「DEPARTURE」ID:qwW1aEUkO氏

夜が終わり、朝になった

「思ってたよりもずっと早くこの時がやって来たよ…」

うまく言葉が出てこない
夜明けと共に、ゆたかとの別れが訪れた

「ゆたか…無理しないで…」
「わかってるよ。心配しないで!」

ゆたかは昔から活発だったね
先人達は「人生を投げ出してはいけない」と言っていたけど、道標も無く立ち尽くしていた私達は、各々の夢に向かって突き進むと決心した
私は作家になる為に、貴女は有名な歌手になる為に


ある日、貴女は旅に出ると言ったね

「みなみちゃん。私、いつの日か成功して、世界に名を轟かせるよ!」

ゆたかはかつてないほど頑張っていた
人生はとても短いけど、その分輝いている…ゆたかを見てそう思った

「ゆたか…世界に名を轟かせるなら…振り向いちゃ駄目」
「でも、寂しくなったらどうしよう…」
「心配しないで…ゆたかならできる…帰りたくなる時もきっとあると思う…でも今を諦めないで…」
「みなみちゃん…」
「今夜…ゆたかがチャンスを掴めるように…祈っているよ…自分の道を信じて…まっすぐ行って…」


そう言葉を交わした後、ゆたかは旅立って行った

「誰だっけ…誰かから聞いた…有名な諺…『時は決して死ぬことも止まることもない』…」

そうか、私達には突き進む権利がある
結局全ては自分次第…そう、自分次第なんだ

「私も…負けられない…」
明日と言う日はいつだって夢の糧
ここで負けてしまう訳にはいかない
夢を勝ち取ると決めたのだから…
ためらうことはない。私はゆたかが成功することを願っている





だって、ゆたかは私の本当の友達だから


遠い遠い旅路の中で、時折貴女は悲しくなることもあるだろう
夢見た路の先で、心を見失わせたりはしないだろうか

親愛なる友よ。がんばれ
最後まで全力でやり遂げて。私達はいつまでも親友だから…だからここまで願い続けられる…


私は、旅の準備を済ませ船へと向かう。向かう先は、イタリア
ゆたかと同じ目的地だが、進路は正反対
ゆたかを驚かせる為に、ひとあし先に向かうと決めた

そして今は船の中
私は募る思いを心に押し込み、眠りにつく



ゆたかがいなくなるのは、正直寂しい
でも、私は貴女の夢の助けになる様に約束できる
どうしてだろう…うまい言葉が見つからない…でも、私はここにいるから…
ゆたかは私の生涯で最高の友達だよ
いつまでも私の心の中に貴女はいる
そう、今日のこの日こそが私達の旅立ちなのだ…






「みなみちゃーん。旅行記出来たー?」
「うん…一応…所々脚色しているけど…」
「じゃあ今日はイタリアを周ろうか」
「そうだね…じゃあコロッセオに行こうか………ゆたか…」
「?」


「ゆたかは、私の一番の親友だよ」


END
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