ID:36vmEFw4O氏:らき☆すた~誘拐事件~

「…。」
現在メールを打っている。
宛先をアドレス帳から選ぶ。
宛先欄に『小早川ゆたか』の名前が載る。
『明日は日曜日だから、遊ばない?』
送信ボタンを押す。
そして1分も経たずに返信が来た。
『いいよ!10時くらいでいい?』
私は喜びに浸りなから返事をした。
『いいよ。』
そう送った。

「みなみちゃ~ん」
「いらっしゃい…」
「じゃあ叔父さん、帰りにまた、よろしくお願いします。』
「おう!楽しみなよ!」
どうやら泉先輩のお父さんにつれてきてもらったらしい。
ゆたかがお辞儀をしたのを見ると先輩のお父さんは満弁の笑みで走り去っていった。
「じゃあ上がって…」
「うん!おじゃまします!」

6時間が経った。
「あ、もうこんな時間だ…」
「4時か…帰るの…?」
「家が近ければもっと遊べたのにね…」
ゆたかの家は埼玉の端にある。東京からだと数時間は普通にかかる距離だ。
「家が遠いから仕方がない…また遊ぼうね…」
「うん。ごめんね。」
「見送ろうか?」
「いいよ、みなみちゃんの家の前で待つことになってるし…でもありがとう!」
ゆたかは笑った。微笑みながら…
「じゃままた明日学校でね!」
「うん…。」
ゆたかが手を振る。
私も手を振った、小さく。微笑むのは苦手だが微笑んだと思う。
そしてゆたかは外に出た。私も自室に戻った――。

それから15分ぐらいたったと思う。居間で一服していた時だ。

ピンポーン

チャイムがなる。母が出ると…
「あ、ゆたかを引き取りに来ました。」
「あ、はい。みなみー!泉さんのお父さんよ!」
私は首を傾げた。とりあえず出てみる。
「はい…。」
「あ、ゆたかはいる?」
「ゆたか…ですか?私の家の前にいませんか?」
「?いなかったが…」
電話のコールが鳴る。母が出たので気にはしなかった。
「ゆたかは私の家の前で待つって…」
「みっみなみ!」
母が慌てて来た。
「ゆたかちゃんが…ゆたかちゃんが…!とりあえず電話に…!」
先輩のお父さんはきょとんとしている。

「もしもし…」
『よぉ…岩崎みなみちゃん…?』
相手は何かで声を変えた人だった。私は察した。
「お前…誰だ…!」
『簡単に説明すると今日の朝のニュースの犯人…そしてお前の友人を誘拐した犯人だ…ヒヒヒ』
自称犯人を名乗る男が口にした朝のニュース…思い起こしてみる。心当たりはいくつもあった…
「朝のニュース…?」
『拳銃を盗んで逃走中のニュースさ…日曜の朝によくあるニュースだろ?』
「…ゆたかを返せ!」
『そうはいかないな…金が必要なんだ…声だけは返してやるよ…ほら!何かしゃべろ!』
『みなみちゃん!みなみちゃん!』
「ゆたか!」
『助け…うっ…!』
「ゆたか!!」
『気絶させただけだ…大騒ぎすんなって…』
「ゆたかは体が弱いんだ…!何かあったら…」
『だから誘拐したんだろ?』
私の心は怒りがわいた。
「お前…許さない…!」
『文句なら何度でもいえ。まぁ用件としてお前の家に500万を要求する。以上だ。もしまもらねぇ用ならずっとかえさねぇからな?放置すりゃあ死にそうだしな…ハッハッハ!』
電話が切れた。
受話器を戻す。
玄関を見ると母が途方に暮れてるだけだった。先輩のお父さんは居なかった…
「…」
静かに自室に戻る。
結局その日は夕飯も通らず、眠れず、自室で起きる事しかできなかった…
頭の中で自分の名を呼び、泣いているゆたかの声が何度も繰り返された。
「何で…ゆたかが…!」

バン!

自室の机を拳で叩くことしか出来なかった――。


今日は学校。
現在糟日部駅から降りた所だ。
しばらく歩くと見慣れた学校だ。
すると同じ学校、近所で先輩の高良みゆき先輩がいた。その周りには柊かがみ先輩、柊つかさ先輩、そして少し後からゆたかと同居している泉こなた先輩が歩いていた。
「あの…」
「あ…みなみちゃん。昨日はゆーちゃんがお世話に…」
「あの…すみませんでした…」
私は泉先輩に頭を下げた。
「え…あ…」
「私がちゃんと最後まで側にいたら…」
「でもみなみちゃんが悪い訳じゃ…だから…頭上げて…」
「はい…」
「実はかがみ達にはまだ言ってないんだ…だからまだ大事にはしないで…」
周りを見ると3人の先輩方がこちらを見ている。
「分かりました…」
「じゃあ学校…一緒に行こっか…」
私は頷いた。今日の泉先輩はいつもの泉先輩じゃ無い。当たり前だけど…
とりあえず3人の先輩達には疑われたが、泉先輩が話を適当にそらし終わった。そして学校に向かう。

私は教室に着いた。時計は8時15分を指している。
HRの15分前だ。クラスメートはほぼ集まっている。
そしてあの子がもう学校に着いている時間。ゆたかの席を見る、が、いない。
あの悪夢は本当だったのか…ぼんやりとは覚えている。認めたくは無い。
しかし本当と認めざるおえなかった。噂が広まって無いのは有り難かった…。
「岩崎さん、考え事?」
田村さんが話かけて来た。
「小早川さん、遅いね?いつも一緒なのに今日はどうしたの?」
「え…」
何気ない一言。返答に困る。
「ごめんごめん。知らないはずだよね。」
自分の性格上か田村さんには『知らない』と認識された。本当の事を言いたくても言えない…とても辛かった。気付くと時計は8時25分だった。

チャイムが鳴った。
しかし先生が来ない。

ガラララ
バタン

そして8時37分。ようやく先生が来た。
「ではHRを始める。号令!」
「起立!礼!」
「おはようございます!」
いつも通り始まった。そして点呼が始ま…
「まず、重大な悲しいお知らせがある。」
私が予想していたのとは違う先生からの第一声だった。それと同時に一瞬で私の体は凍り付いた。

先生は話を続ける。
「非常に言いにくいが、小早川さんは停学でも退学でもありません。」
クラスが少しざわついた。
「誘拐されました。」
きっぱりと発言した先生。驚く生徒。その中で私が唯一驚けなかった。
「ティーチャー!イマ、ユタカはドコデスカ?」
パトリシアさんが質問したが、『知らない』の一言で返された。
結局それが伝えられただけで、出席確認、今日の予定が伝えられ、無情にも他の生徒に疑問が残ったまま終わった。
今日は緊急で全校集会を開き、その後一時間のみ授業をして下校するという事になった。
全校集会では私達以外のクラスも聞いていたようで、特別ざわつく事も無く終わった。

そして授業も終わった。
「明日は二時間のみ授業を行う。下校は今日と同じだ。後、まだ犯人は逮捕されていない。外では遊ばないように!岩崎は放課後会議室に来るように。以上。」
「起立!礼!」
「さようなら~」
私は荷物を持ち、会議室に向かおうとした。
「岩崎さん。」
「田村さん…」
「辛いだろうけど頑張ってね。」
「ユタカニツイテ、ナニカワカッタラコッソリ、ツタエテクダサイネ!」
「うん…でもごめん二人共…知ってたのに言えずに…」
「いいって!それより会議室にいかなきゃ…」
「うん…じゃあ…さよなら…」
「さよなら~」
「グッバーイ!」
二人に別れを告げ、会議室に向かった。

私が会議室に着くと、先生、泉先輩とお父さん、眼鏡をかけた婦警さん、そして私の父母が来ていた。
空いているパイプ椅子にとりあえず腰を下ろす。
「では始めます。」
婦警さんの一言で始まった。
「今回の事件を主に担当する、埼玉県警の成実ゆいです。よろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします。」」
「事件発生時刻は昨日、7月20日の4時15分頃。岩崎さんのお宅で、長女のみなみさんと遊び終わり、岩崎家の前で待っていて帰宅途中の小早川ゆたかさんが何者かに連れ去られた。」
静かに耳を傾ける。
「その直後、自称犯人を名乗る男から泉家、岩崎家、埼玉県警、それぞれに金額、100万、500万、600万を要求。そして4時30分、泉家と岩崎家から通報。4時45分に『女子高生誘拐事件』として捜査本部を設置し、現在に至る。」
私は昨日の事を思い出した。
「電話の発信場所は東京ですが、同時刻にそれぞれ同じ内容で来たので3人か、それ以上のグループまた、拳銃を奪った事件の同一犯と推測。以上ですが、何か他に情報はありますか?」
「特に無いです。」
泉先輩が答えた。
「私も…無いです…」
同じく私も答えた。

「分かりました。今日は確認だけなので、また新たに分かりましたらお伝えします。お疲れさまでした。」
ペコリ、と皆が頭を下げた。
すると、泉先輩がこっちに来た。
「あの後ゆーちゃんから連絡あった?」
「無いです…でも…泣いてました…」
「そっか…」
「大丈夫だよ!二人共!」
振り向くとさっきの婦警さんだった。
「とりあえず私も出きるだけこなたの家に居てあげるからさ!それにゆたかは絶対に取り返すから!ね?」
「うん…姉さんありがとう。」
「なら私…泉先輩の家でゆたかの帰りを待ちたい…」
「え…?」
「後悔してるから…あのとき…ゆたかの側にいてあげなかったの…」
「みなみちゃん…」
「俺は構わんが…みなみちゃんのご両親には伝えたのかい?」
いつの間にか先輩のお父さんがいた。

「いえ…では話してきます。」
その後、ゆたかが帰ってくるまで居候する事になった。
親は『婦警さんもいるし、そんなに友達思いなら行ってきなさい。』という事であっさり許可をしてくれた。
教科書を取りに親の車で一度戻り、その後、泉先輩と先輩のお父さんが迎えに来てくれた。
「じゃあ暫くお預かりします。」
「では宜しくお願いします。」
そして私も車に乗った。
「すみません…こんなわがままを…」
「いいって!きっとゆたかも喜ぶぞ!」
「暫くよろしくね。みなみん。」
泉先輩が恥ずかしいあだ名を付けた。まずい、顔が赤い。
「まぁ、みなみちゃんには辛いかもしれないが、暫くゆーちゃんの部屋を使ってくれ。生憎部屋が無くて…」
「分かりました…」そうして私は泉家で一夜を過ごした。


7月24日。泉家。
私も大分なれたと思う。泉先輩とお父さんは気軽に接してくれたし、婦警さんの成実さんとは意外にも仲良くできた。
そして何よりもゆたかの部屋を使ってる事や学校で田村さん、パトリシアさんと会話する事で精神的に落ち着く事も出来た。
が、完璧に落ち着ける訳でも無く、特に夜に一人でいる時はゆたかの事を考えてしまう。私は一人の時が落ち着けて好きだったはずなのに…
理由は簡単だ。陵桜に来て初めて学校が楽しいと思えてきた。その大半がゆたかとの触れ合いだと思う。田村さんとパトリシアさんとの触れ合いもそうだ。
でも改めて考えるとゆたかが一番接してくれたからこんなにも考えてしまうのだと思う。
私は寝間着から制服に着替えた。寝間着は泉先輩のお父さんから拝借している。
ふと携帯を見ると、『WIN』のロゴマークが光っていた。メールが届いてる証拠だ。
「…」
私は携帯を開いた。

【新着Eメール有り】
「…?」
受信ボックスを選択、その後4つのフォルダがあるがメインフォルダを選択する。
宛先には小早川ゆたかの名前。
「…!」
メールを開く。
『明日、7月25日、現金の受け渡しを要求。警察と共に岩崎みなみと泉こなたを連れて埼玉県警前にて行う。現金はトランクに詰める事。大人は警察以外は認めない。以上。』
拳銃と顔色が悪く、縛られて泣いているゆたかの写真と共にそんな本文が送られ来た。
「くっ…!」
もう連絡するのなら何でもいいのだろう。
それよりも知らせなくてはならない。

まずは、急いで隣の泉先輩の部屋に入った。
「泉先輩!」
「ん?みなみちゃんおはよー。どしたの?そんなに慌てて…」
「これ…!」
携帯を泉先輩に突き出した。即座に文を目で読み始める。
「これって…!」
読み終わった時には既に先輩の目が変わっていた。
「私はゆい姉さんに連絡するから、みなみちゃんはお父さんと学校に連絡して!」
「はい…!」
すぐさま行動に移った。まずは先輩のお父さんに連絡するために一階に降りた。

「叔父さん!」
「おぅ!みなみちゃんおはよう!」
「それよりもこれを…!」
先程と同じように見せる。
「この写真…一刻も早く助けなきゃまずいな。学校とゆいちゃんに連絡を…後、みなみちゃんのご両親にも…」
「いえ、成実さんには先輩が連絡してます。学校には自分で…」
「なら自分かこなたの部屋に居なさい。学校にも叔父さんがやっとく。みなみちゃんは落ち着くんだ。こなたにもそう伝えなさい。何事もテンパってたら出来ないだろ?」
「…分かりました。」
「ここまでありがとな。ゆーちゃんの為に…」
「あ…いえ。当然の事です…///」
誉められる事が苦手な私はこんな時でも赤面してしまうのか…と自分に呆れた。
とりあえず私は素直にゆたかの部屋に戻った。

しかし一人になる事でさらに不安になった。
しかも余計に考えると考えたくも無い事が次々と浮かんでしまう。
『かはっ…!』
病弱というだけで吐くゆたかが浮かんでしまう。
(考えたくもないのに…!)
体育座りでうずくまる私…その時あの写真に拳銃が写ってた事を思い出してしまった。

バン!

『はうっ…!』
『ゆたかぁー!』
(駄目だ…考えちゃ…)

自然に涙が出てきた。
「…?…泣いてる…」
気付けば私は精神が自分の想像以上にボロボロだったのかもしれない…
自然に泣き声が出てしまう…
押さえようとしても完全には押さえられない。
「みなみちゃん?」
「…泉先輩?」
泣いてる顔を見られた。でも恥ずかしいとは思わなかった。何かに甘えたいという感情かもしれない。
「大丈夫だよ…ゆーちゃんは強い子だから…みなみちゃんも良く頑張ったよ…」
先輩が私の頭を宥めるように撫でてくれた。とでも嬉しかった。私は先輩に抱きついて泣いた。先輩は私が落ち着くまで一緒に居てくれた。まるで母親の様に…。

その数分後、成実さんが来た。涙を拭き取って下に降りる私達。
「事情はお父さんから聞いてるよ。携帯のメール…見せてくれるかな?」
携帯を渡す。成実さんの手が震えている。
「…ありがとう。」
そして一つ間を置いた。
「おじさん。今日はこの二人を休ませて下さい。危険なので。もちろんですがお金は用意しなくていいです。こっちでダミーを用意してるので。」
「うむ、分かった。」
「後、二人共明日は犯人の要求どおり、貴女達を連れていくから…」
「うん(はい。)。」
私達は答えた。

その後、成実さんは私の両親の所に行った。さっきの事を伝える為だろう。
「まぁ今日はずっと二人で行動した方がいいだろう。寝る時も風呂の時もな。」
「分かったよお父さん。行こ、みなみちゃん。」
「あ…はい。」
その後、私達は先輩の部屋にもどり雑談をしたり遊んだりした。そのお陰で大分落ち着いたと思う。
そして今日は早めに寝る事にした。
「失礼します。」
「あ、気にせずどーぞどーぞー。」
今は先輩のベットの中だ。先輩の体が小さい為か私が入っても十分だった。
その日はいつもより早く眠れそうだ。そして一夜を過ごした。


次の日。私は起きた。時計は6時21分を指している。まさに今日は決戦の日とも言える日だろう。
「…みなみちゃんおはよ~」
「…おはようございます…起こしてしまいましたか…?」
「いやいや~今日は寝ていらんないよ~。絶対ゆーちゃんを助けようね!」
「はい。」
そう…助け出す。今日は死ぬ覚悟で…
1時間くらい経った。成実さんだ。
「本当は俺も行きたいんだがな…ゆいちゃん、ちゃんと守ってあげなよ。」
「分かってます…絶対にゆたかを連れて帰りますから…」
出かける前に先輩のお父さんと成実さんはそんな会話をしていた。

そして私と先輩は引き渡し場所である、埼玉県警の門で待機している。
成実さんは後ろで自分の部下に指示をしていた。
私達も軽い説明を受けた。私たちも今回に限って『協力』という形で、ゆたかを助ける役を任された。
「ゆい姉さん…本当は交通安全課なんだ。」
「え?」
意外だった。今までこの事件の担当者なのだから、誘拐事件を担当する課なのかと思っていた。
「多分、ゆい姉さんは上司に頭を何回も下げたんだと思う。この事件だけは自分で救いたいんだよ…」
「私たちもかんばりましょう…」
「そうだね…みなみちゃん。」
私達はダミーのトランクを持った。中身は石。もちろん重いのと軽いのがある。

しかし一つ気になる事があった。
犯人からの連絡では時間が設定されてなかった。
つまりはいつ来るか分からないのである。時間が延びれば集中力と体力が消耗される。しかも夏だ。熱中症だってありえる。犯人とは持久戦となった。
時刻は9時30分になった。朝食を取らず家を出てきていた。空腹のせいで集中できなくなる。

グー…

「お腹…すいたね。」
「…。」
コクりと頷く。
これではまるで戦争中の会話だった。
後ろを向くと警察官は何も食べていない。さすが、と言った所だろう。

結局、我慢する事にした。こんな事に負けてはゆたかを助ける事なんて出来ない。
「…泉先輩。あれ…」
時刻は11時24分。ワゴン車が私達の前で止まった。
「あれだ…!あれにゆーちゃんが…!」
「用意周到だな。」
中から誰かが出てきた。見た目は不良高校生という感じの10代後半だった。それが5人も…
そしてそのリーダーらしき20代後半の男が拳銃とゆたかを引き連れて下りてきた。
ゆたかは手を縄で縛られているだけだった。しかし誰がどう見ても衰弱していた。こちらを見つけたが叫ぼうとしない。
「んじゃ…渡して貰おうか…」
私たちはダミーのトランクを持った。
相手からは部下の内の二人が取りに来た。警察が構える。

「うおっ…!」
トランクを渡した瞬間、石の重みで二人のバランスが崩れる。
「確保開始!」
成実さんの号令で警官が一斉に動いた。
異変に気づくリーダー。
「こいつらぁ…!」
私たちを睨む。そして拳銃をゆたかの頭に向ける。
「てめぇら!こいつを殺すぞ!いいのか!」
怯えるゆたか。再び警官の動きが止まった。
確保された二人の部下以外は警官に殴りかかり、必死に受け身を取るしかできない警官。ニヤリと笑うリーダー。

しかしその直後、犯人の持っていたリボルバー式の銃が吹き飛んだ。地面に落ちた衝撃で暴発し、ワゴン車のタイヤから空気が抜ける音がした。
「!?」
「警察をなめないで欲しいね…」
成実さんだ。構えてるのは明らかに真新しい物だった。犯人の銃とは違う。私はこれを好機と見た。
「ゆたか…!」
私は犯人にタックルを食らわした。
それと同時にゆたかが犯人から離れ、先輩が即座に受け止める。警官と犯人の攻防戦が再開した。
「このアマっ!」
殴りかかってくる。さすがに力が強く、腕で守るがヒリヒリと痛む。しかもよろける。
「あっ…!」
「もらった!」
蹴りが来る。防御は不可能だ。

すると泉先輩が目の前に飛び込んで攻撃を受け止めていた。
「大丈夫?こいつは任せて早くゆーちゃんのとこに行ってあげな?」
「…ありがとうございます。」
私は成実さんに保護されたゆたかの元に駆け寄った。
「成実さん!」
「みなみちゃんご苦労様。ありがとねさっきは。突っ込むタイミングバッチリだったよ!」
「いえ…とっさに体が反応しただけです…」
「まぁ…ゆたかは任せるね。私は指示を出さなきゃいけないし。」
「はい…。」
私はゆたかと向きあった。
「みなみちゃん…」
か細く、弱々しい声だった。
「もう大丈夫だよ…ゆたか…」
私はその体を抱きしめた。ゆたかが泣いているのが分かった。

そしてそのまま先輩のいる方向を向いた。犯人はリーダー格の男以外は確保され、署内に連行された。
警察官数名が居るが二人の戦闘に介入できず、困っていた。それは指示を出している成実さんも同様だった。下手をすれば先輩を押しつぶして怪我をするかもしれなかった。
「くっ…こんな小学生みたいな奴に…」
「…」
何一つ喋らない先輩。目がいつもと違う。
「なめんなぁ!!」
犯人が殴りかかる。しかし易々と避ける先輩。
小さい体を生かし、みぞおちに一発。呻く犯人の腕を取り、その巨体を背負い投げで決める。最後に弱って伸びる犯人に手刀を食らわせ気絶させた。
こうして犯人は確保された。
先輩は満弁の笑みでピースをしていた。

その後、私達は警察署で昼食を食べさせてもらえる事になった。
ゆたかも、時間が経てば治るだろうということだった。
警察署のとある別室。私達の前に弁当が並べられる。
「ゆい姉さんは食べないの?」
「私は仕事があるからね~。それにしてもこなたとみなみちゃんにはお姉さんびっくりだ!」
「私は大したことないよ…元々お父さんに習ったのが役に立ったし…」
「こなたお姉ちゃん、格闘技ならってたんだ~」
「まぁね~。お父さん直伝だけど…それにしてもみなみちゃんかっこよかったよ!」
「あ…いえ…///」
普段慣れない誉め言葉に赤面してしまう。

「でも本当にかっこよかったよ!助けてくれてありがとう、みなみちゃん!」
満弁の笑み。私は少しドキッとした。
「ゆたかも…無事でよかった…心配だったから…」
その場面を先輩がニヤニヤしながら見ていた。成実さんはいつの間にかいなくなっていた。
「いや~百合ですな~。こうして見てると恋人同士みたいだね~。」
「なっ何言ってるのさ!こなたお姉ちゃん!」
(私とゆたかが…恋人…)
「///」
「ん~?じゃあゆーちゃんはみなみちゃんが嫌いなのかな?それにしても二人とも同様しすぎ…」
クスクスと笑いながら先輩が言っている。
「べっ別に嫌いじゃないよ!友達として…好き…だけど…」
「私も…友達として…好き…」
「お似合いですな~。そうだ!今日はかがみ達とかみさお達、あとひよりん達を呼んでパーティしようよ!」
「うん!そうしよう!お姉ちゃん!」
「…」
私もコクりと頷く。
「よーし!きっとお父さんも喜ぶぞ!」

私は思う。この日が来てよかったと。そして願う。いつまでもこの楽しい日が続くようにと。そして決めた。これからの思いでを作り、楽しみ、そして大事にしていこうと…

らき☆すた~誘拐事件~
~完~
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。