ID:KljhCnE0氏:星のかなたへ

 ある日の放課後の図書室、、こなた、つかさ、かがみ、みゆきの四人で雑談をしていた。
こなたはアニメの話をしていた。
こなた「で、結局、長門が宇宙人ってことに気付いていないってわけ」
かがみ「アニメは知らないけど、あんたもそうゆう話好きね、コスプレまでするくらいだし」
   「たまには小説の方も読みなさいよ」
呆れた顔のかがみ、話をあわせるみゆき、つかさはただ笑っていただけだった。
しかし、割って入るようにつかさが質問をした。
つかさ「宇宙人って本当にいるのかな」
かがみ「つかさ・・・小学生みたいな質問を」
こなた「漫画とか映画ではよく出てくるけどね、実際となるとまゆつばものだね」
かがみ「へー こなたにしてはまともな答えをするわね」
みゆき「参考になるかわかりませんが、地球外文明の数をもとめる式がありますわね」
こなた・かがみ「「ドレイクの方程式でしょ」」
みゆき「二人ともご存知でしたか」
つかさ「????」
かがみ「へー こなたが知ってるとは思わなかった、なんで知ってるのよ」
こなた「かがみ、そりゃ偏見だよ、私だってそのくらい知ってるよ」
   「ゲームやアニメを見てるとこの手の知識がね・・・」
かがみ「はいはい、そこからそんなことを」
またまた呆れるかがみ、つかさはわけが分からず話についていけなかった。
こなた「この方程式を見る限り宇宙人っているように思えないよね」
   「あ、もうこんな時間だ、バイトに遅れちゃう、悪いけど先帰るね」
そう言うと足早に図書室を後にした。

かがみ「あいつがドレイクの方程式なんかしってるとはね、意外だったわ」
みゆき「SFや天文学が好きな人なら知ってる人も多いみたいですが」
つかさ「・・・あのー、そのドレイクのなんとかって何なの」
一人取り残されたつかさは、申し訳なさそうに質問した。
かがみ「つかさ、これは知らなくても、学校じゃこんなこと教わらないし、遊びみたいなものね」
   「つかさの最初の質問の答えが分かる式よ」
つかさは余計に分からなくなった。頭の上に?マークが付いているのがわかるようだ。
かがみはため息を一回ついて、
かがみ「みゆき、つかさに分かるように説明できる?」
みゆきは自信なさげだったがつかさに説明をした。

「フランク・ドレイクという天文学者が考案した式で、この銀河系に電波通信可能な文明がいくつあるか」
「というのを思いつきで考えたらしいです。」
「式の項は定説がなくて、人によって答えは大きく異なるのですが、カール・セーガンの答えを例にしてみます」
「式は N=n*Fp*ne*fj*fi*fc*fl」
つかさは頭を抱えてしまった。
かがみはつかさに助言した。
「つかさ、この式掛け算しか使ってないわよ」
「そ、そういえばそうだね、掛け算だね」
みゆきはそのまま説明をつづけた。
「Nは銀河系に存在する電波更新能力もつ技術文明の数・・つまり今の私達以上の文明のことですね」
「nは銀河系の恒星の数・・・4千億個」
「Fpは恒星が惑星を持ってる確率・・・1/4」
「neは1つの恒星の中に生物が生活するのに適した惑星・衛星の数・・・2」
「fjは実際に生命の発生する確率・・・1/2」
「fiは生命が進化して知的生命体になる確率・・・1/10」
「fcは知的生命体が電波天文学まで発展する確率・・・1/10」
「ここまでの値を代入すると10億になります、ものすごい数になります」
「しかし、地球外文明と出会うには、今、その文明がなければ会うことはできません」
「そこで最後の項になります」
「flは惑星・衛星の寿命に対して電波天文学の文明が存在する期間の割合・・・」
「これは今の地球を例にとって・・・地球の年齢45億年に対して電波天文学が生まれてから50年・・・約1/一億」
「これを全てさっきの式に代入すると・・・N=10」
「すごい、宇宙人のいる星って10個もあるんだ」
つかさはみゆきに驚いた表情をみせる。
「これはあくまで一例で、これでは多いという人も少なすぎると言う人もいます」
「泉さんも私の出した例に近い値で計算されたと思います」
つかさは感心したようにめを閉じ何かを考えていた。
「つかさ、もういいでしょ、分かったでしょ、普段そんなこと興味ないじゃない」
かがみはもうこの話に興味はなかった。話題を変えたかった。
しかしつかさはさらにみゆきに質問をした。
「ゆきちゃん、最後の項って50年/45億年なの? まだ私達居るよ、百年、千年、一万年でもいいじゃないの」
「つかささん、凄いところに着目しましたね」
「この計算をしたセーガンさんはロシアがまだソ連だった頃、つまり冷戦時代の頃でした」
「この頃は、核戦争一歩手前でいつ人類が滅亡してもいいような危機的な状況だった。だから電波天文学が生まれてから50年という値にしたそうです」
「なんか悲しい式だね」
つかさは悲しそうな顔でみゆきに言った。
「そこまで感じているなら、つかさんはこの式を完全に理解されましたね、セーガンさんはこの式を近代文明の脆さを指摘するために活用しました」
「でも、今ならもう核戦争なんかないよね」
つかさはまた質問をする。
「アメリカ・ロシアに保有している核兵器の数は冷戦時代とあまり変わっていません。そればかりか核兵器保有国は増える一方」
「それに、環境破壊も冷戦時代よりも酷くなっています。状況は昔とあまり変っていない。いえ、昔より危ういかも」
「それじゃ宇宙人も?」
「そうですね、宇宙人の文明が地球人と同じ進み方をしてるなら、同じ問題に直面しているかも、意外と文明は短命なのかもしれません」
「お友達になる前に居なくなっちゃうなんて・・・」
それからしばらく、つかさとみゆきはこの話で盛り上がった。
話題を変えたいかがみはその機会を失い、話に入っていくことができずに二人の話をただ聞いていた。



「すみません、もう図書室を閉めたいのですが」
図書委員の人がつかさ達に話しかけた。
気が付くともう終業時間を過ぎようとしていた。
「さて、もう帰りましょ」
かがみはそう言うと、一番に図書室を出た。それを追いかけるようにつかさが、そして、図書委員に一礼をして、
みゆきが図書室を出た。
「私、こんな時間まで図書室にいたの初めてだよ」
少し興奮気味のつかさ。
「つかさ、はしゃぎすぎよ、みゆきごめんね、こんな時間までつき合わせちゃって」
「いいえ、今日は特に用事もなかったので、楽しいじかんでした」
「そういえば、お姉ちゃん途中からぜんぜん話さなかったね」
「私は別に・・・」
「分かった、お姉ちゃん、こなちゃんが先に帰ったのが淋しかったんだね」
「違うわよ、いいかげんな事を言わないで」
つかさはしばらく黙った、そんな二人を黙って見るみゆき。

 駅でみゆきとつかさ達は分かれる。
「ゆきちゃん今日はありがとう、また明日ね」
「みゆき、またね」
「また明日、つかささん」
「かがみさん」
みゆきがかがみを呼び止めた。
「何?」
「いえ、なんでもありません、また明日」
みゆきはかがみに何かを言いたかったが言えなかった。
そのままみゆきは反対側のホームへとむかった。


 電車を降りて帰り道、
もう辺りはすっかり暗くなっていた。
「お姉ちゃん、今日はゆきちゃんにほめられちゃったよ」
自慢げにかがみに話し出した。
かがみはみゆきがつかさに合わせてくれていることを知っていた。
その流れでつかさをほめていることも。
「つかさ、あまり本気にしないほうがいいわよ」
「そういえばお姉ちゃんは既に、あの式しってたみたいだけど、お姉ちゃんはNの答えいくつになったの?」
「私は、ドレイクの方程式って知識としてしってただけ、別に計算なんかしてないわ」
「そうなんだ、でも今日は、学校の授業よりも面白かった、宇宙人見つかるといいね」
つかさは空を見上げて図書室の余韻に浸っている。
かがみは、つかさがあの式を理解しているとは思っていない。
かがみはつかさをからかってみた
「そんなこと言ってるけど、地球なんかあっという間に征服されちゃうわよ」
「お姉ちゃん、それはないと思うよ」
即答するつかさ、かがみは驚き聞き返す。
「なんで、そんなことが言えるの」
つかさは歩くのを止めた

そして、夜空を見上げていた顔をかがみにむけて悲しい顔をしながら答えた。
「だって、そんな事するような宇宙人だったら、ここに来る前に自滅してるよ」
かがみは何も言い返せなかった。
つかさが「悲しい式」と言った事にかがみは初めて気が付いた。
そしてみゆきがつかさをほめていたのはお世辞ではないことも分かった。
そして・・・なによりかがみ自身が四人の中で一番あの式を理解していなかった。
つかさの顔が、駅で別れたみゆきの顔と重なった。
みゆきがかがみに言いたかったことがこのことだったことに気が付いた。

 かがみはつかさを見下していた。それゆえに、つかさとみゆきの話を本気に聞いていなかった。
かがみは反省した。
「お姉ちゃんどうしたの」
つかさは黙っているかがみが心配になった。
「つかさ、今日は凄いわね、私より理解してるなんて」
「お姉ちゃんにまでほめられた」
嬉しそうに微笑むつかさ。
「本当にいるのかしらね、宇宙人」
かがみは夜空を見上げ、つかさが最初にした質問をした。図書室での時間を取り戻すかのように。
「山と山は出会えないけど、人と人は出会える」
「つかさ、何よそれ」
「こなちゃんから借りた漫画に載ってた言葉」
「漫画のセリフか・・・でも意味深な言葉ね」
「いつかきっと出会えるよ、こなちゃんとゆきちゃんと出会えたように」
「おいおい、こなたとみゆきを宇宙人と一緒にするのか」
「でも、こなちゃんとゆきちゃんに出会えたのも奇跡だよ、同じ高校に入って、同じクラスになるって」
「お姉ちゃんなんかクラスが違うのにゆきちゃんとこなちゃんと出会えてる」
「確かに、クラスが違うだけで出会う機会は減るわね、てか、つかさが居るからでしょ」
「私達が双子じゃなかったら、学年も違ったよ」
「そうだね、私達が出会えたなら、きっと・・・星と星は出会えないけど、人と人なら出会える」
かがみはつかさの言葉を少し変えてみた。
「それいいね、きっとセーガンさんも喜ぶね」
「つかさ、言い難いんだけど、その人、もう亡くなってるわよ」
「そうなの?」
つかさは、俯いてしまった。
セーガンの名前でかがみは思い出した。以前みゆきにある映画を薦められたことを。
「みゆき、だからセーガンの名前を出したのか」
「お姉ちゃん、何?」
「いや、独り言、ところでセーガン原作の映画があるんだけど、観てみない?」
「観てみたい」
「それじゃ一度家に帰って着替えてから店行くわよ、家まで競争」
かがみは家に向かって走り出した。
「ちょっと、お姉ちゃん待って」
遅れてつかさも走り出す。
しかし、間もなくかがみは突然止まった。
つかさはかがみにぶつかりそうになる。
「ちょっと、お姉ちゃん危ないよ」
「・・・つかさ、こなたは昨日もバイトだったわよね」
「そういえば、そんなこと言ってたね」
「あいつ、二日連続でバイトなんてあったか?」
「今までそんなことなかったかな、それがどうかしたの」
「こなたの話題と去るときタイミング、その後のみゆきの言動・・・つかさ、私達、誘導されたわ」
「誘導? なんで」
「まだ分からないの、みゆきとこなたがグルになって私達に映画を見るように仕向けたのよ」
「えっ、」
「以前みゆきにその映画を薦められてね、興味ないって断ったことがあってね、つかさは薦められたなかった?」
「それは・・・」
「覚えてないの? つかさも薦められたはず、つかさはSFなんか観ないでしょ」
「お姉ちゃん、私は・・・」
「手の込み具合からするとみゆきが仕組んだわね、まったく、こなたもみゆきもらしくない事をして、そこまでして私達にみせたいのか」
「・・・」
「つかさ、別に分かったからって観たくなくなったわけじゃないわよ、そんな残念そうな顔しなくても、さて、急ぐわよ」
かがみはまた走り出した。
しかしつかさは走らずに歩いて後を追う。
次第に小さくなるかがみの後ろ姿をみながらつかさはかがみ小さな声で語りかける。
「お姉ちゃん、そんなに急がなくてもDVDは私の部屋にあるよ・・・」
「中学の時・・・私があの映画を薦めたの忘れちゃってるね、でも私は覚えてたよ、完全に否定したよね」
「悲しかったけど、お姉ちゃんにみせたい気持ちは消えなかった、そのためにいろいろ調べたし勉強もした」
「話す切欠がなかなかなくて・・・この事をこなちゃん、ゆきちゃんに話したら協力してくれるって言ってくれた」
「図書室の段取りは私が全て計画したけど・・・ドレイクの方程式まで知っていたなんて、それに、全然話に入ってくれなかったよね、もうだめかと思った」
「でも、やっと観る気になってくれたね、DVDを渡したらお姉ちゃんどんな反応するかな」
つかさは夜空を見上げ満足そうな顔でまた語りかける。
「こなちゃん、ゆきちゃんありがとう、目的は達成できたよ」

 もうすでにかがみの姿は見えなくなっていた。
つかさはそれに気付きようやく走り出した。
 しかしつかさは知らない。
つかさの思いは、こなたとみゆきも今のかがみと同じ気持ちにさせていたことに。

 走るつかさを夜空の星々が祝福するようにやさしく瞬いていた。


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