こな・スクリーミング・ショウ

目を覚ますとそこには異様な風景が広がっていた。
「え・・・こな、ちゃん・・・」
まず視界に飛び込んできたのが、逆さにしたテーブルに、手足を括り付けられた親友。それも裸だ。
次に辺り一面が真紅に染まっているのに気づいた。――気のせいか妙な臭いがする。
「ひ、ぅ・・つかさ・・・逃げて・・・」
「え・・・」
感覚が甦ってくると同時に、もう一人、そこに誰かが立っているのに気づいた。
「ひ・・」
ソレはいつも見る明るい彼女・・・。しかし・・その彼女は・・そこに縛られているではないか・・。
しかも・・よく見ると・・・。
「ヒッ、ひぃぃっ、嫌っ、嫌ぁぁぁああぁぁあ!!!」
『彼女』の目玉は限界を超えて飛び出し、体は腐敗してるのかブヨブヨになり、血と蛆が湧き出していた。
あまりの恐怖に膀胱は緩み、小水が噴き出した。
「う、ああ・・嫌ぁ・・」
「う、う・・つかさ・・」
逃げたくても逃げれない。よく見ると自分の手足も括り付けられて動くことができない。
「いきなり失礼な娘ネ!人の顔を見テ叫び声ヲ上ゲるなんテ!どうイう教育受けテるのカしら!」
生きてる・・ソレは・・れっきとした生きてる人間なのだ・・。だからこそ恐ろしい。
「う、お母さん、やめて・・」
お母、さん?・・・頭が混乱する。確かこなちゃんのお母さんは、かなり前に亡くなったのではなかったか?
「うルさい子ネ・・コなた。オ母さンはお前のタめを思ってヤってるんだヨ?」
ボグッ!
いきなりのことですぐには理解できなかったが、こなちゃんのお母さん?がこなちゃんのおなかを殴った。
「ぐええぇっ!?」
こなちゃんは嘔吐し、吐しゃ物は、彼女の小さな体に降り注いだ。
「えっ、ちょ、ちょっと、やめてください!お、おばさん!?やめてください!」
頭が混乱し、まともな会話など出来なかったが、いくらなんでも嘔吐するほどおなかを殴るなんて酷すぎる。
「人ンちの教育ニ口出しシするモんジャアリマセンっ!。あなたもあアなりたイの?」
ぶるっ、と震えがくる。私は・・私は殴られたりなんて嫌いだ。ましてや嘔吐するほど殴られるなんて・・想像できない。
「こなた・・ちょッと私がいなイ間にあんナ生活ヲ送っているなンて・・オ母さんは失望しましタ!今日は徹底的に再教育シテあげるワ!」
歯が抜けた口をパクパクと振り回す。その度に何かが飛び散り、臭いが酷くなった。
「つかさサンッ!アナタッ!このコのクラスメートなんデすって!?この子がッ!二度トこんな風にならナイように見届けてチョウダイッ!!」
言い終わるや否やこなちゃんのアソコに拳大程の電動マッサージ機をこじ入れた。
「ギっ、ギィィイィ??!やアぁぁぁアぁぁっ!!!?」
「ヒッ・・も、もう、嫌ぁ・・」
当然のごとくアソコは裂け、血が噴き出す。
こなちゃんの小さな体では限界を超えすぎていたのか、裂傷が大きく体表を走っていた。
「こなたッ!あなタ、毎日オ○ニーシテタでしョッ!!?お母サンは見てマしたよッ!!」
電動マッサージを乱暴にいじくりまわす。その度にこなちゃんの秘部から血が噴き出した。
私は・・私達は一体何をやっているんだろう・・。何で・・こんなことになっちゃったんだろう・・・。
「こんナ子に育っテ!・・・教育を任せタあノ人にモ後で責任を取っテ貰おうカシラ・・!?」
「・・・えっ、そ、そんな・・。お母さん、お願い、やめて!お父さんは・・お父さんは何も悪くないよッ!悪いのは私・・私だけだから・・」
「オ黙りッ!!親に口答エするとは何事でスっ!」
ゴッ
今度はこなちゃんの可愛い鼻を折っちゃった・・。こなちゃんは何事か叫び、続いて噴水のように鼻血が飛び出してきた・・・。
こなちゃんのお母さんのヒステリー?はますます激しくなり、腐っているはずの体に無数の血管が浮き出してきた。・・いや、もしかすると肉の中に蛆が入り込んだだけかもしれない・・・。
「ぅ、う~~、お姉ちゃん、助けて、怖い、怖いよ・・・」
非情な私の心は、こなちゃんのことよりも、この恐怖、そして命惜しさに波立っていた・・。ごめん、ごめんね、こなちゃん・・。
「アなたの汚い心を清メルにはコレが一番なのヨ!!さァ、ケツを上げナサイッ、サァ、早クッ!早グッ!!?」
いつの間にか手にはホースを持っており、こなちゃんのお尻・・という言葉から、ソレの使用方はなんとなく察しがついた。
当然のごとく、ホースをお尻の穴に無理矢理差し込み、一気に水を流し込んだ・・・。
見る間にこなちゃんのおなかは妊婦さんのように膨らみ、口からは水が少しはみ出していた。
「う、うげ、うげえぇぇえ・・」
こなちゃんの口からは・・腸の中のものが混じっているらしく、焦げ茶色の水が流れてきた。それが先程こぼれた嘔吐と混じって、こなちゃんの体を汚した・・。
「お、お姉ちゃん!」
「――コラッ!!!?ナァに目逸ラシてンのッッ!!?アナタがッ!見ナキャ駄目ナノよッッ!!!」
ぱぁん
・・・ぶたれた。
痛かった。痛かったけど・・・こなちゃんの惨状に比べると、まるで現実味がなかった。
「サァ!モウ一度洗い流シまショウ!」
「う、うげっ」
こなちゃんのおなかが膨らむ。・・・そして吐き出す。膨らむ。吐き出す。膨らむ。吐き出す。
そのうちメリメリッと音がするとこなちゃんが絶叫をあげた。おそらく・・おなかの中の何かが破れちゃったんだ・・。
     「つ、つか、つかさ!」
    呼ばれてビクッ!とする。今私は・・こなちゃんを見殺しにしている。きっとこなちゃんは私を責める気なんだ・・。
    でも・・どんな汚い言葉で罵られても、仕方がない。拒否する権利がない。甘受するしかないんだ・・・。
    「つかさ・・お、お願い、聞いて・・・。わた、私、多分、こ、これから死んじゃうけど・・き、気にしないでね・・。これは、無理だよ・・。
    で、でさ・・みんなに適当にごまかしといてくんないかな?み、みんな・・みんな不安になっちゃうからね・・。
    ゎ、わた、私、し、しし、死んじゃうけど・・できれば・・わ、私のし、した、死体、見ないでくれるかな?お願い・・・」
    「うっ、うぇっ、こな、ちゃぁん・・・」
    そして唐突に・・・その最期の言葉を胸に、私は気を失った。


    ―――目を覚ます。むわっとした臭気に喉をつまらす。魚を捌いた時とは比較にならないほどの血生臭さ・・・。
    どうしたのだろうと辺りをぼんやりと見回すと、そこは見慣れた真紅色。
    ・・・そうだ、私どうなったんだ・・・こなちゃんは・・・。
    完全に意識を取り戻すと、私は絶叫した。
    こなちゃんが・・破裂していた。体を覆っていたおなかは完璧に破れ、中に詰められていた臓器はだらしなく垂れ、その量の多さに生前の面影はなかった。
    よほどの恐怖と苦痛だったのだろう。こなちゃんの目は今まで見たことがないほど開かれ、片方は半分出かかっていた。
    「こ、こな、こな、た・・・」
    歯がうるさいほど鳴る。体は毒に侵されたかのように痺れがとまらない。縛られてるとはいえ、それ以前に動けない。
    くちゃくちゃと音が響く。・・・こなちゃんのお母さんはこなちゃんを食べていた。臓器を、一つ一つ、丁寧に、洗いながら。
    ・・そして振り向いた。私が起きたのに気づかれてしまった。一歩、また一歩と歩を進めてこっちに近づいて来る・・・。
    ――絶叫。私は二度目の眠りについた・・・。


             ―――そして数ヵ月後。―――
    「つかさ、入るわよ~?」
    つかさがここに入院してからどれほど経ったのだろう。皆、それぞれの悲しみを乗り越え、自分の生活に戻っていったというのに、この子だけはそうじゃなかった。
    ・・無理もない。つかさは・・あの陰惨すぎるほどの現場を全て見てしまったのだ・・・。何があったのか?犯人は誰なのか?皆聞きたいことはたくさんあったが、つかさは決して口を開かない。
    「つかさ、リンゴ剥くね・・」
    つかさは肉を食べなくなった。肉を見るだけで嘔吐してしまう。・・私は・・現場や遺体を見てないが、この子がどれほどの地獄を見たのかこの状態を見れば想像に難くない。そして・・こなたも・・。
    こなたの遺体は・・あまりに損傷が激しかったらしく、こなたに直接お別れを言うことができなかった。そして・・風の噂によると、遺体は、所々部位が足りず、ある所は歯で食いちぎられた形跡があったという。
    こなた・・・つかさ・・・もう少しだけ待ってて。私が・・私がヤツの時効までに絶対に引導を渡してあげるから・・。あなた達を・・踏みにじったヤツに相応の報いを与えてあげるから・・。
    ―――そして翌年、私は警察庁の採用試験に受かった。
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