ID:sSqYstI0氏:約束(ページ1)

 今日は学級委員会の会議があった。今日の会議は事の他時間がかかった。最近学校内の規律が乱れていると言うので先生から特に注意があった。
かがみ「みゆき、帰ろう」
みゆき「すみません、書類を纏めるのでもう少し時間がかかりますので、お先にどうぞ」
かがみ「大変そうね、手伝うわよ」
みゆき「ありがとうございます」
私はみゆきの隣の席に座り書類を纏めるのを手伝った。どのくらい時間が経っただろうか。珍しくみゆきの方から話し出してきた。
みゆき「……今日の議題の事なんですけど……」
かがみ「議題って?、ああ、規律が乱れてどうのこうのってやつね、私達のクラスは関係ないでしょ」
みゆき「……そうですね……」
歯切れの悪い返事だった。
かがみ「どうしたのよ、何かあるなら話なさいよ」
みゆき「最近、隣町の高校の不良グループと組んで恐喝等をしている生徒がいるらしいです」
かがみ「何よそれ、それはもう規律以前の問題ね、犯罪よ、退学は免れないわね」
みゆき「何かの間違えならいいのですが……」
かがみ「それにこしたことはないわね」
みゆき「生類整理終わりました、かがみさんのおかげで半分の時間でおわりました、ありがとうございました、しばらくしても来ないようでしたら
     先に帰ってもいいですから……」
みゆきは纏めた書類をかき集めると急ぐように職員室の方向に向かっていった。私は挨拶の声をかける事も、質問の答えも聞く間もなかった。
私は会議室を出て校門でみゆきを待った。しばらく……三十分くらいは待っただろうか来る気配がなかった。先生につかまって別の用事でも頼まれたのか。
みゆきの様子が少しおかしいから相談にのるつもりだったけど、明日でもいいかな。

 帰りの途中だった。駅を降りてしばらくするとつかさの後ろ姿を見かけた。買い物にでも来たのかと声をかけようとした。しかしその場で私は止まった。
そして建物の陰に隠れた。つかさの回りに数人の男が付いてきている。誰だろう。制服から判断するに隣町の高校生?。つかさ達は私の隠れた
建物を通り過ぎて行った。男子生徒はどうみても品が良いとは言えない。私はそのままつかさ達を追った。

 郊外の公園でつかさ達は止まった。公園の中央でなにやら楽しそうに話している。すると一人の生徒がつかさに煙草を渡した。つかさが煙草を銜えると
もう一人の生徒が透かさずライターで火を点けた。煙草を吹かし、つかさの口から煙が出る。その風格は女番長といったところか。
何で?。私は何を見ているのか。あれはつかさなのか?。いや、どうみてもつかさ。髪型。リボン。顔。何をとってもつかさそのもだった。このままつかさの
所に行って『何をやってるんだ』と問い質したいところだがそんな雰囲気じゃない。つかさは男子生徒達に言い聞かせるようになにかを話している。
煙草を吸い終えるとつかさは公園を離れてまた駅の方向に歩き出した。それに従うように男子生徒達が後を追いかけた。
私はそれ以上つかさ達を追わなかった。何か悪夢を見たような光景だった。ふとみゆきの言った事を思い出した。
まさか……つかさが。つかさはそんな事をするような子じゃない事は私が一番知っている。他人の空似。そうだ。きっとそれだ。

かがみ「ただいま」
家に着いて辺りを見回すとつかさの姿が見えない。
かがみ「お母さん、つかさは帰ってきたの?」
みき「一緒じゃなかったの?、つかさはまだ帰ってきてないわよ」
おかしい。今日、こなたはバイトと言っていた。つかさが寄り道をしたとしても私より早く帰ってきてるはず。
みき「かがみ、どうしたの?、つかさがどうかした?」
かがみ「いや、何でもない」
そのまま私は自分の部屋に向かって着替えた。

 机に向かって勉強をしていたがどうも集中できない。公園のつかさの姿が頭から離れない。他人の空似にしても似過ぎている。私が間違えるくらいだから
他人が見たら区別できるはずもない。誤解が生じてつかさに疑いをかけられたら……。
つかさ「ただいま」
つかさが帰ってきた。私は急いで玄関に向かった。そしてつかさの姿を見た。つかさは制服の姿だった。そういえば公園で見たつかさの着ていた服は
私はみたことなかった。とりあえず私はほっと胸をなでおろした。
かがみ「おかえりつかさ、遅かったじゃないの、何していたのよ」
つかさ「……何でもない…よ」
つかさそのまま自分の部屋に入ってしまった。いつもなら自分の身に起きたことを恥じらいもなく私に話してくるに。
つかさは夕食の時まで部屋を出ることはなかった。

 夕食を終え、私は自分の部屋で読書をしていた。ドアをノックする音がした。
つかさ「……遊びに来たよ」
つかさは漫画の本を持って私の部屋に入ってきた。そしていつものようにベットを背もたれにしてその漫画を見出した。

 何気なくつかさを見た。公園で見たつかさと同じだった。それだけに公園での行動が頭から離れない。私はつかさの前に立ち、漫画を取り上げた。
あの公園のつかさが本当につかさだったら姉として放ってはいられない。
つかさ「お姉ちゃん?、どうしたの?」
不思議そうに私を見つめていた。まるでおやつを取り上げた子供のようだった。公園のつかさの表情とのギャップに戸惑った。
かがみ「つかさ、学校から家に帰るまで何をしていたの?」
私は単刀直入につかさに言った。
つかさ「何をって、何もしてないよ」
かがみ「何もしてないって事はないでしょ、会議をしてきた私よりも遅く帰ってきて」
つかさ「えっと、だから……何でもない……よ」
俯いてしまった。何かを隠しているようだった。私はつかさに公園の出来事を話した。つかさは驚いて私を見た。
つかさ「……そんなに似てるんだ、凄いね」
かがみ「似てるなんてレベルじゃなかったわよ、つかさそのものだった、あれじゃこなたやみゆきどころか家族だって区別つかないわよ」
つかさ「……まさかお姉ちゃん、その公園の子が私だって言いたいの?、私が煙草なんか吸うわけないよ、それに男の子を従えるなんて……」
かがみ「だから私は聞いたの、帰るまで何をしてきたのか」
つかさ「それは……」
つかさは口をつぐんでしまった。これじゃ公園の子は自分だと言っているようなものだった。
かがみ「私には話せないことなの?、これじゃ私はつかさを信じてあげることはできないわよ……今日、議題になったんだけど、うちの生徒が
     他校とつるんで恐喝している事件が多発しているそうよ、このままだとつかさ、疑われるわよ、それでもいいの」
つかさ「お姉ちゃんは私を疑ってるの?」
かがみ「今のつかさがそんな態度ならね」
私はつかさに近づきつかさと目を合わせた。つかさは目を逸らそうとはしなかった。
つかさ「それじゃ信じて、私はそんなことなんかしてない、出来るわけないよ」
かがみ「それなら何故何をしてきたか言えないの、何をしてたのよ、簡単なことじゃないの、私の疑いを晴らさせてよ!」
声をすこし荒げた。
つかさ「信じて……」
つかさは私が取り上げた漫画の本を受け取るとそのまま自分の部屋に戻ってしまった。すこしきつ過ぎたかな。

 『信じて』とつかさは言った。その時の目は嘘を言っているような目じゃなかった。私の目をしっかりと見て言っていた。それにあれほどつかさの近くにいたのに
煙草の匂いがまったくしなかった、すくなくとも公園の女子生徒はつかさではないことは信じてあげたい。でもこれが私でなく先生や警察だったらどうだろうか。
あれほど似ているなら真っ先に疑われる。それで私取った態度と同じことをすればつかさが犯人にされてしまう。
つかさは何を隠しているのか。そういえばつかさに近づいた時別の匂いがした。アルコールのような、消毒薬のような匂いだった。

 次の日の昼休み、私はこなたとみゆきを体育館に呼んだ。そして昨日の事を話した。
こなた「つかさに瓜二つの不良だって!?」
かがみ「そう、まあそっちの方は置いておいて、問題は昨日のつかさの行動よ、何か心当たりはないかしら?」
こなた「……ないね、いくら私だって四六時中つかさと一緒じゃないよ、それに昨日はバイトだった」
私はみゆきの方を向いた。
みゆき「同じくです、まったく心当たりありません、それでつかささんの昨日の行動を知ってどうなさるのですか?」
質問を返された。確かにそうだった。私は昨日のつかさの行動を知ってどうするつもりだったのだろうか。私は返答できずにいた。
こなた「かがみ、昨日つかさは煙草吸ったりしてないって言ったんでしょ?、それでいいじゃん、それ以上詮索してどうするんだよ、
     皆、一つくらい黙っていたい行動くらいあるもんだよ」
かがみ「だけど、私は姉として……」
こなた「かがみ、今月何回一人エッチした?」
かがみ「……ちょ、いきなり何を言い出すんだ?、そんな事答える必要なんか……」
はっと気が付いた。
こなた「でしょ?、別に悪いことじゃない、だけど言う必要なんかないし、答え難い、いや、むしろ恥ずかしい、そんな所じゃないの?、
     私達はもう高校生だよ、姉妹同士だって秘密の一つや二つあるよね」
かがみ「こなたにしては説得力あること言ったわね」
こなた「私は教室に戻るよ、つかさが待ってるからね」
こなたは体育館を出て行った。私はため息を一回ついた。
かがみ「こなたに、話をすり返られたような気がしたわ、まったくこなたのやつ」
みゆき「泉さんらしい切り替えしでしたね、しかし、間違ってはいないと思いますよ……私は最初の話の方が気になりますが」
みゆきが急に真剣な顔になった。
かがみ「つかさに似た不良のこと?」
みゆき「そうです、かがみさんが間違えるほど似ているのであればなお更です、もし、彼女が何か大きな問題を起こせば、つかささんも疑われます、
     ただでさえ、不祥事続きで職員室は緊張していますから」
私と同じ心配をしている。確かにそっちの方が心配になってきた。
かがみ「っと言ってもね、こればっかりはどうにもならないわ」
みゆき「……同じにしなければいいのです、例えば髪型を変えるとか……つかささんのリボンを取ってみてはどうでしょうか?、かなり印象が変わります」
かがみ「……そうね、何もしないよりはいいかもしれない……しかしあれほど似ているなんて、双子の私が言うのも変だけど」
みゆき「ドッペルゲンガー……ご存知ですか?」
かがみ「同じ自分が現れる怪奇現象ね、知っているわよ、本人と出会うと死期が近いって言うわね、SFじゃ結構つかうネタ……まさか」
みゆき「……冗談です、世の中には三人は自分と同じ顔の人がいると言われています、きっとそれでしょうね」
かがみ「み・ゆ・き、こなたの真似なんかしなくていいわよ」
みゆきは笑った、みゆきがこんな冗談を言うとは思わなかった。それとも私が気にしすぎだって言いたかったのだろうか。そうかもしれない。
こうして昼休みは終わった。
つかさには暫くリボンを外すように言った。つかさは何も言わずリボンを取ってくれた。とりあえず私にできる事はこのくらいだろう。

 放課後、今日の会議は昨日の半分の時間で終わった。みゆきと一緒に帰ることができた。久しぶりに雑談をしながらの帰り道だった。
こなたとの雑談と違って茶化されることもなければ突っ込まなくてもいい、時よりみせる知的な会話が染み渡っていく。駅の改札に近づいた時だった。
みゆき「あれは泉さんとつかささんではないでしょうか」
みゆきは突然立ち止まった。みゆきの目線を追うとその先に二人の姿があった。
みゆき「丁度いいですね、ご一緒にお茶でも……」
かがみ「ちょっとまった」
私はみゆきを止めた。みゆきは不思議そうに私を見る。
みゆき「どうしたのですか?」
かがみ「こなたは今日もバイトだって言ってたから」
みゆき「それなら、以前私達が遊びに行ったようにつかささんも同行されているのでは?」
かがみ「そうじゃない、こなたのバイト先は秋葉原、それなのに下りのホームに向かってる、おかいしいと思わないか」
みゆき「……そうですね、どうしたのでしょうか」
かがみ「あの二人、私達に何か隠している、気が付かれないように付いていって秘密を暴いてやる」
みゆき「……尾行をすると言うのですか、あまり私は賛成できかねますが」
かがみ「強制はしないわ、否ならここで別れましょ」
私はそのまま二人に気が付かれないように下りホームに向かった。すこし遅れてみゆきが付いてきた。やっぱりみゆきも気になるようだ。

 二人は私達に気付いてない。楽しそうに話している。つかさも私と話すよりこなたの方が気が合うのかもしれない。そういえば最近楽しく
会話をしていなかったな。昨日もつかさに言い過ぎた。最近のつかさが分からなくなった。……こうやって姉妹はお互いに自立していくのか。
みゆき「かがみさん、この駅で降りるようですね」
私は我に返った。二人は三つ目の駅で降りた。私達もドアが閉まる寸前に降りた。しばらく私達は二人の後を追った。二十分くらい歩いただろうか。
二人は郊外の建物の中に迷うことなく入っていった。そこで私達は追うのを止めた。
かがみ「ここは……病院?、何故病院なんか……」
みゆき「この病院は……」
かがみ「この病院を知ってる?」
みゆき「ええ、一ヶ月前、私達のクラスの社会貢献授業で二日ほどこの病院でボランティアをした事があります」
かがみ「へぇー、私達は工場だったわ……クラスでこうも違うのね、で、その病院につかさとこなたが何の用があるのよ」
みゆき「さあ、私にも分りません、知り合いが入院しているとも思えないのですが」

 私達はああでもない、こうでもないと二人が病院に入った理由を語り合った。そうして一時間くらい経っただろうか。二人は病院から出てきた。
木の陰から二人の様子を見る。病院に入る前とは違って二人に笑顔が無い。特につかさは肩に力が入っていない様子だった。時々つかさは
立ち止まり病院を振り返りながら駅の方に歩いていった。私達は二人が見えなくなるのを確認した。
かがみ「さて、病院に入って二人が何をしたのか調べましょう」
みゆきは驚いていた。
みゆき「そこまで調べるのですか?、やりすぎです、見るに、誰かのお見舞いに行ったと思われます、そして病状が思わしくなかったと、それだけ分れば……」
かがみ「それじゃその誰かが誰かみゆきは知ってるの?、そしてどうしてそれを私達に黙っているのか、知りたいと思わない?」
みゆき「……お見舞いに行った人は分るかも知れませんが、何故それを私達に黙っているのかまでは分らないと思います、本人に聞かない限り……」
私は黙って病院の入り口に向かった。みゆきもかなり遅れて私に付いてきた。そう、ここまで知ったら最後まで知りたいもの。

 病院の自動扉が開いた。そこからパジャマ姿の少女が飛び出してきた。彼女の目にはいっぱいの涙が流れていた。すると扉から大人の女性が同じく
飛び出してきた。私達に向かって叫んでいる。
「その子を捕まえて!!」
この少女は今、丁度私の横を過ぎようとしていた。私はその叫びに反応するようにその少女を捕まえた。少女はそれでも病院の外で出ようともがいていた。
「柊ねえちゃん、行かないで……」
少女は何度もそう言っていた。私は病院に入らずにつかさ達が誰を訪ねたのか分ってしまった。病院から看護士さん達が駆けつけ少女をなだめながら
病院の中に連れ戻された。そしてさっき叫んだ女性が私に近づいてきた。
「ありがとうございます、娘を捕まえてくれまして……その制服は柊さん達と同じですね、もしかして」
かがみ「あ、私は柊かがみ、つかさの姉です、こちらは……」
みゆき「私は高良みゆき、柊つかささんのクラスメイトです」
「そうですか、丁度一ヶ月前ですかね、柊さんが来られて、さつきがすっかりなついちゃいまして、柊さん達にはよくしてもらってます」
女性は何度も私に頭を下げていた。
かがみ「随分元気なお子様でしたね、つかさを追いかけるなんて、いったい何故病院に……」
「そうね、元気なんですよ……あと三ヶ月くらいかしら……もう、何もしてあげられない」
私達は何も言葉が出なかった。女性は気が付いたように私に言い出した。
「良かったら、娘に会ってくださいな、柊さんの知り合いなら喜んでくれるかもしれない」
その少女、さつきに会って何を言って上げればいい。どう接してあげればいい。分らない。
かがみ「すみません、私達はただつかさを迎えにきただけなので」
「そうですか、残念です、柊さん……つかささんと言うのですか、もう来れないなんて言うので娘があんな事になってしまいまして、いつでも待っていると
お伝え下さい」
女性は一回深々とお礼をすると、病院に戻って行った。

 私は呆然とその場に立ち尽くしてた。
みゆき「かがみさん、どうしますか、もう一度さつきさんに会って聞きますか?、お母様に会って話を聞きますか?」
みゆきの質問が皮肉に聞こえた。それに対して冗談で返せるほど私は強くはない。
かがみ「中途半端な好奇心は大怪我の元ね、私達は探偵気取りでここまで来たけど……来るんじゃなかったわね」
みゆき「私はこの事を、泉さん、つかささんにはしないつもりです……それでは、帰りましょう」

かがみ「ただいま」
つかさ「おかえり、お姉ちゃん」
夕食の準備をしていたのか、台所から声がした。私は台所に向かった。台所には普段見たことない料理が並べられていた。
かがみ「ちょっと、なによこの料理、誰かの誕生日かなにかだったっけ?」
つかさ「うんん、なんか今日は無性に料理が作りたくなっちゃって、だから、作ってみた」
つかさはあの少女をどう思って接していたのだろうか、分らない、私には到底できそうにないことだ。でもどうしてもう会えないなんて言ったのか。
最後まで居てあげてもいいような気がする。途中で投げ出すなんて。
つかさ「どうしたの?、お姉ちゃん」
かがみ「いや、凄い料理ね、楽しみだわ」
みゆきが病院を離れる時に言った事を思い出した。私達に秘密にしている。何か理由があるのだろう。つかさ自ら話すようになったら聞いてみるか。
つかさ「ふふ、楽しみにしててね」

『ピンポーン』
呼び鈴が鳴った。お母さんが玄関に向かう。
みき「つかさ、警察の方がお見えよ」
つかさは無言で玄関に向かう。
「柊つかさだな、強盗の疑いで逮捕する」
警察は逮捕状を見せた。私は確信した。これはつかさじゃない。しかしつかさは抗うことなく警察に従った。そのまま警察と一緒に車に乗り。走り去った。
お母さんは何がなんだか分らない様子だった。私には分る。つかさは何もしていない。強盗をしたのはもう一人のつかさ。
家族が全て帰ってきてつかさの事を知ると途方にくれるだけだった。台所に作りかけの料理がいくつかあった。私達では続きは作れそうにない難しい料理
ばかりだった。この料理の続きを作れるのはつかさだけ。料理はつかさを待っているようだった。

 噂とは恐ろしい。つかさが逮捕されたと言う話は瞬く間に学校中に知れ渡った。
『今朝のニュースです、○○市、○○町において強盗事件が発生、警察は近くに住む未成年の女子学生を逮捕しました……』
テレビを消した。連日こんなニュースばかりが流れた。

まつり「まったく、何も知らないんだから、つかさがそんな事するわけないじゃない」
いのり「そうね、一体何がどうなってるのか、かがみも学校に学校でどんな非難を受けるか、分るわよ」
かがみ「私はそうゆうの気にしないわ、それよりもつかさの無実を晴らしたい、それだけよ……行ってきます」

 お昼休み、私はいつものようにつかさのクラスにお昼を食べに行った。周りの軽蔑の眼差しが注がれる。しかしそんなのは気にしない。
こなた「なんか最近、私達の席の周りが空いたよね」
かがみ「それならそれでいいじゃない、こなたのエロ話だって聞かれることもないわよ」
みゆきはあまり気にしていないようだ。こなたには話してもよさそうだ。私はつかさ達が病院に行ったのを尾行していたことを話した。
こなた「……そうなんだ、つかさがあの女の子事を知ってから協力するようなった、さつきちゃん、学校の授業で知り合った、
     絵本を読むようになってつかさに心を開くようになったらしいよ」
かがみ「そのつかさが何故、さつきちゃんと別れるような事を言ったのよ、解せない」
こなたは暫く黙っていた。言うかどうか迷っていたようだ。
こなた「つかさはさつきちゃんを助けたかった、それならおまじないでもしたらってね、私が子供の頃から家にあった本なんだけどね」
かがみ「どんなおまじないなのよ」
こなた「簡単だよ、助けたい人の名前を唱えて、願うんだよ」
かがみ「それならどのまじないでもあるじゃないか」
こなた「そうだね、でもね、願い主と瓜二つの人が現れるってね、その人が願い主に試練を与える、その試練に耐えたら願いが叶うって、そう書いてあった」
かがみ「私がつかさ似ている人を見かけたってこなたに言ったのを、こなた、あんたつかさに話したのね」
こなた「うん……、つかさは喜んだよ、これでさつきちゃんを救うことが出来るってね、でも試練に耐えなきゃいけないから、暫くお別れだって」
みゆき「それでお別れに病院に向かった……」
こなた「うん……」
つかさの気持ちは分からないわけじゃないけど、安易に考えすぎている。まるで子供だ。
かがみ「こなた、余計なまじないを教えたわね、偶然につかさに似た人が現れたに過ぎない、そしてその人がたまたま不良だった、それでその人が強盗をした
     ただそれだけの事よ、このままだとつかさは自分が潔白だってことを一生誰にも言わないわよ、そして無実の罪で罰を受ける……それでも
     さつきちゃんの病気なんかは治らないわよ……強盗は重い罪よ、いくら未成年でも三ヶ月じゃ出られないわよ、その間にさつきちゃんは……」
こなた「分ってる、そんなのは分ってる、でもつかさはそれに賭けるって、それしかないって言ったから、どんな試練でも耐えるって言ったから……
     もう私はつかさに強力するしかないじゃないか……かがみの話を聞いた時、内心私も驚いたんだよ、もしかしたらこのおまじないは本物かもしれないって」
こなたがこんなに切々と訴えるとは思わなかった。私もみゆきも迫力に圧倒された。
かがみ「そうよね、タイミングが良すぎたのは確かだわ」
みゆき「そのおまじないが偽物ならもう一人のつかささんは実在する人物になります、もし、彼女が真犯人であれば探して説得するか証拠をさがしてつかささんの
     無実を証明するしかないですね」
こなた「高校生風情の私達にそんなことができるとは思えない、漫画のようにうまくいくはずもない」

 

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