した。

「そんな簡単に・・・やられないんだから!」
ゆたかは持っていたピストルを突き出し、そして・・・・撃った。
「アヒャ・・・・」
つーは後ろに大きく飛ばされたが、その後ろからモナーが跳躍してきた。
「油断大敵雨霰モナーーーーー!」
モナーは「ライトニングハルバート」を振り回しながらゆたかに迫った。
ゆたかは反射的に両腕で頭をかばうようにした。
「ライトニングハルバート」が、振り下ろされようとしたときだった。

ドゴォォォン!
頭上で大きな爆発が起きた。
向こうに白いものが落ちていくのがみえた。
「油断大敵はお前だ!」
「何もやってないお前が言うな。大丈夫か?」
ななこ達だった。
ゆいの手にはバズーカが握られていた。その砲口からは煙が立ち上っていた。
「まぁなんとかな」
「助かったよ・・・お姉ちゃん」
「ん?何か来る?」
白石NO.4~7だ。
「いくでおまえら!」
ななこが合図すると、一斉に火器を取り出した。
―――――バズーカ・ロケットランチャー・サブマシンガン・ショットガン・・・・。
どっからそんなモンを・・・(汗
白石に向けて連射を始めた。

流石のAIもアレだけの数を撃たれると勝ち目は無かった。

バズーカが直撃し、ロケランで地面に着弾してバランスを崩したときにショットガンで撃たれ、
サブマシンガンをよけきれずに穴だらけになり、最後は・・・・。

「何もしないのは、いやなんだから!」
ゆたかのピストルが命中した。

程なく戦闘は終結し、皆胸をなでおろした。



かがみは、NLC中でこなたの姿を探していた。
でも、見つからない。
どこにいるのか見当が付かない。

はじめてあった場所に行ってみた。
でもここにもいない・・・。
「どこにいるの・・・。こなた・・・」

かがみはふと目に入った公園に、フラフラと吸い込まれるかのように入っていった。

荒れた芝生・折れた木々・壊れた像・・・。
公園の中は悲惨な状態だった。
そんな中、一際目立つ青色が見えた。
「っ!こなた・・・!」
かがみは駆け出した。

~つかさ~
つかさはモナーに敗れ、駅から外へ出てきた。
街の中をフラフラ当てもなくさまよっていた。
おそらくこの状態でAIに遭遇したら抵抗すらできなかっただろう。
「いたい・・・」
落下したときの傷は癒えず、まだ血が出ていた。

「こなた・・・!」
向こうのほうから声が聞こえてきた。
(・・・お姉ちゃん!?何でお姉ちゃんがここに?大体こなたって誰?生き残りのひと?)
その声が聞こえた公園のほうに目を上げた。
つかさのいた大通りから、かがみの紫色の体が見えた。
こなたの青色の体も。
そのときつかさは見てしまった。こなたの尻尾が動くのを。
(人には尻尾は動かせるわけない。なら・・・。まさか・・・!)
つかさはとっさに叫んだ。
「お姉ちゃん、その子から離れて!
その子は・・・。AIだよ!」
かがみはそのとき伸ばした手を反射的に引っ込めた。
「え・・・?」
こなたは下をうつむいている。
「ごめん・・・。悪気があったわけじゃないの・・・。
黙っててごめんなさい・・・」

3人の周りに沈黙が流れた・・・。

ふいにこなたが何かにはっとしたように顔を上げた。
(これは・・・殺気・・・!?)

 

「見つけました・・・。やっと見つけましたよ、裏切り者。そしてあの紫色の方・・・。」
みゆきはにやりとした。

「かがみ・・・。ごめんね・・・。」
(あなたが大好きだから・・・。あたしが守ってみせる・・・!)
かがみの両手が光り、光る弓が現れた。

「ハハハッ!そんな弓ごときで、私がやられるかァァァ!」
みゆきはこなた達に向かって走り始めた。
それに応じてこなたも矢を放つ。
しかし、矢が届く頃にはもうみゆきはいない。
「遅い、遅い遅い!そんなものがあたるかァァァ!」
みゆきは大きく前に跳躍した。
(・・・今だ!)
こなたは一度に撃てる最大の量の矢を放った。
矢はみゆきに向かって進んでいく。
その矢がみゆきをハリネズミにしようとしたその時。
「ふん。ザコが!」
みゆきはすべての矢を一振りでなぎ払った。

かがみはオーシャンブレイドを出し、みゆきに向かった。
みゆきに切りかかるが、みゆきはそれを剣で受け止めた。
「なぜアナタはあいつを守ろうとするのですか?あの子はAI。アナタの敵のはず」
かがみは迷わず言い放った。
「確かにそうかもしれない。だけど、こなたは・・・私の大切な人なのよ!
それに・・・それに約束したんだ!」
かがみは思いっきり体重をかけ、自分が弾き飛ばされながらみゆきを弾き飛ばす。
かがみは着地と同時にみゆきへ向かっていった。
それと同じタイミングでみゆきも向かってくる。
「絶対・・・守るって・・・!!」
かがみは剣に勢いと全体重を乗せ、みゆきをなぎ払うように振り切った。
「くっ・・・!」
みゆきは大きく空へ弾き飛ばされた。
それを見たかがみは、ビルの壁を全速力で走りそして・・・蹴った。
みゆきにどんどん近づいていく・・・。
みゆきは体制を崩したままだ・・・。
(いける・・・!)
そう確信して剣を振った。

「その程度ですか・・・。アナタも・・・。」
みゆきは突如背後に現れた。
後ろを振り向いたかがみはとっさに剣を構えた。
その直後、みゆきは剣を振り下ろしていた。

「っ・・!?」
かがみはすさまじい勢いで叩き落された。
アスファルトがめくれあがり、一種のクレーターのような状態だった。
剣はどこかに弾き飛ばされていた。
かがみは再び剣を出そうとした。
しかし、みゆきはかがみに向かって剣を投げつけていた・・・。

終わった・・・。
そう思うヒマもなく、剣は振ってきた。

かがみには剣が突き刺さる音だけが聞こえた。

かがみは死んだと思った。でも・・・
(痛くない・・・)
ゆっくりと目を開けた。そして、到底受け入れることのできない現実を見てしまった・・・・。

「かがみ・・・だいじょ・・・ぶ・・・?」
「ぁ・・・あぁ・・・」
(嘘よ・・・)

「よかっ・・・ぶじで・・・」
(そんな・・・嘘よ・・・。
嘘よね・・・?
嘘であって・・・)

「ごめ・・・ね。こ・・なことしかできな・・・て・・・」

こなたは微笑を浮かべながら、すぅっと消えて光の玉となって、かがみに降り注いだ。

私は・・私はっ・・・!
こなたとの約束を守れなかった・・・!
かがみは己の無力さを嘆き、悔しさから、右手を強く握り締めた。青い光をつかむかのように・・・。

「裏切り者は死にました!ついに・・・我が願い成就せり!」
高らかにみゆきが叫ぶと空の色がまるで血のように赤く染まった。
「あとは残りの人間どもを血祭りに・・・!」
そう言ったときだった。
突然激しい光があたりを照らした。

(あたしが力になるから・・・。あいつらを止めて!)

光の中心はかがみがさっき倒れていたあたりだった。
そして、光の中から現れたのは現実世界とほぼ同じ姿のかがみだった。耳と尻尾がある以外は・・・
右手には、青く光る剣「ノーザンライツ」を握っていた。

「な、何ですって?現実世界とのリンク!?」
ありえない、いやあってはならないことだった。
現実世界とのリンクは厳重にプロテクトされているはずだ。

~現実世界~
「か、がみさんのリンクを確認しましたっ!」
「な、何だと!?」
なぜプロテクトされているはずのリンクができた!?

「こ、これは・・・?」
「どうした!?」
博士は画面を覗き込んだ。

ハカセ、スミマセン。カノジョラヲトメマス。プロテクトヲカッテニハズシテスミマセン コナタ

「・・・なるほど」
まさかこなたがはずせるとは思わなかった。
でも・・?
なぜ外せたんだ?

そんな疑問が博士に浮かんだ。

「容量のリミットには十分にありますが、負担は大きいですね。」

~NLC~
「許さない・・・」
かがみは駆け出した。

かがみの放つ一撃を予想してみゆきは反射的に身を退いた。
その直後だった。かがみの青く光る剣が振り下ろされたのは。

かがみの一撃はみゆきが予想した通りの軌道を描いた。
しかし予想外、いや、想像だにしていなかったことが起こった。
振り下ろした剣が猛烈な衝撃波を発生させ、ビルの一部を倒壊させたうえに、みゆきも大きく飛ばされた。

みゆきはかがみのスピードとパワーが桁外れに上がっていることに驚愕した。
崖付近に着地したみゆきは慌てて剣を出した。
そのときにはもうかがみはみゆきに接近しつつ既に攻撃の構えに入っていた。

「調子に乗るなっ!」
みゆきは剣を大きく振った。
かがみはそれを回転しながらみゆきの背後に飛び、かわした。
「はぁぁぁぁっ!」
かがみは背を向けたままバックハンドで剣を振った。
みゆきも応戦して同じように剣と剣を交える。
だが、みゆきは大きく吹っ飛ばされた。

「なに!?」
明らかにみゆきは押されていた。かがみの気迫に。

かがみは間髪いれず畳み掛ける。
雨霰のごとく攻撃を繰り出し、みゆきに攻撃させる暇を与えない。
みゆきは次第にじりじりと後退していく。
そして、ある一撃を放ったときだった。

2人は剣を交えながら、崖から落ちた。
落ちていく方向の先に高いビルの屋上があった。

(ま、まずい・・・・!)
みゆきはあせりながらもどうすることもできなかった。
2人はみゆきが下の状態で落ちていたのだ。
それはみゆきが直接受けるダメージの大きさが大きくなることを意味する。

そして、そのときはやってきた。

2人はビルの屋上の大きな天窓を突き破った。
そのときにみゆきはダメージを受けたのだろう。
「バ、バガな・・・。ごのわ”だしがぁ・・・」
音声が異常をきたしていた。

かがみは最後の一撃を撃つため剣を構えた。
「これで・・・・。終わりだぁぁぁぁぁぁっ!」
かがみは剣を振り下ろした。

大きな青い光の柱が立ち上るのをNLCにいた人々は見た。

~現実世界~
「制約が解除されましたっ!」
「ただいまより、強制ログアウト作業に入ります!」

~NLC~
(終わった・・・)
かがみは落下しているように思えた。そう、こなたと別れたあのときと同じように。
ふとかがみの体から光が出てきた。
その光は形を変え、こなたの姿になり、そして人の形になった。

「ありがとう・・・。かがみのおかげで彼女らを止めることができた。」
「こなた・・・」
かがみは手を伸ばした。
それに呼応するようにこなたも手を伸ばす。
あともう少しで手が届くというところだった。

こなたの体が消えていくのだ。

「ごめんねかがみ・・・。本当ににありがとう・・・。あたしの大切で大好きなかがみ・・・。」
こなたは微笑みながら消えていった。

「こなたぁぁぁぁっ!」
そして、かがみの視界は暗くなった。


「・・・ん。お姉ちゃん・・・」
誰かの声が聞こえた。
「起きてお姉ちゃん・・・」
目を開けるとつかさの姿があった。
「おかえり・・・」
それは現実世界に戻って来たことを意味していた。
「た・・だ・・・いまっ・・・」
かがみの目から涙があふれた。
守れなかった約束・・・。

「お姉ちゃん・・・」
つかさは自分にしがみついて泣くかがみにかける言葉を見つけることができなかった。


「かがみ君・・・」
桜庭博士が不意に近づいてきた。
「君に話したいことがある。ついて来てくれ。」
真実を話すときが来た。


かがみやつかさ、みさお達は、博士に連れられてAI管理室に来た。

当然ながら行き先は・・・
こなたのコンピューターの前だ。

博士は、例の扉を開いた。
それは、かがみにこなたの真実を知ってほしいからだった。

「こなたっ!」
かがみはカプセルにすがりつくように泣きだした。

それは、周りから見るとその姿を知っているかのように見える。

「お姉ちゃん知ってるの?」
つかさがたずねた。
「ログアウト直前に・・・」
かがみがぼそりと聞こえるかどうかの声でつぶやいた。

「こなたは・・・」
博士が口を開いた。

「こなたは、もう2年半眠り続けている。
 いわゆる植物状態でな。
 偶然それを知った私が身寄りの無かったこの子を拾ったんだ。
 今、実年齢は18になる。」

「18・・・」
誰かがそうつぶやいた。
それは、かがみと同年齢だ。

「原因は交通事故らしい。両親は2人とも亡くなったそうだ・・。
 親戚もあまり引き取りたがらなかったらしい。理由は分からんがね」

「それで・・・」
かがみがいきなり割って入った。
「それで、なぜNLCにこなたがいるんですか・・・?」

それは誰もが気になっていることだった。
「・・・。参加させたのは実験が成功してから。
 もしかしたら、この子が目を覚ますきっかけになるんじゃないかと思ってな・・・。」
「だから・・・?」
かがみがいきなり声を荒げた。
「だからってこなたをこんなことに巻き込んで、こなたを傷つけて、挙句にはっ・・・!」
かがみはその先を言いたくなかった。
しかし、激情のまま口に出してしまった。
「挙句にはこなたを失ったのよ!?」
「お姉ちゃん!」
つかさが静止に入った。

「かも、しれんな・・・。」
博士がぽつりと言った。
「参加させなければこんなことにはならなかったかもしれん・・・」


そのときだった。
コンピューターの電子音が部屋に響き渡った。

「AI“こなた”ヨリ、人格“こなた”ガ転送サレマシタ。
 本体、体温正常。問題ナシ。ログアウト開始・・・」
その部屋にいた全員が耳を疑った。


「ログアウト・・・?」
誰かがそうつぶやいた。
「それに、人格って・・・?」

カプセルが開いていく・・・。
それに近づいていくかがみ。
博士は、独り言のように言った。
「たとえ、ログアウトに成功したとしても、意識が戻るとは限らない・・・。
だが・・・。
だが、許されるのであれば・・・、奇跡よ、起きてくれ・・・!」
カプセルが開ききった。

「こなた・・・?」
カプセルに横たわる青色の髪をした女(ひと)。
かがみはこなたの傍らにかがみこみ、彼女の手を握る。
「こなた・・・」
もう一度、彼女の名前を呼んだ。
彼女の手は、NLCで手を取って共に走ったときと同じように暖かい。

そのときだった・・・。

「こなた・・・?アンタ・・・?」
かがみは確かに感じた。
かがみが握っていた手が動いた。

そして・・・。

「ううん・・・?」
目が・・・、ゆっくりと開いた・・・。
「あれ・・・?ここ、どこ?」
こなたは、場の雰囲気に似合わないことを言った。

大歓声があがった。
まさに奇跡。
悪夢が奇跡を生んだ。

「こなたぁぁっ!」
かがみは、握った手を顔に寄せ、大粒の涙を流した。
「君は・・・?」
「かがみ・・よっ」
涙声でそう言った。
「・・・ほんと、あの時とほとんどかわんないや。
あの時はあたしも必死でわかんなかったけど・・・。
かっこいいね。かがみって。」
「誉めすぎだって・・・」
「・・・からだが動かないんだけど・・・。何で?
ここどこ?今何時?」
こなたは少し混乱していた。
無理も無い。
2年半の空白があるから・・・。
かがみは状態を持ち上げて座らせた。

「私が説明するよ。」
博士がそばに寄ってきた。
「これを聞くのは少々、こなたには酷かもしれない。
でも、あえて事実を告げよう。
・・・事故にあったのは覚えてるね?」

こなたの体がびくっと動いた。
「・・・はい。そこまでは・・・。」
「今はその事故があってから2年半後。
君はずっと眠ってたわけだ。」
「あ、あの・・・。父と母は・・?」

博士はしばらく黙り込んだ。
背後では、博士・かがみ・こなたの間に流れる空気とは裏腹に、ドンチャン騒ぎになっていた。

沈黙ののち・・・。
「・・・亡くなったよ。」
口を開いたのはかがみだった。
「私は詳しくは知らない。
博士が知ってる。」
「博士・・・?」
そうだ、こなたは博士を知らないんだ。
「私だよ。
すまない、私も詳しくは分からないんだ。
君の両親、即死状態だったらしい。」
「・・・。」

「そう・・ですか・・・。」
こなたの顔には、どこかそれを分かっていたかのような顔があった。
「遺骨は、どうなりました?」
「家のお墓にあるらしい。場所は君が知ってると思う。」

強い子だ。

かがみはそう思った。
涙を見せない。
でも、表情は暗かった。

「体が思うように動かないのは、筋力が落ちてしまってるからだろう。
そのうち、元に戻る・・・。」
「・・・はい」

「お姉ちゃん。」
つかさが声をかけてきた。
「先に、帰ってるね。」
「あ、うん。」

つかさが帰ると言い出して、気がついたことがあった。
「・・・こなたはこれからどうするんですか?」
こなたのこれからのことだ。
「・・・私のところには、おそらく置いておけない。
このことの処理に追われるからな・・・。
かまってやれなくなる。」
「・・・?」

「こなたはこれからどうしたい?」
かがみはこなたに問うた。
「これから・・・?
・・・。
わかんない。」
博士がつぶやいた。
「・・・病院か、施設か・・・。
もしくは・・・。」
「もしくは・・・?」
次の一言に、かがみはすっとんきょうな声を上げた。
「かがみ君のうちにいくか、だ。」

「はぇ!!!?」


「いいアイディアだと思うんだが・・・?」
「ちょっと、待ったぁぁぁ!」
かがみはいきなりの事態についていけていない。
「それ、こなたが嫌がるでしょ!?」
「ふむ・・・。いいアイディアだったと思ったんだが・・・。」

そのとき、しばらく口を挟まなかったこなたが口を開いた。
「あたし・・・。かがみのところにいたい。
というより、居させて?」

かがみはしどろもどろに言った。
「ぇ・・・。そんなんで、アンタほんとにいいの?」
「うん・・・。だいたい病院とか一人でいたくないし。」
こなたはすこし苦笑いしながら言った。


「決まりでいいな?」
博士が確認を取る。
「はい。」
「・・・わかった。」


こなたがうちに来る・・・・。

「でも・・・、ホントにいいの・・・?こなた」
かがみは、信じられなかった。疑うと言う意味ではなく、あまりにも驚いたためだ。

「うん。
一人で居たくないし・・。かがみのそばにいたい。
いや、いさせて?」
「・・・分かった。」

とにかく、こなたは今歩けない。
そこで、みさおの車で送ってもらうことになった。

とはいえ・・・。
まだ室内は、大盛り上がり。
しばらく様子を見るか・・・。


「・・・」
・・・ヒマだ(泣
そんな時、突然こなたから声をかけられた。
「かがみ?お願いがあるんだけど・・・」
「ん?何?」
「外の空気を吸わせて・・・?」

かがみとこなたは博士に了承を得、エレベーターで屋上に上がった。
なぜ屋上かというと、ただ単純に空に近いからだった。

~屋上~
「ん~~~~っ!
外はきもちいなぁ」
こなたは笑顔を見せた。
人ばっかりで緊張していたんだろう。

外はもう夜だった。
空は晴れ渡り、満天の星空が見える。

屋上で、2人ははしゃいだ。
といっても、こなたは動けないので話が盛り上がったわけだが。
まるで、長く離れ離れだった恋人同士のようだった。

2人は並んで寝転んで、星を眺めていた。
「かがみ・・・?」
「ん?」
「ありがとう
あたしと出会ってくれて、助けてくれて」
「いやいやそんな・・・」
かがみは照れくさかった。
なにせ、恋愛経験ゼロだったから。
だが、確実に2人の距離は急激に縮まっていた。
「これからも、ずっと一緒にいようね?」
「え・・?それってどういう・・・」
「ん~・・・。こういうことかな?
よいしょ・・・と」

こなたはうまく動かない、体を動かしたと思うと次の瞬間だった。


チュ・・・


「へ・・・?」
「・・・」
いきなりのキスだった。
「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」
「うるさいなぁ・・
恥ずかしいんだから・・・」

そして、その様子を見ていた女が一人。
「よかったね、お姉ちゃん・・・。」
紫の髪をなびかせて、彼女は階段を下りていった。
2人が下の部屋におりても、あいかわらずだった。

・・・いつまでやってんだこいつら・・・。
嬉しいながらも、心の中で突っ込みをいれるかがみだった。


そのあと、つかさの声かけでようやく騒ぎが収拾した。
博士と挨拶を交わし、ビルを出た。
博士は、寂しそうな目の色をしていた。

別に酒を飲んでいたわけではなかったので、みさおに乗せて行ってもらった。


~かがみ宅~
「ありがとう、みさお」
「おう、またな」
「みさちゃん、早く帰らないとアノ人に・・・」
あやのが、不安げに言うと飛んで帰っていった。

「さて、どうするかな・・・」
部屋割りだ。
「とりあえず、風呂だけど・・・。
こなた、どうしよう?」
かがみが聞くと
「ん~・・・。かがみと」
「チョッ・・。それは・・・エート・・・。」
結局、家にこう達をよび一緒に入ってもらった。
着替えもついでにもらってしまったのだが・・。

部屋は、つかさはいつもどうり。
こなたとかがみが一緒に寝ることになった。

~かがみの部屋~
もともと、かがみはベットで寝ていたので・・・
一緒のベットで寝ることになった・・・。

「おやすみ」
「おやすみ・・・」

いつもと違うのでかがみはどきどきしていたが、かなりの疲れがたまっており、すぐに眠りに落ちた。
寝れないのはこなたのほうだ。

「かがみ・・・?」
呼んでも返事はない。
「もう・・・」
こなたはいろいろ考えた。
今までのこと、かがみのこと、これからのこと。

どのくらいの時間が経ったのだろうか。
かがみの近くに少し体を寄せて、眠りに入った。


~~翌朝~~
珍しく一番早くつかさがリビングへ現れた。
そしてテレビをつけた。
「・・・そういえば、昨日あんなことあったんだなー・・・」
いまでも不思議だった。
「・・・あの子いるんだったっけ
起こしたほうがいいのかどうか・・・」

ああだこうだ考えて結局起こしに行った。

~かがみの部屋~
こなたはもう起きていた。
「あ、おはようございます」
「おはよ
敬語じゃなくていいよ。これから一緒に生活するんだし」
「うん」
こなたは苦笑いした。

「さて、お姉ちゃんはどうするか」
「起きないの?」
「うん、叩いても起きないと思う
お姉ちゃん!起きろ!」
「・・・」
相変わらず反応なしだ。
「かがみ、いや、かーがみん。おきて?」
こなたが起こしても反応なし。
あきらめて、部屋からかがみをリビングへ連れて行こうとしたときだった。
「・・・かがみ!起きてよ、このバカっ!」
「・・・!」
かがみが飛び起きた。
「おはよ」
こなたは笑顔で言った。
「お、おはよ・・・」

・・・先が思いやられるな・・・。
この先のことが不安になった、つかさだった。

数年後、かがみとこなたは結婚(?)した。

「かーがみん。起きて?」
「ううん。。。あと5分・・・」
「・・・起きんかいっ!!!」
「☆○%&@#$!?」
かがみは飛び起きた。
こなたは、怖かった・・・。
「・・・おはよ」
でも、そのあとの笑顔にかがみは全部許してしまうのだった・・・。
(情けないわね、私・・・泣

でも、なんだかんだでお互い助け合い幸せな生活を送っている。
こなたも、厳しいこと言ったりするが、かがみに対する感謝の念は捨てたことがない。
喧嘩にはなったことが無いらしい(かがみ談


桜庭博士はと言うと、Nightmare lucky City計画はあの日を境に中止になった。
しかし、ロボットの人工知能に関する研究の第一人者として、いまだに第一線で活躍している。
ちなみに、人工知能を始めて搭載したロボット名前は、「KT」と名づけられた。
Nightmare lucky Cityは、AIのデータだけを残しすべて削除されたそうだ。
AIのデータは、ロボットの人工知能に転用され何事も無く運用されている、らしい。

あやのは、みさお兄と結婚したそうだ。
結構幸せな生活を送っているらしい
みさおは、どこかでスポーツインストラクターをやってるとか、やってないとか。
ゆたかは、絵本作家になったそうだ。

つかさは、調理師になったらすぐ家を出て行った
2人の新婚(?)生活を邪魔したくないとか言って・・・

こうは、ほかの仲間と共にマンガ家になったようだ。
評判も上々とか。

 

みんな一人ひとり、それぞれの道を歩き出した。


そうそう。


かがみ、最近人の役に立つ仕事をやってるって話。

どんな仕事なのかね?

それは、かがみ達が知ってること。

君が聞いてくるといいよ。

【終わり】









こなた「次回!―――」
かがみ「ちょっとまて!
     これで終わりだろ!」
こなた「いや、まだあるよ
    NLC撮影後の話がね。」
かがみ「まじかよ・・・」

*マジで撮影後の話やります

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