ID:yUMsJMXRO氏:泉こなたの憂鬱

雨が降ってた
だって、五月だもん

そんなジメジメした五月を過ぎたある日の事なんだけど

六月になったってのに、体がダルいのは何でなのかしら
五月病がまだ治ってないのかな? なんて、こなたみたいな事を考えながら、
つかさと一緒に家を出る
お母さんの、行ってらっしゃいという声と共にね

少し歩くと、さっき頭の中に浮かんだそいつと合流する

これがいつもの朝の風景ってわけ

いつもの見慣れた道を行く


「最近のギャルゲーってさぁ、」
またそっち系の話かい!
「あははー、こなちゃんはゲーム好きなんだね」
他愛も無い会話をしてる内に私達は学校についた

「皆さんお揃いでおはようございます」
ウーッス!みゆき
「おはよーみゆきさん」
「ゆきちゃん、おはよう」
挨拶を終え、自分のクラスに行く
はぁ~、なんで私だけ他のクラスなんだろ・・・


そんな事を思いながら、席についた
「おす!柊!」
「柊さん、おはよう」
日下部に峰岸にと、軽い挨拶

1限、2限と終わっていき、4限終了のチャイムと同時に私のおなかも鳴っちゃった
ちょっと恥ずかしいわね

ま、でもこなたに聞かれなかっただけマシかな

ドアを開け、こなた達のクラスに向かう
今日は私がお弁当を作った日なのよね

いつもの席へと行き、昼食を広げる私と三人

「お、今日は、かがみんが作った日かな?」
・・・・・・
「もしかして図星かな?」うるさい!質素で悪かったな!
「やっぱりそうだったんだぁ~」
そういうアンタは、今日もチョココロネなんでしょ!
「まぁまぁ、お姉ちゃんの作ったお弁当美味しいよ」
はは、ナイスフォローだよ我が妹よ

そして、相変わらず豪華なお弁当のみゆき
このブルジョアめ!


「でもさぁ、かがみん、ツンデレ娘が他人の弁当を作るなんて、萌えるシチュだよね」
アンタは、いちいちそういうオタク的な話に絡めないと会話が出来ないのか!
それに大体、ツンデレってアンタねぇ・・・
「いやいや、かがみんは、立派なツンデレだよ」
「こなちゃん、ツンデレって何?」
「ツンデレって言うのはね、」
ウチの妹に変な事を吹き込むな!

昼休みが終わるまで、談笑タイム
まぁ、いつもの様にこなたによるオタク的会話がほとんどだったんだけどね


チャイムが鳴り、クラスに戻って午後の授業
いまごろ、こなたは、食後の居眠りでもしてるんだろうなぁ~
そして、黒井先生にゲンコツ貰っちゃったりしちゃって

そんなこんなで、午後の授業が終わった

ふと、外を見ると曇り空になっていた
降るかもわからないわね でも、こういう時に限って傘持ってきてない・・・
ポツッ…ポツッ…ポツポツポツ、ザーザー

ああ・・・
ついに雨降っちゃった・・・

どうしよう
今日、帰りに欲しいゲーム買おうと思ったのに
誰か置き傘してないかな?

そう思い、こなた達の教室へ向かうと三人が居た

ごめーん!
傘忘れちゃってさ、誰か持ってるなら一緒に・・・
ん?
様子がおかしいのは気のせい?

なぜ三人とも無言、無反応なの?
なぜ暗い顔をしてるの?


ねぇ、みゆき?
置き傘してない?
「・・・」

こなたは?
「・・・」

つかさは?
「・・・」

もう、みんなどうしたの?「お姉ちゃん、先に帰ってていいよ・・・私達、雨やどりしてるから・・・」

え?・・・
あ、そうだ、こなたさぁ、帰りにゲーマーズ寄らない?
・・・・・・
ただ、雨の音だけが響く―


え?私なんか変なこと言った?
・・・
まぁ、いいや
売り切れると嫌だし

玄関まで行くと、濡れる覚悟で外に出た

ゲーマーズまで走る・・・
雨でビショ濡れになりながらも。


ん?なんだろう、この気持は、

ゲーマーズに辿り着いた時には、顔も体も濡れ放題。
しかも、雨だけじゃない、目から流れる水滴が段々と増してきた

溢れてくる、止まらない
ゲーマーズなんかに行ってる場合じゃない

私は学校に引き返した

なんて私は馬鹿なんだろう・・・
体が雨と涙でビショビショになっても全然気にならなかった

ただひたすら学校を目指した

玄関まで行き、靴を脱ぎすてた

階段を駆けあがり、こなた達のクラスのドアをあける
まだ三人がいた。

つかさとみゆきが泣いていた
そっか、思い出したんだね
こなたと目が合った

悲しげな笑顔を私に見せた
「かがみん・・・」

また一粒、涙が頬を伝った

雨が降ってた
だって、五月だもん

今日は、ある大切な日

こなた、もう辞めにしない?雨がすごいわよ
「いやいや、諦めたらそこで試合終了なのだよかがみん」
「でも、こなちゃん優しいね、本当はこなちゃんの誕生日プレゼント用のおこづかいなんでしょ?」
「いやぁ~、それほどでも、だってお父さん、好きなモノを買えって言ってたし」
それで、二週間遅れの母の日プレゼントってわけね
「うん、うちのお父さん、お母さんの代わりもやってくれてるしね」


こなたの意外な一面を見た気がした

アニメイトも虎の穴も売り切れだった

残るは、ゲーマーズね

横断歩道を速足で渡り、店内に入る

「やったー!まだ売ってた!」
もってけ!セーラーふく・・・
今話題のアニソンらしい
「いやぁ~、お父さんがね、前から欲しい欲しいって言ってたから」

会計を済ませながら言った


「よし、急いでみゆきさんの家に行かないとね!みんな待ってるから」

自動ドアを抜け、一気に駆け出すこなた―

「あ、こなちゃん」
ちょ・・・待ちなさいよ
プレゼントに夢中で赤信号なんて目に入らなかったの・・かな・・・・

横断歩道の真ん中らへんに差し掛かったこなたの横から―

こなた危ない!
「こなちゃん!」

私とつかさの声が被った―


二時間も三時間もそこに立ち尽していた気がした

気が付くと、サイレンの音が鳴り響き、赤い光がぐるぐる回ってた

「こなちゃん!こなちゃん!これからゆきちゃんの家で誕生日パーティーするって約束したよね!?・・こなちゃんの為におっきなケーキ買ってきたんだよ!みんなで誕生日プレゼントも選んだんだよ!・・・ねぇ、こなちゃん・・・」

これは、つかさの声・・・
段々と状況が把握できてきた


自然と涙が溢れてくる
こなた!こなた!死なないでよ!死んじゃ・・・嫌だよ・・・
自然と言葉が叫びとなって出てくる
こなたの小さい手には、ヒビが入ってもう壊れちゃったCDの入った袋がまだ握られていた
・・・

教室の床に涙が落ちた

「思い出した?いやぁ~、私死んじゃったんだよね」
無理矢理、笑顔をつくるこなた

なんで?なんで?なんでまた戻ってきたの?


「天国でね、お母さんが願い事をひとつだけ叶えてくれるって言ったの、生前は、こなたに何もしてやれなかったからって」

それで・・・

「それで、もう一度かがみ達に会いたいって言ったんだよ、でもゴメンね、またオタク話につきあわせちゃって」
そんな事ない・・・

「つまんなかったよね、ゴメンね、かがみ達に何も出来なくてさ」
「こなちゃん・・・私うれしかったよ・・・また会えて・・・」
「泉さんの笑顔がまた見れて楽しかったですよ」

こなた!
私は叫びながら駆け寄り、こなたを抱き締めた―つもりだった―


私の腕は、こなたの体をすり抜けて自分で自分を抱いてるような形になった

「じゃあ、もう行かなくちゃ・・・」

「え?・・・」
「泉さん・・・」
こなた・・・

こなたの体が段々、透明になって行く

「こなちゃん、いつか、また会えるよね?」
「その時は、ぜひかなたさんに宜しく伝えといてください」
こなた・・・
また涙が出そうになったけど必死でこらえた

こなた!またね!さようなら!

完全に消え去る寸前に、こなたが「私の友達でいてありがとう」と、
言った気がした―


あの日以来、私達は、ほとんど毎日こなたの家に通っていた

「おじゃまします」
「いらっしゃい、今日も来てくれたんだね、こなたも喜んでると思うよ」

仏壇の前に皆で座った

白黒写真のこなたが今日も笑っていた。

‐END‐
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