ID:PapgQy > C0=ID:mMGCGRBz0氏:タイトル不明

「あーレアでないなー・・・」
私は高校を卒業し相も変わらずひたすらネトゲに勤しんでいる。
高校を卒業し私も一応進学した。
かがみは都内の有名国立大でつかさは料理の専門学校、みゆきさんも確か都内の有名某大に入学した。
そして私は高校とは違う時間の自由度がネトゲ廃人な私に更に拍車を掛けていた。
「最近学校は休みがちだし単位どうしよ・・・」
季節は梅雨から夏に移る、なんとも陰鬱で暑く気だるい季節。
もうそろそろ試験課題の嵐なのに。
そんなことを思いつつも私の指はカチカチと鳴らすことを止めない。
そんな時、お父さんが部屋に入ってきた。
「こなた、大変だ!ゆいが交通事故で病院に運ばれたって!」
そりゃ大変だ。あの人なら無茶な運転をして事故を起こすなんてざらにありそうだもん。
警察がそれで事故を起こしてたら・・・という想像をしてそれが当らない事を祈りつつ、
「すぐ病院行こう!」と病院へ向かう支度を済ませ、お父さんと病院へ直行する。


「いやぁ、参った参った!おねぇさんびっくりだよ!」
最初このセリフを聞いたとき想像が当たったものかと冷や汗を垂らした。
実際は完全に向こうの過失みたいだけど。
「止まれって言ってんのに止まんないんだもん。業務上過失に業務妨害、スピード違反なんて馬鹿だねー。たはー」
何はともあれ元気そうだ。怪我も大したこと無さそうだし。
「いやぁすぐにお見舞い来てくれておねぇさん嬉しいよ。きよたかさんまだ来てくれないし。」
なんともフォローし辛い空気。ここは大人であるお父さんに任せて私は、
「ちょっと急いで来たしジュースでも買ってくるね」
と私は部屋を出る。部屋を出るときまるで捨て犬のような目をしたお父さんがこっちを見ている様な気がしないでもなかった。

自販機でジュースを買い。頃合を呼んで部屋に戻るとする。
そういえばこういう病院とかってフラグ立ちやすいよね。たとえばあそこの看護師さんとぶつかって・・・とか
あそこの部屋に入院しているであろう女の子と仲良くなって、あわよくば・・・なんて、現実には無いか。
と妄想を繰り広げながらその妄想の対象にした女の子に気づいた。
あの藤色のショートヘアー、そして幼いとも取れるトレードマークの黄色のリボン。
おそらく彼女だ。高校の時ずっと一緒でいつも遊んでた。
でもなぜここに?そんなことはどうでもいい。
大学に入学してからほぼ引きこもりと言ってもいいような生活を送っていた私だ。
久々に会えてすごく嬉しかった。
病室の名前を見て確信し、昂ぶる興奮を胸に病室に入る。
「ひさしぶり、つかさ!」

「あ・・・だr・・・あーっ!こなちゃんだ!こなちゃん!」
今誰?とか一瞬言おうとした気がしたが気にしない。
「つかさほんとに久しぶりだね。元気してた?」
「あ・・こ、こんなだけど一応元気だよ!」
そういえばなんで病院に?
「で、つかさはなんで入院してんの?こけたとか無しだよー?」
まるであの時に戻った様に話しかける。
懐かしい思えば毎日のように馬鹿見たいなことばっかり話してたなぁ
つかさはまるっきり変わってないし。私もちんちくりんなままだけど。
「・・・・き系の病気なんだって」
しまった懐かしい思い出が溢れ過ぎてつかさの言ったことが聞き取れなかった。
「どうしたのこなちゃん?」
「あ、ごめん。久々につかさに会ったらボーっとしちゃって、でなんの病気だって?」
「え、えっとじゅ、じゅんかんき系の病気なんだって」
循環器系?あまり聴きなれない言葉はよくわからない。
「へー、でも治るんでしょ?治ったらどこか遊びに行こうよ久々に。」
「う、うん、そうだねお姉ちゃんとも一緒にね」


そのときの私は嬉しさの余りちょっとしたつかさの動揺に気づくことが出来なかった。
もし気づいていることができたならもう少し私は彼女に何かできたかもしれない。
もっと一緒にいることが出来たかもしれない。
この時の自分を私は呪った。


それからずっと話し込んでしまった。
つかさのこと、もちろんかがみのこと。
積もる話がたくさんありすぎて一日では話しつくせないほど。
かがみも最近試験勉強で忙しくてなかなか来れないらしい。
つかさも寂しかったのかもしれない。私の話を熱心に聞いて適当に相槌を返してくれる。
「じゃあ最近かがみは忙しいんだ。家に行っても会えないね?」
「ずっと勉強してるから怒られちゃうかもね。」
「じゃあかがみに会うときは家に行かないとね久々につかさのお菓子食べないといけないしね。」
そんな他愛も無い話をしているとき、私の携帯電話が鳴った。
病院では電源を切らないといけないと思いつつも忘れてしまう自分が若干憎い。
着信相手はもちろんお父さん。すっかり忘れていた。
どこまで飲み物買いに言っているんだと怒られてしまったのでここで退散することにしよう。
本当ははゆい姉さんの見舞いで駆けつけたことの旨を伝え、つかさに約束した。
「また会いにくるよ、明日でもあさってでも」
「うん。こなちゃん待ってるね。」
そう言いつかさの病室を静かに出た後、全力疾走で元来たゆい姉さんの病室に戻った。


「おそーい!何してんのこなたー。」
ゆい姉さんが怒っている。そしてお父さんも怒っていた。
「こなたお前どこまで買いに行ってんだ!もう小一時間は経ってるぞ。それぐらいの時間お前を問い詰めt・・・」
まぁそんなお父さんの話なんか私の耳には入らない。
「なんだ?ニヤニヤしていいことでもあったのか?まさかお前看護婦さんと・・・」
この親あってこの子ありとはこのことだろう。同じ妄想をした少し自分が恥ずかしくなった。
それからちょこっとゆい姉さんと話をして帰った。
ゆい姉さんにはつかさもこの病院に入院していることを話した。
きっと話相手くらいなってくれるだろう。つかさも寂しいだろうし。
そういえばつかさにはこのことを伝えていないが気にはしない。
そうだ明日久々に大学へ行くついでに病院も寄っていこう。
面会時間はつかさ9に姉さん1で。
それに何かおいしいお菓子でも買ってってあげよう。
まだ話すことも山のようにあるしね。
そんな楽しい明日の想像をしながらの私の帰り道の足取りは非常に軽かった。


どんよりとした天気に異常なほどの湿気、蒸し暑さ。
いつもなら華麗に自主休講としゃれ込んで、
クーラーきかせて優雅にレア狩りと行くところだけど、今日は違う。
大学に行って帰りにつかさに会う為だ。もちろんつかさがメインだ。
家を出るときお父さんが、
「おまwww大学に行くのかwww」
とか言っていたのが少し癪に障ったが特に気にしない。

夏のような季節にもなるとこの満員電車のような缶詰状態の講義堂はとても蒸し暑い。
こんなに生徒がいたのかとまるで初めて出席したような反応をしてしまう自分に嫌気が差す。
それに出てなかったせいでもはや前で汗を拭きながら熱弁している教授の話はまったく分からないし、
90分という異常なまでの長さの講義に耐えられず折れてしまいそうな自分と戦いながらも、
なんとか今日の講義の全行程を終了した。
早足で大学を出て、バスに乗り込みつかさのいる病院へ向かう。
足取り軽く、なんとも清清しい気分。
まるで先ほどの蒸し蒸しが嘘のようだ。
そうだ、コンビニへ寄ってつかさのお菓子を買っていかないと。
つかさ用に甘いものだけをひたすらチョイスしていた。買った後ずっしりと重い袋を覗いてみると、
袋の中はまるで小さい子供にあげるようなチョコやら飴で埋まってしまっていた。


またバスに乗り、しばらくして病院に着く。
目の前にバス停があるのは便利だと関心しながら、受付を済ませてつかさの病室へ向かう。
ちょっとだけ足取りが重い。昨日会ったのになんだかものすごく緊張する。
お?今日は病室が閉まってるな。なおさら緊張してしまう。
毎日会ってた様な人間に会うのに緊張なんてするなと自分に言い聞かせながら、
勢いよくドアをスライドさせた。
「あーこなちゃん、今日も来てくれたんだー」
とつかさの第一声。その後すぐゆい姉さんの一声、「やっぱりここに来たか」と。
どうやらゆい姉さんにつかさのことを教えたのは正解だったようだった。
姉さんも結構暇を持て余していたので、おしゃべり相手にここへ来たようだ。
つかさも一応姉さんのことも覚えてくれていたみたいで、結構話は弾んでいる様子だった。
それからお菓子を食べながら3人で話す。
3人寄れば姦しいとはよく言うなあと思うほど盛り上がる。
夏になったらひさびさに海へ行こうとか姉さんがもちろん引率兼で運転していくよーと、
張り切る姿を横目につかさが苦笑いしていたのが面白かった。
こんなちょっとした反応で面白がるなんて昔はまず無かったのに、
久々故の反応の新鮮さ?というのが途轍もなく心地よく感じる。

どれだけ話し込んでいただろう。すでに太陽は鋭角を刻むまでに落ちていた。
そろそろ面会の終了時間だ。
名残惜しい気もするけど明日も来れるし、いいよね。
「もうこんな時間だし帰るよ。」
「明日もくるんだよねこなた?」
もちろんだ。一日しか経ってないけどまるで生きがいの様なものが感じられるし。
「じゃあ待ってるね、こなちゃん。」
バイバイと手を振り病室を後にした。


最近では毎日大学に行っては、帰りにつかさのところに寄るのが日課になっている。
ゆい姉さんとつかさと3人でお菓子を食べながら話すのが楽しくてしょうがない私。
近頃ではお父さんが、
「どうしたんだこなた?頭でもぶつけたかwwww?」
と大学へ行くたびに煽ってくるが全く気にしなくなってきた。
そして今日も今日とて病院へ赴く。
今日もお菓子も買ったし、ちょっと面白い話も仕入れたし、いつもの通り病室の前に来る。
少し雰囲気が違っていた。ちょっと騒がしい。
まさかの事態は考えたくも無いけど。嫌だ。つかさ。
ドアを思いっきり開けて叫んだ、
「つかさ―――!」

中では私の想像とは相反する人がいた。
もちろん嬉しい意味で。
「こなた?」
かがみだった。高校のとき私のツンデレ位置付けランキング3年連続№1に輝き続けた彼女だ。
きっと今年も№1。いわゆる私の嫁。
「かがみ!かがみん会いたかったよ!」
そう言うが早いか思わず私はかがみに飛びついていた。
「ええい!抱きつくなー暑苦しいから!」
と手で押し払おうとするが顔は綻んでいた。


「という訳なんだよ。」
私はつかさに会ってからの事の顛末をかがみに説明した。
一つの説明と言っても、私はかがみに自分なりにとてつもなく詳細に話す。
話の間間に姉さんが、
「あたしもいるんだけど。」「あたしの会いにくるためだよね!」とか相槌を入れてきた気がするけど気にしない。
そんな流れに乗って話は段々と盛り上がる。
かがみは試験勉強の合間に来て、たまたま私と会ったらしい。
つかさとかがみのお父さんも毎日来ているらしく、私が来ていることは事はお父さんから聞いているらしい。
いつも午前中に面会に来るからゆい姉さんも午前中はここに来るのを控えてるいるのも初めて聞いた。
姉さんなりに気を使っているのだろうと、不意に朝のことを思い出した。
「そういえば姉さん、いつ退院するの?つかさも」
若干空気が変わったような気がするが、もしかしてマズいことを聞いてしまったかと少し後悔した。
「えー?私はもうすぐだよ?うん」姉さんが答える。
「えっと私は・・・」つかさは言いづらそうだ。
ちょっと恥ずかしそうな表情を浮かべている辺りあまり深刻な病状ではないことを伺える。
だが妙に重い空気を打破しようと適当にフォローを入れようと思ったが、そこでかがみがそれに答えた。
「も、もうすぐよ、つかさも、ね、つかさ?」
「うん、だから退院したら一緒に遊ぼうね?」
えー私は蚊帳の外ー?と姉さんが言ったことでどうやら不穏な空気は払拭されたようだ。
「そうだお姉ちゃん。夏にね、こなちゃんとまた海行こうって話になったの
 それでね、お姉ちゃんも忙しく無かったら一緒に行こう?ゆいさんが連れてってくれるんだって」
まかせたまへーと姉さんが自分の胸をポンと叩く。
「行・・くわよ、もちろん行くに決まってるじゃない。あんたたちだけだったら心配だもん。」
少し言葉を詰まらせたようだったが余り気には留めなかった。
「じゃあ本格的に計画練らないとねー、オラほんとにワクワクしてきたぞ!」
久々に意気込んできた私。また熱い夏になりそうだと息巻いてたところで、
看護師さんがそろそろ面会終了を告げてきた。


一緒に帰らない?とかがみを誘ったが、
どうやらつかさの為に持ってきたものがあるとかなんとかで先に帰されてしまった。
でもこうやってかがみにも会えたし、私は満足して帰路に着く。
今年の夏水着何を着ようかな?とか海で何して遊ぼうとか楽しい希望に胸を沸かせながら。


あたしは久々にこなたに会えて嬉しかった。
こなたもすごく喜んでいたしすごく嬉しい。
けどその反面同じほどつかさの本当の病気を悟られるのが怖かった。
私は昔から感情が表情に、そして言葉へ表れてしまうタイプだ。
だからそれを読まれてしまうかもしれない、もしこなたが知ってしまったら・・・。

本当は勉強で来れないなんて嘘。
ただ知られるのが怖かったから。
「つかさ、こなたが本当のこと知ったらどうなるかな・・・」
つかさの肩をビクッと動いた。
「お姉ちゃんはこなちゃんに、教えるつもりなの・・・?」
これじゃあちょっとした脅しだ。
「違う違う、そんなんじゃなくて。でもいつまでも隠し通すのは難しいって思った・・・
 だってつかさは―――」
つかさは私の言葉を遮る様に答えた。
「大丈夫だよ。ちゃんとドナーが見つかれば移植手術できるって、そしたら、ね?」
「うん、うん・・・つかさ、つかさ・・・」
そうだ私が抱え込む恐怖なんてつかさに比べれば本当に些細なものでしかない。
それなのに私は・・・
「もうお姉ちゃん顔がくちゃくちゃだよ。笑ってた方が可愛いよ。」
なんて泣きながらつかさは言う。
「なんでつかさも泣くのよも。つかさの馬鹿。」
「じゃあお姉ちゃんも馬鹿だね、あはは」
泣き笑いする私達と、双子花のようなきれいな露のかぶった紫陽花を夕陽がやさしく照らしていた・・・。
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