ID:6f8filBW0氏:タイトル不明

12月24日――クリスマス・イヴ。

去年はこなちゃんが

こなた「なんで、クリスマス『イヴ』っていうんだろうね~?」

という、そう言われてみればどうしてなんだろう?と思ってしまうような、
そんな一言で始まった、一年に一回の特別な日。
そんな質問をスラスラ答えるみゆきさんの知識に驚かされる日。
そして・・・、サンタさんが来る日。
お姉ちゃんは「つかさ、まだサンタなんか信じてるの?」って馬鹿にするけど、私はいるって信じてるんだ。
・・・うん、いるいる。そうに決まってる。だって・・・、朝には枕元にちゃんとプレゼント置いてあるもん。
いつも欲しいやつとは違うんだけどね・・・。

そう、今日はクリスマスイヴ。日本中どこもクリスマスモード一色。
クラスの男子は、彼女と過ごす、過ごさない、で盛り上がってた感じだったけど、
私達女子もそれは例外じゃなくて・・・。今日をどう過ごすかでこなちゃん達と盛り上がってた。

かがみ「まぁ、今年は、こなたん家で、クリスマスパーティーって事で・・・どう?」

ということで、今、私はこなちゃん家にいます。
ただ、その・・・・。

こなた「ちょ・・・、ねぇ、かがみ・・・。落ち着いて、おち・・・」

――聞こえない、聞こえない。

こなた「ちょ、ちょっと、つかさ!! かっ・・・、かがみを止めてってば!」

聞こえないふり、聞こえないふり・・・。

かがみ「え・・・、こなたは・・・私のこと・・・好き、じゃないの?・・・嫌い、なのぉぉぉっ!?」

こなた「いやいやっ!そうじゃないけどさぁ・・・」

・・・・・・? 今、私のそばで何が起こってるか、ですか? 
さぁ、それは私にも分かりません。何せ私は、言われるままここにいるだけですから。
ただ一つ言えるのは、これはこなちゃんのその・・・自業自得? 薮蛇ならぬ藪からアナコンダ、といったところです。


事の起こりは2日前でした。

こなた「ねぇ、つかさ、ちょっと話があるんだけどさぁ」

こなちゃんがパーティーに際して、準備を進める最中、私にある提案を持ちかけてきたのです。
内容は至ってシンプル。例年通りただの飲み食いするだけでは面白くないので、
お姉ちゃんをドッキリに嵌めようというものです。「かがみんに迫ると実に良いデレが見れると思うんだよね~」と、
冗談交じりで言うこなちゃんの顔は楽しそうでした。私やみゆきさんはどうなのかと聞くと、
みゆきさんは気づかないままスルーしそうでパス、私は盛り上がりに欠けそう、だったのでお姉ちゃんらしいです。ちょっと残念。

23日。簡単な打ち合わせだけ行いました。まず、シラフのままだと、真のリアクションを得るには難しい、という
こなちゃんの指摘から、お酒(っぽいもの?)を用意することに。怪しまれないように私がお姉ちゃんに飲ませる手筈になりました。
そして、お姉ちゃんにある程度酔いが回ったところでこなちゃんが作戦実行。真剣に迫ってみて、
かがみんの最高のデレを!!!・・・ということらしいです。あわよくばこれを弱みに、とかも言っていたような気もします。
でもデレってなんだろう・・・。

同日、夜。みゆきさんは、やっぱり今年も家族の方と一緒に過ごすらしいです。
こなちゃんに話してみると、既に知っていたとのこと。まぁ、かえって都合は良いんじゃない?と
あっけらかんとした口調で言っていました。私は少し寂しいかな。

そして今日、24日。

厳かな雰囲気とはとても似つかわしくない騒がしい中、パーティーは始まりました。
作戦決行は少なくとも夜が更けてから、というこなちゃんとの打ち合わせどおり、時間を置いて行うことに。
お酒(らしいもの)はこなちゃんが小父さんに頼んで、買ってきてもらったそうです。ドッキリのことも明かして。
小父さんは快く、というか呆れるぐらい楽しそうな顔で必要なものを揃えてくれました。

そしていよいよ作戦実行開始。
お酒(らしいもの)の味は強いのでバレるよ(小父さん談)ということだったので、カクテルを
ジュースの中に少しづつ混ぜたり、ちょっと変わったカフェオレと称して、カルアミルク(というらしい)を勧めてみたりしました。
最初はチビチビと飲んでいたお姉ちゃんでしたが、対戦プレイによる興奮と、次第に回ってきた酔いで、
飲む量も増え、2時間もしないうちに完全に出来上がってました。私とこなちゃんも、少しだけお酒(らしいもの)に手を出してみたり。
始めて飲んだのですが、なかなか美味しかったのが印象的でした。

――そして、今から3分前。作戦決行。

「ちょっと私トイレいってくるね~」

準備は全て整いました。席を立つのも手筈通り。
後はこなちゃんが上手くやるとのことで、私の使命は、こなちゃんが合図をしたら部屋に入って、
ドッキリであることを一緒にお姉ちゃんに伝えることだけでした。部屋の外にでると小父さんが、
満面の笑みでビデオカメラを片手に立っていました。

そうじろう「そろそろかい?」

「あ、はい、もうすぐだと思いますけど・・・。あの・・・それは?」

そうじろう「いや~、面白そうだから、記念に・・・と」

「はははっ、上手く撮れると良いですね!」

本当に上手くいくか・・・というか、どうなるのか分からないけど・・・。

・・・しばらく二人で扉の外待っていると、中でこなちゃんがお姉ちゃんに向けて何やら話し始めました。

そうじろう「おっ、始まったみたいだ」


こなた「・・・ね・・・・・・がみは・・・私・・・こ・・・どう・・・・・・てる?」

大きめ設定されたゲームのBGMのボリュームと、
扉を一枚の隔たりにより、完全には聞き取れません。ちょっと残念。

かがみ「・・・・・・・・・い・・・、・・・れってど・・・・・・う意・・・?」


そうじろう「・・・むぅ、聞こえづらい上に、見難いな・・・」
小父さんは少し考えた後、扉の隙間からそっと、ビデオカメラを押し込みました。
プレビュー用モニターを、こちら側からでも見えるように角度調整して。

「小父さん、頭いい!」

そうじろう「だろう?」

そうこうしている間に中では少し動きがあったようです。こなちゃんがコントローラーを置いて、
直接お姉ちゃんに近づいている姿がモニターには映し出されていました。お姉ちゃんの方にはこなちゃんの両手。
近い。近いです。どきどきどき。

こなた「私・・・ね、か・・・みが・・・、その・・・・・・・・・好・・・なんだよ!」

一気に抱きつくこなちゃん。お姉ちゃんの肩越しにしてやったりな、余裕の笑み。
お姉ちゃんは後姿だけでハッキリとは分かりませんが、俯いたまま。
随分緊張しているようにも見えました。・・・そろそろかな?


―――・・・と、ここまでがついさっきまでの出来事です。
ここからは、それはそれは・・・、私にとっては未知なる体験でした・・・。
突如泣き始めるお姉ちゃん。理由が分からなくて焦るこなちゃん。部屋に入ろうかと思ったその時、
ビデオカメラにはこなちゃんを押し倒してその・・・・・・・キスするお姉ちゃんの姿。

こなた「・・・・・・ンハッ、・・・って! ちょ、ちょっと、かがみ!?」

こなちゃんの声が大きく響きました。これは予想外。どうしよう。単なるちょっかいだけで終るはずだったのに・・・。
完全に入るタイミングを逃してしまいました。私も、合図を出すはずだったこなちゃんも。
ふと横を見ると小父さんがアゴに手を当て、何か考えている様子でした。

「ちょ・・・、ねぇ、かがみ・・・。落ち着いて、おち・・・」「ちょ、ちょっと、つかさ!! かっ・・・、かがみを止めてってば!」
「え・・・、こなたは・・・私のこと・・・好き、じゃないの?・・・嫌い、なのぉぉぉっ!?」
「いやいやっ!そうじゃないけどさぁ・・・」


そうじろう「・・・・・・ふむ・・・、時につかさちゃん」

少し真剣な面持ちの小父さん。

「なんでしょう?」

そうじろう「・・・その、もし良かったら、小父さんと一緒に・・・イヴの特番でも見ないかな? もう9時だ。
こなたは・・・その、取り込み中みたいだしな」

「そうですね、今入ったらなんか・・・悪いですし・・・はははっ・・・」

私は少し考えた後、即答しました。これ以上関わってはいけない、そんな気がしたからです。
触らぬ酔っ払いに祟りなし。昔の人も言いました、多分・・・。

そうじろう「・・・うん、決まりだな! ・・・良ければ後で私が書いた原稿でも見てみるかい? 少し意見を伺いたいんだが・・・」

「わぁ、本当ですか! はい、見てみたいです」

何やら部屋の中は騒がしいですが、私には何も見えない。聞こえない。あれほど乗り気だった小父さんもそれは一緒のようでした。
お姉ちゃんの泣きじゃくりつつも時折甘えるような声とか、こなちゃんの助けを呼ぶ声とか。


こなた「つかさーっ!! つかさ~~~っ!! ちょ・・・いるんでしょ~!! 助け」


えーっと、こなちゃん。ごめん!! それとメリークリスマス!!
私は心の中でそう叫ぶと、両手を合わせ、小父さんと一緒に、そそくさとその場を後にしました。
思わぬものを記録しているビデオカメラと、ことの顛末を不安に思いつつ・・・。


―――了
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