ID:x4Z4FESO氏:こなたんゲットだぜ

 いつからだっただろうか……、こなたの顔を直に見れなくなったのは……。
 いつからだっただろうか……、こなたの事を思うと胸が熱くなったのは……。
 これは恋なのだろうか? いや、まさか、女の子同士でそれはない。顔が見れないのはきっと、こなたの顔が面白いからで……胸が熱くなるのはきっと……。

「……はぁ~」

 変な言い訳はよそう、私はこなたが好きだ。超が付くほど大好きだ。思えばあれは一週間前……。

 

「はい、かがみん」
「これは?」
「やだなぁ、今日はバレンタインだよ? 女の子が好きな子にチョコをあげる日」
「なっ……好きな子!?」
「あはは☆ なに真に受けてんのさ。この間良いカカオが手に入ってね、ちょうど良い時期だし、試しに作ってみたんだよ。つかさにもあるよ~」
「わ~い、ありがとうこなちゃん」

 

 あれ以来、何故かこなたの事を意識し始める様になってしまった……。こなたが冗談で言ったって分かっているのに関わらずだ。

「はぁ~……」
「お? どうしたんだ柊~、溜め息なんか付いちゃって。お前はオッサンか~」

 日下部が横でうるさい。人の気も知らないで……。

「あんたには一生わからない悩みよ」
「な、なんだよそれー! あやのー、柊が虐めるよー」
「あなたはだあれ?」
「ガーン」

 少し落ち着こう。トイレにでも行ってすっきりしたい。

「おーい、柊ぃー! あやのの記憶が……って柊ぃー!?」

 後ろで何か聞こえたが、無視する事にした。今は私の事で精一杯よ……。

 

 

 この想い、伝えるべきか……でもそんなことしたら、こなたはどう思うだろうか? やっぱり冗談として見られちゃうのかな?
 そんな事を考えているときだった。

「痛っ!」

 頭に何かが当たった。上から落ちて来た?

「ったく、なんなのよ……って」

 その物体を見て、私は言葉を失った。それは私が小学生だった頃に見た覚えのある物、どうやっても絶対に手に入れる事は出来ない物だったからだ。

「これって……マスターボール?」

 それは私が小学生の頃、夢中でやってたゲームに出てくるアイテムだ。
 捕獲率100%で一回キリの幻のアイテム。その珍しさから、子供の頃は現実には無いということを知らなくて、よくお父さんに欲しい欲しいってお願いしてたっけ……。
 それが今、私の目の前に落ちている。

「…………」

 私はそれを拾う。捕獲率100%……。人間にも有効? いや、なに考えてるんだ私! そんな事したら犯罪だって!

「でも……」

 もし、これでこなたを捕まえたら……こなたは一生私の物。変な悩みも無くなる……。こなたを一生愛せる。こなたと一生を過ごせる。誰にもこなたを盗られない。こなたこなたこなたこなたこなたこなたこなたこなた……。

 気がついたら、私は走っていた。そしてたどり着いたのは3―B、こなたの居る教室。
 私の勢いは止まらず、ガラッ、とドアを開ける。

 

「ん? おいもう授業始まるで、自分の教室に戻っとき」

 私はずんずんと、こなたの前に立ちはだかる。

「コラ、柊! もうチャイム鳴った……」
「黙りなさい」
「す……すまん……」

 相手が先生だろうと関係なかった。見なさい、私の一言で萎縮してるわ。今の私なら何だって出来る、そんな気がした。

「かがみ……? 息が荒いよ、どうしたの?」

 愛おしいこなた……。もうすぐあんたは私の物よ。

「こなた」
「はい!」

 そんなに固くならなくても良いのに……。緊張してるのね♪

「放課後、体育館の裏に来なさい」
「え、う……うん。わかったよ」
「じゃ」

 それだけ伝えると、私は教室を出た。それにしても、なんであんなに怯えてたのかしら?

 

 放課後、こなたを待つこと1分32秒……遅いわね。33、34、35……。

「か、かがみ……待った?」
「別に、今来たとこ」

 こなたが物影からひょっこり顔を出し、訪ねてくる。あぁ、もうなんて可愛いのかしら!!


「あのさ、かがみ……私かがみに何かしたかな?」
「何を勘違いしてるのか知らないけど、そういうのじゃないわよ」
「え? じゃあ……」

 だめ……もう我慢できない……! 私はポケットからマスターボールを取り出す。

「へ? なにそれ?」
「こなた……ゲットよ」

 こなたに向かって投げ付ける。ゴメンこなた、痛いのは最初だけだからぁ!!

「痛っ!」
「よしっ!」

 後はボールに入って……。

「なにすんだよ~、かがみ」
「あれ?」

 おかしいな、捕獲率100%の筈なのに……。

「って、これってもしかしてマスターボール? なんでこんな”おもちゃ”を」
「へ? おもちゃ?」

 おもちゃ……、おもちゃ!?

「ちょっと待ってかがみ、その反応……まさかこれをゲームと同じ物だと思ってない?」
「な……なにを……」
「だって、『こなたゲットよ』とか言って私に投げたよね」
「そ…それは……」
「かがみ?」
「あ、あっはは! 私そろそろバイトに行かなきゃ! また明日!」
「バイト!?」

 私は全速力でその場から逃げる。さようなら私の初恋……。
 あぁ~、明日からどんな顔して会えば良いのよ~!!



「……ここは」
「あ、目を覚ましたよ」
「大丈夫ですか? かがみさん」

 保健室? 何で……。

「お姉ちゃん、廊下で倒れてたんだよ? 覚えてないの?」
「廊下で……? はっ」

 あの時……、頭に何か落ちて来て……。ということは、あのマスターボールを見つけた辺りから全部夢!? うあぁ、我ながらなんて変な夢を見てしまったんだ……。

「も~、心配かけないでよかがみ~ん」
「こ、こなた!?」
「え? そうだけど……」

 私は咄嗟に顔を下に向ける。やばい、心臓の鼓動が早くなる……。

「え? どったのかがみ?」
「ひゃ!」

 いきなり覗き込まないでよ! 顔が近い……、あぁ~夢で積極的だった私はどこ行ったのよ!? 恥ずかしくて顔がまともに見れないなんて!

「なんか、かがみが凄い萌えキャラになってるんだけど」

 ええい! 迷うな私! いつまでもうじうじしてるのは性に合わん! この雰囲気を逃したら次はないと思いなさい!!

「こなた!!」
「うを!? なに?」
「あの……ね……?」


 後は想像にお任せします^^


「私たち完全に空気だね、ゆきちゃん」
「良いんですよ、慣れてますから」


      完!!

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